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2021年7月31日 (土)

7/30 『ダウンタウン・ヒーローズ』(1988)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、薬師丸ひろ子中村橋之助中村芝翫柳葉敏郎尾美としのり杉本哲太坂上忍戸川純石田えり倍賞千恵子渥美清出演。

旧制松山高校で寮生活を始めた中村橋之助。同室の柳葉敏郎、尾美としのり、坂上忍らと文化祭で演劇を行うことになった彼らは、近隣の女学校の演劇部員、薬師丸ひろ子に出演を依頼する。文化祭は無事成功するが、中村も柳葉も薬師丸に惚れてしまっていた。

旧制高校が終わる最後の時代のバンカラ学生青春群像劇。よく分からんが、みなドイツかぶれで「ダンケ、ダンケ」ばっかり言ってる。
物語上のメインヒロインは薬師丸ひろ子なのだが、映画前半に描かれる足抜け女郎のエピソードに登場する石田えりが素晴らしい。女人禁制の男子寮に匿われた色っぽい女郎のお姉さんに、バンカラ学生どもはみなメロメロ。この時代の石田えりは本当に魅力的。
薬師丸ひろ子の『時代』はこの映画の主題歌だったのか。
名子役から大きくなってきた坂上忍の、おそらく好感度のある時代の最後の方かもしれない。

https://youtu.be/DYUXMvKdhIw

ダウンタウンヒーローズ : 作品情報 - 映画.com

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7/30 『淑女は何を忘れたか』(1937)

アマプラ「プラス松竹」にて。

小津安二郎監督、栗島すみ子斎藤達雄桑野通子佐野周二坂本武飯田蝶子上原謙出演。

恐妻家の斎藤達雄の元に、大阪から姪の桑野通子が遊びに来る。妻はいつものように夫を尻に敷いているが、姪はおじさんを振り回してバーで飲んだり、芸者遊びをねだったりする。やがてそれが妻にバレるが…。

プチブル家庭を舞台にした、モノクロのホーム・コメディ。
なんと言っても姪を演じる桑野通子のキャラクターの素晴らしさ。奥さんにアタマが上がらないおじさんを唆して遊びまわる。おじさんの方も可愛い姪との楽しい秘密の時間にまんざらでもない。それが奥さんにバレてしおしおのパーだが、結局は上手くまとまる。他愛のない話ではあるが、展開が妙に小気味いい。
いつもおばあさんのイメージしかない飯田蝶子がまだ若く、女友達に「バカね!」と言われると「カバね!」と必ず返すルーティンギャグも楽しい。

男の子二人の国名当てクイズの際に唄ってる謎の歌
♪あなたと添えなきゃ意味ないこの世
♪か~わいがってちょ~だい
♪そ~れで~も~あなたはとんがらかっちゃダメよ!
♪都合のわ~るい時ゃ仕方がないの
♪そ~れで~も~あなたはとんがらかっちゃダメよ!
も楽しい。

 

淑女は何を忘れたか - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

 

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7/30 『インベイド』(2021)

原題:Occupation: Rainfall

シネマカリテ「カリテコレクション2021」にて。

ルーク・スパーク監督、ジェイソン・アイザックスダン・ユーイングテムエラ・モリソンダニエル・ギリス出演。

異星人による地球侵略が開始されて2年。既に大半の地域は全滅。生存者は、なぜか寝返って人類の味方となった少数の異星人に助けられ、各地で抵抗を続けていた。ある日、レジスタンス軍は《レインフォール》と呼ばれる機密情報によって、状況が変わるとの情報を掴み、敵地に潜入するが…。

オーストラリアのSFアクション映画。
『スカイライン』シリーズ、『アトラクション』シリーズ、『世界侵略: ロサンゼルス決戦』、『ガーディアンズ』等々、予告篇のそれなり以上のVFXクオリティに惹かれて映画館まで行って、ションボリして帰ってきたことがままある。でも、そうは言ってもそれなりにマトモな映画だったんだなと思わせるくらい、ちょっとダメ感の強いのが本作『インベイド』(笑)。
こりゃあヒドイ。設定部分の説明をオープニングの字幕で説明して、いきなりアクションから入るのは良いですよ。かったるい説明に時間かけられても困るから。でも、本編始まっても、てんで話が分からない。圧倒的に強い異星人側から、なんで地球側に寝返ったのか不明な異星人たち。そのせっかく寝返ってくれた異星人を差別しまくる地球人たち。差別されながらも、一所懸命ガンバル異星人。
誰にも感情移入も出来ないし、展開もトロイ割に話は分かりにくいし、弱った映画だな。
昔はB級映画はビジュアルもショボイと相場が決まっていたのだが、最近はムダに頑張ったデジタルVFXのダメ映画があるから、馴染みの薄い国の映画だと俳優・監督で身構えることも出来ずに、いきなり落とし穴に落とされることがある。

https://youtu.be/_8TIJ3rsYyM

インベイド - 作品 - Yahoo!映画

 

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2021年7月30日 (金)

7/29 『バトル・オブ・ヒロミくん!~The High School SAMURAI BOY~』(2013)

アマプラ「プラス松竹」にて。

宮坂武志監督、竹内力栞菜出演。

大阪大山の番長、白鳥ヒロミが全国総番を目指すがお金が無くなって帰郷。お金を工面するためにツチノコ探しをしながら、ちょっとした恋なんかしてる間に、妹が怪しい宗教団体に誘拐されてしまう。

岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説』シリーズが、2007年に第8作『中華街のロミオとジュリエット』 で終了した後、岸和田とは関係のない作品として2011年に始まった『ヒロミくん』シリーズの第2弾。
関係ないとは言っても、ほとんど一緒(笑)。製作がRIKI PROJECTになって竹内力兄貴が製作総指揮になったけど、監督も宮坂武志続投でカオルちゃんとヒロミくんのキャラクターもほとんど一緒。ウガウガガウガウ言いながら、白目剥いてタンを吐き、涎をたらしながら他校の番長をどつき回す16歳を、竹内力が演じる。本当にそれだけ。
多分、ほとんどの人には面白くもなんともないのだが、ある種のコア層にだけクリティカルヒットするシリーズ。竹内力本人がどんなつもりでこのシリーズを継続したいのかもよく分からないが、そのコア層へのファン・サービスなのだろう。映画レビューサイトを観に行くと、選ばれし観客たちが大絶賛し、選ばれなかった人々は低評価をしている。

https://youtu.be/cI4m3wS_tWM

Amazon | バトル・オブ・ヒロミくん! [DVD] | 映画

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2021年7月29日 (木)

7/28 『蒲田行進曲』(1982)

アマプラ「プラス松竹」にて。

深作欣二監督、つかこうへい原作・脚本、松坂慶子風間杜夫平田満高見知佳蟹江敬三原田大二郎出演。

『キネマの天地』を観た勢いで、何十年ぶりかに『蒲田行進曲』を再見。
観直しだって、圧倒的に面白い。松竹配給の角川映画だが、これはやっぱり深作映画。エッジの利いた撮影に、シャープな編集。友情出演の千葉ちゃん、真田広之、志穂美悦子も楽しい。もちろん、なんと言っても主演三人が素晴らしい。松坂慶子がチャーミング過ぎる。
申し訳ないが、『キネマの天地』じゃあこれには勝てない。クライマックスで滂沱の涙。邦画らしい素晴らしさ。

https://youtu.be/fI-Wp-v1s-U

蒲田行進曲

 

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7/28 『キネマの天地』(1986)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、渥美清有森也実中井貴一すまけい岸部一徳堺正章柄本明山本晋也なべおさみ大和田伸也松坂慶子出演。

 

元旅役者の父喜八(渥美清)と二人暮らしの田中小春(有森也実)が浅草の帝国館で働いていると、松竹の小倉監督(すまけい)の目にとまり、蒲田撮影所に来るように言われる。しかし、いきなり端役で映画出演させられて大失敗してしまった。そんな小春を助監督の島田(中井貴一)が迎えに来たことから、撮影所大部屋女優として所属することになった。翌年、小春は大作「浮草」の主役に抜擢されることになるが…。

