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2021年5月31日 (月)

5/30 『透明剣士』(1970)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

黒田義之監督、酒井修熱田洋子桂三枝岡八朗横山やすし西川きよし出演。

怪盗団に父親を殺されたへなちょこ侍が、妖怪ショウケラから教えられた透明になれる秘薬を使って、敵討ちを果たそうとする特撮時代喜劇。

『妖怪大戦争』の監督にして、『大魔神』三部作の特技監督だった黒田義之監督作なので、特撮映画はお手の物。
時間制で透明薬が切れてしまうのだが、全くの透明状態から、まず服だけ見えるようになって、それから中身も見えるようになる。その時々の状態に合わせて、宙を舞う木刀や小道具の見せ方もなかなか上手い。
元々『ガメラ対大魔獣ジャイガー』の併映作なので、子ども観客を喜ばすのが基本。三枝、やすきよ、岡八朗ら、当時の人気漫才師を導入して、持ちギャグで笑いを取る。
傑作とは言わないが、肩の凝らない小品としてはアリ。

 

 

透明剣士 - 解説・レビュー・評価 | 映画ポップコーン

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5/30 『野火』(1959)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

市川崑監督、船越英二ミッキー・カーチス滝沢修浜村純出演。ロカルノ国際映画祭グランプリ受賞作。

太平洋戦争末期、日本軍の敗戦が色濃くなってきたレイテ島で、肺病に罹っている田村一等兵が、米兵、フィリピン兵に追われながら、食べるものもないまま島で右往左往するが…。

田村一等兵=船越英二と共に彷徨う、レイテ島の地獄旅。戦争の悲惨さを生に突き付けてくる反戦映画の傑作。船越英二の爛爛とする眼光は良いのだが、なにか妙にふっくらしてて、戦地で肺病を病んでいるひとに見えないのが残念。それに比べて浜村純の狂ってる感は、毎度の様に素晴らしい。
私がどうこう書いても何も伝わる気がしないので、重厚な反戦映画をご覧になりたい方は是非。

塚本晋也監督・主演による再映画化は未見。多分、塚本版の方がもっと凄惨なんだろうなぁ。

映画感想「野火」(1959) | 大TOKYOしみじみ散歩日記

 

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2021年5月30日 (日)

5/29 『アルプス征服軍 ハンニバル』(1959)

原題:HANNIBAL

ブルーレイにて。

エドガー・G・ウルマーカルロ・ルドヴィコ・ブラガリア監督、ヴィクター・マチュアリタ・ガムガブリエーレ・フェルツェッティ出演。

カルタゴの将軍ハンニバルの第二次ポエニ戦争における活躍、ローマ侵攻と、ローマ元老院の政務官ファビアス・マシマスの姪シルヴィアとの恋。

にわかウルマーファン、8本目。
メインの監督はイタリアのカルロ・ルドヴィコ・ブラガリアだという話もあるようだが、よくは分からん。
史実に基づいたサンダル史劇で、映画は始まった瞬間にいきなりのアルプス越え。10頭くらいの本物の象を使った撮影はちょっと驚愕。スタジオとは言え、よくこんなに象を借りて来れたなぁ。この象を何にするのかと言えば、そのまま敵軍に突っ込ませて蹴散らして踏みにじっていくエレファント・スタンピード兵器なのである。恐ろしい兵器があったもんだ。タイの『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』でも、象が暴走して人を踏み潰す描写があったのを思い出した。
映画中盤は、ハンニバルとシルヴィアのロマンスで、ちょっとかったるい。
だが、最後のクライマックスが広大な丘陵地帯での白兵戦。一体どれほどのエキストラが動員されているのかわからないが、とんでもない数の兵士が画面の奥の奥の方まで埋め尽くしての大乱戦。SFXやCGではない、この物量の凄さはちょっと感動。

ところでこのブルーレイ、新品で購入したのに封入特典が入っていない。発売・販売元の「復刻シネマライブラリー」のサイトを見ても、連絡先の電話もメールも無い。会社を調べたら、TSUTAYAのカルチュア・エンタテインメントだと分かったが、こちらにも商品に関する問合せ先が無い。


仕方なく「復刻シネマライブラリー」のツイッターに問い合わせる。

---以下返信-------------
お問い合わせありがとうございます。
Joshin-Webさまではおいくらでご購入いただきましたでしょうか?税抜3,000円の場合、封入特典は付属いたしません。もし印刷されていたとすればこちらのミスとなります。この場で申し訳ございませんがお詫びいたします。
------------------------------

返って来た答はこれだけ。
本当に驚いたんだけれど、印刷されている封入特典が入っていなくても、それは印刷の方がミスだという強弁。
TSUTAYAとか本当に信用ならない会社だと胆に銘じました。

Wer streamt Hannibal? Film online schauen

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2021年5月29日 (土)

5/28 『アイリッシュマン』(2019)

原題:The Irishman

Netflixオリジナル。

マーティン・スコセッシ監督、 ロバート・デ・ニーロアル・パチーノジョー・ペシ出演

とんでもない製作費のかかった、ある意味スコセッシの集大成。
1950年代から80年代に掛けての実在の人物たちを、今はすでに老人である名優たちがILMの最新技術で若返って、全ての年代を演じ切る。俳優たちの年齢ごとの演じ分けも素晴らしいが、それを可能にしているILMの凄さでもある。
210分の上映時間は正直長いけれど、スコセッシファンなら苦にはならないだろう。

https://youtu.be/05uH8pj1B1E

アイリッシュマン - ネタバレ・内容・結末 | Filmarks映画

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2021年5月28日 (金)

5/27 『宇宙を駆けるよだか』(2018/全6話)

Netflixオリジナル。

松山博昭監督、重岡大毅神山智洋清原果耶富田望生出演。

裕福な家庭で育ち、美人で性格も良いあゆみが、貧乏でブスで性格も悪い然子から自殺予告をされる。助けに向かったあゆみは気を失ってしまったが、気付くと中身が然子と入れ替わってしまっていた。それを周囲に訴えても、家族も友人も誰も分かってもらえない。そんな中、同級生の火賀だけは、彼女があゆみだと気付いた…。

『転校生』でも『フェイス/オフ』でも良いが、入れ替わり物は1人の役者が2つの演技をすることになる。そうすると、演技力がハッキリと比べられてしまうので、なかなか役者さん的にはキビシイ作品になる。本作の主演の女の子2人はどちらも頑張っており、視聴者にそれなりの説得力をもって入れ替わったことを見せてくれる。特に、とんでもない性格ブスが、愛されキャラへと変わり、見た目も愛嬌が出て来るため、富田望生の方が美味い役だっただろうな。
原作が少女漫画だそうなので、入れ替わりの考証がどうのこうのとか言うのはヤボ。単にファンタジーで観ればいいと思うし、原作読者層から言って、ジャニーズWESTの男の子2人も、きっと良いキャスティングなんだろう。

なんとなく観始めたけれど、全然悪くなかった。ところで、なんでこのタイトルなんだろう?原作ではタイトル説明あるのかな?

https://fb.watch/5VIv7sAxoP/

Netflixドラマ「宇宙を駆けるよだか」を絶対に見てほしい - 満ち欠けの物語

 

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2021年5月27日 (木)

5/26 『夜歩く男』(1948)

原題:HE WALKED BY NIGHT

アマプラにて。

アルフレッド・L・ワーカー監督、リチャード・ベースハートスコット・ブラディロイ・ロバーツ出演。

深夜のダウンタウンで職務質問した警官が突然射殺された。ロス市警は全力を挙げて捜査を開始するが、目撃証拠・遺留品証拠も動機もなく難航を極める。やがてハンサムな自称エンジニアのリチャード・ベースハートが容疑者に浮かび上がるが…。

『第三の男』の元になった物語だそうで、実話の映画化。
79分しかないが、古い映画なので前半は結構タルい。しかし、中盤以降、当時の最新鋭技術モンタージュや、ストーリーにまったく絡まないミルクに毒入れられてるオバサンの「ミルクに毒入れられてる!」発言、そして地下下水道での攻防戦など、割と面白くなってくる。

https://youtu.be/FMkGu8AQScA

夜歩く男」 | letrou0123のブログ

 

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5/26 『月光仮面 THE MOON MASK RIDER』(1981)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

今日は皆既月食なのに雲が掛かっていてボンヤリしか見えなかったので、代わりに『月光仮面』を観ることにした(笑)。

澤田幸弘監督、桑原大輔主演。

リブートではなくTV版から20年後の設定で、「月光仮面」の名前を聞いた警官が「懐かしい」と言ってみたりするが、人物としては別人で三代目と言うことになるんだそうだ。

私が高校生の時に公開され、吉祥寺の東急デパートの入り口にムーンライト号と月光仮面が来て宣伝イベントをやっていた。ムーンライト号は、タンクの上にコンピュータが搭載されている設定なのだが、イベントに来ていたのはアクション用バイクだったようで、電卓みたいな物がプリントされたステッカーがタンクに貼られており、なんだか物凄くガッカリした記憶がある。

数年後、TV放送された時に観て、途中で止めてしまった気がするので、多分ちゃんと観るのは初めて。いまさら観直しても、やっぱりツッコミどころ満載----と言うか、ツッコミどころしかないような物語です。逆に、そこそこ頑張ってるアクションもあるので、余計に困っちゃったなぁって映画。あの傑作日活ニューアクション、『反逆のメロディー』を撮った澤田監督はなんでこんなの撮っちゃったんだろう?

