3/30 『FUNNY BUNNY』(2021)
auスマートペイの先行配信にて。
原題: Left Behind
アマプラにて。
ヴィク・アームストロング監督、ニコラス・ケイジ主演。
RottenTomatoで驚異的な低スコアを叩き出した映画。Wikipediaの『レフト・ビハインド 』の項目でも読んで頂けると分かるけれど、もう本当に散々な評価で笑うしかないけれど、キリスト教の特定の宗派の原作を基にしており、「バカバカしいにも程がある!」とキリスト教系の皆さんの怒りは有頂天(笑)のようです。ただ、映画教ニコラス派的には「バカバカしいのはむしろ美味しい」 くらいのもので、なんだか全く分からないままに子どもたちと一部の大人が消滅してしまう序盤、子どもたちや副操縦士、キャビン・アテンダントが消えてパニックが起こる機内、世界中で人類消滅が起きていることを知り、その状態の中でなんとか飛行機を着陸させようとするニコラスの安手の航空パニック映画感と、まぁ、それなりに楽しいダメ映画です。
宗教にハマって家庭を崩壊に導くリー・トンプソン、なんだか橋の上から飛び降りようとする娘、狂ってるモブとか、まぁそれなりに楽しいです。
突然消えてしまう人々も、『アベンジャーズ』のサノスの指パッチンの時は、世界でこんなことが起きてたんだなぁ…と感慨に耽れますので、マーベル・ファンの方も必見です!(笑)
新宿バルト9にて。
庵野秀明監督作品。
良いんだか、悪いんだか、ちゃんと理解できてるんだか、出来ていないんだか、色々と思うところも感慨もあるけれど、ともかく今回でちゃんと終わって、おめでとう。…としか言いようがない。さらば、全てのエヴァンゲリオン。お疲れ様でございます。
原題:вторжение/Vtorzhenie/Invasion/Attraction 2 Invasion
アマプラにて。
フョードル・ボンダルチュク監督、イリーナ・ストラシェンバウム、ライナル・ムハメトフ主演。
ロシアンSF『アトラクション -制圧-』(2017)の続編。
『T-34レジェンド・オブ・ウォー』のヒロイン、イリーナストラシェンバウムが前作に引き続きヒロイン。彼女のヒモ役も前作同様『T-34』の同志イブシュキンことアレクサンドル・ペトロフ。
とは言え、正直前作の方が全然、丸っきり面白い。VFXは派手になり、予算も一杯掛かっているのに、なんだか心躍らない残念な感じ。前作を踏まえて、猿っぽいパワードスーツ・エイリアンがパワーアップ&大挙して襲ってきて欲しいところなのに、なんか水攻撃ばっかりなんですよ。水のVFXは頑張ってるけど、観たいのはそれじゃないって!