松竹大船撮影所50周年記念作品。
松竹配給の『蒲田行進曲』(1982)が、主題歌は蒲田撮影所の所歌「キネマの天地」なのに、舞台が東映京都撮影所で、監督は東映出身の深作欣二監督と言うことで、松竹監督勢(主に野村芳太郎と山田洋次)が何が何でもリベンジしたかった作品らしい。その気持ちは分からないでもない。『蒲田行進曲』を松竹蒲田撮影所での話だったと記憶違い、勘違いしている人も実際によく居るから、相当悔しかったのだろう。
だから『蒲田~』とは違ってこちらは完全に松竹蒲田をモデルにした物語。役名こそ違うけれど、小津安二郎、斎藤寅次郎、田中絹代などが登場する。岸部一徳演ずる小津が、端役の有森也実に異常な回数の撮り直しをする場面、堺正章演ずる斎藤寅次郎がいつもくだらない話をしている場面など、デフォルメされているにしても本当にこんな監督だったんだろうなぁと感慨深い。
映画全体としても、山田洋次なので無難に面白い人情ドラマになっている。特に娘の初主演作品『浮草』を劇場で観ながら、父親の渥美清がこと切れている場面はいかにもだ。でも、なんか普通に面白いってレベルを超えて来ないのが残念。
ずいぶん昔に観たっきりの『蒲田行進曲』の方が面白かったんじゃない?

https://youtu.be/9_Tp1DwNlUY

キネマの天地 - 作品 - Yahoo!映画

 

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2021年7月28日 (水)

7/27 『東京暮色』(1957)

アマプラ「プラス松竹」にて。

小津安二郎監督、原節子有馬稲子笠智衆山田五十鈴出演。

銀行員の笠智衆は、次女の有馬稲子と二人暮らしだが、長女の原節子も夫との折り合いが悪く、幼い娘を連れて戻って来ている。有馬稲子は英文速記を習っているが、素行の良くない男子学生たちと交友関係にあり、そのうちの一人と肉体関係もあって子どもを身籠っており、妊娠中絶をしたいが金策に困っている。ある日、男友達たちが出入りしている雀荘の女将が自分のことを尋ねていたと知り、生き別れた母親ではないかと思うようになるが…。

小津安二郎最後の白黒映画。
予備知識なく初めて観たのだが、後半の展開が唐突かつ実に暗い。救いがない。妊娠中絶に悩む話がハッピーな訳がないのは当たり前ではあるが、有馬稲子が肉体的にも精神的にも追い詰められていく。劇中彼女は全然笑わない。それでも美しい有馬稲子。
彼女が死んでしまった時に、思わずうっそー!と口にしてしまった。まさかそんな展開が待っているなんて。小津について非常に浅い私は、こんな映画も撮るんだと素直に驚いた。他の小津映画とは全く異なる家族像。それでも父親は笠智衆。

東京暮色

 

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2021年7月27日 (火)

7/26 『同胞(はらから)』(1975)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、倍賞千恵子寺尾聰下條アトム、松尾村青年会員、統一劇場劇団員出演。

岩手県・松尾村青年会を、統一劇場の職員の倍賞千恵子が訪れ、村での劇団公演を提案する。高額な費用が問題となり、青年会の議論は紛糾するが、青年会会長の寺尾聡の熱意に押され、公演の実施が決まるが、チケット販売や公園の準備で、村は大わらわになっていく…。

一見良い話のようでいて、何とも言えない胡散臭さを感じる。
倍賞千恵子が突然村に訪れて、劇団公演の営業を青年団に持ち掛ける。費用は一切合切が青年団持ち。ここの段階から何かがおかしい。村が何か文化事業をやりたいと希望していて、「統一劇場」なる劇団を知って声を掛けたのなら分る。だが、そんなことは一切なく、本当に飛び込み営業での押し売りだ。当然、村の青年団は紛糾する。
青年団員「誰も見たことのない芝居がどうして素晴らしいとわかるのか?」
倍賞「農村の現状や問題を取り込んで、歌や笑いもある素晴らしい芝居なの。これまでの公演ではみんな喜んでるわ」
ええぇ~っ!誰も他地域の公演を下見に行かないの?
青年団員「あんたたちは利益が出るが、なんで村が60万円のリスクを冒さなければならないのか?!」
倍賞「私たちの劇団はカツカツでやってて、60万円じゃほとんど利益なんて出ないのよ!」
青年団長・寺尾聰「もしも赤字が出たら、オラの牛を売って弁償する!」と叫ぶ。倍賞千恵子、上手いこと田舎の純朴青年を口車に乗せたなぁ…。
一枚800円のチケットは当初は売れず、青年団員たちは村中を宣伝カーで廻り、個別に訪問してチケットを売りさばく。自分の仕事時間も睡眠時間も削って、なんとかチケットを完売する。
そして本番。もちろん大成功。青年団員は皆「俺たちにも出来た!」と成功体験を得て大満足の滂沱の涙。
山田洋次の演出で、何か非常に上手く作られているが、その裏に隠されている胡散臭さを感じてしまうのは、俺の心が腐っているから?
自己啓発セミナーとか、ある方面の思想とか、そんな何かを感じさせる。素直に「良い映画でした」とはとても思えない、“善意かっぱぎ”映画。

本作は「松竹80年記念映画」だそうで、同じ山田洋次の『キネマの天地』(1986)が「松竹大船撮影所50周年記念映画」で、『母と暮らせば』(2015)が「松竹120年記念映画」、最新作『キネマの神様』(2021)が「松竹映画100周年記念映画」。ほかにもまだあるのかもしれないが、山田洋次の松竹記念映画率の高さよ。

https://youtu.be/qxnFqq5KIXQ

同胞(はらから) - 作品 - Yahoo!映画

 

 

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7/26 『ファイナル・プラン』(2020)

原題:Honest Thief

TOHOシネマズ新宿にて。

マーク・ウィリアムズ監督、リーアム・ニーソンケイト・ウォルシュジェイ・コートニージェフリー・ドノヴァンロバート・パトリック出演。

爆弾による金庫破り専門の凄腕銀行強盗のリーアム・ニーソンは、偶然知り合ったケイト・ウォルシュと恋に落ちた。彼女との結婚を決意した彼は、FBIにこれまで奪い取った総額900万ドルを返して条件付きで自首すると連絡した。しかし現れた捜査官は金に目が眩み、横領を企てる…。

自分の家族(今回は恋人)が危機に陥ったので、犯人たちに戦いを挑む-----ってことではリーアム映画であるが、いつものリーアム無双タイプとはちょっと違って、敵対する人間を端からブチ殺したりはしない。いかにしてちゃんと自首して、自分の人生を清算して彼女とゴールインするかが目標だから、ブチ殺しちゃあマズイ訳だ。
テンポよくアクションが進んで行くので退屈はしないけれど、横領を企むFBI捜査官の計画がずさん過ぎて、そんなのもしもリーアムを倒せても、すぐ捕まるだろうとしか思えないのが玉に瑕。

https://youtu.be/B0o838FdxyA

ファイナル・プラン - 作品 - Yahoo!映画

 

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2021年7月26日 (月)

7/25 『秋刀魚の味』(1962)

アマプラ「プラス松竹」にて。

小津安二郎監督、岩下志麻笠智衆佐田啓二岡田茉莉子中村伸郎東野英治郎北竜二東野英治郎加東大介出演。

大手企業の重役の笠智衆は、娘の岩下志麻、息子の三上真一郎と三人暮らし。旧制中学の同級生中村伸郎が長女の縁談話を持って来たが、やんわりと断っていた。だが、同窓会に呼んだ恩師の東野英治郎が、今季を逃した独身の娘・杉村春子と寂しく暮らしているのを知り、娘の結婚について真剣に考え始めるが…。