主演の月光仮面役、桑原大輔が全く分からないのだが、周りは志穂美悦子藤岡琢也井上純一鈴木瑞穂地井武男原田大二郎ジョニー大倉鈴木ヤスシガッツ石松桜井センリ小松方正等、何気に豪華…と言うか曲者ぞろい。

https://youtu.be/T0OIKD_-b5k

 

愛の助っ人・月光仮面~: 風こぞうのブログ



 

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2021年5月26日 (水)

5/25 『EVA〈エヴァ〉』(2011)

原題:EVA

アマプラにて。

キケ・マイーリュ監督、ダニエル・ブリュールマルタ・エトゥラクラウディア・ベガルイス・オマール出演。

天才的なロボット学者アレックスが10年ぶりに故郷に帰って来る。故郷には実の兄とその妻で自分の元カノが住んでいた。開発が途中になっている子ども型ロボットの開発を再開するが、モデルになる男児に納得がいかない。そんな時、兄たちの娘のエヴァが個性的でモデルにするのに適していると気付く。

スペインのゴヤ賞やガウディ賞を色々受賞してるSF映画。
ロボットのA.I.をプログラムするのに、空中にAR(?)として浮かんだパーツを組み合わせるのが面白い描写。エヴァを演じるクラウディア・ベガと、ルイス・オマール演じる執事ロボットがなかなかいい雰囲気。
物語は…予想出来ちゃうかなぁ。

https://youtu.be/EbODKByF6d8

Amazon | EVA<エヴァ> [DVD] | 映画

 

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5/25 『藍に響け』(2021)

新宿武蔵野館にて。

奥秋泰男監督、紺野彩夏久保田紗友主演。

評判が良いようなので観てみた、女子高生和太鼓スポコン映画。

和太鼓演奏シーンは良いのだけれど、主人公の2人が何を考えているのかよく分からないのがツライ。特に紺野彩夏演じるタマキが、なぜ和太鼓に惹かれ始めたのか?なぜ全国大会優勝を目指し始めたのか?なぜそんなにいつも仏頂面で、他人に厳しく当たるのか?
彼女が輪の葛藤がもうちょっと描かれないとノリ難いなぁ。
漫画原作らしいが、原作は全く知らなかった。って言うか、原作『和太鼓†ガールズ』とタイトル変えちゃってるから、原作読んでる人でも気付かずにスルーしちゃわない?

https://youtu.be/j9hFLFkrfU8

藍に響け | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品・上映情報 - 映画ナタリー

 

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2021年5月25日 (火)

5/24 『アーミー・オブ・ザ・デッド』(2021)

原題:Army of the Dead

Netflixオリジナル。

ザック・スナイダー監督、デイヴ・バウティスタエラ・パーネルアナ・デ・ラ・レゲラギャレット・ディラハント真田広之出演。

エリア51からコンテナを輸送中の米軍が事故に遭い、中身のゾンビが脱走。ラスベガスはゾンビに占領され、米政府は街全体を封鎖隔離した。街の中には今でも大金が眠っており、真田広之はデイヴ・バウティスタら傭兵を雇い、その大金を入手しようとするが…。

ザック・スナイダー、『ジャスティス・リーグ』降板以降初の新作長編。
完全にラスベガスだけにゾンビを封じ込められていて、世界滅亡の危機的状況じゃあないのが、比較的珍しい。この設定も物語も、韓国の『新 感染半島』と似ているが、どっちが先の企画かは知らない。
タイトルバックで、延々スローモーションでゾンビにやられたり闘ったりする人々を描いているポップ&ゴアな描写はいかにもなスナイダーク節。最近はスローモーションばかりで、『300』の時みたいなスローとクイックの混在するのが好きな私は、ちょっと物足りない。
ゾンビ界に組織とか序列があったり、妊娠したり、色々と新たなゾンビ観を導入しており、クラシックゾンビファンの賛否は分かれそう。
私としてはまぁアリ。

https://youtu.be/Z1r2hrWNOkc

アーミー・オブ・ザ・デッド : 作品情報 - 映画.com

 

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5/24 『日曜日の人々』(1930)

原題:MENSCHEN AM SONNTAG/PEOPLE ON SUNDAY

「エドガー・G・ウルマー傑作選DVD-BOX」にて。

ロバート・シオドマク、エドガー・G・ウルマー監督、ビリー・ワイルダー脚本、フレッド・ジンネマン撮影助手。

錚々たる面子で作られたサイレントの自主映画。
出演者は俳優ではなく、タクシー運転手、レコード店員、ワイン店員、エキストラ女優、モデルで、彼らがベルリン郊外の湖にピクニックに行く様子を撮った作品。ドキュメンタリー調ではあっても、ドキュメンタリーではなく、彼らがのんびりと遊び楽しむ様子を活き活きと映し出す。
いつもウチの店で流してるキートンとかのスラップスティック映画みたいな、滑って転んでアッハッハ----みたいな サイレントではなく、物語はあって無きがごとしのサイレント映画なので、シンドイっちゃあシンドイです。監督や脚本等、スタッフの
濃いめのファンにならオススメ出来ますが。
ピアノ演奏は柳下美恵さん。

Christl Ehlers | Filmhuis Mechelen

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2021年5月24日 (月)

5/23 『穴』(1957)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

市川崑監督、京マチ子船越英二山村聡菅原謙次北林谷栄出演。

汚職警官の記事を書いて出版社をクビになった京マチ子。彼女の友人の北林谷栄は、彼女が1か月間失踪し、それを見つけた人には懸賞金を出し、失踪生活をルポルタージュにする企画を週刊誌に売り込むことを思いつく。週刊ニッポンが企画に乗ったが、当座の資金がないため第億銀行に融資へ融資を申し込んだ京マチ子。第億銀行の山村聰らは、預金横領を計画しており、彼女の失踪計画に合わせて、犯人に仕立て上げることを思いつくが…。

犯罪ものではあるが犯罪計画がガバガバ過ぎるので、推理とかミステリーって物語ではなく、ブラックなコメディ。映画上の失踪生活はあっという間に過ぎ、最後の最後で自分が事件に巻き込まれていることを知って、京マチ子が大活躍。まさに七変化で、次から次へと衣装もメイクも変えていく。彼女のファンならそれだけで楽しいだろう。
汚職刑事役の菅原謙次とその情報を売った石井竜一のヌケ作感が良い。
意外な見どころは、京マチ子と船越英二が密かに会う野原。よく見ると、後方にプラネタリウムの乗った建物があって、このロケ地が渋谷駅のそばであることが分かる。もう本当に草ボーボー。
それと、珍しく北林谷栄がバーチャンじゃなくて実年齢で出演。

若林伸重 on Twitter: "#京マチ子 #MachikoKyô 🎂🎉 1924.3.25-2019.5.12 Black Lizard  (1962)… "

 

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5/23 『黒猫』(1934)

原題:THE BLACK CAT

「エドガー・G・ウルマー傑作選DVD-BOX」で。

エドガー・G・ウルマー監督、ボリス・カーロフベラ・ルゴシデヴィッド・マナーズジュリー・ビショップジョン・キャラダイン出演。

ブダペストへ向かうアメリカ人の新婚アリスン夫妻の個室に、戦争帰還者のベラ・ルゴシが乗り合わせた。彼は15年振りに古い友人を訪ねるのだと言う。列車を降り、同じバスに同乗した3人であったが、豪雨の中運転を誤ったバスは谷間へと転落。アリスン夫妻の妻ジョーンが傷を負ったため、彼らはベラ・ルゴシの友人であるボリス・カーロフの邸宅へと身を寄せる。しかしルゴシとカーロフの間には、何かただならぬ因縁が隠されているようで…。

にわかウルマー・ファン6本目は、冒頭に「エドガー・アラン・ポーの『黒猫』から着想を得て」的なクレジットが入るものの、実際には全然違う物語。
ベラ・ルゴシが極度の「猫恐怖症」で、黒猫を見かける度に悶絶するという謎設定のみが、黒猫の登場する理由。別物なら別物で構わないが、製作のユニバーサルが怪奇映画売りだったから、何かフックが欲しかったってことなのかな?
それよりも、まずはベラ・ルゴシ(=ドラキュラ)VSボリス・カーロフ(=フランケンシュタインの怪物)の二大怪奇俳優初の顔合わせ。いわゆるホラー・キャラクターではなく普通の人間として登場する訳だが、実にインパクトの強い相貌が堪能できる。とは言え、カーロフは超常的な何かではないとは言え、悪魔崇拝の教祖(?)にして、惚れた女を剥製だかにしてガラスケースに入れて密かに飾り、さらにその女の娘とも結婚してしまうような変態野郎なので、普通の人とは言い難い。ルゴシは自分の妻と娘をカーロフに取られた上に戦地に送られた復讐の鬼と化している。こんな二人の諍いに巻き込まれるアメリカ人新婚カップルも実に運がない。

