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2021年6月30日 (水)

6/29 『喜劇・一発大必勝』(1969)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、ハナ肇倍賞千恵子谷啓佐山俊二田武謙三桑山正一佐藤蛾次郎出演。

山田洋次×ハナ肇の「一発」シリーズ第三弾/最終作。同コンビの「馬鹿」シリーズ三部作も観たが、個人的にはこれが一番キビシイ映画だ。
河豚にあたって死んだ長屋の仲間の弔いに、保健所員の谷啓が出した棺桶代を飲んでしまったから、代わりにTVの空き箱に遺体を詰める友人たち。それを知って怒った旧友のハナ肇は焼いた骨に水と醤油を混ぜて、長屋の連中の口にグイグイ突っ込む。翌日、焼いた骨を食わされた長屋連中は、みんな揃って下痢でコレラを疑われる。癇癪を破裂させたハナ肇は、長屋中を破壊する。さらに長屋連中の細々と貯めた旅行費用を巻き上げ、翌年の旅行時期にも現れて親睦旅行を滅茶苦茶にして、倍賞美津子に性接待を強要しようとする。

なんだかよく分からないが、笑える要素なんて全然なくて不快感が物凄い。逆に、たかが映画を観てて、「こんな人間が居たらぶっ殺してやりたい!」と思わせるほどのキャラクターを創出した、山田洋次&森崎東の人知を超えた何かの才能なのかもしれないが、俺はダメだ。ムリ。
クライマックス、良識派の谷啓と化け物のハナ肇がゴミ捨て場で取っ組み合いして、うやむやにオチずに終わる。なんだこの終わり方?本当にこんなしっちゃかめっちゃかな話がドコにも着地しないで終わるの?

先日観た『懐かしい風来坊』はOKなんだが、この時代のこのコンビの大半の映画は正味の話“シンドイ”の一語に尽きる。

 

喜劇 一発大必勝

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2021年6月29日 (火)

6/28 『ハナ肇の一発大冒険』(1968)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、ハナ肇倍賞千恵子入川保則武智豊子倍賞美津子(特別出演)出演。

下町で精肉店を営むハナ肇は、ある日外回りの途中で立ち寄ったレストランで倍賞千恵子と相席になる。彼女と2人で営業車でドライブをすることになったが、謎の2人組が彼らの後を追跡していた。彼女に惚れたハナは、彼女を助けているうちに殺人犯にまで追われるように…。

山田洋次×ハナ肇の「一発」シリーズ第2弾。犯罪がらみのドタバタロードムービーコメディ。前作『一発勝負』ほどの不快感はないけれど、逆に行き当たりばったり感が強過ぎる展開が如何なものか?
下心込みとは言え、精肉店のオヤジがたまたま相席したカワイコちゃんとドライブに出て、横浜のホテルでシッポリとか思うかね?昭和30~40年代だとアリなのか?喜劇だし、ツッコムのはヤボだと思いつつも、「そこで付いて行かねぇよ!」「なんでそこでダイヤ捨てちゃうんだ?」「いや、そこで死ぬのかよ!コメディなのに」とか、終始ツッコミ続けてしまった。

https://youtu.be/n2-nedqVgKc

Amazon.co.jp: ハナ肇の一発大冒険を観る | Prime Video

 

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6/28 『いとみち』(2021)

新宿武蔵野館にて。

横浜聡子監督、駒井蓮豊川悦司黒川芽以横田真悠中島歩古坂大魔王宇野祥平出演。

津軽三味線メイド青春映画。
引っ込み思案で友だちも居ない高校生の駒井蓮が、一念発起して弘前のメイド喫茶でアルバイトを始める。やっと仕事にも慣れ、店にも友だちができ始めた頃、突然店が閉店の危機に。祖母から学んだ得意の三味線で、三味線メイドライブを企画するが…。

大好きな映画『音楽』で女子高生・亜矢の声を演っていた駒井蓮の初主演ってことで興味を持ったら、監督が横浜聡子。全編津軽弁で言葉も分からなければ、ストーリーもよく分からないのに、なんだか不思議な面白さの 『ウルトラミラクルラブストーリー』(2009)の監督なので、さらに興味が惹かれた。
今回も津軽弁台詞が多く、東京出身の民俗学者で30年も津軽の伝承を研究している設定のトヨエツが、「一生かかっても全部は理解出来ない」と劇中で語る。なので、観客もふんわりと雰囲気で「多分こんな内容だろうなぁ」と想像しながら登場人物たちの会話を聞く。それでも特に問題なし。
まっすぐな青春映画で好感触。

ここんところ、武蔵野館で「綱引き太鼓青春映画」とか「和太鼓青春映画」とか和楽器青春映画が多いね。

https://youtu.be/7tD5TBYd5DE

映画いとみち

 

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2021年6月28日 (月)

6/27 『喜劇 一発勝負』(1967)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、ハナ肇倍賞千恵子加東大介谷啓犬塚弘出演。

加藤大介の経営する旅館の長男・ハナ肇は学生なのに女を囲って勘当された。1年後に現れた水商売の女が、ハナ肇の娘だと言って、女の子を置いて消えてしまう。十数年後、鉱山技師の谷啓、人足風の子分犬塚弘と桜井センリを連れてひょっこり返って来たハナ肇は、この町で温泉を掘り当てると息巻くが…。

題名に『喜劇』とついてはいるものの、ともかくハナ肇が傲岸不遜なクズ人間で全然笑えない。
67年の作品で、69年から始まる『男はつらいよ』の要素があちこちに散りばめられている。若くして家を飛び出した主人公が家に戻って来る。そこには実直な父親と真面目な妹(倍賞千恵子)、甘やかす婆や、そして本人の手下として色々世話を焼くウスノロが居る。基本的なキャラクターはほとんど変わらない。ただ、フーテンの寅と温泉香具師のハナ肇では、ギラギラとした上昇志向、成り上がり志向が異なっており、不快感が前面に出てしまう。
好きになれんなぁ。

若い倍賞千恵子が可愛く、加藤大介の父親は好演。そこが救い。

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6/27 『モータルコンバット』(2021)

TOHOシネマズ新宿にて。

サイモン・マッコイド監督、ルイス・タンジェシカ・マクナミー浅野忠信真田広之出演。

えげつないフェイタリティ(とどめ技)で知られるゲームの映画化で、リブート。前回の映画化はゲームの映画化大好きなポール・W・S・アンダーソン監督。本作の監督は何の人だろうと思ったら、丸っきりの新人監督だった。
ゲームの描写はマジでエゲツナイので、映画版はもうちょっとソフト。

日本人的には真田広之と浅野忠信を観に行く映画だと思うが、浅野忠信の演じるライデンは目が光ってるキャラなので、映画でも目が光ってて、なんだか顔がはっきり映って無くて可哀想な感じ。真田広之はカッコイイが。

https://youtu.be/5YEpbcgx2Z4

閲覧注意】過激&残虐なトドメ技連発!「モータルコンバット」禁断のレッドバンド版予告編 : 映画ニュース - 映画.com

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2021年6月27日 (日)

6/26 『浪人街』(1990)

アマプラ「プラス松竹」にて。

黒木和雄監督、マキノ正博総監修、原田芳雄樋口可南子石橋蓮司杉田かおる伊佐山ひろ子佐藤慶長門裕之田中邦衛勝新太郎出演。

石橋蓮司は好きな役者さんだが、昔は悪役---それも卑怯か狂ってるか性犯罪者が多くて、最近は人の良いおじさんや、迫力の無くなったヤクザ組長みたいな役が多くなった。だが、本作ではストレートにカッコイイ石橋蓮司が堪能出来る。それだけでもうOK。
クライマックス、刀を何本も差した原田芳雄、白装束の石橋蓮司、甲冑姿で馬に跨って現れる田中邦衛、そして安定の勝新。
前半すこし弛み気味だった映画が一気に締まって盛り上がる。
素晴らしい。

https://youtu.be/0FVfHRQFTYE

浪人街

 




 

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6/26 『キャラクター』(2021)

TOHOシネマズ新宿にて。

永井聡監督、菅田将暉Fukase高畑充希中村獅童小栗旬出演。

本当の殺人を目撃した漫画家が、その男をモデルにした漫画を描いて大ヒット。逆に殺人鬼が漫画家に接触をし始めるが…。

…って、予告で分かる程度の予備知識だけで、なんとなく「漫画原作の実写化なのかな?」と観に行ったら、原作が浦沢直樹のパートナーの長崎尚志だった。漫画原作ではないが、あながち間違っても居なかった。
『帝一の國』や『恋は雨上がりのように』をきちんと面白く仕上げていた永井監督なので、この作品も手堅く面白く出来上がっている。ただ、バイオレンス度が高いので、観客を選ぶ作品だとは思う。そのバイオレンス部分を担うのが、セカオワのFukase。正直なところあまり好きなタイプではないのだが、この何考えてるんだか分からない、ある種の不快なオーラを出している感じが、本作の殺人鬼役にはピッタリとハマっている。これからも役者仕事をするのなら、今後何をやるんだろうかと興味を持たせる。
監督か美術のせいではあるが、彼の住む部屋の「いかにもサイコ君が住んでる部屋ですよ」ってビジュアルは、あまりにも通俗的でつまらなかった。Fukaseの演じたキモさが部屋にそのまんま出ていて、意外性も何もない。もうちょっとなんとかして欲しかったなぁ。
小栗旬の刑事役がどこかで見たような既視感があって、なんだったっけとしばらく考えて『罪の声』で彼が演じた役とあまり変わらなかったことに気付いた。これまた残念な感じ。

https://youtu.be/OeNLW8d3vzE

キャラクター : 作品情報 - 映画.com

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2021年6月26日 (土)