小津安二郎の遺作。
『お茶漬けの味』と違って、こちらは映画を最後まで見ても、秋刀魚を食べることも秋刀魚について語ることもないので、なぜ『秋刀魚の味」とタイトルを付けたのかは分からない。「秋刀魚の味 意味」でググって最初に出て来たのは金原由香さんの記事「小津安二郎監督の『秋刀魚の味』は、なぜ秋刀魚も食べずに酒ばかり飲んでいるのか?」https://www.leon.jp/lifestyle/6714だったが、ここの文章では本作品のあらすじ自体が間違ってるし、はっきりとした説明もないので、やっぱりよくわからない。

昔世話になった恩師が、倹しい生活をしている。それを笠智衆の同窓会メンバーはバカにしている。恩師である東野英治郎が御椀の具を食べて、教え子の中村伸郎に訊く。
「これは何ですかな?」「鱧ですよ」「え?ハムですか」「いやハモです。ハムじゃなくて」
同窓会の前に、中村伸郎が東野英治郎を好きじゃなかったという描写があるので仕方が無いが、同窓会後に鱧が分らなかったことを鼻で笑う。現実に、同窓会で先生や友人に再会して、「昔はあんあに偉そうだったのに、今はこんなもんなのかよ」と小馬鹿にする状況なんていくらでもありそうだが、それを映画で見せられると切ない気持ちになる。ましてや相手は東野英治郎----政治家とか軍人とか偉そうな役もかなり多い役者なのでより強調される。ここの同窓会の場面が個人的には一番辛かった。
ところで、笠智衆の恩師役が東野英治郎って無理ないか?と調べたら、なんと笠智衆の方が3歳も上だった。

https://youtu.be/kp2S77LARkg

秋刀魚の味 - 金魚のうたた寝

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2021年7月25日 (日)

7/24 『お茶漬けの味』(1952)

アマプラ「プラス松竹」にて。

小津安二郎監督、佐分利信木暮実千代鶴田浩二淡島千景津島恵子出演。

普通の家庭に育った佐分利信と結婚した上流階級育ちの小暮美千代。結婚して7~8年経つが、お互いの感覚のズレが妻には納得がいかない。そのため昔からの女友だち達と温泉旅行に行ったりして憂さを晴らしている。そんなある日、夫がウルグアイに出張に行くことになったが…。

おかずの汁物をご飯にぶっ掛けて食べたい旦那と、それが嫌でしょうがない妻。気にならない人からすりゃあ、「なんだい、そんなこと」って話だが、気になる人からすれば耐え難い。例えば外で食事をした時に、隣のカウンター席に座った客が“クチャラー”だった時の絶望感。
こうしたちょっとした感覚のズレが夫婦間のストレスを呼ぶ。ところが旦那は鷹揚でのほほんと構えている。妻は自分の不満を意地悪く旦那にぶつけるし、女友だちにも「あの人は鈍感さんだ」と吹聴する。そして当時としては相当に珍しそうなウルグアイ/モンテビデオへの出張が決まった旦那にも、なんだか驚くほど冷たい。小暮美千代が心底意地が悪い。ところが115分の内100分も掛けて、この2人のしっくりしない夫婦関係を描いて来たのに、クライマックスで2人でお茶漬けを作って食べることになる。すると一気に夫婦間の問題は解消してしまう。不思議な話ではあるが、積年の悩みが本当に些細なきっかけで、ストンと腑に落ちることってのもある。これはそんな映画。

お茶漬の味 - Wikipedia

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2021年7月23日 (金)

7/22 『46億年の恋』(2006)

アマプラ「プラス松竹」にて。

三池崇史監督、松田龍平安藤政信窪塚俊介渋川清彦遠藤憲一石橋凌石橋蓮司出演。

最近の特撮少女物と初期のごくごく一部のVシネ以外、ほとんど観ている三池監督作なのに、なぜか公開時もその後のソフト化以降も全く食指が動かなかった『46億年の恋』をいまさら観る。
なんで食指が動かなかったかと言うと、床に線引いて「独房」とかって言う設定が、同時期に似たことをやってる洋画(タイトル失念)と被ってて、何かそそられなかったから。でも観てみたら想像に反して、全てが線引きで作られてる訳じゃなかった。
たまに三池監督が作るシュール系作品の一つで、話は分かりにくい。実写で描くのが(予算等諸々の都合で)難しい時に、ザックリとアニメにしちゃっても気にしないのは、いかにもの三池節。
お好きな人は好きだろうし、訳分かんねえぞ、金返せ!なお客さんも居るタイプの作品。三池ファンの俺は別に嫌いじゃないが、もう一度観ることはまぁ無いな。

https://youtu.be/i5cyNvn2Qvg

46억년의 사랑. 46億年の戀. 46 Billion Years Of Love. 2006

 

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2021年7月22日 (木)

7/21 『運がよけりゃ』(1966)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、ハナ肇犬塚弘倍賞千恵子藤田まこと桜井センリ安田伸田辺靖雄砂塚秀夫武智豊子出演。

貧乏長屋を舞台にした、八つぁん熊さんの複数落語をミックスした喜劇。

よく落語で「死体にかんかんのんを踊らせてやる!」って台詞があるが、まさにその場面があって、実際にやるとこうなるんだなぁと素直に感心した。これをやられちゃあお手上げの不気味さ。
本作も『一発』シリーズや『吹けば飛ぶよな~』と併せての、『男はつらいよ』に至る系譜の一作で、バカな兄貴(ハナ肇)と賢い妹(倍賞千恵子)の掛け合いが、まるで寅とさくら。

https://youtu.be/m9kwE4mAjVw

運が良けりゃ」が笑い殺す気マンマン(ネタバレなし感想) | 世界映画博

 

 

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7/21 『唐人街探偵 東京MISSION』(2020)

TOHOシネマズ新宿にて。

チェン・スーチェン監督、ワン・バオチャンリウ・ハオラン妻夫木聡トニー・ジャー三浦友和長澤まさみ浅野忠信アンディ・ラウ六平直政鈴木保奈美染谷将太出演。

知らないで観てしまったが、シリーズ物の三作目。一応ざっくりと設定の説明はついているので、大雑把には設定が把握出来る。
日本からも結構色んな人が出演しているが、染谷将太は無駄遣いっぽい。冒頭のフラッシュモブみたいなアクションシーンの撮影は相当手間だったろうと感心したが、映画全体のノリはあまり好きじゃないので、1~2作目は観なくていいかなっと。

https://youtu.be/Vz4CxKuZE_o

映画『唐人街探偵 東京MISSION』日本版予告60秒 - 予告編・関連動画 - 唐人街探偵 東京MISSION - 作品 - Yahoo!映画

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2021年7月21日 (水)

7/20 『やさぐれ刑事(でか)』(1976)

アマプラ「プラス松竹」にて。

渡邊祐介監督、原田芳雄高橋悦史大木実大滝秀治清水章吾下川辰平大谷直子出演。

北海道警のマル暴・原田芳雄は、以前に刑務所に送った高橋悦史が札幌に来ると言うのでピリピリしていた。そして暴力団担当刑事が殺された。怒りに燃える原田だったが、彼の妻・大谷直子が高橋に誘惑され、2人で逃避行していることが分かった。あまりのことに捨て鉢になった原田は警察手帳を破り捨て、青森~福島~東京~大阪~九州と、高橋悦史と妻を追う…。

妻が敵と不倫しているのを知って、やさぐれまくる刑事。いや、やさぐれたからって、法を犯して、女抱きまくりながら日本縦断の旅とかしていい訳じゃないとは思うんだが、それをやっても「まぁ、仕方ないか」と思わせるのが原田芳雄ならでは。犯人を追いかける執念が凄まじいのは良いのだが、同僚の清水章吾は付かず離れず原田を追いつつも、そのまま泳がしてるだけ。いいんかいそれで日本の警察は?!70年代の日本警察はこんな感じでOKですよね(少なくとも映画の中では)。
大谷直子のババーンとした脱ぎっぷり、やってることは酷いけどあんまり迫力のない高橋悦史、そしてやってることも酷けりゃ身も蓋もない原田芳雄など見所満載(笑)。自分の妻が出てるブルーフィルムをみんなで鑑賞しているパチンコ店事務所(=ヤクザ事務所)を、プロパン爆破する場面の狂気が素敵。松竹らしからぬ映画だ。