さて、この映画の見所の一つは独特な美術である。要塞の跡地で多量の死体が埋められた上に建っているという話なのだが、この邸宅が古城とかではなく、実にモダンな建築物。洋風だが障子の様に格子がはめられた窓や螺旋階段、方眼用紙のような目盛りが切られたガラスの壁など、なんとも魅力的。その建物の詳しい紹介をしているブログがこちらにあったので、ご興味のある方はリンク先へ。

Amazon|黒猫 映画ポスター (27 x 40インチ - 69cm x 102cm) (1934)|インテリア オンライン通販

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2021年5月23日 (日)

5/22 『鍵』(1959)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

市川崑監督、谷崎潤一郎原作、京マチ子叶順子仲代達矢中村鴈治郎北林谷栄出演。

初老の古美術鑑定師の中村鴈治郎が、妻の京マチ子を、娘の叶順子の許嫁である仲代達也と浮気をするように仕向けて、その嫉妬心で回春を図ろうとするが…。

出て来る登場人物が、みんな揃って薄気味悪い。
登場人物全てに本音と建前が有り過ぎて、全員顔色一つ変えずに嘘をつく。性的なことへの考え方も薄気味悪いんだが、それを演出と演技が後押しする。常に目を見開き、最低限の回数しか瞬きをしない仲代達矢。ねっとりと纏わりつくような目線で凝視する鴈治郎。京劇のメイクのような化粧をした京マチ子。死んだ魚みたいな眼で毒を吐く叶順子。本当は全員を嫌っているのにひょうひょうとしている北林谷栄ばぁさん。
それを薄暗い日本家屋の中で、市川崑らしい陰影の深い映像でジメっと映し出す。
例えば、風呂場の湯船で気を失った京マチ子を助け出す鴈治郎と仲代。鴈治郎が言う。「木村さん、あんたは指の股を拭いてやって」うへぇ、気持ち悪いぞ、鴈治郎(苦笑)。
好きな映画ではないが、観ていて居心地の悪い人間関係と、ジリジリじめじめした世界から目が離せなくなる。

ちなみにモロ的に何かが映ったりはしないが、当時は成人映画に指定されていたそうで、子どもは観ちゃいけない淫靡な世界ってことですな。

追悼 京マチ子】鍵 [1959](12/22、1/2) - 映画情報<上映終了>

 

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5/22 『野望の果て』(1948)

原題:RUTHLESS

「エドガー・G・ウルマー傑作選DVD-BOX」で。

エドガー・G・ウルマー監督、ザカリー・スコットルイス・ヘイワードダイアナ・リンシドニー・グリーンストリート出演。

億万長者のホレスが、自分の私財をなげうつチャリティ・パーティを開いている。会場へと向かうヴィックとマロリー。彼はホレスに対して遺恨を持っていた。ヴィックはホレスの幼馴染だったのだ。
少年時代にガールフレンドのマーサが溺れるのを助けたホレス。彼の父は女に走り、継母には捨てられたが、マーサの両親の援助があって、ハーバードへ進学し、マーサとの婚約も果たした。だが彼はそれに飽き足らず、金融界で足掛かりを得て、次々と支援者と女を踏み台にして、億万長者へと成り上がって行くが…。

にわかウルマーファンの5本目。
山崎豊子原作、山本薩男監督、田宮二郎主演の大映作品みたいな映画(笑)。
原題の「Ruthless」の通り、冷酷に無慈悲にのし上がっていくホレス。弁舌さわやかな二枚目で人たらし、だがその中身には出世欲と金のことしかない。チャリティーパーティを開いたのは、心底慈善のためなのか、それともただの節税対策か?と言う観客の疑問に始まり、招待客たちの回想によってホレスの人間性を語っていく趣向。恩人も女も何とも思っていない、ただの踏み台だと考えていたはずのホレスが、唯一心残りだったのがマーサであり、ヴィックの連れて来たマーサに瓜二つのマロリーをどうしても自分のモノにしたくなる。そのマロリーに「Not a man, a way of life」と言われてしまう。やっぱり人間は金と出世だけじゃあかんねと普遍の真理。
陰影のはっきりしたノワール調のシャープな画作りもカッコよく、流石のウルマー。
俳優陣は全般的に好演。強欲なシドニー・グリーンストリートと、可憐なダイアナ・リンが良かった。

Ruthless (1948) - Rotten Tomatoes

 

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2021年5月22日 (土)

5/21 『ザ・ビースト』(2019)

アマゾンビデオにて。

ニック・パウエル監督、ニコラス・ケイジファムケ・ヤンセンケヴィン・デュランドマイケル・インペリオリ出演。

アマゾンのジャングルで希少なホワイトジャガーを捕獲したニコラス・ケイジは、その他のバクや猿、毒蛇などと共に貨物船に乗り込んだ。ところが、同じ船には元特殊部隊の凶悪殺人犯ラフラーと、彼を護送するNSAの猛者たち、ラフラーを監視する女医なども乗り込んでいた。そして予想通り、殺人鬼が檻を破って船内に逃げ出し、さらに動物たちも檻から解き放った…。

1か月以上ぶりのニコケイ映画は、最近のメインビジュアルでは主役風なのに、実はニコラスの出番がちょろっとしかない詐欺映画ではなく、本当に主役で色々ごった煮感溢れるアクション・サスペンス。でも、ポスターに描かれているクマやゴリラは微塵も登場しないので、やっぱりポスター詐欺と言えば詐欺(笑)。
ワシントン条約もアマゾンの村人の信仰も、丸ごとぶっちぎってホワイトジャガーで一攫千金だぜ、ゲヘヘヘヘってニコケイのクズっぷりが素晴らしい。で、船内には凄腕殺人犯、野獣、護送の兵士、船員、女医、ハンターが入り乱れてのバトルになる。言ってしまえば『沈黙の戦艦』と『コン・エアー』足して、そこに野生の肉食獣とハンター合わせたようなもん。猿がキッチン占拠したり、毒蛇に噛まれた船長の命が保つかとか、弓や毒吹き矢、麻酔銃などのハンティング用具とサブマシンガンやハンドガンなど多彩な武器もあって、全体に雑でガバガバではあるけれど、意外と面白いじゃん。
監督はニコケイ映画『ザ・レジェンド』のニック・パウエル。女医さんがお久し振りのファムケ・ヤンセン。

https://youtu.be/WyPYyQyomIQ

ザ・ビースト - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

 

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5/21 『續々十代の性典』(1953)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

小石栄一監督、若尾文子南田洋子小田切みき出演。

「性典シリーズ」第三弾で最終作。

前2作では若尾文子が裕福な家の娘で、南田洋子が貧乏な家の娘だったのが、今回は逆。両親の居ない若尾は姉に育てられており、親の遺産で暮らしていると思っているが、実はキャバレーダンサーをしている姉が生活を支えている。老舗の服屋の娘の南田は、親の決めた許嫁の根上淳が不満。級友の男女混合でキャンプに行った先で、事件が起こる。

今回は比較的軽めの物語展開だと油断していたら、最後の最後で船越英二が南田洋子を強姦。一気に重い話になる。このシリーズは3作とも強姦が描かれるが、製作年が1953年なので直接的な描写はない。あくまでその後に苦悩し、嘆く被害者が描かれるだけではあるのだが、観客には十分重く伝わってくる。毎度毎度、南田洋子は幸が薄い役で、若尾文子はそれほど悲惨な立場にはならないんだね。

そういえば、昨日星野源との結婚が発表されたばかりの新垣結衣のデビュー作『恋空』では、キレイなお花畑での美しい強姦場面があって呆れかえったなぁと思い出した。

 

大映 若尾文子 十代の性典 B2番の入札履歴 - すべての入札履歴

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2021年5月21日 (金)

5/20 『満員電車』(1957)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

市川崑監督、川口浩笠智衆杉村春子小野道子川崎敬三船越英二出演。

一流大学を卒業した川口浩は駱駝麦酒株式会社に就職、尼崎工場に配属された。効率よく働いていると、上司からは限りある仕事量を定時まで掛けて処理しないと、ほかの社員に迷惑だと言われ、先輩からは「健康が第一、怠けず休まず働かず」がサラリーマンの基本だと諭される。そんな折、父親から母親が発狂したと連絡が入る。大学につてを頼り、精神科の研修生を父のもとに派遣してもらうが、今度は母親から発狂したのは実は父親の方だと知らされる…。

サラリーマン喜劇かと思って観始めたら、喜劇は喜劇でもかなりのブラック。ドス黒くてあまり笑えるようなものではない。
ちょうど衣笠貞之助の『狂った一頁』を観てすぐだと言うのに、こちらも夫婦で妻が夫を精神病院に入れる話。
歯車となって生きるサラリーマン、ストレス、会社組織、大学をはじめとする日本の教育、就職等、様々な日本の問題点を、独特な黒さで描いており、正直なところ『狂った一頁』よりもこっちの方が狂ってて恐ろしい映画だった。

劇中の「駱駝麦酒」は「麒麟麦酒」のもじりで、実際のキリンビール尼崎工場で撮影がされていると思われる。
新入社員研修でビールの製造工程の説明が有ったり、リターナブルなビール瓶の洗浄~ボトリング~ラベリングの工程をきっちりと描写していたり、社員食堂で社員たちがぎゅうぎゅうになってカレーライスを食べる場面があったりと、昭和30年代のキリンを見られるのは面白い。

映画「満員電車」(1957)市川崑監督作品。 - fpdの映画スクラップ貼 (名作に進路を取れ!)