6/25 『なつかしい風来坊』(1966)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、ハナ肇倍賞千恵子有島一郎中北千枝子久里千春出演。

自宅への帰り道、茅ヶ崎駅でタクシーを待つ有島一郎は、ひょんなことから日雇い労務者のハナ肇と意気投合し、一晩家に泊める。粗野でガサツなハナのことを、最初は妻も子供たちも嫌っているが、やがて彼の人柄を知り、段々と心を開いていく。ある日彼は、入水自殺を図っていた愛子を助け、有島の家へ連れてくるが…。

山田洋次×ハナ肇の『バカ』シリーズ3本を観たが、どうも自分には合わなかった。だが、本作は単純に面白く、また感情移入も出来た。ひとつにはハナ肇演じる源五郎が既知外とかではなく、単にガサツな人だからだろう。ハナ肇が演じる既知外な人は、どうもタガの外れる方向が私には受け入れられない。そしていつもの如く有島一郎の飄々としつつ穏やかなキャラクターが、このハナ肇のキャラクターと実に相性が良く、観ていて幸せである。
この映画のハナ肇、有島一郎となら、赤提灯でヘベレケになるまで飲んでいたい。そんな気持ちになる映画だ。
本作の倍賞千恵子はかなり可愛いですが、後半の濡れ衣展開はお前がちゃんとしてないからじゃないか!と、ちょっとムカつきもする。

 

Dear Vagabond: Who Put The Bomp!?

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2021年6月25日 (金)

6/24 『内海の輪』(1971)

アマプラ「プラス松竹」にて。

斎藤耕一監督、松本清張原作、岩下志麻中尾彬三國連太郎滝沢修出演。

四国松山の老舗呉服屋主人・三國連太郎と再婚した岩下志麻は、3ヶ月に1回上京しては東京の大学助教授・中尾彬と情事を重ねていた。岩下は以前は中尾の兄の妻だったが、失踪した夫が他の女と暮らしているのを知ってから関係を続けてきたのだ。だが、不倫が明るみになり教授への道が閉ざされることを恐れた中尾は…。

映画自体の宣伝コピーは「『影の車』をしのぐ---」となっているが、『影の車』の方がインパクト強かったなぁ。
岩下VS中尾のネットリ感、岩下へのネットリとした変態的な愛を捧げる三國連太郎、三國にネットリとした感情を抱くお手伝いさんとか、なんだかあっちこっちでネットリ、コッテリした映画。
ネットリしながらも中尾彬を一途に愛している岩下志麻が、この映画の白眉。別に彼女のファンでもなんでもないが、結果的にここのところ彼女の映画を連続して観ているので、だんだんと感情移入し始めた(笑)。

タイトルの「内海」は瀬戸内海を指していると思われ、松山、広島、岡山、兵庫、大阪と、瀬戸内海をぐるりと巡るロケになっており、クライマックスは兵庫県の蓬莱峡。東の人間である私は全く知らなかったけれど、非常にインパクトのある景観で一度行ってみたい気持ちになった。

https://youtu.be/2Xe_KLKhGCc

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2021年6月24日 (木)

6/23 『影の車』(1970)

アマプラ「プラス松竹」にて。

野村芳太郎監督、松本清張原作、橋本忍脚本、加藤剛岩下志麻小川真由美岩崎加根子滝田裕介出演。

郊外の団地に住む加藤剛は、通勤のバスの中で古い知り合いの岩下志麻と偶然出会う。その後、彼女が数個しか離れていない停留所に一人息子と二人暮らしをしていた。妻の小川真由美と冷めた関係になっている加藤剛は、急速に岩下志麻との関係を深めていく。ただ、一人息子は人見知りであまり懐いてはくれない様子だったが…。

先日観た『霧の旗』に続き、「これこれ、こーゆーのが俺の思ってる松本清張」って作品。
不倫だ、浮気だとあっても、それだけじゃなくて、なんだか抜け出せない蟻地獄に嵌っていくようなサスペンス。いやーな感じ。

ところで下に貼ったポスターですが、いきなりネタバレ宣伝ですな。まぁポスターのコピーになっちゃってる訳ですから気にせずに書いてしまうと、岩下志麻の一人息子が、加藤剛を恐怖のどん底に突き落とす訳です。その時、子どもに殺意はあったか?映画を観てれば殺意アリアリにしか見えない。実にこの子ども描写が暗く陰惨な雰囲気で、流石は野村芳太郎、加藤剛だけでなく観客にも容赦なく精神的ダメージを与えます。
実はこの映画、私は初見だと思い込んでいたんですが、子どもが殺鼠剤入りの饅頭を加藤剛に食わせる場面で「あっ!これ子どもの時にTVで観た!」と思い出しました。映画自体は忘れていたのに、毒饅頭を食わせる場面の戦慄がトラウマになっていたのでしょう。恐ろしい。

https://youtu.be/I4g9WMBSzIg

影の車

 

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2021年6月23日 (水)

6/22 『映画大好きポンポさん』(2021)

角川シネマがアニメ専門館、EJアニメシアター新宿になって初めて映画を観る。

平尾隆之監督、清水尋也小原好美 大谷凜香加隈亜衣大塚明夫木島隆一出演。

原作漫画も良かったけれど、個人的にはこの映画の方が好きかも。
映画独自のオリジナルエピソードも非常に良いし、映画の編集をあんな形で映像化しているのもビリビリと来る。
本当に素晴らしい映画愛の話。映画好き、そして一度は映画監督になりたいと思ったことのある人なら、絶対に琴線に触れる作品。
アニメだからと敬遠せずに、是非。

https://youtu.be/nDpsTDHN_ac

劇場アニメ『映画大好きポンポさん』公式サイト

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2021年6月22日 (火)

6/21 『賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』(2021)

TOHOシネマズ新宿にて。

英勉監督、浜辺美波高杉真宙森川葵松田るか柳美稀池田エライザ藤井流星中川大志出演。

なんだかよく分からないが、TVドラマシリーズも映画版も配信版も、ついでにアニメ版も全部観ている。この過剰にエキセントリックな演技と嘘臭さの極限まで突き詰めたようなカリカチュアされた学園生活が、バカバカしくも嫌いじゃない。なんでだろう?
振り幅の激しい浜辺美波が魅力的である。高杉真宙はこのバカバカしく嘘臭さい世界の中でも、演技の嘘臭さがケタ外れなので、今後この人はどうするのだろうと不安になる。生志摩妄を演じる柳美稀が、戦隊もの出身だと知って驚いた。いろんな意味でなかなか面白いシリーズだとは思うが、普通ならティーンエイジャー向けの作品であって、60近いジジイが観て喜ぶような作品ではないのも理解はしている(苦笑)。

https://youtu.be/t_bj7hcbkVM

映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』 公開延期 /2021年4月26日 - 映画 - ニュース - クランクイン!

 

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2021年6月21日 (月)

6/20 『二階の他人』(1961)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、小坂一也葵京子高橋とよ野々浩介穂積隆信出演。

山田洋次の監督デビュー作は、軽いノリのコメディ。

数か月前に観た木下惠介の『肖像』は、強欲な不動産屋が買った物件に元から住んでいる清貧の店子を追い出そうと、2階に住んでなんとか追い出そうとするうちに、自分も清く正しく生きるべきだと気付く話。
『二階の他人』は買った家のローンが厳しいので、2階を間貸ししたら碌な店子が入らなくて散々な目に会う話。
どちらも他人に間貸し(間借り)する物語だが、木下惠介と山田洋次では随分とテイストが違う。
心が汚れている世間一般(もちろん私も)からすれば、清く正しく生きている清貧の芸術家一家がファンタジーなので、山田洋次の方がリアリティがある。どっちが面白いかは見る人次第。

2階に間借りする最初の若夫婦の旦那が作曲家で歌手の平尾昌章。ちゃらんぽらんでむかつく店子を好演。

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6/20 『ザ・ファブル』(2019)

アマゾンプライムにて。

江口カン監督、岡田准一木村文乃山本美月福士蒼汰柳楽優弥向井理出演。

公開時に劇場で観ているけれど、続編も公開になったし、最近原作漫画も読み始めたので観直し。
観直しても面白い、よく出来たアクション映画だと思う。でも最近原作を読んで、大枠での物語は変わらないんだが、ノリが全く違うことを知って驚いている。映画版は素直にクライム・アクションなんだけれど、原作はもっと違うオフビートなノリのコメディだったんだね。こりゃ原作ファンは映画を観て「違う」って言う訳だ。
私は映画版から入ったので、両方ともアリですけどね。
劇場で観た時は、庵野ヒデアキのヤクザ事務所にいる焔モユル君が、年上トンコさんをサディスティックに攻める映画と思ったが、まぁそんな映画です(笑)。