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2021年7月20日 (火)

7/19 『彩り河』(1984)

アマプラ「プラス松竹」にて。

三村晴彦監督、松本清張原作、真田広之名取裕子平幹二朗吉行和子米倉斉加年夏木勲渡瀬恒彦三國連太郎出演。

派閥争いで失脚して今はしがない高速料金所職員の平幹二朗と、これまた横領の罪を負わされて父親を自殺に追い込まれた真田広之が、クラブママ・名取裕子の協力を得て、醜悪な金と欲望の亡者・三國連太郎に復讐を果たすような話。

『天城越え』に続き、松本清張×三村晴彦監督作だが、昨晩の田中裕子が最大の魅力だったのに対して真逆、ともかく下品で下卑た三國連太郎の怪演が見もの。夏木勲の目の前で、彼の愛人である吉行和子を抱くところを見せつけたり、名取裕子の布団の中に懐中電灯とコヨリを持って潜り込んだり、観てて実にパワフルな不快感が渦巻く人物を演じている。おまけに、禿げていない三國に禿げヅラを付けさせ、その上にさらにかつらを被らせる役作りがなんだか意味が分からず凄い。これで「人類信愛」をモットーに掲げる相互銀行の頭取と言う表ヅラをしているのが、怪しい新興宗教の教祖みたい。
と、三國の怪演は素晴らしいし、配役も豪華だが、映画自体の出来は今ひとつ。無駄に分かりにくい入り組んだ設定と、観てても無理のある展開の数々にツッコミどころが満載。真田広之か三國連太郎のファンならオススメするが、そうじゃなければキツイかも…。

彩り河

 

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2021年7月19日 (月)

7/18 『天城越え』(1983)

アマプラ「プラス松竹」にて。

三村晴彦監督、松本清張原作、渡瀬恒彦田中裕子樹木希林加藤剛平幹二郎出演。

印刷屋を営む平幹二郎のもとに、県警の刑事調書「天城山殺人事件」の印刷を渡瀬恒彦が頼みに来たが、その原稿を見て彼は激しく驚いた。彼は14歳の頃、母の情事を目撃し、亡き父を裏切った母が許せずに、静岡の兄を訪ねて一人で天城越えの旅に出た。その道中、彼は素足で旅する美しい女、田中裕子と出会った…。

石川さゆりの唄は関係のない天城越え。
この映画を強烈に印象付ける物は、なんと言っても田中裕子!最近の若い人はあまり田中裕子を知らないだろうし、知っていても地味目なおばさんくらいの印象だろうが、80年代には本当に一世を風靡したイイ女だった。ちょうどこの映画と同時期に、サントリー「樹氷」のタコハイCMに出て、「タコがね~、言うのよ」は流行語にもなったが、それはそのCMでの彼女の魅力によるところが大きい。
「タコハイ」CM → https://youtu.be/568wGVC3thU

本作でも、田中裕子の破壊力は凄まじい。こんな魅力的なおねぇさんに出会ってしまった14歳は、そりゃあ色々とおかしくなっても仕方が無いわな 、と思わせる。ただし、その捜査をする刑事側は凡庸で、殺人の動機すらわからぬままに犯人を捕まえそのままにしているのだ。とんでもない冤罪物語である。その刑事の若い頃と年取ってからをどちらも渡瀬恒彦が演じているが、これもちょっとムリヤリの老けメイクでちょっとね。

https://youtu.be/blbGdMUIGj8

天城越え(1983): 邦画大好き

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7/18 『スポンティニアス』(2020)

原題:Spontaneous

アマゾンビデオにて。

ブライアン・ダフィールド監督、キャサリン・ラングフォードチャーリー・プラマーパイパー・ペラーボ出演。

高校3年生のマーラとディラン。彼らの通う学校で、生徒たちの体が突然爆発する謎の事件が起きた。友達や自分がいつ爆発するのか分からず不安になる生徒たち。原因不明の現象を恐れながらも、友情や恋や進路の悩みも尽きない高校生たち。

大昔、学生時代に8mm自主映画を作っていた頃、『内臓爆裂症』ってホラー映画のプロットを考えたことがあって、それと似てるなぁとそそられて観た。人間が突然爆発するって現象に怯えるところは一緒だったが、それ以外は全然違ってた。
主人公の2人、『ナイブズ・アウト』に出てたキャサリン・ラングフォードと、この前『クローブヒッチ・キラー』を観たチャーリー・プラマーは、どちらも非常に魅力的な若手俳優で、きっとこの後も人気が出て来るんじゃないか?…とは思うのだが、この映画自体は今ひとつ。
爆発する原因も、治療する方法も、結局何もかも分からないまま終わってしまう。この高校の3年生にしか起きない現象ってことなのだから、せめて原因くらいは最後に分からせてくれよなぁ~ってのが心情じゃないか?
いつ爆発するかの緊張感と、ほんわかムードのコメディ感のバランスは悪くないだけに、この現象自体への設定の詰めの甘さが好きになれない。
なんとなく似た系統のホラー系ラブコメだったら、ニコラス・ホルト主演の『ウォーム・ボディーズ』の方が完成度高かったな。

https://youtu.be/_Vyo8IGRhvU

スポンティニアス - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

 

 

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7/18 『ウィリーズ・ワンダーランド』(2021)

原題:Willy's Wonderland

シネマカリテ新宿、「カリテ・コレクション」にて。

ケヴィン・ルイス監督、ニコラス・ケイジベス・グラントケイリー・コワン出演。

最近にしては珍しく、宣伝詐欺ではなくて本当にニコラス主演!(笑)
88分の上映時間中、主演のニコケイ台詞なし!
ニコケイ、至極真面目に掃除して、アニマトロニクスと闘って、エナジードリンク飲んで、ピンボールやって、掃除して(以下繰り返し)。いやいや、本当に以下繰り返しなんスよ。
そんな映画が面白いのかと言えば、なんだかよく分からないが面白い!
ニコケイ・マニア歓喜のニコケイ映画。ニコケイ無双を楽しめる人にはもはや極楽浄土、いやニコケイ浄土。
そうじゃない人には拷問のような88分。なんと満員の場内は、生暖かくニコケイを見守る幸せそうな人々で一杯(笑)。

https://youtu.be/DDdwmVYz-PM

ウィリーズ・ワンダーランド : 作品情報 - 映画.com

 

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2021年7月18日 (日)

7/17 『疑惑』(1982)

アマプラ「プラス松竹」にて。

野村芳太郎監督、松本清張原作、桃井かおり岩下志麻柄本明鹿賀丈史仲谷昇出演。

車の転落事故で、地元の大金持ち中谷昇が死亡し、同乗していた後妻の桃井かおりに嫌疑が掛かる。このとんでもないクソ女を、エリート弁護人で高慢ちきな岩下志麻が弁護する。

いやぁ、これは傑作!
桃井かおり演じる前科四犯、離婚歴ありの鬼塚球磨子(すげぇ名前!)の太々しいクソ女っぷりとガチバトルを展開しつつも、裁判になったら弁護するこれまた鬼のような国選弁護人、佐原律子を演じるは岩下志麻。この強烈な個性のぶつかり合いが火花を散らす。
鹿賀丈史のチンピラ情夫、中谷昇のヘナチョコ旦那、大奥様北林谷栄もお見事。
ドロドロした保険金殺人話なのに、クライマックスの赤ワインぶっかけがなぜか恐ろしくも痛快!

https://youtu.be/au_2_Y3M5ZQ

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2021年7月17日 (土)

7/16 『皇帝のいない八月』(1978)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山本薩夫監督、渡瀬恒彦吉永小百合高橋悦史山本圭山崎努森田健作鈴木瑞穂滝沢修佐分利信小沢栄太郎三國連太郎出演。