 

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5/20 『狂った一頁』(1926)

衣笠貞之助監督、川端康成原作・脚色、円谷英二撮影助手、井上正夫中川芳江出演。

「アマゾンプライムにこんな映画がある」と一部でバズっていたので観てみた。
1926年のサイレント映画で、音楽は付いているが、セリフは音声も字幕も一切なし。内容的にもかなり難しい前衛映画。
「怖い、怖い」と書かれていたのだが、踊る女性や能面は不気味だが、それほど怖いとは思わなかった。むしろ話がよくわからない。Wikipedia等にはあらすじが書かれているのだが、映画を観ていてもその内容はあまり伝わって来なかった。主人公と精神病院に入れられている女が夫婦であることの説明すら映画を観ているだけでは分からないのでは?

…と思ったら、アマゾンプライムにあるのは69分版、Wikipediaによると元々70分で現存するのは59分版だと言う。
Youtubeで検索したら、こちらにあるのは59分版でタイトルは無いがスタッフ&キャストのクレジットがあるが、アマゾンプライムにあるのはスタッフ&キャストクレジットが一切ないバージョン。するとアマゾンプライム版は元の70分版からタイトル等を1分削った元の全長版なのではないのか?そして、このキャストクレジットを見てから映画が始まれば、主人公たちが夫婦だと理解出来るのではないかと思ったのだが、如何だろう?なお、アマゾンプライム版の方が画像はクリア。音楽も異なるものが付けられている。

ちなみに1926年と言えば、私の大好きなフリッツ・ラングの『メトロポリス』と同じ年。あちらもこちらもどちらも撮影技巧に凝った作品ではあるが、個人的には『メトロポリス』に軍配。

狂った一頁』(1926)奇跡的に見つかった日本発の前衛映画。未だ発売されず。: 良い映画を褒める会。

https://youtu.be/UXlQ1_9Ypwo

 

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2021年5月20日 (木)

5/19 『惑星Xから来た男』(1951)

原題:THE MAN FROM PLANET X

DVDにて。

エドガー・G・ウルマー監督、ロバート・クラークマーガレット・フィールドレイモンド・ボンドウィリアム・シャラート出演。

アメリカ人ジャーナリストのローレンスは、スコットランドのバリー島の古城へやって来た。ここではエリオット博士とミアーズ博士が、数日中に地球に最接近すると思われる惑星Xを研究しているのだ。ある晩、博士の娘イニードとローレンスは、島の湿地に宇宙船が着陸しているのを発見した。この宇宙人、博士たちとのファースト・コンタクトでいきなり地面に倒れて悶絶する。ヘルメットに空気を送るバルブが閉まったのか、上手く調整が出来ないのか、理由はよく分からないのだが、呼吸出来ずに倒れてしまうのである。敢えて言うなら、『海底人8823』が赤土で滑って転んで生命より大切なベルトが外れて倒れていた時のように。それを見たローレンスが、ヘルメットのバルブを開けて宇宙人を救う。宇宙人は感謝した風で、彼らに付いて古城にやって来る。どうやら友好的な宇宙人のようなのだが、突如として世界征服に目覚めたミアーズ博士は、宇宙人を利用しようとして宇宙人に襲い掛かる。その後、いつの間にか脱出した宇宙人が、次々と村人を誘拐・洗脳し、宇宙船まわりで土木作業をさせ始める。宇宙人は、地球人を操る謎の光線を使うことが出来たのだ…。

お前だったんか~い!
と思わず言ってしまったこのジャケ写。中学生頃から『スターログ』とかSF映画を紹介した雑誌、書籍などで何度も見た写真、何度も見た姿だけれど、実際に映画を観たことはなかったのがこの宇宙人、それがX星人(惑星X人?)。これだけ長い月日を超えて、突然やって来た「マイ“エドガー・G・ウルマー”ブームで再会するとは思わなかった。
さてこの宇宙人の目的が、友好なのか侵略なのかよく分からない。腹黒いミアーズ博士曰く、「惑星Xが凍土に覆われて絶滅の危機に瀕しているから地球に移住したがってる」って目的があるようなんだが、それもよくは分からない。50年代SFとしては並みの出来なんだけど、結局目的が曖昧な不思議な映画だ。

ところで、舞台になるのはスコットランド。ウイスキー・バーテンダーとしてはどこだろうと気になるところなんだが、このバリー島で検索するとウェールズにある半島しか見つからなかった。映画内で船か飛行機でやって来る場所として描写があるので、半島ではなく島のはずなんだが、架空の島なのかな?

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2021年5月19日 (水)

5/18 『續十代の性典』(1953)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

佐伯幸三監督、若尾文子南田洋子小田切みき瑳峨三智子長谷部健出演。

前作とは物語も設定も全く関係ない続編。
今回は従兄の根上淳に恋心を抱く南田洋子が、偶々腕時計を拾ってあげた大学生に酒を飲まされ犯されて妊娠してしまう。その妊娠が学校にばれて、級友たちから非難され自殺未遂を図るが、若尾文子や根上淳に励まされ、前向きに生きようとする物語。

前作同様、当時としてはかなり攻めた性教育映画。女学生たちが女教師の月経周期を読んでヒステリーの日を探る冒頭から、血縁のある男性との結婚、年上の女性から少年への誘惑、レイプ、妊娠等々、十代の性にまつわるエピソードを盛り沢山に描く。
後の嵯峨美智子が女学生役で出ているようなのだが、どの子なのかがよく分からない。ポスター下部の三人娘の真ん中の子なのかなぁ?

昭和28年の井の頭線吉祥寺駅の風景が2度ほど登場し、その田舎っぽさに驚く。

ヤフオク! - 映画ポスター 続十代の性典 大映 若尾文子

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5/18 『驚異の透明人間』(1960)

原題:THE AMAZING TRANSPARENT MAN

アマプラにて。

エドガー・G・ウルマー監督、マーゲリット・チャップマンダグラス・ケネディジェームズ・グリフィスアイヴァン・トリーソール出演。

手引きされて刑務所を脱獄したファウスト。脱獄させたローラ、用心棒のジュリアン、亡命した原子科学者ウーロフ博士は、クレナー少佐に指揮されていた。少佐と博士はファウストに特殊な放射線を当て彼を透明化し、国の施設に忍び込ませて放射性物質を盗ませる。クレナー少佐は大量の透明化人間を作り出し、透明人間部隊を組織しようと画策していたのだ…。

にわかウルマー・ファン4日目にして3本目。
透明人間ものだと、昔は透明人間になって金を奪う、最近は透明になって欲望が暴走してエロからバイオレンスへと走るのが定番。でも本作では、透明になって、透明になるための物質を盗み、さらなる透明人間を作ろうとする新機軸。透明化した人間が狂暴になって暴れたりはしないが、その代わりに被爆してしまう。刑務所に入っていたくらいなので、元々ファウストは犯罪者だし善人ではないのだが、意外と自分なりのスジがあったりして、極悪人ではない。そして透明人間ものに定番の包帯グルグル巻きから、それをクルクルっと解いて中身がないのを見た女性が「きゃあああああっ!」って定番恐怖シーンもなく、ちょっとノワールな犯罪ものっぽい演出も相まって、色々と定石を外していく透明人間映画で面白い。

The Amazing Transparent Man (1960) - IMDb

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5/18 『大綱引の恋』(2020)

新宿武蔵野館は緊急事態宣言下でも5/12から上映再会しているというので、とりあえず何か観ようと。

佐々部清監督、三浦貴大知英比嘉愛未石野真子出演。

昨年亡くなった佐々部清監督の遺作で、鹿児島県薩摩川内市の川内大綱引を題材にした町興し映画。
「川内大綱引」と言う祭自体を初めて知ったので、その部分は非常に興味深いんだが、登場人物が皆過度に祭に思い入れ過ぎに見える。
祭の三役と言われる「大将」「押大将」「一番太鼓」。中でも「一番太鼓」が一番の名誉らしいのだが、旦那が「一番太鼓」に選ばれた妻は、「仕事を辞める」と言う。別な女性が妊娠したと告げると、「なんでこの綱引きの時期に」と家族が嘆く。癌になった聞いても、「なんでこの綱引きの時期に…」と、ともかく人生の中心がみんな綱引き。これって薩摩川内市民なら当たり前の思い入れっぷりなの?