ザ・ファブル : ポスター画像 - 映画.com

 

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6/20 『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(2021)

TOHOシネマズ新宿にて。

大友啓史監督、佐藤健有村架純高橋一生村上虹郎安藤政信北村一輝江口洋介出演。

最終章を「The Final」から始めるのはどうなんだろうかと思ったが、観てみたら意図は分かった。
今作は『るろうに剣心』の一番の最初を描く物で、あえてここをシリーズの最後にしたかったのだなと、素直に納得した。
シリーズの初めの物語なので、緋村剣心以外に登場する馴染みのキャラクターは、斎藤一くらいしかいない。ともかく使命のためなら血も涙もない凄腕の人斬りだった男が、どうして人を殺さない男になったのか。それを描く。

アニメ版で傑作との誉れも高かったので、同じ話を描いた『るろうに剣心~追憶編~』を以前に観て涙したクチなので、物語は分かっている。
良くまとまってました。よく、ちゃんと終わらせてくれました。ありがとうございました。

https://youtu.be/QL8Z56CHTrI

るろうに剣心」“始まりの物語”が幕を開ける――「最終章 The Beginning」特報&本ポスター完成 : 映画ニュース - 映画.com

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2021年6月20日 (日)

6/19 『鎖につながれた女たち』(1943)

原題:GIRLS IN CHAINS

『エドガー・G・ウルマー DVDボックス』にて。

エドガー・G・ウルマー監督、アーリーン・ジャッジロジャー・クラークロビン・レイモンドバーバラ・ペッパードロシー・バージェス出演。

ギャングのジョニーが支配する街。教師のヘレンは、ジョニーの義妹であるために教職を追われ、女子鑑別所の教師となる。女子鑑別所の所長や看守もジョニーの息が掛かっていたが、ヘレンは果敢に少女女囚たちを教育し、更生をさせようと奮闘する。

ウルマー11本目。いつものように短めの70分。
言ってしまえば、アメリカ女子鑑別所版『スクール・ウォーズ』。最初はまったく言うことを聞かない、とても少女には見えない薹が立った女囚たちが、親身に考えてくれるヘレンにほだされ、どんどん味方になり、最終的にはジョニーの悪行を暴くまでになる。現代の目線で見てしまうとありがちではあるんだが、“世界最古の女囚映画”らしいので結構面白い。
所長や看守たちの制服が、ナチスのSSっぽいのも、後の女囚映画に影響を与えているかも。
なんだかんだで、ウルマー映画は面白いなぁ。

鎖につながれた女たち - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

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6/19 『アースフォール JIU JITSU』(2020)

アマゾンビデオにて。

原題:JIU JITSU

ディミトリ・ロゴセティス監督、アラン・ムッシージュジュ・チャンニコラス・ケイジフランク・グリロトニー・ジャーリック・ユーン出演。

ある日、謎のエイリアンが一体で地球を襲撃。記憶を失くしている主人公と、どうやら元々知り合いだったらしき格闘家、総勢9人で宇宙人と闘うことに。どうやら宇宙人は、太古の昔から彗星の近づく年にポータルを開いて現れ、厳正なルールの上で地球人と闘っているらしい。よくわからんが。

今年のアタマにシネマートで公開してた時に見損なったけど、観てみたらまぁ映画館行かなくて良かったかなって(笑)。
主人公はもちろんニコラスじゃない。フランク・グリロでもトニー・ジャーでもなくって、ヴァン=ダムの『キックボクサー』リブートに出てた人らしい。宇宙人は遠い昔に地球に訪れ、地球人に“JIU JITSU(柔術)”を伝えたらしい。それを伝承してる師範みたいな人がニコケイ。
でも、どの格闘技が柔術なのかは、映画を観ててもさっぱり要領を得ない。

おおむねダメ映画で、全く人に勧められるようなものではないのだが、前半のエイリアン襲撃シーンの映像がちょっと凄い。
被写体であるアラン・ムッシーにジンバル付きGoPro的な物を装着してPOVっぽい映像を撮り、それを途中で外して設置して固定カメラで第三者視点のアクションを撮って、さらにそれを再び身体に装着してまたPOVに戻る。これを1カットでやってのける。素晴らしい撮影……なのではなく、ムチャクチャな撮影で、少なくとも自分は観たことがない。悪い意味でかなり驚かされた。

https://youtu.be/q6-fgv0ibFc

アースフォール JIU JITSU / ニコラス・ケイジ | 映画の宅配DVDレンタルならGEO

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2021年6月19日 (土)

6/18 『霧の旗』(1965)

アマプラ「プラス松竹」にて。

山田洋次監督、松本清張原作、橋本忍脚本、倍賞千恵子滝沢修新珠三千代川津祐介近藤洋介内藤武敏露口茂出演。

九州の殺人事件で無実の罪で捕まった露口茂。その妹の倍賞千恵子は、著名な東京の弁護士・滝沢修に弁護を依頼するが、金銭的に折り合わずに依頼を断られた。その後兄は獄中死し、滝沢はそれが冤罪ではなかったかと思い始めるが後の祭り。そんな時、滝沢の愛人の新珠三千代に殺人の嫌疑が掛けられる事件が起こる。その証拠を握っているのは倍賞千恵子ただ一人…。

若い頃の山田洋次は、ほんわかムードなんてほとんどなく、意地の悪さや毒が渦巻いている。こうゆうのが、私が思ってた松本清張作品。殺人、冤罪、贈賄等の事件が起こる中、犯人や目撃者、関係者の間で人間の業がドロドロと渦巻く。不倫だけ渦巻いて、事件らしい事件が起こらない話なんて、正直好みじゃない。倍賞千恵子の絶対に許さない気持ちが凄まじい。最初は偉そうな滝沢修が、終盤でヘナヘナになっていく様。そうは言っても逆恨みだろ、もう許してやれよ、と観客に思わせるほどなのに、決して許さない。
清々しいまでのドス黒い心持ちに痺れる。

https://youtu.be/c8x8m8MK9qs

霧の旗

 

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6/18 『Mr.ノーバディ』(2021)

原題:NOBODY

TOHOシネマズ新宿にて。

イリヤ・ナイシュラー監督、ボブ・オデンカークコニー・ニールセンRZAクリストファー・ロイド出演。

『命の停車場』で悶々としたので、スッキリ爽やか『Mr.ノーバディ』。
冴えないお父さんが、自宅に侵入した賊を撃退…したが、平和的に撃退したので、家族や友人からは「やっぱり頼りにならない男」とダメ男のレッテルを貼られてしまう。ある日、通勤に使ってるバスの中で若い女の子がチンピラに絡まれているのを見て、そいつらをボッコボコにしてしまう。ところがそのうちの一人はロシアン・マフィアの弟で…。

いいね!観ている間にさえ「そりゃムリあんだろ!」とか、「えええええええ?」とか色々無茶苦茶な展開もあるけれど、そんなこと突っ込んだら負けだ。ともかく爽快に痛快に、悪い奴らをボッコボコにやっつけるさまを楽しむ。いいんだよ、テキトーでいい加減なお涙頂戴の停車場なんて停まって無くて。
悪い奴が目の前に来たらぶっ倒せばいいんだよ!
ああ、スッキリした。

https://youtu.be/1dLuJ52kwBo

映画『Mr.ノーバディ』“ただのオヤジ”がチンピラを圧倒?!ハードボイルド・アクション作品 - ファッションプレス

 

 

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6/18 『いのちの停車場』(2021)

新宿バルト9にて。

成島出監督、吉永小百合松坂桃李広瀬すず西田敏行田中泯石田ゆり子伊勢谷友介小池栄子泉谷しげる南野陽子出演。

東京の大病院のERでおっとり上品に働いていた小百合が、病院事務の桃李のやらかしを庇って責任を取って退職。実家のある金沢に戻り、小百合と同い年の父親・田中泯と同居しながら、西田敏行が院長、広瀬すずが看護師のクリニックで働きはじめる。そこへ小百合の後を追って、桃李もやってくる。そこへ次々と不治の病や終末医療など、キビシイ患者がやって来る…。