全国で決起した陸上自衛隊クーデター。博多から乗ったブルートレインをジャックした渡瀬恒彦陸元一等陸尉。幕僚監部で、自分の娘を渡瀬の妻にさせた三國連太郎、靴業界誌のライターなのに巻き込まれる山本圭。裏で糸を引く佐分利信。政権維持を図る滝沢修総理大臣。色々掴んでいる高橋悦史内閣調査室長。…と、まだまだ出て来る2時間20分の超豪華俳優共演のポリティカル・フィクション。
監督は山本薩男。これは面白そうだ…と思いきや、全国2000人規模の自衛隊クーデターの計画が相当に杜撰なので、始まった瞬間にほとんど詰んでいる。結局、九州から東京へ向かうブルートレイン・ジャック部隊以外は、早々に離脱してしまう。映画的には渡瀬恒彦が主役なのだが、実際にはクーデターの1部隊でしかなくって、実は全体のリーダーではない。だから彼だけになってしまった段階で、もうにっちもさっちもいかない。作戦自体もよく分からないのだが、業界誌のライターのブルトレ乗車を執拗に阻もうとしたり、素人目にもわかるくらいあからさまな爆弾設置とか、ともかく適当な計画が展開される。
だが、これが全然面白くないかと言えば、そんなこともない。
映画の導入部分はワクワクさせる。
この手のオールスターキャスト作品は、とかく俳優の出演バランスの調整に腐心した結果、散漫なだけの映画-----例えば五社英雄監督の『226』みたい-----になりがちなのだが、バランスを取りつつも、それぞれの登場人物がそれなりに立っており、散漫さは薄い。渡瀬恒彦のギラギラ感、高橋悦史調査室長のうさん臭さ、計画のために死を選ぶ山崎努、そしてなんと言っても三國連太郎!捕えたクーデター首謀者の一人、鈴木瑞穂に「私は暴力を使わずにあなたの口を割らせることができるんですよ」と言いながら自分のベルトを外す。何だ?ナニをしようとしているんだ連太郎?!鈴木瑞穂は恐怖のあまり自決!この狂ってる感は三國連太郎ならではですなぁ。
監督なり俳優なりを目当てで観るのなら、超大作だし良いんじゃないですかね。

ちなみにかなりカッコイイタイトルの『皇帝のいない八月』は、クーデター計画の名前で、劇中のクラシック音楽の名前から取られている。
山本薩男なので何かメッセージがあるのかもしれないが、映画内では具体的には語られない。その代わり具体的な計画書とかを隠してあって、作戦内容が三國連太郎にバレるというヘマは描かれていて、カッコ悪いこと夥しい。

https://youtu.be/2SM4Yw2eNpY

皇帝のいない八月の上映スケジュール・映画情報|映画の時間

 

 

 

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2021年7月16日 (金)

7/15 『幸せの黄色いハンカチ デジタルリマスター2010』(1977/2010)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、高倉健倍賞千恵子桃井かおり武田鉄矢太宰久雄梅津栄三崎千恵子出演。

言わずと知れた超有名作品だが、高校生か大学生の頃にTVで観て以来の再見。細かいエピソードは忘れてても、物語は知っている。それでも後半で目頭が熱くなる。なんだかんだ言っても、やっぱりこれは山田洋次の代表作である。

製作順としては、この後に『遥かなる山の呼び声』が来るのだが、今回順番が逆になったのが奏功し、まるで民子四部作のようである。
倍賞千恵子と井川比佐志 が九州から北海道に開拓入植し(『家族』)、井川が亡くなった農場に高倉健が雇われるが殺人容疑で逮捕され(『遥かなる山の呼び声』)、その高倉健が網走刑務所で刑期を勤め上げて倍賞千恵子の元へ帰って来る。そんな流れに見えてしまう。
本作の倍賞千恵子は中標津ではなく夕張に居る炭鉱夫の妻だから、もちろん民子三部作とは関係ないんだが、どうしてもそんな風に観えてしまう。いっそのこと、そうすれば良かったんじゃないのか?

https://youtu.be/W0Ghd95UwZI

幸福の黄色いハンカチ | 映画 ポスター, 幸福の黄色いハンカチ, 日本映画

 

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2021年7月15日 (木)

7/14 『わるいやつら』(1980)

アマプラ「プラス松竹」にて。

野村芳太郎監督、松坂慶子片岡孝夫梶芽衣子神崎愛藤真利子宮下順子藤田まこと米倉斉加年山谷初男渡瀬恒彦緒形拳佐分利信出演。

親の病院を継いだものの、放漫経営で赤字に苦しむ病院の院長の片岡孝夫が、複数の愛人たちから金を巻き上げてその赤字を補填しつつ、新しく自分が入れあげているファッション・デザイナーの松坂慶子に貢ぐ。だが、最初は女たちを利用していたはずなのに、やがて自分ががんじがらめに動きが取れなくなっていく…。

1980年当時の感覚で、片岡孝夫ってそんなにイケメン?
それはさておき、タイトル通りで登場人物が全員“わるいやつら”。みな自分の欲望に忠実に、金や肉体や心を相手から奪っていこうとする。
医者のボンボンが本当にクズなんだが…って言うか、松本清張作品ってホントにクズな人間ばっかりだけど-----そのクズに殺されたり、利用したりとクズ・スパイラルが形成されていく物語。
前半は割とスローテンポでかったるいのだが、後半の新キャラ投入、そしてドカドカと畳みかけていく様に引き込まれる。
若くて美しい松坂慶子が、悪い顔一つせずにニッコリとやらかしていくのが好きですな。

https://youtu.be/FYRzmS_LdHo

ヤフオク! - 映画ポスター 「わるいやつら(C)」 片岡孝夫...

 

 

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7/14 『全裸監督2』(2021/全8話)

Netflixオリジナル。

武正晴総監督、山田孝之満島真之介森田望智伊藤沙莉國村隼玉山鉄二リリー・フランキー恒松祐里柄本時生MEGUMI伊原剛志吉田栄作出演。

シーズン1が大傑作だったので、もちろんシーズン2を観る。
武正晴監督の作品は大半を観ているが、映画作品でぶっちぎりに良いのは『100円の恋』、最低最悪なのは『イン・ザ・スーツ』。以前は傑作と駄作の振り幅が非常に大きい監督だったが、最近はコンスタントに良い作品を取る監督になった。
武監督が総監督であり、一部のエピソード監督も務めたこの『全裸監督』全2シリーズは、まぎれもない傑作。実在の有名AV監督、村西とおる監督の評伝の映画化なので、際どい場面もあるから好き嫌いは分かれると思うけれど、作品としては本当に素晴らしい。
個々の登場人物たちのキャラクター性、演じる俳優の熱量、演出と構成の見事さ、この世界に引き込まれて行く。
主演の山田孝之演じる村西とおるの、まるで本人であるかのごときカリスマ性、パワフルさ、そして不快感まで、本当に見事である。だが、第2シーズンではそれ以上に、ヘアメイクの伊藤沙莉、社長の玉山鉄二、そして袂を分かった満島真之介らが脇で物語を引っ張り、さらには柄本時生が輝きを放つ。個人的には、バブルなパーティー会場で村西に熱く叫ぶ2話の玉鉄にやられる。

村西とおる、黒木香の全盛時代に同時代を生きていた人はもちろんだが、そうでない人でも観始めたらやめられないドラマだと思う。未見の大人は是非!

https://youtu.be/UmHLrGRgIG8

Netflix「全裸監督 シーズン2」6月24日配信。第一弾予告公開 - AV Watch

 

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2021年7月14日 (水)

7/13 『遥かなる山の呼び声』(1980)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、高倉健倍賞千恵子吉岡秀隆武田鉄矢木ノ葉のこハナ肇出演。

嵐の夜、中標津の酪農場に一人の男(高倉健)が現れ、一晩の宿を求めた。夫を亡くしている牧場主の倍賞千恵子は、物置を貸してやる。数ヶ月後高倉がまた牧場に現れ、農作業員として賃金はいくらでもいいから住み込みで雇ってくれと言う。女親と息子だけの所帯なので、警戒心はありつつも、男手として高倉をしぶしぶ雇うことにした倍賞だったが…。