町興し映画なので、話がベタなのは構わないんだけど、随所に謎の演出が散りばめられてて、観ていて恥ずかしさが込み上げてくる瞬間が多々ある。ネットだとそれなりに評価高いみたいだけど、なんでだろう?

https://youtu.be/UYt97EVWXf4

完売御礼!】映画「大綱引の恋」有料完成試写会のチケットは完売しました – こころ | 薩摩川内観光物産ガイド

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5/17 『十代の性典』(1953)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

島耕二監督、南田洋子小田切みき沢村晶子若尾文子出演。

生理日の変調から出来心で若尾文子の財布を盗んでしまった南田洋子。その財布から出て来た匿名の恋文で噂が立つ若尾文子。若尾文子は別な女子上級生、沢村晶子に惚れており、さらにその女子上級生は別な男子大学生と付き合っているが、子どもの頃に性暴力を受けたことがトラウマになっているクリスチャン。さらにその男子大学生に惚れている女子大学生は、いつも3人の男子大学生をお供に連れ歩いており…。

と、当時としてはかなり攻めてたのかもしれない、思春期の成長と性徴と心を描いた映画。センセーショナルな雰囲気ではありつつも、中身は至って真面目です。
南田洋子の家が貧乏で、なんとか千円を作ろうとするエピソードは一応の決着はつくけど、途中でほっぽらかした印象になるのが残念。南田洋子で始まったのに、沢村晶子で終わるので散漫な印象を受けてしまう。

ヤフオク! - 映画ポスター 十代の性典 大映 若尾文子

 

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2021年5月18日 (火)

5/17 『宇宙のデッドライン(旧題:未来からの脱出)』(1960)

原題:Beyond the Time Barrier

アマゾンプライムにて。

エドガー・G・ウルマー監督、ロバート・クラークダーレン・トンプキンスアリアンヌ・アーデンウラジミール・ソコロフ出演。

新型超音速機X-80のテストパイロット、アリソン少佐は超スピードで成層圏を飛行することに成功するが、飛び立ったサンズ空軍基地と連絡が取れなくなってしまう。仕方なく帰還したが、基地は荒れ果てた場所になっていた。地下に住む何者かに捕らえられたアリソン少佐は、そこが2024年の未来であり。放射能塵を由来とする疫病により、人類のほとんどが聾唖者かミュータントに変異してしまっていることを知った。

『恐怖のまわり道』が素晴らしかったので、同じエドガー・G・ウルマー監督の『宇宙のデッドライン』を観る。
2024年ったら、あと3年でこんな世界になっちゃうんですよ。疫病ネタなので現在のコロナ禍にマッチしているかと思いきや、放射能由来----それも核戦争によるものではなく、地球上での度重なる原水爆実験自体の放射能と、おそらくそれによるオゾンホールか何かで宇宙からもたらされた放射線が原因。この当時のSF映画なら「核戦争後」の方が簡単なのに、明確に「核戦争なんて起きなかった」と断言しちゃうのは珍しい。また、時空を超えた原因が、超音速機自体の速度に、地球の自転、公転、太陽系の公転、天の川銀河の移動、全ての移動の速度が合わさって、そこへ基地への帰還のために飛行角度を変更したことで、時空を超えてしまったと説明。無茶な話ではあるが、説明しておこうという誠意は感じる。また、過去からの来訪者は60年からやって来たアリソンだけでなく、別な偶然によって73年からも、94年からもやって来ていたという設定も、今までありそうで意外とないのではないか?

ボールドキャップ(=ハゲヅラ)を被っただけのミュータントとか、多重露光でのタイムスリップとか、随所に安っぽさもありつつも、三角を基調とした地下要塞のデザインと美術などに予算が掛かっており、バランス感がちょっと不思議。
『恐怖のまわり道』には及ばないが、これはこれで50年代SF(ギリギリ60年だけれど)の佳作。
『アウターリミッツ』の1エピソードになってそうなお話。

https://youtu.be/gpGTW0LNR5c

外出自粛映画野郎「宇宙のデッドライン」|hitoshi kawamura|note

 

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2021年5月17日 (月)

5/16 『蜘蛛の瞳』(1998)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

黒沢清監督、哀川翔ダンカン大杉漣菅田俊寺島進中村久美梶原聡阿部サダヲ出演。

娘を殺された哀川翔は、5年後に犯人を拉致し殺害する。目的を達し、虚無的になっている彼の前に学生時代の友人のダンカンが現れ、殺し屋の会社へのリクルートをするが…。

『蛇の道』に続く、哀川翔主演による子どもを殺された親の復讐話。ある意味『蛇の道』の続編。
黒澤清作品とは相性が良くないとずううううううっと思って来たが、やっぱり俺は向いてないと確信した。ネットでこの2本を調べると、どちらもすこぶる評価が高い。褒めている人たちは「これぞ黒澤清」的に讃えている。だが、この哀川翔主演の子ども殺害復讐作品2本を観て、同様の設定(子供を殺害された哀川翔)映画の『太陽の傷』(2006/三池崇史監督)の方が全然自分には向いていると改めて思った。ちなみにこの『太陽の傷』の方が、ネットで観る限り評価は全然低い。
単に相性の問題なのだけど、個人的にはもう観なくていいかなぁ。

https://youtu.be/pNWtPW4fnwY

 

蜘蛛の瞳 - 作品 - Yahoo!映画

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5/16 『蛇の道』(1998)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

黒沢清監督、哀川翔香川照之柳憂怜史朗翁華栄出演。

娘を殺された香川照之が犯人に復讐を遂げようとする。それを手伝う哀川翔。だが…。

高橋洋脚本を黒澤清が映画化したので、すんなりとした復讐譚になんてならない。とってもイヤンな方向に話が進んで行く。
観終わってからのゲッソリ感も振り切り気味。そうですよねぇ、そう来ちゃうんですよね…と、嫌な後味を噛みしめる映画なので、そんな気分になりたい方は良いんじゃないでしょうか?
私は敢えて多くは語りたくない感じです。

https://youtu.be/RgkoNmmMApQ

蛇の道 - 作品 - Yahoo!映画

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2021年5月16日 (日)

5/15 『恐怖のまわり道』(1945)

原題: Detour

アマゾンプライムにて。

エドガー・G・ウルマー監督、トム・ニールアン・サヴェージ出演。

N.Y.のクラブでピアニストをしているアル。彼女のスーは同じ店で歌手をしていたが、もっと成功をしたいとL.A.へ引越してしまった。彼女のことを諦められないアルは、お金がないのでヒッチハイクでL.Aを目指すことにした。或る日、ハスケルと言う男のオープンカーに乗ることになった。長旅の中、アルと運転を代わり、助手席で居眠りを始めたハスケル。ところが、ハスケルはいつの間にか病気か何かで死亡していた。殺人を疑われるのを嫌ったアルは、ハスケルの免許証や服を手に入れ、そのままハスケルのふりをしてL.A.を目指すことにするが…。

半世紀も映画好きのつもりでいたのに、不勉強にもこの『恐怖のまわり道』と言う作品も、監督のエドガー G. ウルマー自体も知らないまま生きてきたことを恥じたい。それくらい意外性のある面白さだ。
上映時間はただの67分の中編。監督も主演も名前を知らなかった訳だし、アマゾンプライムの“あなたにオススメ”リストに流れて来たのを見つけて、はっきり言うと「67分?聞いたこともないけど、ちょっと観てみるには良い時間だな。つまんなくてもダメージは小さいし」ってくらいの気持ちで観始めたら、ちょっとビックリな面白さだった。これはリメイクしても通用する話だと思うし、日本版にすることも出来るんじゃないか?!予算のかかってない低予算作品なのに、タイトにまとまった素晴らしいクライムストーリー、ノワール映画。
観終えてからググったら、一部では大変に有名なカルト作品だったらしい。いやいやいや、本当に不勉強だな。
…と言うか、こんな60歳も近くなってから、全く知らなかった凄い監督や作品と出会えたりすることがあるから、映画好きでいて本当に良かったと思う。
映画好きでこの作品を知らなかった方には、絶対にお勧めしますよ!

https://youtu.be/GbO9jOZK2F8

Amazon | 恐怖のまわり道 [DVD] | 映画

 

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5/15 『浮草』(1959)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

小津安二郎監督、中村鴈治郎京マチ子川口浩若尾文子杉村春子出演。

鴈治郎を座長とする旅芸人一座が志摩半島にやって来て、鴈治郎の昔の女(杉村春子)と隠し子(川口浩)に再会する。今の連れ添いで看板女優(京マチ子)は、その秘密に気付き、若手女優(若尾文子)に隠し子を誘惑させるが…。

宮川一夫によるAgfaカラー撮影が美しい一遍。
基本的には「そりゃないぜ、鴈治郎」な物語な訳で、京マチ子VS杉村春子の火花を散らす初対面シーンが恐ろしい。静かに怒る京マチ子って、いつ観ても震え上るわ。
その京マチ子が、「あんたが浜辺でニッコリ笑えば、鯛でも海老でも寄って来るわ!だからあの郵便局員にニッコリ笑って誘ってみろ」と言われた若尾文子。郵便局窓口で川口浩に電報の申込用紙を渡す。「「ちょっとそこまで来て」って、これどなた宛で送られるんですか?」「あなたよ(ニッコリ)」この破壊力の凄まじさよ。

旅芸人の役者たちのビラ配りや、飲み屋でのウダウダした会話が妙に可笑しくて、どうでも良いけど個人的には魅力的な場面。

出演してない上田吉二郎が「舞台指導」でクレジットされてるのは、新国劇出身だからなのかな?