“小百合映画”なおは分かっていたが、これはない。ないわぁ~。
冒頭、大交通事故が起こって、心肺停止とか内臓出ちゃってる被害者とかがドッカンドッカン運ばれてくるERで、全然緊迫感なくおっとりと診療指示を出す医師の小百合。同い年75歳の田中泯と、夫婦じゃなくて親子の小百合。小百合嫌いではないが、そりゃあムチャ過ぎだ!プロデューサーの岡田祐介は、どれだけ小百合神格化してるんだろう?
その後も金沢で在宅診療を始める小百合だが、一人患者を診て、その患者が亡くなると、次の患者のエピソードが始まる。ゴミ屋敷に住む老夫婦、感じの悪い俺サマIT企業社長(これは医大を紹介して生存ルート)、難病の子ども、延命を望まない田中泯。トコロテン方式に停車場がやって来る。それでいて、トップバッターだった小池栄子の癌の件は、映画が終わってもどうなったのか決着付かず。
後半の大きな山場である父親が安楽死を望む話も、全く腑に落ちない。「俺はもう死にたいんだ!殺してくれ!」と父親が言ってても、それは首を絞めてくれとか、刺し殺してくれとか言う話ではない。痛みを緩和して、無駄な延命治療をしないでくれと言う話だ。「それは犯罪だ」みたいに登場人物が言う。違うだろ。私の知るある人は、痛いのも延命治療も嫌だから、ホスピスで緩和ケアを受けて亡くなった。それは犯罪でも何でもない。医療関係者が書いた原作なんでしょ?
なんだろう、この映画?素人目にも、「そんな話あるかいっ!」と思う。
同じ成島出監督の、サイテーだが飲みながら腹抱えて大笑い出来るトンチキ・サスペンス超大作『ミッドナイト・イーグル』と違って、これはホントにただのダメ映画。『八日目の蝉』とかでちゃんとした監督になったのかと思ってたが、これはヒドイ。

https://youtu.be/obETei_bqvY

いのちの停車場』 ティザービジュアル解禁&公開日決定! | 東映[映画]

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2021年6月18日 (金)

6/17 『風の視線』(1963)

アマプラ「プラス松竹」にて。

川頭義郎監督、松本清張原作、新珠三千代岩下志麻佐田啓二園井啓介山内明出演。

観てなかった松竹の松本清張映画を予備知識なく次々と観ている。清張ってもっと推理作家なんだと思ってたけど、ほとんど不倫話なんだね。“不倫ロマンス作家”と言ってもいいほどなんだ。知ってる人からすれば、「いまさら何言ってんだ?」ってことなんでしょうけど、読んでない、観てない人からすると意外。
本作もドップリと不倫もの。
冒頭、主人公の一人であるカメラマンの園井が新婚妻岩下をほったらかして、雪上で死体を発見して激写する。ところがこの死体は物語に全く関係ない。この死体の写真で園井が評価されるキッカケになるだけであって、事件は起こらない。映画の中には3組の夫婦が登場するが、その大半の人が互いの夫婦間で不倫をしている。それに気づいていたりいなかったり、知られててお構いなしだったり、肉体関係には至っていないから私たちは綺麗だとか言ってみたり、揃いも揃ってドロドロ不倫。いっそ3組の夫婦でスワッピングでもした方が良いんじゃないかってほど。
個人的には、岩下志麻の新妻にうんざりして、新珠美千代に不倫する気持ちがよく分からん。

吉祥寺で不倫食事をする場面があるのだが、鬱蒼とした雑木林でド田舎。先日観た『續十代の性典』(1953)でも、とんでもない田舎っぷりな井の頭線吉祥寺駅を観たが、60年代前半でも50年代からあまり変わらないね。

松本清張自身が作家先生役で2シーンに特別出演。キャバレーで踊る姿も見られる。

https://youtu.be/GsevRBX-nUk

ヤフオク! - 「風の視線」 佐田啓二新珠三千代岩下志麻園井啓...

 

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2021年6月17日 (木)

6/16 『必殺!THE HISSATSU』(1984)

アマプラ「プラス松竹」にて。

貞永方久監督、藤田まこと三田村邦彦中条きよし鮎川いずみ片岡孝夫山田五十鈴出演。

必殺仕事人IV』の劇場版と言うことらしいが、『必殺』は漠然と嫌いじゃないけれど熱心なファンではないので、どのシリーズが“ダレのドレ”ってのが把握出来てない。
正直な話、ファン向けの豪華スペシャルの趣き。飽きはしないし、つまらなくはないけれど、とりたてて何ってほどのことはない。
先日観た藤枝梅安の『必殺仕掛人』三部作が、きちんと70年代プログラムピクチャーとして良作だったのでちょっとガッカリ。
この後も劇場版『必殺』シリーズを「プラス松竹」で全作観るつもりだったのだが、なんとなく気持ちが萎んでしまったなぁ。

https://youtu.be/p-_hRA-QKsY

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6/16 『漁港の肉子ちゃん』(2021)

TOHOシネマズ新宿にて。

渡辺歩監督、STUDIO 4℃制作、大竹しのぶCocomi花江夏樹吉岡里帆出演。

いつもハイ・クオリティな作品を作る4℃の新作で、かつ大好きな『海獣の子供』(2019)の渡辺監督なので、私はもちろん劇場へ。
それにしても、4℃は前作『えんとつ町のプペル』に続き、またも不幸な作品を送り出してしまった。
どちらも「よしもと製作」であり、企画やプロデューサーの”芸人”を全面に押し出す宣伝で、完全に観客の観る気を削いで----どころか、何か嫌悪感まで感じさせてしまった。よしもと製作でも芸人プロデュースでも構わないのだが、それを前に出し過ぎ。プロデュースのさんま(私はさんまは面白い芸人だと思うし、全く嫌いではない)がこんなに出て来て、自分で「良い映画だ」と言い過ぎだし、主演が別れた奥さんで、ヒロインが友だちの娘、脇を固めるちょい出しキャラが、さんまの番組共演芸能人多数。実に暑苦しい。4℃制作じゃなかったら、俺だって観たくない気になる。

作品を観てしまえば、やはり映像のクオリティ、作画のクオリティは素晴らしいですよ。こんなに密度の高い画が動くだけで幸せ。素晴らしいアニメーション映画ですよ。

でもいくつか引っ掛かることがある。ひとつには肉子ちゃんの声。大竹しのぶは声優仕事もこなせる女優さんではあるが、この肉子ちゃんに合っているとは到底言い難い。巨漢女性の声ではないのだ。気が強いから大きい声、気が弱いから小さい声とか、そんなことではない、大きな体から出て来る声に聞こえない。最後まで違和感が拭えない。対して、娘のキクコを演じたcocomiはこれが声優初挑戦だけあって、決して上手くはないが、キャラクターから大きく外れないので違和感なく、最後まで気にならずに観られた。代わりに、こちらはキャラクターのデザインに違和感がありまくり。極端にデフォルメされた肉子、普通にアニメ的なリアル感のある一般登場人物、そして一人飛び抜けてお目々キラキラなキクコ。なんだろう、このバラバラなキャラクターデザイン。肉子ちゃんは特殊キャラだから、特殊にデフォルメされてても良いのだが、キクコは一般登場人物と同じ系統の普通の美少女じゃないと、なんだか気持ちが悪い。友だちのマリアや二宮と並んでいると、全く馴染まない。狙いでやっているんだろうか?

アニメ作品として、尋常ならざる作り込みがされているからこそ、なんだか気になって仕方が無い。
宣伝方法の失敗と併せて、「勿体ないねぇ」って映画。

https://youtu.be/Z97DDBmLP78

漁港の肉子ちゃん』GReeeeNが歌う「たけてん」MV解禁 本ポスターもお披露目 /2021年6月1日 - アニメ - ニュース - クランクイン!

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2021年6月16日 (水)

6/15 『亡霊怪猫屋敷』(1958)

アマゾンプライムにて。

中川信夫監督、五月藤江細川俊夫江島由里子和田孝出演。

中川信夫の化け猫映画。
69分しかない小品なのだが、あらすじを書こうとすると複雑な話でもないのに長くなるので、面倒臭いから割愛。
長くなりがちな理由は、この映画が現代篇と時代劇篇の2パートから構成されているため。この構成が実に良い。現代部分がザラついて荒れた感じのモノクロ、時代劇が総天然色のカラー。過去と現在を逆にしたところが演出の妙。
そしてこの現代パートの始まりの恐ろしさ。近年のPOVホラー映画のように、主観視点で暗い病院に入っていく。このシーンの不気味さは、これくらい古い作品ではちょっと見たことのないほどの恐ろしさ。流石は中川信夫。
そして時代劇パートに入ってからも、怪猫女優・五月藤江演じる化け猫のなんともしれん佇まい。
この映画を傑作怪談映画だと薦める人が割といるのも頷ける。

機会があったらまた数年後に観直そう。

 

https://youtu.be/7u_sXym8zps

亡霊怪猫屋敷」映画 あらすじ | おうち映画

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6/15 『波の塔』(1960)

アマプラ「プラス松竹」にて。

中村登監督、松本清張原作、有馬稲子津川雅彦南原宏治桑野みゆき出演。

新人検事の津川雅彦が付き合っていた女性は、実は結婚をしていた。彼女の夫は政治ブローカーで、津川が捜査している汚職事件の重要参考人であったが…。

一応汚職事件なども絡んでは来る松本清張原作ものだが、はっきり言ってそこは主眼ではないのだろう。ミステリと言うよりは不倫ロマンスもの。自分の付き合う正体不明の女性に旦那が居ることを知っても、構わずに付き合いを続ける検事。妻とは別の女との関係を持つ夫(これが南原宏治で愛人が岸田今日子!)。
物語的にはあまり惹かれないが、有馬稲子のエロ美しい風情を楽しむ映画かもしれない。津川とキスを交わした有馬が、その後彼の唇を拭き取る。何気ない場面のエロっぽさよ。

