TOHOシネマズ新宿にて。
渡辺歩監督、STUDIO 4℃制作、大竹しのぶ、Cocomi、花江夏樹、吉岡里帆出演。
いつもハイ・クオリティな作品を作る4℃の新作で、かつ大好きな『海獣の子供』(2019)の渡辺監督なので、私はもちろん劇場へ。
それにしても、4℃は前作『えんとつ町のプペル』に続き、またも不幸な作品を送り出してしまった。
どちらも「よしもと製作」であり、企画やプロデューサーの”芸人”を全面に押し出す宣伝で、完全に観客の観る気を削いで----どころか、何か嫌悪感まで感じさせてしまった。よしもと製作でも芸人プロデュースでも構わないのだが、それを前に出し過ぎ。プロデュースのさんま(私はさんまは面白い芸人だと思うし、全く嫌いではない)がこんなに出て来て、自分で「良い映画だ」と言い過ぎだし、主演が別れた奥さんで、ヒロインが友だちの娘、脇を固めるちょい出しキャラが、さんまの番組共演芸能人多数。実に暑苦しい。4℃制作じゃなかったら、俺だって観たくない気になる。
作品を観てしまえば、やはり映像のクオリティ、作画のクオリティは素晴らしいですよ。こんなに密度の高い画が動くだけで幸せ。素晴らしいアニメーション映画ですよ。
でもいくつか引っ掛かることがある。ひとつには肉子ちゃんの声。大竹しのぶは声優仕事もこなせる女優さんではあるが、この肉子ちゃんに合っているとは到底言い難い。巨漢女性の声ではないのだ。気が強いから大きい声、気が弱いから小さい声とか、そんなことではない、大きな体から出て来る声に聞こえない。最後まで違和感が拭えない。対して、娘のキクコを演じたcocomiはこれが声優初挑戦だけあって、決して上手くはないが、キャラクターから大きく外れないので違和感なく、最後まで気にならずに観られた。代わりに、こちらはキャラクターのデザインに違和感がありまくり。極端にデフォルメされた肉子、普通にアニメ的なリアル感のある一般登場人物、そして一人飛び抜けてお目々キラキラなキクコ。なんだろう、このバラバラなキャラクターデザイン。肉子ちゃんは特殊キャラだから、特殊にデフォルメされてても良いのだが、キクコは一般登場人物と同じ系統の普通の美少女じゃないと、なんだか気持ちが悪い。友だちのマリアや二宮と並んでいると、全く馴染まない。狙いでやっているんだろうか?
アニメ作品として、尋常ならざる作り込みがされているからこそ、なんだか気になって仕方が無い。
宣伝方法の失敗と併せて、「勿体ないねぇ」って映画。
https://youtu.be/Z97DDBmLP78
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