小津4K、鑑賞その3 - どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

 

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2021年5月15日 (土)

5/14 『最後の追跡』(2016)

原題:Hell or High Water

Netflixオリジナル。

デヴィッド・マッケンジー監督、ジェフ・ブリッジスクリス・パインベン・フォスターギル・バーミンガム出演。

我らがデュードと『3時10分、決断のとき』のチャーリーが出てるから観ようと思ったら、脚本がテイラー・シェリダンなのか!
いや、今までほったらかしで観てなくてスンマセン。

テイラー・シェリダンは『ボーダーライン』2本の脚本や、『ウインド・リバー』の監督・脚本の人で、ハードなテーマ性を持ちつつも、キッチリと重めの娯楽作を作る名脚本家。
本作も、ただの銀行ギャングものではなく、生まれ育った環境で這い上がれない格差とか、ネイティブアメリカンへの差別(これは『ウィンド・リバー』ではもっと激しく描いている)とか色々と含みつつも、熱いドラマになっている。
特にベン・フォスターがここでも良い味で、『3時10分』の時はボスへの、本作では弟への愛と献身を惜しみなく注ぐ、ちょっとイカレた男を好演している。
オススメです。

https://youtu.be/JynOGS85e4M

最後の追跡/HELL OR HIGH WATER | 改・ぶろぐじゃんきぃ。

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5/14 『続やくざ坊主』(1968)

池広一夫監督、勝新太郎朝丘雪路松尾嘉代内藤武敏大川修出演。

大好きな池広一夫監督作なので以前にも観ているが、先日初めて正篇を観たので続編を再鑑賞。1~2週間前までアマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」でも配信されてた筈なのに、いつの間にか配信終了してしまったので、以前に録画したCSで。

前作同様龍全は、飲む打つ買うの破戒僧。日本の金座の元締め・後藤と江戸新川の親分・東兵衛が同道しているのを見て、金の臭いを嗅ぎつけ、ついでに東兵衛の女(朝丘雪路)にも目を付けるが…。

キチンとアベレージをクリアするクオリティなんだけれど、池広監督らしいスタイリッシュなビジュアルはあまり多くなく、特徴的な真俯瞰やトラックショットもなくて残念。いかにもらしい画造りは、逆行気味のシルエットのロングショットくらいかなぁ。
最大の見所は、クライマックスの松尾嘉代の芝居。それまでぽや~んとした表情のおぼこ娘を演じていたのがワンカットの中で物凄い悪い顔へと変わる瞬間の魅力。松尾嘉代は悪い顔すると美人だねぇ。

音楽は前作とは変わって渡辺岳夫。時代劇らしからぬモダンな劇伴がイカしている。

恐らく“シリーズ男”の異名を取る勝新による、『座頭市』に続く新シリーズにしたいとの思惑があったのではないかと思うが、キャラクター性が当の座頭市と似すぎていたためか、この2本のみでシリーズ化はならず。

続やくざ坊主

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2021年5月14日 (金)

5/13 『月のキャットウーマン』(1953)

原題:CatーWomen Of The Moon

アマゾンプライムにて。

アーサー・ヒルトン監督、ソニー・タフツマリー・ウィンザーヴィクター・ジョリイ出演。

昔からタイトルは知っていたけど、観たことはなかったスットコドッコイSF映画が、アマゾンプライムにあるのを発見したのでソッコーで観る。その後ググったら、いつの間にか日本版DVDもリリースされてて驚いた。いや、もしもプライムに無ければ、俺もウッカリ買ってたかもしれん(笑)。

初の有人月探査ロケットが月に到着すると、そこには全身タイツの色っぽいお姉さんたちだけの国があった!

ビーチベッドみたいなので眠りながら月へ向かう乗組員。地球からの繰り返される無線の呼び出しにやっと目を覚ますが、無線をガン無視して、コックピットの事務机から手鏡とヘアブラシを取り出して髪型をセットする女乗組員。原子炉の故障に消火器いっちょで対処。安全ベルト付きの固定されてない事務椅子(キャスター付き)操縦席。「私の勘では、ここからは見えない“月の裏側”に着陸するのが正しい」と主張する航海士。フェイスカバーが曇ると撮影上支障が出るし、役者の呼吸が苦しくなるから呼吸穴が開いているヘルメット(これは日本のウルトラシリーズでも採用されていた)。月面探査にタバコとマッチと拳銃を持っていく乗組員。火を着けて、「どうやら酸素があるぞ!」とおもむろに宇宙服を脱ぎ去る。突如襲ってくるビョンビョンした巨大蜘蛛に生身で一斉にナイフで襲いかかって瞬殺。謎の神殿に入ると、突如現れる全身タイツのキャットウーマンたち…。

この後もまだまだ続くクラクラ来るような展開が続くが、まぁトンデモ映画なのは知ってて観てるので問題はない。
64分の短い上映時間の体感は結構長いが。

ちなみにこの映画が作られた1953年は、ジョージ・パルの『宇宙戦争』と同じ年で、『月世界征服』の2年後。予算規模が違うとは言え、あのまともなSF映画の後でよくここまでトンチキな映画を作るよねぇ。

Amazon | 月のキャット・ウーマン [DVD] | 映画

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5/13 『スーダラ節 わかっちゃいるけどやめられねぇ』(1962)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

弓削太郎監督、川口浩川崎敬三藤原礼子ハナ肇中条静夫出演。

ハナ肇は部長役で重要な役どころだが、植木等は冒頭とエンディングに狂言回しで出演。ハナ、植木を含むクレイジーキャッツ全員は、劇中のバーの場面で登場し、『スーダラ節』を唄う。
クレイジー映画のようでいて、これは普通に大映サラリーマン喜劇。
川崎敬三、川口浩を含む7人の新入社員の内2名が、社長と社長令嬢のアメリカ出張の随行が出来ることになって、凌ぎを削ることになる。で、恋のさや当てだったり、他社からの引き抜きだったり、色んな出来事が新入社員をゆるく襲う。
69分しかない小品なので、ゆるく気楽に観られる。

クレジットはないが、『ど根性物語 銭の踊り』に出てたマイク・ダニーンがここにも出ていた。

植木等 映画 スーダラ節

 

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2021年5月13日 (木)

5/12 『性犯罪法入門』(1969)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

帯盛迪彦監督、松岡きっこ渚まゆみE・H・エリック杉狂児山東昭子出演。

ダイヤモンドの指輪がモノローグを語り、狂言回しとなって4つのエピソードをつなぐオムニバス。

・大学生の小倉一郎をナンパして松岡きっこ、渚まゆみら女の子4人で犯す。
・ビジネスの取引相手であるE.H.エリックを売春接待する遠藤辰雄。
・美人局に引っ掛かった旦那とその奥さん
・妻が自分の父親の杉狂児と不倫しているのを、近所の団地の覗き小僧から密告される。
…と書くと実に下衆い映画に思われそうだが、、題名から想像するようなお下劣感は薄く、今の時代に観ても劣情を催すようなものではない。むしろ大映の一流スタッフできちんと作った娯楽作で、普通に面白かった。
1つずつのエピソードの途中で、「こんなことをすると、刑法第何条でどんな罪になりますよ」と解説が入るのが変わっている。
ソフト化もされていないし、地上波で放送することも無いと思うので、こんな作品も配信で観られる時代に感謝である。

娯楽で学ぼう性犯罪!大映京都「性犯罪法入門」自業自得の指輪を手にした者達の運命は? | 東映バカの部屋

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5/12 『やくざ坊主』(1967)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

安田公義監督、勝新太郎多々良純小川眞由美成田三樹夫出演。

最初は長髪姿の破戒僧として登場する勝新だが、途中で髪を短く切る。そうなってしまえば、ほとんどこの当時の座頭市と印象は変わらない(笑)。
座頭市は基本的に悪人ではないので、本作の竜全は座頭市的な腕と見てくれで、中身は『不知火検校』的な悪でもある。寺を連れ込み宿にして、さらにそれを覗く客を募って二重に儲けたり、賭場を開いたり、借金の方に岡場所に売られた娘を助けたかと思いきや、その娘を手籠めにしてしまったりと、悪事に余念がない。でもそれが「まぁ勝新だしね」で済んでしまうのがキャラクター性だろう。
多々良純の姑息な寺男との掛け合いや、凄腕用心棒成田三樹夫との対決等、見所もそれなりに色々とあって楽しい。

やくざ坊主ポスター

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2021年5月11日 (火)