「民子三部作」の第三部。
第二部の『故郷』完全に別の話だったが、今回は第一部『家族』の続きを想像させる内容で、井川比佐志とともに中標津に入植した倍賞が、その後旦那を失っても牧場で頑張っている姿に見える 。
西部劇『シェーン』にインスパイアされているというのは有名な話だが、風来坊が未亡人の牧場を手伝うのは同じだが、それ以外にはさして共通点もない。ハナ肇演じる網元の虻田も、単に倍賞千恵子に惚れて再婚を迫っているだけで、土地を奪おうとか、それ以上の悪辣なことをする訳でもない。虻田三兄弟との殴り合いはあるが、もちろん日活無国籍アクションではないので、拳銃を持っているヤツはいないし、決闘にもならない。非常に松竹的な平和な世界である。
主演の高倉健は、『幸せの黄色いハンカチ』に続き、2回目の山田作品。特に本作は、高倉の寡黙で真面目で朴訥なキャラクター性が役にはまっており、吉岡秀隆演じる少年と徐々に打ち解けていく雰囲気なども味わい深い。

こう言ってしまうと身も蓋もないが、大抵の昭和の日本人ならグッと来て目頭が熱くなる映画でしょう、きっと。

https://youtu.be/1QeXsh6G_FM

遥かなる山の呼び声 | 日々、嬉努愛絡 多幸なり

 

 

 

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2021年7月13日 (火)

7/12 『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』(2021)

新宿ピカデリーにて。

江口カン監督、岡田准一木村文乃堤真一平手友梨奈安藤政信宮川大輔佐藤二朗山本美月出演。

前作の時は原作未読で映画を観て、素直にアクション映画として面白かった。
今回は原作を読んだ上で観る続編。
前作よりもアクションはパワーアップ。マンションでの改修用足場を使った攻防とか、日本アクション映画の革新を目指すものとして大変い素晴らしい出来だ。だけれども、それが故にあの原作特有の面白さから乖離して行ってしまっているのも事実。伝説の殺し屋ファブルの凄さは、ある種のサヴァン症候群として、殺し屋の能力が頭脳、身体共に突き抜けたポテンシャルを持っている反面、一般的な常識や感覚のズレを持っている。そのギャップから生じる独特のユーモアや、オフビートな笑いが、突き詰めたアクション映画になることで失われてしまっている。
それが残念。原作のクスっと笑わせる感じがもっと欲しかった。
『るろうに剣心』シリーズと、本シリーズはどちらも日本映画に新しいアクションをもたらしていると思うので、望みすぎちゃ贅沢なのかもしれないが。

https://youtu.be/Y24pIsqROzA

ザ・ファブル 殺さない殺し屋 - 作品 - Yahoo!映画

 

 

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2021年7月12日 (月)

7/11 『故郷』(1972)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、倍賞千恵子井川比佐志笠智衆前田吟出演。

瀬戸内海の倉橋島に住む夫婦。彼らは夫婦で、石船で採石された石を埋め立て場所まで運ぶ仕事で生計を立てていた。だが船の調子は悪く、すでに耐用期間も過ぎた船体の修理には多額の費用が必要であった。今後の生活を悩む夫婦は現在の仕事を辞め、尾道の工場で働くことを決意する…。

「民子」三部作の二作目。
メイン・キャストが前作とほぼ被っているが、全く別の話。
前作以上に淡々とドキュメンタリータッチで、石を運ぶ夫婦をスクリーンに映し出す。夫婦は肉体的には厳しい仕事であっても、生まれ育ったこの島で石を運ぶ仕事を気に入っている。だが、大規模資本の大型石船や、効率化を図った他社には全く敵わず、この仕事を離れなければならない。前作と同様、高度成長期の普通の労働者たちの悲しさや辛さを突き付けてくる。
『民子はつらいよ』みたいな映画。魚の行商人で登場する渥美清だけ、なんだかドキュメンタリーの人ではない雰囲気になるのが面白い。
故郷

 

 

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2021年7月11日 (日)

7/10 『家族』(1970)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、倍賞千恵子井川比佐志笠智衆前田吟出演。

先日観た野村芳太郎の『張込み』は、アヴァンタイトルで横浜から佐賀への電車移動を延々見せる映画だったが、本作は長崎伊王島から北海道中標津まで、延々と電車や船を使って移動するロードムービー。倍賞千恵子が「民子」と言う名の女性を演じる三部作の第一弾。
炭鉱の閉山で仕事を失くした夫が、一念発起して北海道開拓を目指す。当初は反対していた妻も、子どもと一緒に移住することを決意。老いた父は、途中広島の弟の家に預けていくつもりだが、弟夫婦も生活が苦しく父を引き取れずに、結局北海道へ。途中大阪万博の入り口まで行ってみたり、東京での悲し過ぎる出来事とか、見てるだけで辛そうな長距離列車移動などを経て、やっと中標津に辿り着く家族。だがそこでもまた不幸があって…と、高度成長期、人類の進歩と調和の陰に、ひっそりとシンドイ庶民の暮らしっぷりもあることよと、切なくなってくる。
全体として重苦しいトーンの映画だが、大阪万博の映像は自分が子どもの頃に行った記憶と重ね合わせて何か懐かしいし、大阪駅近くで笠智衆がキリンビールを飲む場面の美味しそうなこと。そのままTVCMを作れるレベル。

https://youtu.be/1mfhrpRcaOk

家族』 (1970) 山田洋次監督 | FLICKS FREAK

 

 

 

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2021年7月10日 (土)

7/9 『鬼畜』(1978)

アマプラ「プラス松竹」にて。

野村芳太郎監督、松本清張 原作、岩下志麻緒形拳蟹江敬三穂積隆信小川真由美出演。

印刷屋の主人・緒形拳は、商売が上手く行っているときに小川真由美を囲ったが、その後商売で失敗。仕送りも出来なくなり、妾が3人の子を連れて乗り込んできたが、鬼のような妻・岩下志麻はもちろん聞く耳を持たない。妾は3人の子供を置いて失踪し、怒る妻にビクつきながら日々を過ごす緒形拳だったが…。

大昔に観ての再見だが、やはりなかなかシンドイ。
映画が始まって間もなく、小川真由美が緒形拳・岩下志麻夫婦の家に子連れで乗り込んでくる。ここで始まる小川VS岩下のバトルの激しさ、ギスギス感がまず凄まじい。その間で甲斐性なしの緒形拳がオロオロする姿も悲しい。その後、子どもを置いたまま居なくなる小川真由美の冷徹さ、さらには岩下志麻が鬼の形相で赤ん坊の口にご飯をグイグイ突っ込む場面の恐ろしさ。これほんとにやってるんだよね?
次から次へと心理的に、肉体的に子どもと緒形拳を追い詰めていく。
クライマックス、利一少年の叫ぶ「お父さんじゃない!」は、情けない父親を庇ったのか?それとも鬼畜な父親への拒絶なのか?
どっちにしてもシンドイ。ツラ過ぎる傑作。
先日観た『影の車』もそうだが、野村監督の子ども物は精神的にキビシイよね。

https://youtu.be/uSFyS8Hob94

kichiku | 映画 ポスター, 日本映画, 映画

 

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2021年7月 9日 (金)

7/8 『愛の賛歌』(1974)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、倍賞千恵子中山仁有島一郎伴淳三郎千秋実北林谷栄小沢昭一出演。

瀬戸内海の日永島の波止場に、連絡船の切符売場を兼ねている食堂があった。その主人の伴順三郎と息子の中山仁、彼の恋人の倍賞千恵子とその二人の妹が暮らしていたが、ある日中山はブラジル開拓を夢見て島を出てしまった。しかし倍賞は既に中山の子供を身籠っていた。一人で子供を産んだ倍賞とその子、そして妹たちを、島の医師でクリスチャンの有島一郎が養子として引き取った。そんな折、ブラジルで夢破れた中山が帰って来た…。