DVD『波の塔』(1960 / 松竹大船) : セーヌ川闊歩の生活と意見

 

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2021年6月15日 (火)

6/14 『インヘリタンス』(2020)

原題:Inheritance

新宿武蔵野館にて。

ヴォーン・ステイン監督、リリー・コリンズサイモン・ペッグコニー・ニールセン出演。

ニューヨーク政財界の大物が急逝した。彼の遺産は妻と政治家の息子、地方検事である娘のリリー・コリンズへと相続された。さらに、リリーには1本の鍵が遺されていた。鍵が地下室への扉を開けるものであることを知った彼女は中に入り、そこに鎖に繋がれたサイモン・ペッグを発見した…。

サイモン・ペグが好きなので観てみたが、これはいくら何でもムリ筋。
家族の誰にも知られずに、自宅の庭に30年間も一人の人間を幽閉しておいたってだけでも有り得なくてビックリだが、次から次へとムリのある展開がやって来る。これは脚本の段階で誰かが止めないとアカンだろう。
リリーのヒステリックな芝居もどうも好きになれないし、サイモン・ペグに向いてるとも思わない。
余程のリリー、またはサイモンファンにしかオススメはしません。

息子役で、アマゾン『The Boys』でディープ役のチェイス・クロフォードが出ていた。

https://youtu.be/qKWveMpKHFM

インヘリタンス : ポスター画像 - 映画.com

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6/14 『クローブヒッチ・キラー』(2018)

原題:The Clovehitch Killer

新宿武蔵野館にて。

ダンカン・スキルズ監督、チャーリー・プラマーディラン・マクダーモットマディセン・ベイティサマンサ・マシス出演。

16歳のチャーリー・プラマーは、父の車をこっそり持ち出してガールフレンドとデートをした。その時彼女は運転席の下から緊縛された女性の写真を発見。彼は身に覚えのない写真のせいで、学校で変態野郎だと噂が広がってしまう。その写真が父の持ち物だと思い、家の中に怪しい物がないかと探し始めると、SMや緊縛嗜好の証拠がいくつも見つかった。さらには10年前に起きた連続殺人事件の犯人を思わせる物まで見つかった。果たして父親は、変態連続殺人鬼なのか?!

これはなかなかの佳作。
変態連続殺人鬼の話ではあるが、えげつない暴力描写やゴア描写はなく、その代わりにたえず独特の緊張感がある。品行方正、街の人々から尊敬を集めるボーイスカウトの指導者でもある父親が変態なのか?殺人鬼なのか?と、父が尊敬に値する人間であることを祈りながら調べていく息子の揺れ動く気持ち。彼と一緒に殺人事件を調べる、変わり者の少女の秘密。そんな彼女に惹かれていく少年。青春物としての少年の揺れる心もミックスされる。
それに対して、この父親の一見まともそうで、皮一枚の下に何か得体のしれないものが潜んでいる空気感。ディラン・マクダーモットが実に薄気味悪くヌメっと演じる。いわゆる「バイブルベルト」と呼ばれる敬虔なクリスチャンが住む町での、抑圧された空気の中だから、この父親はこんな人間になったのかもしれない。
映画後半で、一旦時間を巻き戻して何が起きていたのかを別な角度から見せる演出も、新しいとは言えないが非常に効果的。
この映画の前に観た『インヘリタンス』がイマイチだったので、この映画がより面白く感じた。

https://youtu.be/qWdqSuEqgwc

クローブヒッチ・キラー - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 

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2021年6月14日 (月)

6/13 『眼の壁』(1958)

アマプラ「プラス松竹」にて。

大庭秀雄監督、松本清張原作、佐田啓二鳳八千代高野真二宇佐美淳也渡辺文雄西村晃多々良純出演。

3千万円の手形詐欺に遭って自殺した上司。その死の真相を突き止めるべく、友人の新聞記者の力を借りて独自捜査をする佐多啓二。

『ゼロの焦点』もそうだったが、刑事でもなんでもない素人の主人公が八面六臂の大活躍で、全ての謎を解く。劇中、事件解決のために休暇を取りたいと上司に相談していたので、有給休暇なのか長期欠勤なのか知らないが、どんどん廻る季節に観ているこっちが心配になって来る。おまけに新聞記者の友人は、自分の新婚旅行を途中でほっぽり出して、捜査に協力する。いや、それはアカンだろ。
…とツッコミどころがありつつも、犯罪ものとして普通に面白い。それを支えるのが、宇佐美、渡辺、西村、多々良、左と言った、個性の強い脇の役者たち。この辺の人が脇を固めていれば、それだけで画面がもってしまうからズルイ。
クライマックスは突然のアクションテイスト。真犯人の最後は、若干新東宝風味も感じられる。

個人的に「おっ!」と思ったのは、登場するクルマ。
タクシーに乗った佐多啓二が「あのクルマを追ってくれ!」と言うと、運転手が答える。「お、57年型プリマスですね」。
クルマなんてとんと疎い私でも知っている57年型プリマス。スティーブン・キングの『クリスティーン』である。こんなクルマに乗っているから事件を起こすのだ(違う、そうじゃない)。

https://youtu.be/eQZLgaBuIVA

映画】眼の壁(1958) : 映画&ドラマ&読書三昧の記録

 

 

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6/13 『ハーレムにかかる月』(1939)

原題:MOON OVER HARLEM

エドガー・G・ウルマーDVD BOXにて

エドガー・G・ウルマー監督、バディー・ハリスコーラ・グリーンイジネッタ・ウィルコックスアール・ゴフ出演。

子持ち未亡人のミニーは、ギャングのダラーに上手いこと言われて再婚をした。ダラーは、ミニーの夫の遺産と娘のスーの体が目当てだったが、ミニーにはそれが分らずに、逆に娘がダラーをたらし込んでいると思い込み追い出してしまう。スーの恋人ボブは、ハーレムからギャングを追い出し浄化しようと活動をしていたが…。

ウルマー10本目。いつものように短めの68分。
なんでも、1~2を争うくらいに古い黒人主演による黒人映画の元祖の一本だそうで、実際黒人しか登場人物がいない。1939年製作を考えれば画期的な作品だろう。
その分、出て来る役者が皆揃って素人臭い。これまで脇役じゃない主演級の黒人役者ってものが存在してなかったのだから、これは致し方がない。だが、決して上手くはないにも関わらず、何か不思議な存在感がある。特に母親と結婚しながら、娘に言い寄るギャングのダニーの嫌らしい感じが実に良い。そんな観ている側にも伝わる嫌らしい感じが、なんであんたは分からんのかね、ミニー!と思いつつ観る。
銃撃シーンの唐突感、だしぬけ感も独特で、これもウルマータッチなのかもしれない。
新連載 長澤 均による“シネフィル=映画狂”のためのDVD-BOXセット徹底解読! 第1回 エドガー・G・ウルマー - シネフィル -  映画とカルチャーWebマガジン

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2021年6月13日 (日)

6/12 『ゼロの焦点』(1961)

アマプラ「プラス松竹」にて。

野村芳太郎監督、橋本忍山田洋次脚本、久我美子高千穂ひづる有馬稲子南原宏治西村晃加藤嘉出演。

あらすじは割愛。

松本清張の代表作。
子どもの頃、ホームズやルパン、怪人二十面相、ちょっと頑張ってクリスティなんかを読み始めてハマり、母親に「僕は推理小説が好きだ!」とか言ったら、「じゃあ、おじさん(母の弟)も推理小説が好きだから、今度何かオススメのご本を貰いましょう!」と言われた。次回おじさんに会った際、「推理小説-----う~ん、じゃあ、これかなぁ…」と渡してくれたのが『ゼロの焦点』ともう一冊何か(忘れた)。小学生で『ゼロの焦点』読んで、スラスラ理解して、面白い!とか思ったら怖いって!前半の何十ページか読んで挫折した。そりゃそうだ(笑)。

新婚七日目に消えてしまった花婿。ふと思って、見合い結婚と恋愛結婚の比率をググったら、1960年代初頭で見合いが49.8%、恋愛が41.1%。2015年で5.5%と87.7%。この映画の当時で言えば約50%が見合い結婚。この映画の主役も見合い結婚で、夫が失踪しても、妻は夫の人となりも分からない。会社の同僚や夫の家族しか夫のこれまでの生活を知るものもない。そんな中で主役の久我美子は八面六臂の大活躍と言っていいだろう。警察すらまともに捜査していない中で、たった七日間だけ夫婦だった夫の身辺を捜査し続ける。その行動力と機動力。そんな素人女性は居ないだろうとは思いつつも、面白く観た。

クライマックス、岸壁の上での対決シーンが、後の2時間ドラマの原点なのだそうだ。
そういう意味でも観る価値はある。

https://youtu.be/gcF9Jh-_PiA

Amazon | 『あの頃映画 the BEST 松竹ブルーレイ・コレクション ゼロの焦点』 [Blu-ray] | 映画

 

 

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2021年6月12日 (土)

6/11 『必殺仕掛人 春雪仕掛針』(1974)

アマプラ「プラス松竹」にて。

貞永方久監督、緒形拳林与一山村聰岩下志麻夏八木勲出演。

映画版『必殺仕掛人』3作目は、一応前作からの続き。十五郎はまだ江戸に居て、梅安の家に居候をしている。そこに新たな仕掛の依頼が舞い込むが、十五郎にはなぜ梅安が仕掛けを生業としているのかが分からない。そして仕掛けの標的は、梅安の昔の女だった。
前作で妹を殺した梅安が、次に的に掛けることになるのは昔の女。これはある意味、初期の『座頭市』にも通じるような展開で、見応えがある。
前二作を監督した渡邊祐介も悪くはないのだが、 貞永方久の方がこのシリーズには向いている監督なのではないか?