5/10 『バスターのバラード』(2018)

原題:The Ballad of Buster Scruggs

Netflixオリジナル

コーエン兄弟監督、ジェームズ・フランコブレンダン・グリーソンゾーイ・カザンリーアム・ニーソンティム・ブレイク・ネルソントム・ウェイツ出演。

コーエン兄弟の大ファンではあるのだが、都合があってなかなか観れずに今ごろ鑑賞。

本作は6篇からなるアンソロジーと言うかオムニバス。
西部劇の世界観を舞台に死にまつわるエピソードが連なる。コーエンなのでもう一捻り来るかと思わせつつ、意外とそのまんまで終わる物語。でも、演出的には非常に凝っており、流石です。
個人的には6話目がイマイチだったけれど、それ以外はどれも好き。5話目は、一本くらいストレートにハッピーエンドかと思いきや…これが一番コーエンぽさを感じたエピソード。

https://youtu.be/khdWE0aZ7tw

バスターのバラード - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

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2021年5月10日 (月)

5/9 『ど根性物語 銭の踊り』(1964)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

市川崑監督、勝新太郎江利チエミ船越英二浜村純ロイ・H・ジェームス出演。

昔観たような気がして再生したら観たことなかった…。

一本木で正義漢のタクシー運転手、勝新太郎をスカウトする謎の3人組。彼らは法で裁けぬ悪を葬る秘密組織だと言う。悪を退治して、月給30万円、特別手当50万円が貰えるならと、誘いに乗るが…。

冒頭、コマ落としも併用しているとはいえ素晴らしいスピード感のカーチェイスから始まり、おおっ!と思わせる。その後の初仕事も、タクシーを使ったターゲットの事故死。ミニチュアの造りが粗いが、カット割りでテンポよく見せる築地米三郎の手腕が手堅い。
当初は会長に進んでいたが、やがて暗殺の説明が妙にややこしくなってきて、「なぜこのタクシー運転手を仲間に引き入れたのだろう?」と観ている側が疑問が湧き、この暗殺集団の手口自体が杜撰に思えてくる。理由が分かったところで、「あ、そうだったのか!」とはならないところが本作の脚本の残念なところ。

Dokonjo monogatari - zeni no odori

最終的にターゲットになるダントンを演じるのはマイク・ダニーン(Mike Daneen)。『ラドン』、『ギララ』、『海底大戦争』、『青い街の狼』、『100発100中』など、映画会社の枠を超えてあらゆるところで悪そうな外国人を演じているこの人↓。
ロッシにゃんテ😺 on Twitter: "左、若山弦蔵吹き替えで震え上がるような凄味の悪役の『ど根性物語 銭の踊り』のマイク・ダニーン。  右、吹き替えなしだとショッカーの黒服ほどの威圧感もないラスボスの『100発100中』のマイク・ダニーン。 画像で分かるか!というのはナシ… "
ついでに、出演もしてないのに音楽にハナ肇がクレジットされていたのも驚きだ。

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2021年5月 9日 (日)

5/8 『十代の誘惑』(1953)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

久松静児監督、若尾文子江原達怡青山京子山本富士子南田洋子出演。

修学旅行の夜、とある事情で夜遅くまで外出した若尾文子と江原達怡。その所為で校内で不順異性交遊の噂を立てられ、二人は窮地に陥っていく。

原題の倫理観で観ると退屈な話なだけだろうが、まぁ一応最後まで。
今時この映画を観るほとんどの人は、若尾文子目当ての年寄りだろうから、退屈云々はさておき、青山京子演じる夢見がちな文学少女が鼻についてイライラする。なんだこの小娘?きっと当時だってみんなイラついたんじゃないのか?

知らずに観始めたが、美術を担当するのは我らが木村威夫先生。カフェーのセットが木村美術っぽいかな?映画自体はさして期待してなかったので、木村先生の仕事を見られただけでもOK。

ところで、二十歳の若尾文子が十七歳の高校生を初々しく演じているのだけれど、この人って二十歳の時には完全に顔が完成しちゃってるんだなぁと思った。

さて、やっとこのブログの更新がカレンダーに追い付いた。

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e0/Judai_no_yuwaku_poster.jpg

 

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2021年5月 8日 (土)

5/7 『ラブ&モンスターズ』(2020)

原題:Love And Monsters

Netflixにて

マイケル・マシューズ監督、ディラン・オブライエンマイケル・ルーカー出演。

地球に衝突する巨大隕石を撃破するためにミサイルを撃ち込んだら、隕石は破壊出来たけど化学物質をまき散らして生物が巨大化&狂暴化して、人類のほとんどが死滅した世界。シェルターで集団生活をするディラン・オブライエンは、周囲の皆がカップルなのに自分だけ独り身で悶々としている。しかし遠く離れた別のシェルターに、昔の彼女が生存してることを知り、危険を顧みずに彼女に会いに行く。

テンポよく構成されたアクション・アドベンチャー。途中バディとなる犬のボーイ、サバイバルを教えてくれるマイケル・ルーカーと女の子、タイミングよく襲ってくる巨大なカエル、ムカデ、ヒル、カニ等々、最近のこの手の映画にしてはゴア描写とか全くなく、ファミリーでも楽しく観られる娯楽作。クライマックスなんて、まるでハリーハウゼン映画で、きっとお好きな方たちが作ってるんでしょう。
素直に、「こりゃあ良いもん観ましたわ!」と思える拾い物作品。

https://youtu.be/ZoTBq6XcNFU

 

映画『ラブ&モンスターズ』ネタバレあらすじと感想評価。ラスト結末も【怪物が蔓延する世界で恋人を捜す青年と犬の冒険譚】|Netflix映画おすすめ28

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5/7 『赤線地帯』(1956)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

溝口健二監督、京マチ子若尾文子木暮実千代三益愛子菅原謙二出演。

売春禁止法制定が国会で叫ばれている時代の吉原が舞台。遊女たちの悲喜こもごもと言いたいところだが、“喜”はほとんどなくて、異なるシチュエーションの“悲哀”が次々描かれる。
いいところの娘なのに親への反抗心から家出して、流れ流れて吉原へ来た女。結核の旦那と幼い子が居るから生活するために体を売る女。旦那に先立たれて息子を育てる母。親が疑獄事件で捕まり、ともかく金を貯める女。幸せを求めて結婚して夢破れる女。売春はほかに稼ぐ手段がない女たちを守ってやってるという遊郭の主人、等々、吉原で働く様々な人間模様。
隠語や当時の特殊用語がポンポン飛び出すので、再生を止めて言葉を何度か検索する。当時は当たり前だった言葉なのだろうけれど、なかなか難しい。

赤線地帯 - Wikipedia

 

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2021年5月 7日 (金)

5/6 『ウルトラマン』第28話「人間標本5・6」

ブルーレイにて。

何の理由もないけれど、なんだか無性に「ダダ」が見たくなった。

ダダと言えば、この↓写真のダダが標準で、意外と他の2面って忘れちゃうよね。

ダダ - 大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア @ ウィキ - atwiki(アットウィキ)

なので、ほかの2面はこんな↓顔でした。

三面怪人ダダ - INABAの部屋

宇宙からやってきて、人間の標本を6人分だけ----それより多くも少なくもなく採集に来たんですよ、彼らは。

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5/6 『スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団』(2010)

原題: Scott Pilgrim vs. the World

ブルーレイにて。

エドガー・ライト監督、マイケル・セラメアリー・エリザベス・ウィンステッド主演。

コロナで新作が公開されてないからなんだろうけれど、なぜか今週の全米でリバイバル公開されててBoxOfficeで8位に入っていて驚き!
何度か観てはいるけれど、アメリカリバイバル公開記念で再見。何回観ても楽しいエドガー・ライトのバカ映画。

今観て気付いたけど、マイケル・セラの妹がアナ・ケンドリック、マイケル・セナの昔の彼女エンヴィーがブリー・ラーソンだったのか!

https://youtu.be/EYg-9JdN_O0

スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団 - 作品 - Yahoo!映画

 

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2021年5月 6日 (木)

5/5 『痴人の愛』(1967)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

増村保造監督、谷崎潤一郎原作、小沢昭一安田道代田村正和倉石功出演。

真面目一本のサラリーマン電気技師は、実はカフェーで見染めた女給を別荘に飼っていた。やがて奔放な魅力に翻弄されていく男。

小悪魔的女に翻弄される小沢昭一の冴えないサラリーマンっぷりはハマリ役。ナオミを演じる安田道代(=大楠道代)がそれほど魅力的であるかどうかは個人的には疑問。『月曜日のユカ』の加賀まりこくらいの破壊力が欲しいよねぇ。
ただ、イメージショットとして挿入されるナオミの白黒スチール写真は魅力的。

https://youtu.be/dV2iscHIGJk

 

痴人の愛(1967年版) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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2021年5月 5日 (水)

5/4 『密航者』(2021)