フランスの小説の翻案物だそうですが、山田洋次に掛かればまるっきりの邦画テイスト。
夢を追うために女を置いていく男と、涙をこらえてその後姿を見送る女。そして帰って来た男の我儘。山田洋次の映画って、主役級の男性がクズなことが多いよね。本作の中山仁も、夢を追うと言えば聞こえはいいけど、結構ろくでもない。後年の『ウルトラマン80』のUGM隊長役が好きなので、「隊長、若い頃は酷い奴だったんですね…」と関係ないことを思う(笑)。
それに対して、有島一郎は山田作品ではいつも誠実で良い人を演じている。『若大将』シリーズの父親とは似て非なる好人物ぶりで安心、安定している。
タコ社長で御馴染みの太宰久雄は、タコ社長のまんまで、伴淳に皮肉を言う船長役。多分ここがタコ社長の原型。

Amazon.co.jp: あの頃映画 「愛の讃歌」 [DVD]: 倍賞千恵子, 中山仁, 小沢昭一, 山田洋次: DVD

 

 

 

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2021年7月 8日 (木)

7/7 『黒の奔流』(1972)

アマプラ「プラス松竹」にて。

渡辺祐介監督、松本清張原作、山崎努岡田茉莉子谷口香松村達雄佐藤慶松坂慶子出演。

渓谷沿いの旅館の女中・岡田茉莉子に、金持ちの客・穂積隆信殺害の容疑が掛かる。絶対不利と思われた裁判であったが、若き野心家の弁護士・山崎勉によって無罪を勝ち取った。山崎は事務所の谷口香と出来ていたが、岡田茉莉子とも関係を持ち、さらに上を目指すために恩師の娘・松坂慶子と婚約をするが…。

前半はミステリー調、法廷物として始まるが、後半は男女のドロドロへと突入。脂ギッシュな山崎努が、野心と肉欲で上を目指すクズなインテリを好演。自分の無罪を勝ち取ってくれた弁護士に「お礼は私の身体で」とか言い出す被告もどうかと思うが、「そんなことはしないでくれたまえ」とか言いつつ自分の事務所で雇って、今度は自分の方から被告を押し倒すってどうなのよ?昭和だとありがちなの?
若き頃の松坂慶子が相当なレベルで可愛い。これは当時の若い男性はやられますな。でもそれ以上に自分的なクリティカル・ヒットだったのは、自分のところの先生と、岡田や松阪との関係を知っても全く動じない谷口香。クールでイカス。

松竹 黒の奔流 B2ポスターB | まんだらけ Mandarake

 

 

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2021年7月 7日 (水)

7/6 『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2021)

原題:A Quiet Place: Part II

新宿ピカデリーにて。

ジョン・クラシンスキー監督、エミリー・ブラントノア・ジュープキリアン・マーフィージャイモン・フンスー出演。

音に敏感に反応する目の見えないクリーチャーが跋扈する世界で、頭の悪い一家が右往左往する話の続編。

一作目も驚くほど頭が悪い登場人物にびっくりしたのに、それでも続編もまた米国で当たっているというので一応観てみようかと。
アタマが悪いって言うか、想像力のない人たちなんだろうね、コレ。
前作は、音を出さないことに物凄く過敏になって生きているのに、末の息子が禁じられているスペースシャトルの電動玩具に電池入れて、その音で末息子即死。嘆く両親は、その傷を癒すために子作りをする。病院も医療設備も防音できるスペースもないのに、出産と育児なんて絶対に音が出ることじゃん!いくら悲しくても、上のおねぇちゃんと長男残ってるんだから、その二人まで危険にさらすってどうなのよ?
…ってところから、ずーーーーーっっと頭痛のする展開が続いた前作。
続編もまた同じような物。
例えばこの一家、音を立てないように裸足で生活している。砂利道だろうが野原だろうが、どんなところでも裸足。前作で裸足だったせいで釘踏み抜いた過去があっても気にしない。長女は耳に障害があって補聴器を使ってるんだが、その状態で一人で助けを求めに外に行ってしまう。それを知った母親は、長男の具合が悪いのに、数時間で戻って来るから大丈夫とか勝手に考えて娘を追う。それをやったらあとでどんな困ることがあるかを一切顧みない。
なんでこんなにバカしかいない世界なんだろうと思っていたが、やっとわかった。
クリーチャーは「特定の音」を聞くと狂って攻撃が出来なくなった上に、頭蓋骨が開いて弱点をさらす習性がある。音で倒されるクリーチャーと言えば、そう『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』である。この映画はきっと天下のバカ映画『殺人トマト』へのオマージュだから、みんな揃ってバカばっかりなんだろう。そうだ、そうに違いない。

https://youtu.be/rW8Uez5Mjuw

クワイエット・プレイス 破られた沈黙 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 

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2021年7月 6日 (火)

7/5 『下町の太陽』(1963)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、倍賞千恵子勝呂誉早川保待田京介青山ミチ石川進出演。

下町の石鹸工場で女工をする倍賞千恵子。彼女は同じ工場で事務をしている早川保と交際中で、彼はこの工場の正社員になって倍賞と結婚して、郊外の団地に住むことを夢見ている。ある日彼女は、鉄工所の工員の勝呂誉から交際を申し込まれるが…。

山田洋次監督第二作目は、下町ホームドラマ。
昭和の最大公約数的な下町が舞台で、貧乏臭い長屋住まい、工場の排煙、混む通勤電車。団地住まいが憧れってのが時代性。題名通り、そんなちょっと暗めで陰気な世界にパッと輝くような太陽なのが、もちろん倍賞千恵子。最初はちょっと不良っぽい勝呂誉を避けているが、弟の万引き事件以降、人柄に惹かれていく。貧乏くじを引くのは早川保で、真面目なのにどんどん魅力が薄れていく役柄。
調子よく生きようとして失敗するのは待田京介で、青大将風の役柄。
これと言ってなんということのない作品だが、後年の『男はつらいよ』に繋がる下地が垣間見られる。

下町の太陽

 

 

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2021年7月 5日 (月)

7/4 『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』(2021/全13話)

Netflixにて。

高橋敦史監督、円城塔脚本。

シリーズ序盤は物凄くワクワクしたんだけれど、中盤から説明に次ぐ説明ドラマと化してしまって、最後の方は苦痛だった。
適当で雑な設定と物語だった『VSコング』は嫌だったが、だからと言ってこんなに説明ばかりに時間を費やし続ける怪獣ものもちょっとどうか。すみません、わがままですか?
劇場版『アニゴジ』三部作よりは良かったなぁ。まぁ、まさかのジェットジャガー大活躍が観られただけでも良しとしよう。

https://youtu.be/xVv3kouh4is

ゴジラ、TVアニメ化。「ゴジラ S.P」映像公開 - AV Watch

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7/4 『ゴジラVSコング』(2021)

TOHOシネマズ新宿、IMAX3Dで。

アダム・ウィンガード監督、アレクサンダー・スカルスガルドミリー・ボビー・ブラウンレベッカ・ホールブライアン・タイリー・ヘンリー小栗旬カイル・チャンドラー出演。

昨晩しっかり復習もした上で鑑賞したが、これは…アカン。
前作、前々作もドラマパート、登場人物、脚本が弱かったが、今回はもっと酷い。設定も適当だし、行動原理もよく分からないし、なんでこんなので良いと思ってんだよ?怪獣好きは、怪獣バトルさえ派手に見せときゃ、それで納得すんだろ?とか舐められてるの?
前作も褒められた脚本ではなかったが、東宝怪獣愛があったから良かった。今回は脚本のレベルがかなりダウンしてるし、さらには愛も感じない。
2つのグループで話が進んで行くが、黒人&子どもグループ側の話とか全く不要だし、小栗旬演じる芹沢博士の孫とか、白目剥くだけで全然存在意義がない。
さらにサプライズ登場のメカゴジラのデザインもイケてないし、それが前に死んだゴジラのDNAをベースに作ってましたって、え??それってたまたま昨日観直した『ゴジラ×メカゴジラ』と同じやんけ?!これはオマージュとかリスペクトじゃなくて、なんも考えてないだけだろ?
VSコングのバトルはVFXのクオリティも高くて良かったけれど、怪獣バトルじゃない部分がもうほとんどダメダメ。東宝ももうちょっとどうにか意見できなかったのか?と思ったが、平成『ゴジラ』&『モスラ』シリーズのほとんどがダメダメな脚本だったことを考えると、レジェンダリーにダメ出しなんて出来ないよなぁ…。

https://youtu.be/TCfmnUPIhUo

TOHO THEATER LIST/ゴジラvsコングシアターリスト

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2021年7月 4日 (日)