前作とはトーンが違うし、『スカイライン』続編みたいなアサッテ感も無いし、期待してただけにガッカリ。
1980年放送の伝説の打切りテレビドラマ、『ピーマン白書』をもう一度観たいなぁと思っていた。
このドラマ、Wikipedia(ピーマン白書)を観て頂くとザックリとした概要が書かれているが、 当初90分枠全26回(2クール)で企画されたが。放送開始時には60分13回(1クール)に縮小され、さらに第一回の視聴率が5%台、2回目には2%に下がったため打ち切りが決まり、全9話製作されたけれど、第5話の翌週には第9話を放送して終了。第6〜8話の3話は放送されなかった。そして4か月後に深夜枠で連続再放送がされたそうで、この時に全9話が初めて日の目を見たらしい。再放送は後にも先にもこの1回の、本当に本当の幻のTVドラマだったのだ。
私は当時高校生で毎回楽しく観ていたのだけれど、あっという間に番組が終了して、長らく観ることは叶わなかった。
ところが先日、ひょんなことでこのドラマの第2話から第9話までを観ることが出来た。
佐々木守がメインライターを務めたこの番組、観直してもやはりなかなか狂っていた。
校長(中条静夫)の口癖である「お前たち、小学校からやり直せ!」という言葉を本気にした杉並八中3年3組の生徒25人が集団で中学校を脱走して、自分たちを受け入れてくれる小学校を求めて旅に出た。生徒たちを説得しようとして失敗した担任と、謎の生物X(着ぐるみ)も同行して流離うが、世間体を気にした校長、教頭(岸田森)、生活指導教師(今井健二)、PTA会長(ハナ肇)らが学校に戻そうと毎回あの手この手を使ってくる。
分かっていたけど展開がシュール。元々、『金八先生』や『熱中時代』が当たっていたので企画された学園ものなのだが、あさっての方向に向かってヘンなんですよ。家出した生徒の親たちが、セーラー服と詰襟姿で、子どもたちの代わりに学校で授業を受ける。受け入れてくれた学校は「校内暴力部」があって、杉並八中の生徒でストレスを発散させる。親が死んだことにして葬式をやって、生徒たちを連れ戻そうとする。岸田森は毎回のように何かのコスプレをして、生徒たちの前に現れる。
今だったら作れなそうなムチャな話やエピソードが多いが、当時としては校内暴力も家庭内暴力も問題になっていたし、学校の在り方とか教育についての様々なことがテーマになっており、バカバカしい見た目とは違って、意外にきちんとしたドラマでもあった。この辺りは流石の佐々木守脚本だなぁ。
なお、このドラマの生徒役で高橋克典がデビューしている。一方主役の担任教師、坂井裕一はどうもこれくらいしか出演作品が引っ掛からないので、あまりの低視聴率に役者が嫌になっちゃったのか、すぐ引退しているみたい。
ついでに、OP、EDを唄っているのはオール・ジャパン・デビル・バンド 。何だろうと思ってググったら、豊川誕 がヴォーカルのようだ。
各エピソードの紹介と解説は以下のリンクにあります。
原題:Joe
アマプラにて。
デヴィッド・ゴードン・グリーン 監督、ニコラス・ケイジ、タイ・シェリダン主演。
アル中でDVの父親、働かない母親、幼い妹、最底辺の家庭で暮らす15歳の少年ゲイリー。そんな彼が出会ったのは、森林伐採業の日雇い手配師ジョー(ニコラス)。複数の前科を持つが、今は真面目に働いているジョーは、ゲイリーに目を雇ってやることにした。日々を過ごす内に、ゲイリーはジョーに父親への思慕のような気持ちを覚えはじめ、ジョーも息子のように思うようになっていったが…。
本作はここ2010年代のニコラス仕事の中での、一般的な意味でのベスト。
一言で言えば、ニコラス・ケイジ版『グラン・トリノ』なわけです。
エスベン・トフト・ジェイコブセン監督のスウェーデン、デンマーク合作CGアニメ映画。TSUTAYA限定レンタル、中古落ちDVDにて。
ジャケットを見ると楽し気なCGアニメのようだが、なかなか独特な世界観、かつちょっとヘヴィで切ない物語。
2014年、かつ北欧圏のCG作品なので、今現在のハリウッドCGアニメと比べると、若干古い感じは否めないが、それを補って余りある、何とも言えない面白さがある。
Amazonやヤフオクのレンタル落ちDVDなら、数百円程度で入手可能なので、海外アニメーションに興味がある人にはオススメ。
ちょっと意外な話なので詳しくは書きませんが、下記のリンクの海外版予告を見て、興味を持った方は ぜひゲットしてみて下さい 。
Disney+にて全8話終了。
サノスの指パッチン以降の世界。
ワンダ・マキシモとヴィジョンはどうなってたのか?