岩下志麻の映画 「必殺仕掛人 春雪仕掛針」 池波正太郎原作の必殺仕掛人劇場版! 主役は岩下志麻! | 人生・嵐も晴れもあり!

 

 

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6/11 『張込み』(1958)

アマプラ「プラス松竹」にて。

野村芳太郎監督、橋本忍脚本、大木実宮口精二高峰秀子田村高広高千穂ひづる 出演。

目黒で発生した強盗殺人事件の共犯者・田村高広を追って、彼の昔の恋人・高峰秀子の自宅前の旅館で張り込みを開始した大木実と宮口精二。柚木だが銀行員の後妻となった彼女は、ただただ単調な日常生活を繰り返しているだけだった…。

かなり評価の高い映画らしいのだけれども、体感が長い。ともかく長い。横浜駅から出発して、1958年当時の通常の移動手段----在来特急の夜行列車で目的地である佐賀に着くまでを延々と見せるアヴァン・タイトル。旅館に腰を据えて、「さあ、張り込みだ!」と大木実のアップに題字がドーン!いやもう、ここまででこんだけの尺を使ってしまうのが凄い。

いわゆる五社協定を結んでいた邦画メジャー、松竹、東宝、大映、​新東宝、東映、日活の中で、自分的に一番弱い、縁遠いのが松竹なのだけれど、ここのところ「プラス松竹」を観てて、今更ながらやっと分かって来た。今まで映画の題材的に松竹的人間じゃないんだろうと思って来たが、それ以上にテンポが自分に合ってないのだな。
この映画も116分あるのだけれど、同じ内容を日活か東映あたりで映画化したら、(犯罪ものだから舛田利雄か佐藤純彌か深作欣二かあたりの監督が)誰が撮ったってまぁ80分台で収めるだろう。絶対90分越えない。このテンポ、リズムが好きな人には堪らないんだろうとは思うけれど、どうも私は合わないのだな。

とは言え、つまらない映画なのではない。浦辺粂子菅井きん北林谷栄、日本映画史に燦然と輝く三大老婆女優の揃い踏み!ってだけでも、十分以上に観た価値あり。

張込み

 

 

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2021年6月11日 (金)

6/10 『顔』(1957)

アマプラ「プラス松竹」にて。

大曽根辰夫監督、岡田茉莉子大木実笠智衆山内明出演。

夜行列車から、堕胎手術を請け負う無免許医の男(山内明)が転落し死亡した。水商売の女だった岡田茉莉子はモデルになるチャンスを掴み、過去を知る山内明と車内で口論となって起こった事故であった。当初は事故と判断されていたが、同じ列車に乗り合わせていた大木実が、社内で言い争う男女を目撃していたことから、警察は事件として捜査を始めるが…。

松本清張原作の初映画化作品だそうだが、東宝から松竹に移籍したばかりの岡田茉莉子を主役にしたいがために、主役の性別を男女変えているらしい。原作読んでないので分からんが、それならファッションモデルって設定も違うんだろうし、全く別物になっているのではないか?
ファッションモデルになって成功を掴みたい、自分のモードの真似を日本中の女性にして欲しいと願う岡田茉莉子の野望と、その目撃者として金を得たい下衆な目撃者。それを淡々と追う田舎の刑事笠智衆。
単純に犯罪ものとして観ると脚本がヌルくてイマイチなんだけど、ファッション業界の女のドロドロとかが色々と面白い。先日観たばかりの山崎豊子原作『女の勲章』と併せて観ると、より一層の面白さ。

ところで、先日観たアメリカ映画『夜歩く男』(1948)でも最先端の科学捜査方法として、モンタージュの作成が登場した。この『顔』でもやはり最先端技術としてモンタージュが出て来るのだが、10年近くも新しい映画にも拘らず、出来上がった似顔絵の出来が随分とお粗末で、犯人の顔に似ても似つかない。これが現実の警察の技術力の差なら、日本は相当に遅れていたんだと思わずにおれない。

顔(1957) : 西澤 晋 の 映画日記

 

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6/10 『必殺仕掛人 梅安蟻地獄』(1973)

アマプラ「プラス松竹」にて。

渡邊祐介監督、緒形拳林与一山村聰佐藤慶小池朝雄出演。

梅安役は、前作の田宮二郎から緒形拳へ。佐内は登場せずに、林与一は小杉十五郎として登場。山村聰は変わらず音羽屋。音羽屋と梅安の連絡役の千蔵も秋野太作が継続。
仕掛けの標的は佐藤慶と小池朝雄の兄弟。なにそのクドイ兄弟。
十五郎は、女狂いの強姦医者・小池朝雄を斬ろうとして、間違って梅安を襲い、その後色々あって行動を共にするようになる。なので仕掛人ではないが、結局最後は手助けすることになる。
TVシリーズとは異なる趣き、異なる重さで、きちんと面白い。

ところで、タイトルバックが面白く、梅安の顔アップに「必殺仕掛人」の筆文字が起き上がって来るのだが、目玉の部分がくり抜かれているのだ。文字の裏から梅安の眼がギラギラしてて、インパクトが凄いです。

必殺シリーズ第1作 緒形拳 林与一主演「必殺仕掛人」の映画ポスターです。 | 昭和の思い出・映画ポスターコレクション

画面の画像のようです

 

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6/10 『コンティニュー』(2021)

原題:BOSS LEVEL

新宿バルト9にて。

ジョー・カーナハン監督、フランク・グリロメル・ギブソンナオミ・ワッツミシェール・ヨーケン・チョン出演。

『ナーク』『スモーキン・エース』のジョー・カーナハンの新作がSFだとなったら、それは観に行かない訳にはいかない。
最近流行りのループもので、監督自身が“アクション版『恋はデ・ジャブ』”と言っているようなので物語は割愛。
それにしても流行っている。ケン・グリムウッドの小説『リプレイ』(1987)を読んだ時は衝撃を受けたが、その後『恋はデ・ジャブ』(1993)が映像でのループものの元祖になり、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』を経て、最近では『パーム・スプリングス』、『ハッピー・デス・デイ』が秀逸なループもの映画。

本作も良く出来ていて、80年代のゲームをモチーフにしているところも面白い。この手の作品は内容を語るのは野暮なのでこれ以上書かない。
ループしてる理論(?)みたいなものが雑過ぎるところは困りものだが、大枠で面白く出来ているし、ループするアクションの見せ方も流石のジョー・カーナハンなので、まぁOK。

https://youtu.be/BMsdx7u2X7U

コンティニュー : 作品情報 - 映画.com

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2021年6月10日 (木)

6/9 『地獄の花園』(2021)

TOHOシネマズ池袋にて。

関和亮監督、バカリズム脚本、永野芽郁広瀬アリス菜々緒川栄李奈大島美幸遠藤憲一小池栄子出演。

くだらない!本当にくだらないにも程がある!
だからイイ。
邦画って、“徹底的にくだらない映画”の企画がなかなか通らない。通ってもなんか“ちょびっと真面目”みたいになってたりする。
本作は、アタマっからケツまで、本当に心底くだらないのが素晴らしい。
高校生ヤンキーマンガの不良高校生を、そのまんまOLに置き換えただけ。その潔さがいいね。

菜々緒の頭の小ささ、頭身にも驚いた。この人一体何頭身なの?

https://youtu.be/aAgia2Dqdwk

事前座席選択可】 「地獄の花園」|ローチケ[ローソンチケット] 映画チケット情報・販売・予約

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6/9 『クルエラ』(2021)

原題:Cruella

グランドシネマサンシャインにて字幕版。

クレイグ・ギレスピー監督、エマ・ストーンエマ・トンプソンジョエル・フライポール・ウォルター・ハウザーマーク・ストロング出演。

『101匹わんちゃん』の悪役、ダルメシアンの毛皮でコートを作ろうとした悪魔のような女、クロエラ・ド・ヴィルの登場を描く。

【ネタバレ】になるので、以下はポスター画像の下に。

https://youtu.be/wSH7sazgCjc

クルエラ」日本版ポスター公開 ジャスパーとホーレスの姿も : 映画ニュース - 映画.com

エマ・ストーンはチャーミングで可愛く、エマ・トンプソンは変わらぬ美貌で陰険ババアを楽し気に演じていて、ダブル・エマ映画として成功。リチャード・ジュエルことポール・ウォルター・ハウザーも悪くないし、後半まで画面に映っているのにほぼ台詞なしなのでよくにた別人なのかと思ってしまったマーク・ストロングも良い。