7/3 『ゴジラ×メカゴジラ』(2002)

CS放送の録画にて。

手塚昌明監督、釈由美子宅麻伸高杉亘水野久美中尾彬出演。

『キング・オブ・モンスターズ』を観た勢いで、何か1本国産ゴジラを観ようと『GMG』。
平成シリーズの中ではかなり好きな釈由美子機龍。設定とかエヴァのパクリ臭いけれど、それを補って余りあるゴジラVS東宝自衛隊バトル。
戦いの進行状況に合わせて、次々と作戦を展開していく怪獣映画----『ビオランテ』、平成『ガメラ』、『シン・ゴジラ』とか----が好き。

https://youtu.be/TdNlfZfIdF4

劇場用 ゴジラ×メカゴジラ B2ポスター | まんだらけ Mandarake

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7/3 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)

Netflixにて。

マイケル・ドハティ監督、カイル・チャンドラーヴェラ・ファーミガミリー・ボビー・ブラウン渡辺謙チャン・ツィイー出演。

『ゴジラVSコング』を観る前に復習。
公開時、評論家受けは良くなかったが、観客受けは悪くなかった印象。観直したが、やはりそんなに悪い怪獣映画ではない。
ドラマパートは弱いし、ヴェラ・ファーミガは何考えてんだバカ!だし、俳優もなんだか一本調子で魅力がない。それでも、東宝怪獣映画愛が深くて、怪獣プロレスとしてはかなり優秀。
人間に向かって糸を吐きかけるモスラ幼虫、火山から現れて身体を回転させて戦闘機を次々撃破するラドン、そしてなんと言ってもモスラ成虫が繭から羽化する場面の素晴らしさ。古関裕而 の『モスラの唄』をアレンジした楽曲が流れる中で翅を開くモスラに震えが来る。
2014年の『GODZILLA ゴジラ』は、「これ『ゴジラ』じゃなくて『ガメラ』じゃん!」と思ったが、この『キング・オブ・モンスターズ』はちゃんとゴジラである。

https://youtu.be/I_sDRg4oOHQ

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ、の新作チラシ: 映画のチラシ2

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2021年7月 3日 (土)

7/2 『NOMAD / メガロボクス2』(全13話)

アマゾンプライムにて。

第1シーズンが始まった時、「『あしたのジョー』のSF版リメイク?なんでSFにするの?」と思いながら観始めたが、そのままのリメイクをしても意味がないからこそSFにしたのだろうと意図は理解した。そしてジョーと力石との出会いと戦いを、未来世界のギアレス・ジョーとユーリに置き換えて組み立てられたシーズン1は、製作者たちの『あしたのジョー』への思いがストレートに感じられる快作であった。
そしてこれが第2シーズンで全く違った方向へ進み始める。
贋作は死に、ジョーの周りにいた子どもたちは大人になり、ジョーはノマドと名前を変えて流離っている。てっきりカーロス・リベラやホセ・メンドーサのエピソードをリメイクするのだろうと思っていたので最初は拍子抜けしてしまった。だが、エピソードが進んで行くうちに、これは別な作品として非常に良く出来ていると思い知らされた。
もしも前シリーズを観ているのなら、予備知識なく観て欲しい作品だ。
熱いスポコンものとしてのシーズン1。よりテーマ性の深いシーズン2。どちらかと言えば1の方が好みではあるが、2は2でこれもなかなか捨てがたい。

NOMAD メガロボクス2」4月4日放送開始 宮内敦士ら演じる新キャラやPV、キービジュアル公開 : 映画ニュース - 映画.com

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2021年7月 2日 (金)

7/1 『吹けば飛ぶよな男だが』(1968)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、なべおさみ緑魔子犬塚弘芦屋小雁佐藤蛾次郎有島一郎ミヤコ蝶々出演。

やくざに憧れるチンピラのなべおさみが、九州から出て来た頭の弱い家出娘・緑魔子を使って、仲間と強姦ポルノを撮ろうとするも情にほだされて一緒に逃亡。美人局をやったりトルコで働かせたりするうちに恋心が芽生えて…。

1964~1969年にかけて山田洋次が監督した作品群、『馬鹿』三部作、『一発』三部作、『懐かしい風来坊』、そしてこの『吹けば飛ぶよな男だが』は、どれもこれも『男はつらいよ』に繋がっていく要素が垣間見れる。
だらしのない兄貴(ハナ肇)と真面目な妹(倍賞千恵子)。風来坊の兄貴(ハナ肇)。おせっかい焼きだがお人好しのおばさんやおじさん。腕っぷしはからきしのチンピラ(なべおさみ)とその弟分(佐藤蛾次郎)。トルコ風呂を経営している生き別れの母親(ミヤコ蝶々)。
ハナ肇や本作のなべおさみがのちの「フーテンの寅」の原型であり、その周囲にいるさくらやおいちゃんとおばちゃん、源吉やタコ社長などのキャラクターの原型になっている人々も垣間見える。
山田洋次は1961年のデビュー作から喜劇監督であり、『男はつらいよ』の最初のTVドラマシリーズを作ったのが1968~1969、映画版第一作が1969年なので、そこまでの多くの作品が、肥やしになったのであろう。正直なところ、そこまでの作風はやり過ぎだったり毒が有り過ぎたりする。この『吹けば飛ぶよな男だが』も、田舎娘を騙して強姦してブルーフィルムを撮ろうとするところから始まる。もちろんシリアスな雰囲気ではなくあくまで喜劇として扱っているのだが、フーテンの寅と比べるとかなりどぎつい笑いだし、そこから救ったようであっても、結局はトルコに売り飛ばしてしまうのだから、当時だって「こりゃあ笑えない」と思う観客だっていただろう。寅さんではないが「そこまでやっちゃあおしまいよ」ってところへ平気で踏み込んでしまう。こうしたやり過ぎた作品を何本も作りながら、当時の日本人に広く愛される喜劇のキャラクターや世界観の匙加減を学んでいって、『男はつらいよ』に辿り着いたのだろう。

本作で、個人的に一番気に入っているのは、なべおさみの住むアパートの隣室に住む犬塚弘の一家。一見強面で凄いヤクザっぽいのだが、実はうだつの上がらない三下。でも三下の割には良いことを言ったりする。今だったら松重豊がキャスティングされそうな役柄だ。

https://youtu.be/WnopPCXIiec

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2021年7月 1日 (木)

6/30 『海辺の金魚』(2021)

新宿シネマカリテにて。

小川紗良監督、小川未祐、花田琉愛、芹澤興人福崎那由他出演。

児童養護施設で育った花は18歳になり、施設で暮らせる最後の夏を迎えていた。そこに8歳の少女・晴海がやってきた。花は晴海と多くの時間を過ごすうちに、今までになかった感情が芽生えてくる。

是枝監督の弟子筋の小川沙良監督デビュー作は、「ああ、是枝」って感じを残しつつも、若い女性らしい感覚が随所にキラキラと、そしてトゲトゲとしている佳作。
養護施設に預けられる子供たちには色々と事情がある訳で、主人公の花のモデルとなっていると思わせるのは「和歌山カレー事件」。つい先日、林眞須美被告の娘と孫が亡くなった事件があったばかりだ。なんとも凄いタイミングで映画が公開になったもんだなぁとびっくりした。
花と晴美の交流、やり取りが時に微笑ましく、ときに非常にギリギリのせめぎあいになっており、観客としては息苦しくなったり、ほんわかしたりと、若いながらもこの小川監督の力量を感じさせる。次の作品も観たいと思うが、是枝ダークサイドに引きずり込まれなきゃいいなと不安も感じる。

https://youtu.be/FD5m3NJPJ0g

小川紗良監督『海辺の金魚』予告解禁 主題歌は元チャットモンチー橋本絵莉子が書き下ろし /2021年4月22日 - 映画 - ニュース - クランクイン!

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