原題:Stowaway

Netflixオリジナル

ジョー・ペナ監督、アナ・ケンドリックダニエル・デイ・キムトニ・コレットシャミアー・アンダーソン出演。

火星へ向かう3人乗り宇宙船に、もう一人予期せぬ人物が内装パネルの中から現れ、生命維持のために必要な二酸化炭素除去装置も故障してしまう。宇宙船に4人分の酸素はない。

いわゆる「カルネアデスの板」であり「トロッコ問題」な話。全員を助けられない場合に、先に居た者が緊急避難的に後から来た者を排除出来るか?大を助けるためには小の犠牲は構わないか?
今までも要りロと描かれてきたシチュエーションなので新鮮味はないが、それでも興味深い問題ではあるので、この映画ではどう解決するのだろう?…とは思う。
だが、設定自体が雑なのが困りもの。
アナケンが機内に持ち込んだマグカップを見てダニキムが呆れる。「個人持ち込み可能重量の内80gを削ってこんなもの持ち込んだのか!」
それくらい重量制限がシビアな宇宙船なのに、ガタイの良い黒人が一人余分に乗ってても気付かないの?彼は地上のサポートスタッフで、閉じ込められてたのは機内のパネルの中。こんなデカイ男性が居る状態で、パネルをねじ止めしちゃう別なスタッフが居たの?そんなに大事な生命維持関連装置のバックアップが1台もないの?そのほかにも「??」ってなる展開が随所にあって、物語に入り込めない。
多分、テーマの方にばっかり気が行ってて、その土台になる設定に気が回らなかったんだろう。ともかく“雑”って印象。

https://youtu.be/QcG7hlgIKEY

感想評価)Netflix映画密航者…密航者がいた事にパニック系と思いき - 菊飛movie

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5/4 『越前竹人形』(1963)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

吉村公三郎監督、水上勉原作、若尾文子山下洵一郎中村玉緒西村晃出演。

竹細工職人の父が亡くなり、その葬儀にやって来た芦原の遊廓の遊女。彼女の名前を頼りに遊郭に赴いた山下恂一郎は、遊女の若尾文子と再会し、彼女を身請けして嫁にするが…。

ファザコン童貞息子の拗らせた愛情の話。
若尾文子演じる遊女は、そりゃあ美しいんだけれども、父親が馴染み客だった遊女を身請けするのは如何なものか…。
決心して嫁に来た若尾文子は可愛く美しいのに、それに指一本触れずに、竹人形作りに精を出し続ける山下恂一郎の姿は、なんとなく生身の美人に目もくれずにフィギュアを作り続けるヲタクのように見えなくもない。
やはり昔の馴染み客だったねっとりとエロキモい西村晃に強姦されて身籠ってしまった若尾文子が、なんとか中絶をしようとさまよう姿が痛々しい。
宮川一夫の白黒画面が実に美しい作品。

 

若尾文子の映画 「越前竹人形」 水上勉の同名小説の映画化! 悲劇のヒロインを演じる若尾文子! | 人生・嵐も晴れもあり!

https://youtu.be/Q6wBnHXA1HY

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2021年5月 4日 (火)

5/3 『貞子3D 2(2Dバージョン)』(2013)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

英勉監督、瀧本美織瀬戸康史平澤宏々路石原さとみ出演。

止せば良いのに、続編も連続鑑賞。

前作から5年後。娘の凪を生んだ後、石原さとみは死亡し、瀬戸康史は妹の瀧本美織に娘を世話させて身を潜める。
凪の周りで日々起きる怪異な現象。

ああ、ダメダダメダダメダ。前作を超える酷さだ。なんだコレ?
もうホラーじゃないし、ほぼほぼ貞子ですら無くなってない?
唯一良かったのは、髪の毛をシュレッダーに吸い込まれた女が、髪の毛でシュレッダーをブンブン振り回すギャグ。

映画には関係ないけど、凪がいつも描いてる絵、幼稚園の時にやったなぁ。まず画用紙にクレヨンで色んな色を帯状に塗って、その上から黒いクレヨンで塗りつぶす。さらにその上に鉛筆で絵を描くと、黒いクレヨンが削れて、下に塗った色が見えて絵が出来る。なんだか懐かしい。

https://youtu.be/lbw_4Fclbvs

貞子3D2 - 作品 - Yahoo!映画

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5/3 『貞子3D(2Dバージョン)』(2012)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

英勉監督、石原さとみ瀬戸康史橋本愛高橋努染谷将太出演。

酷いですね、ビックリするほどヒドイ。
ゴジラにしても貞子にしてもそうだが、邦画のシリーズ物でなんかカッコつけて「G」だの「S」だのカッコ悪い“コードネーム”みたいに呼び出すと、本当にダサくなってくる。
もしも貞子がアルタビジョンに映ったら、「巨大貞子」になって出て来るの?とか、家電量販店のTV売り場に一斉に呪いのビデオ流したら、沢山の貞子が同時に出て来るの?…なんて話、映画好きなら1度くらいはしたことがあるような飲みながらのバカ話----言い換えれば誰でも考えるような冗談を、そのまんま捻りもなく映画でやってどうするのよ?
クライマックスは、「貞子クイーン」とでも呼ぶ真・貞子を守る、大勢の「貞子ウォリアー」たち。ここでは突然の『エイリアン2』状態。
突如覚醒した石原さとみは、次々と一撃で貞子ウォリアーを撃滅していくし、Jホラーとかって言ってたジャンルってなんだったっけ?

監督は英勉。昨年の『前田建設ファンタジー営業部』なんて、割と良く出来た小品だったし、決してダメな監督じゃないと思うんだけど、ホラーは向いてないんじゃない?

https://youtu.be/gcZe0jDj7J4

 

貞子3D - 作品 - Yahoo!映画

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2021年5月 3日 (月)

5/2 『女の勲章』(1961)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

山崎豊子原作、吉村公三郎監督、京マチ子若尾文子叶順子中村玉緒田宮二郎出演。

街の洋裁教室を開いていた京マチ子が、弟子の若尾、叶、中村と一緒に、服飾学校を開校する。やり手のビジネスマン田宮は、当初はそれをサポートしていたが、徐々に全員と肉体関係を結びつつ、自分の私腹を肥やして全てを牛耳り始める。服飾業界でのして行く女たちと、操る男の駆け引きが描かれる。

山崎豊子原作ものの田宮二郎は、いつもギラギラ、テラテラと脂ギッシュに光りながら、人を踏み台にして上を目指して行く。この映画でも欲望一直線で実に魅力的に“悪い顔”をしている。
そのまんま騙されてしまう京マチ子、最初は不審に思いながらも積極的に関係を無理やり持たれてからは利用しようとする若尾、流されていく叶、何にも分かっていない小娘のようなふりをして、最もしたたかな中村。四者四様で田宮の周りをグルグルと廻っていく。

京マチ子の映画「女の勲章」山崎豊子原作 田宮二郎のプレイボーイ振りが光る男女の悲喜劇! | 人生・嵐も晴れもあり!

 

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2021年5月 2日 (日)

5/1 『氷点』(1966)

アマプラ「シネマコレクションbyKADOKAWA」にて。

山本薩夫監督、若尾文子安田道代山本圭船越英二森光子出演。

愛娘を殺されてしまった若尾文子、船越英二夫婦が、代わりにと赤ん坊を養女にもらい陽子と名付けて可愛がる。しかし、実はその陽子は、妻の不注意と不貞のせいで愛娘を失ったと信じている夫からの嫌がらせのために、殺人犯の子どもを貰い受けたものだった…。

コワイ、コワイ、コワイ…。なまじなホラー映画なんかよりよっぽど怖いお話。
当初、若尾文子は何も知らずに養女を実の娘のように溺愛しているのだが、映画中盤で夫が乳児院に宛てて書いた手紙を偶然見てしまい、そこから豹変してしまう。ここからの若尾文子の冷たい表情、溢れる恐ろしさ。そして娘への愛は憎悪に変わり、養女に最大のダメージを与えるタイミングで、真実を告げる。もう戦慄。
船越英二の旦那、安田道代のまっすぐな娘っぷり、役者は皆素晴らしく、山本薩男の冷徹な演出も冴え渡る。
でもなんと言っても若尾文子!こんなに恐ろしい彼女は初めて。

映画 『氷点』 | 想いのまま 心のままに…

 

 

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2021年5月 1日 (土)

4/30 『巴里のアメリカ人』(1951)

原題:An American In Paris

ブルーレイにて。

ヴィンセント・ミネリ監督、 ジーン・ケリーレスリー・キャロン主演。

アカデミー賞6部門受賞の超有名作品なれど、大昔に『ザッツ・エンタテインメント』か何かで部分的には見ただけで、全編通して観るのは初めて。
ああ、この曲はこの映画だったのか、と知ってる曲も多いし、クライマックスの18分間のダンスシーンも圧巻。ただ、アカデミー脚本賞受賞にしては物語がズサンで、パトロンのニロや歌手のアンリの放りっ放しぶりが気になって仕方がない。彼らが可哀想じゃんねぇ。

https://youtu.be/ZmHPzXzWYWY

巴里のアメリカ人 | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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