シット・コム風の映像で驚かせるが、映像・演出がどんどん新しく、年代が変わっていく。
それにつれて、MCU的なネタがドンドン増えて来て、最終的にこのシット・コム的世界観は一体何だったのかが分かっていく仕掛け。
MCU作品は全て観ているけれど、濃いマニアではないので関連ネタが即座に分かるほどではないのが口惜しい。
そうは言っても、エピソード観終えるごとに、「あの展開はきっと何かあるんだろうなぁ…」とググってみると、目から鱗のネタが多くて、ははーん、なるほど、そうなのね。となかなか面白かったです。
原題:Looking Glass
幼い娘を事故で亡くし、妻とともに新生活を求めて田舎町のモーテルを買い取って経営することにしたニコラス。モーテルの修繕を進めるうち、倉庫の奥に隠し通路があり、それは10号室の壁裏まで続き、室内がマジックミラーで覗けるようになっていた。ある夜、レズビアンのSMプレイを覗き見したニコラス。数日後、その女性の1人が死体で発見された。連絡の取れない元オーナー。元オーナーへの連絡を執拗に迫る保安官。10号室以外には泊まろうとしない常連トラックドライバー。このモーテルは何かがおかしい…。
う~ん…、雰囲気スリラー映画かな。
もっともらしい謎を散らばせて、結局諸々ハッキリさせずに終わらせてしまう。
同じような映画でもデヴィッド・リンチか、デヴィッド・クローネンバーグあたりが撮れば、凝った映像や上手な思わせっぷりで、謎は深みになり、色々と考察や深読みを呼ぶところなんだが、なんだか単に消化不良感が残ってしまう。
プールに投げ込まれたブタは誰がやったのかとか、モーテルの向かいの店の男たちはいったい何者だったのかとか、砂漠で元オーナーを撃ったのは誰かとか、もう本当に放りっ放しの謎が多いんだけど、それを解明する考察とか面倒臭いからいいや。
保安官に「怪しいヤツを知らないか?」と聞かれたニコラス。「ああ、思い当たるのが一人。この暑い場所で、ホットコーヒーを飲みたがる男…アンタだよ」
あ、その論法なら、夏でも焼酎お湯割りで飲む九州人とか、夏でも燗酒しか飲まない知り合いの居酒屋店主とか、モーレツにアヤシイ(笑)。
新宿バルト9にて。
清水崇監督、山田杏奈、山口まゆ主演。
昨年の『犬鳴村』がヒットして作られた「実録!恐怖の村シリーズ」の第2弾だそうで、そんなら行かなくてもいいじゃんってことではあるんだが、コロナで新作公開も少ないのでフラフラと…(苦笑)。
青木ヶ原樹海で自殺しようとしたが死にきれなかった人たちが暮らす村が、樹海の奥に存在する。
…って話だと思うでしょ?全く違う訳ではないけれど、冒頭とクライマックスは樹海の話なんだが、中盤を占めるのは、「コトリバコ」って謎の呪われた箱の話。ネットでは有名な都市伝説らしいのだが、私は全く知らなかったので、「へ?樹海ホラーなんじゃないの?」と狐につままれたまま映画が進んで行く。
ホラー演出はドッキリさせたり、不気味だったりで、流石は手慣れた清水監督なんだが、脚本や設定がぞんざい過ぎて萎える。
主人公たちが引っ越しの手伝いに行く家の人々が、主人公たちとどんな人間関係なのかも分からないのをはじめ、基本的な説明に欠けているので、ずっとモヤモヤしてしまう。
冒頭で樹海からボロボロでさまよい出て来た幼い少女2人を救った國村隼と山下リオ。
その少女たちの13年後の姿が、山田杏奈と山口リオなんだけれど、彼女たちがまた樹海で偶然出会う國村隼と山下リオが、13年前と全く見た目が変わらない!一瞬、國村隼と山下リオが超自然的な何者なのかと思ってしまいましたよ!