でも長い。ともかく長い。134分は要らないだろう。
そして『ジョーカー』と『ハーレクイン』に影響され意識して、ダークに狂った物語やキャラクターにしようとしたい願望と、“ディズニー映画”としてそこまで振り切ることが出来ないジレンマに苛まれている気がしてならない。個人的にはそのギリギリのところに落とし込めたのかなとも思わなくもないが、やっぱり中途半端な気がする。
そのせいで、クルエラ最大のアイデンティティである邪悪な欲望、「ダルマシアンの毛皮が欲しい」が雲散霧消してしまう。
映画は序盤でエステラ(のちのクルエラ)の母親の死を描く。ハプニングからバロネスのパーティを台無しにしたエステラは、3匹の獰猛な番犬ダルマシアンに追われて生垣に隠れる。その3匹が母親に飛び掛かり、母親は崖から転落死してしまう。俺を含む観客は、「ははぁん、これがクルエラがダルマシアン嫌いになった原因か」と思ったはずだ。
10年後、バロネスの元で服飾デザイナーになったエステラは、母親の形見のペンダントを付けていたバロネスに恨みを抱き、邪悪な復讐心を持ったクルエラと変身する。そして新進気鋭のデザイナー、クルエラとしてバロネスに挑み続け、またペンダントを奪還しようと画策する。その際、たまたまペンダントを3匹のダルマシンのうちの1匹が飲み込んでしまった。子分のジャスパーとホーレスは3匹を盗み出し、糞からペンダントを回収とするがなかなかうまくいかない。その後、ダルマシアン柄の服をまとったクルエラが登場。ダルマシアンの皮を剥いだの?と一瞬思わせておいて、クライマックスでは3匹を従えているクルエラ。彼女はもうすっかりダルマシンたちをバディにしているのだ。
さらにエピローグでは、彼女は2人の友人ロジャーとアニータに、ポンゴとパーディタと名付けた2匹のダルメシアンの子犬をそれぞれプレゼントする。このロジャーとアニータ、ポンゴとパーディタこそが、のちの『101匹わんちゃん』の主人公とヒロイン、そのそれの飼い犬なのである。
おかしいじゃないか???
クルエラはすっかりダルマシアン好きになり、子犬を親友にプレゼントしたのに、そのプレゼントした犬たちが産んだ子犬の皮を剥いでコートを作ろうとするの?それとも、クルエラの狂気はそこまで進んでしまっているって物語なの?この映画だけでは、なぜダルマシアン憎悪をあそこまで激しく燃やす人物になったのかが逆に分からない。
配信と劇場で大ヒットのおかげで、続編も決まったようなので、その心変わりは描かれるんだろうか?

ところで、『101匹わんちゃん』っていつから『大行進』が付かなくなったの?

 

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2021年6月 9日 (水)

6/8 『るろうに剣心 最終章 The Final』(2021)

新宿ピカデリーにて。

大友啓史監督、佐藤健武井咲新田真剣佑江口洋介青木崇高蒼井優出演。

最終章の第一部。
「The Final」なのに第一部とはこれ如何に?と思いつつ鑑賞。多分、この映画で描かれた部分の前日譚を後編で描くんだろうけれど、本当にそのやり方は正しかったのか?多分、「縁」篇である今作で真剣佑とのアクション押せ押せで、「巴」篇である後編で有村架純との悲恋で泣かせて終わらせようって魂胆なのだろう。
これまでのシリーズ同様、邦画の新次元を拓くアクションとして素晴らしいのは確かだが、時代劇、あるいは日本刀によるチャンバラとしてはどうなのかとちょっぴりぎもんを感じる。
面白かったから、まぁ良いんですけども。

 

るろうに剣心最終章The Final | LAW大好き

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6/8 『超人X.』(2015)

アマゾンプライムにて。

ヌエン・クワン・ユン監督、ゴ・キエン・フイ主演。

普通にベトナム製スーパー・ヒーロー映画だと思ったら、ヒーローはゲイだし、コメディタッチ----それもかなりスベリ気味な70~80年代香港風の笑い----だし、ワイヤーアクションは香港とは若干テイストが違うけどかなり危険度高いし、それでいて意外にも熱いノリ、予想外な展開で最後はおなか一杯になるという稀有な作品。

あらすじとか知らずに「えええええええっ?」っと思いながらご鑑賞いただきたいですね。

https://youtu.be/BW6lTR7kJW4

超人X. - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

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6/8 『必殺仕掛人』(1973)

アマプラ「プラス松竹」にて。

渡邊祐介監督、田宮二郎高橋幸治山村聰川地民夫津坂匡章室田日出男出演。

音羽屋は安定の山村聰。だが、梅安が田宮二郎で、佐内が高橋幸治なのがテレビ版とは違うところ。
田宮梅安の方が原作のイメージに近いという話もあるようだが、緒形拳のビジュアルイメージを刷り込まれているので、ちょっとスマートに過ぎるような気がする。高橋幸治は、林与一よりも荒くれ感が強いのだが。どちらも違うような気がしつつ、観てればこれはこれでアリかなと。
監督の渡邊祐介は、喜劇の人かと思っていたが、そつなくシャープな仕掛人を演出している。普通に面白い。

 

必殺仕掛人 ・監督/渡辺祐介 ・出演/田宮二郎 高橋幸治 山村聡 野際陽子 川地民夫 津坂匡章 | 映画 ポスター, 日本映画, ポスター

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2021年6月 8日 (火)

6/7 『ワイルドガン』(2015)

原題:Forsaken

アマゾンプライムにて。

ジョン・カサー監督、キーファー・サザーランドドナルド・サザーランドブライアン・コックスマイケル・ウィンコットデミ・ムーア出演。

10年ぶりに故郷に帰って来たキーファーは、牧師の父親ドナルドとの折り合いも悪く、かつての恋人デミ・ムーアも結婚して子どもももうけていた。町では悪辣な農場買収が続いており、人々は困窮していた…。

サザーランド親子共演の西部劇なら、そりゃ観なけりゃアカン!と。派手さには欠けるけれど、実に良い味な西部劇。
折り合わない親子の確執と邂逅。かつての恋人との触れ合い。色々ありつつ、キーファーが口数少なく色々背負った男を演じる。昔よりもチャラい感じが抜けて、渋いオッサンになって良かった。キーファー。
アヴァンタイトルで描写される母と子の“何か”がよくわからないまま進んで行くが、後半であれが何か分かった時に予想以上に重くかった。

買収を強引に進める悪者たちの中で、宍戸錠的ポジションのマイケル・ウィンコットが美味し過ぎ。
西部劇好きの人にはオススメ。

 

https://youtu.be/yVFklQ7LqGc

Amazon | ワイルドガン [DVD] | 映画

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2021年6月 7日 (月)

6/6 『地中海の虎』(1949)

原題:THE PIRATES OF CAPRI

「PIRATES 海賊映画 コレクション 海の征服者 DVD10枚組」にて。

エドガー・G・ウルマー監督、ルイス・ヘイワードビニー・バーンズアラン・カーティスマッシモ・セラートエレオノラ・ロッシ=ドラゴ出演。音楽はニーノ・ロータ!

1779年、ナポリの都は革命前夜の騒乱最中であった。一隻の帆船がナポリ警察に渡す武器弾薬等を満載して航海中であったが、海賊シロッコの一団が武器を奪った上、 若い堤督ファン・ダニエルを捕虜にした。若い伯爵令嬢メルセデスも首飾りを奪われたが、彼女はアマルフィ公爵と結婚するためナポリへ向かう途中であった…。

にわかウルマー・ファン、9本目。
マッカレーの『怪傑ゾロ』のゾロ(=ドン・ディエゴ)とほぼ同様で、海賊シロッコ(=アマルフィ公爵)の一人二役。「それを分んないヤツ要るんか~い!」と、現代の気分では思ってしまうが、写真も何も一般的じゃなかったんだから、それは仕方が無いよね、と好意的に。
当時としては、かなり迫力のあるバトル、攻城戦、その他諸々色々あるけれど、なかなか伝わらないと思う。むしろ、アマルフィ公爵の「ンハハッ!」って笑い方が癇に障るよねって感じだと思う。
にわかなので、ウルマーらしさが未だよく分かって無いのだが、バトルの見せ方は良いんじゃないかと思う。

The Pirates of Capri (1949) - Rotten Tomatoes

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2021年6月 5日 (土)

6/4 『地球征服アパート物語』(2010)

