原題:Cruella
グランドシネマサンシャインにて字幕版。
クレイグ・ギレスピー監督、エマ・ストーン、エマ・トンプソン、ジョエル・フライ、ポール・ウォルター・ハウザー、マーク・ストロング出演。
『101匹わんちゃん』の悪役、ダルメシアンの毛皮でコートを作ろうとした悪魔のような女、クロエラ・ド・ヴィルの登場を描く。
【ネタバレ】になるので、以下はポスター画像の下に。
https://youtu.be/wSH7sazgCjc
エマ・ストーンはチャーミングで可愛く、エマ・トンプソンは変わらぬ美貌で陰険ババアを楽し気に演じていて、ダブル・エマ映画として成功。リチャード・ジュエルことポール・ウォルター・ハウザーも悪くないし、後半まで画面に映っているのにほぼ台詞なしなのでよくにた別人なのかと思ってしまったマーク・ストロングも良い。
でも長い。ともかく長い。134分は要らないだろう。
そして『ジョーカー』と『ハーレクイン』に影響され意識して、ダークに狂った物語やキャラクターにしようとしたい願望と、“ディズニー映画”としてそこまで振り切ることが出来ないジレンマに苛まれている気がしてならない。個人的にはそのギリギリのところに落とし込めたのかなとも思わなくもないが、やっぱり中途半端な気がする。
そのせいで、クルエラ最大のアイデンティティである邪悪な欲望、「ダルマシアンの毛皮が欲しい」が雲散霧消してしまう。
映画は序盤でエステラ(のちのクルエラ)の母親の死を描く。ハプニングからバロネスのパーティを台無しにしたエステラは、3匹の獰猛な番犬ダルマシアンに追われて生垣に隠れる。その3匹が母親に飛び掛かり、母親は崖から転落死してしまう。俺を含む観客は、「ははぁん、これがクルエラがダルマシアン嫌いになった原因か」と思ったはずだ。
10年後、バロネスの元で服飾デザイナーになったエステラは、母親の形見のペンダントを付けていたバロネスに恨みを抱き、邪悪な復讐心を持ったクルエラと変身する。そして新進気鋭のデザイナー、クルエラとしてバロネスに挑み続け、またペンダントを奪還しようと画策する。その際、たまたまペンダントを3匹のダルマシンのうちの1匹が飲み込んでしまった。子分のジャスパーとホーレスは3匹を盗み出し、糞からペンダントを回収とするがなかなかうまくいかない。その後、ダルマシアン柄の服をまとったクルエラが登場。ダルマシアンの皮を剥いだの?と一瞬思わせておいて、クライマックスでは3匹を従えているクルエラ。彼女はもうすっかりダルマシンたちをバディにしているのだ。
さらにエピローグでは、彼女は2人の友人ロジャーとアニータに、ポンゴとパーディタと名付けた2匹のダルメシアンの子犬をそれぞれプレゼントする。このロジャーとアニータ、ポンゴとパーディタこそが、のちの『101匹わんちゃん』の主人公とヒロイン、そのそれの飼い犬なのである。
おかしいじゃないか???
クルエラはすっかりダルマシアン好きになり、子犬を親友にプレゼントしたのに、そのプレゼントした犬たちが産んだ子犬の皮を剥いでコートを作ろうとするの?それとも、クルエラの狂気はそこまで進んでしまっているって物語なの?この映画だけでは、なぜダルマシアン憎悪をあそこまで激しく燃やす人物になったのかが逆に分からない。
配信と劇場で大ヒットのおかげで、続編も決まったようなので、その心変わりは描かれるんだろうか?
ところで、『101匹わんちゃん』っていつから『大行進』が付かなくなったの?
最近のコメント