アマゾンプライムにて。

福田雄一監督、バナナマン貫地谷しほり秋吉久美子出演。

地球征服に来た宇宙人(日村&貫地谷)が、間違って日本のアパートに着陸。住人(設楽)と大家(秋吉)に、グダグダと地球侵略を阻まれる。

元々どこ向けに作られていたのかよく知らないけれど、どこかで放送されてたの?オープニング&CM込10分枠✕7話を、そのまま繋いで合計で45分の小品じゃないか。

この低予算感と、宇宙人と日本人のグダグダしたコントな感じを面白いと思えるかどうかは人それぞれ。

同じ福田監督のアマゾン・オリジナル『宇宙の仕事』のパイロット版的な作品なので、福田好きなら要チェック。

Amazon.co.jp: 地球征服アパート物語を観る | Prime Video

 

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2021年6月 4日 (金)

6/3 『愛と憎しみの彼方へ』(1951)

「黒澤明DVDコレクション」にて。

谷口千吉監督、谷口千吉&黒澤明脚本、三船敏郎水戸光子池部良志村喬小沢栄出演。

網走刑務所に服役中の三船敏郎が服役囚の小沢栄らに唆され、自分の妻水戸光子が浮気をしているのではないかと疑心暗鬼に陥り、あと半年で仮釈放になるというのに脱獄する。脱獄を知った妻は、息子と医師の池辺良と共に、三船との思い出の場所へと向かう。人情派の刑務官志村喬は、なんとか説得をしようと追跡をするが…。

前半の脱獄から中盤までは緊張感もあってスリリングなんだけれど、中盤の水戸光子&池辺良追跡あたりから段々と冗長と言うか、テンポが悪くなってきて残念。犯罪サスペンスかと思ったのに、最終的にはヒューマンドラマにウェイトが移ってしまう。
伊福部昭はいつもの如しだが、同じ谷口×黒澤の『銀嶺の果て』よりは他の怪獣映画と似てる感が薄い。
小沢栄(小沢栄太郎)の小狡い感じはこちらもいつもの如くだが好き。

愛と憎しみの彼方へ』 | J・KOYAMA LAND 番外地 大吟醸

 

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6/3 『キンキー・ブーツ』(2018)(ライブ・ビューイング)

新宿ピカデリーにて。

元々は、オーウェン・ラーズおじさんとか『ザ・ギフト』のキモい幼馴染で御馴染みのジョエル・エドガートン、『それでも夜は明ける』のキウェテル・イジョフォー、サイモン・ペグの盟友ニック・フロストらが出てた2005年の映画で、それを舞台ミュージカルにして大当たりした物。映画版も面白いんだが、ミュージカルにしたことでより知名度も上がった。

で、本日観て来たのは、「松竹ブロードウェイシネマ」と銘打ったシリーズで、舞台ミュージカルをビデオ収録し、字幕翻訳を載せて映画館で上映する物。実際の生の舞台も数年前に渋谷ヒカリエで観ているが、キャストも違うようなのでまた観に来た。
複数回観ても良く出来てます。

ところで、映画版では服装倒錯者のローラは劇中で有り物のメジャー楽曲を唄っていたのだが、ミュージカル版はシンディ・ローパーによる書下ろし新曲になっている。それはそれで良いんだが、私は映画版のイジョフォーのドスの効いた迫力のある唄も捨てがたいと思っている。

興味があれば、是非映画版も観て欲しい。

https://youtu.be/dLtMTvua5Nc(舞台ミュージカル版予告)

https://youtu.be/ONUCmbDwz54(オリジナル映画版予告)

不滅の傑作ミュージカル『キンキーブーツ』松竹ブロードウェイシネマでまもなく公開、上映劇場の詳細明らかに | SPICE - エンタメ特化型情報メディア  スパイス

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2021年6月 3日 (木)

6/2 『グリース・ライブ!』(2016)

原題:Grease Live!

アマゾンプライムにて。

トーマス・カイルアレックス・ルジンスキー演出、ジュリアン・ハフアーロン・トヴェイトヴァネッサ・ハジェンズ出演。

映画『グリース』の舞台ミュージカル版を、舞台ではなくリアルタイムのライブドラマとして放送した番組。
単純に舞台ミュージカルをビデオ収録したものだと思って観始めたので、最初は「え?ナニコレ?」となったが、趣旨がわかれば問題はない。
それにしてもこの内容を生放送で流すのは大胆極まりない。10代からのカメラでリアルタイムにスイッチングして、カメラは画面に映らないようにするだけでも凄いが、セットチェンジやキャストのセット移動や衣装替え、もちろんダンスのタイミング等、難題はてんこ盛りだろう。
スタッフは寿命縮むよなぁ。

https://youtu.be/CGGD_SDnWks

グリース・ライブ!】| 海外ドラマboard

 

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6/2 『ジェントルメン』(2019)

原題:The Gentlemen

TOHOシネマズ新宿にて。

ガイ・リッチー監督、マシュー・マコノヒーチャーリー・ハナムヘンリー・ゴールディングミシェル・ドッカリージェレミー・ストロングコリン・ファレルヒュー・グラント出演。

『キング・アーサー』、『アラジン』と、ガイ・リッチーがやらんでも良いんじゃないか?って映画が続いたので、久々にリッチーらしい捻った展開、かつスタイリッシュで笑える犯罪映画で嬉しい。

なんか核とネタバレになりそうなので書かないが、あまり予備知識なく観た方が多分面白い。
ポスターのマコノヒーの後ろの髭面がチャーリー・ハナムだとは気づかなかった。『パシフィック・リム』のイメージが強いからだろうな。

https://youtu.be/JVdSGYfVX3o

映画『ジェントルメン』公式サイト|大ヒット上映中!

 

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2021年6月 2日 (水)

6/1 『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』(1995)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

三池崇史監督、椎名桔平田口トモロヲシーザー武志井筒恭介柳愛里大杉漣出演。

新宿歌舞伎町で刑事が殺された。暴力で勢力を伸ばすチャイニーズ・マフィア「龍爪」の仕業とみて、中国残留孤児二世の刑事・椎名桔平が追う。

勢いでもう一本“三池黒社会”を再見。
『日本黒社会』の方は、田舎出身のとっぽいあんちゃんたちの呑気な雰囲気もあったが、こちらはもっと凶悪度が高い。特に田口トモロヲ。たった今、友だち思いのマヌケな不良を見たばかりなのに、今度は完全に狂った殺し屋。おまけにこっちの方が4歳も若い。不思議な役者だよなぁ、田口トモロヲ。
椎名桔平演じる狂犬刑事も素晴らしく、その他大杉漣やシーザー武志もみんな狂ってる。三池ファンならやっぱり観ておかなければならない。

さて、2か月のサービス期間で観ていたアマプラの「シネマコレクションbyKADOKAWA」も今日で退会。50本近く堪能しました。
大映の旧作をもっと充実して頂ければ、また入会しますのでお願いしますよ、ほんとに。

https://youtu.be/Ng_3S6OCfh0

新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争 - 作品 - Yahoo!映画

 

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6/1 『日本黒社会 LEY LINES』(1999)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

三池崇史監督、北村一輝李丹柏谷享助田口トモロヲ竹中直人哀川翔出演。

田舎の在日中国人ハーフの少年たちが、新宿に出て来てトルエン売りを始め、やがて日本を脱出してブラジルに行く夢を見る。

20年近く前に観て以来。
この映画で初めて北村一輝を知って、なんとも言えない味のある若手だなぁと思った。
今観直しても、三池崇史らしさ溢れる佳作。

新大久保~西武新宿の間で、電車の窓から見える「彦左小路」と言うアパートの2階で哀川翔はトルエンを詰めている。今はこの建物は無くなり、キレイに舗装された道路になっているので、その風景を懐かしく思いながら観る。
大きな勘違いをしていて、カクテキを食べながら襲ってくる男が出て来るのはこの映画だと思っていたが、カクテキ男が出て来ない。観終わってググったら、それは『極道戦国志 不動』の方だった。この映画初めて観た頃、三池崇史作品を集中して観てたからごっちゃになってた。

https://youtu.be/9hB0d_u-6Zk

Amazon.co.jp: 日本黒社会 LEY LINESを観る | Prime Video

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2021年6月 1日 (火)

5/31 『ハード・コア』

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

山下敦弘監督、狩撫麻礼いましろたかし原作、山田孝之佐藤健荒川良々出演。

生きるのに不器用な山田孝之は、群馬の山奥で怪しい活動家の埋蔵金堀りを手伝って日銭を稼いでいる。仕事仲間の荒川良々は気は良いけどアタマが悪い。或る日二人は謎の古いロボットを見つける。山田孝之の弟でエリート商社マンの佐藤健は、そのボロいロボットが実は進んだ技術で作られていることを突き止めるが…。

山下監督なのでゆるい感じのコメディのようなヒューマンドラマのような、なんとも言えない空気が流れる作品。個人的には嫌いではないんだが、ここのところ古い邦画をよく見ていることもあって、ムダに長い間、ムダに緩い時間に感じてしまう。124分もあるんだけど、100分くらいで良くない?良々はいつものように素晴らしいが。

https://youtu.be/_nPt5tq993Q

山田孝之×佐藤健×荒川良々『ハード・コア』 山下敦弘監修のDC版予告公開 - 映画・映像ニュース : CINRA.NET

ハード・コア : ポスター画像 - 映画.com

 

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