もしも次回作があるなら、清水監督は演出だけに集中して脚本は完全に誰かに任せた方が良くないですかねぇ。
原題: Arsenal
アマプラにて。
スティーヴン・C・ミラー監督、エイドリアン・グレニアー主演、ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック共演。
土木工事の会社を経営するJ.P.には、子どもの頃から仲の良い兄マイキーが居た。だが順調なJ.P.と違い、定職にも付けないマイキーは麻薬取引などを始めていた。そしてある日、子どもの頃から知っている地回りのギャングの親玉ニコラス・ケイジと偶然遭遇し、とある計画を持ち掛けられた…。
昨晩に引き続き、ニコケイ&ジョン・キューザック映画だが、これはヒドイ!宣伝丸ごとウソです(笑)。
ニコケイとジョン・キューザックは脇役で、基本的に主役は、良く知らない役者2人が演じる兄弟です。いや、良いんですよ。この兄弟役が誰なのかよく知らないけど、決して悪い役者じゃないし、ニコ&ジョン組が最初から脇役だと知ってたら、“騙された感”が薄い分、もっとみんな評価するんじゃないかい?
ニコラスの演じるのは、地元では絶大な力を持っているらしきチンケなギャング。ジョン・キューザックは主人公であるJPと親しくて親身になってくれる刑事。いいじゃん、別にそのまま紹介しとけばさ。
閉塞感に満ち満ちたミシシッピのド田舎のド底辺の家で育った兄弟。子どもの頃に地回りのヤクザと関わってしまって、弟をそこに巻き込まないために、這い上がることが出来ない兄と、兄の陰ながらの助けで地味な成功を掴めた弟。
邦画のヤクザ物でも成立する展開で、これ自体は悪くない。
だが、シチュエーションを描く手間を惜しんでいるため、なぜジョン・キューザックみたいな捜査官が居るのか?なぜさらに潜入捜査の人間が居るのか?ニコラスの兄貴は何者(碌な者じゃないのは分かる)なのかとか、ともかく説明不足なのが残念。
一番面白かったのは、ニコラスが実の兄貴を殴り殺してしまった直後に、兄貴へ書いた手紙をマイキーに読む場面。「兄貴が『サンダ対ガイラ』のガイラだったから…チキショウ!(中略)…もう殺しちゃったからどうにもならねえぇぇぇ!!」
いや、気持ちがマイキーに全く伝わってないと思うぞ、ニコケイ。
分かり易すぎる長髪のヅラと、付け鼻の特殊メイクも謎。ポスター写真は付け鼻ナシなんだが、劇中ではなんだかもっと尖った鼻をしてるのが不思議。
原題:The Frozen Ground
アマプラにて。
スコット・ウォーカー監督、ニコラス・ケイジ主演、ジョン・キューザック共演。
アンカレッジのモーテルで17歳の娼婦シンディが手錠につながれた状態で警察に保護された。彼女はハンセン(ジョン・キューザック)を犯人だと証言するが、彼は街の名士でありアリバイがあったため、アンカレッジ市警察はまともに捜査をしない。その頃、別な身元不明の少女の遺体が発見され、アラスカ州警察の巡査部長ニコラス・ケイジが事件を担当する事になった。
12年間で24人以上の女性を拉致監禁し、その後森に放してハンティングして殺害していた連続殺人犯ロバート・ハンセンの実話の映画化。
実話ベースのサイコものなのでかなり重めで、昨日見た『ドライブ・アングリー』とはうって変わってバカ度は薄い。ニコラスは終始眉間に皴を寄せた沈鬱な表情。それよりもジョン・キューザックのヌメッとした変質者っぷりがお見事。マイホームパパを演じつつ連続殺人をするような人はこんな感じなのかなと思わせる説得力があって、観ているだけで不快感がジンワリと漂ってくる。
エンドロールで実際の被害者たちの写真が使われており、観客を鬱な気分に叩き込む。実話だから鬱とか言ってる場合じゃないですけどね。
原題: Drive Angry
Netflixにて。
『ドラキュリア』のパトリック・ルシエ監督、ニコラス・ケイジ主演、アンバー・ハード、ウィリアム・フィクナー共演。
カルト教団の教祖に娘を殺され、さらに孫娘を誘拐されたニコラス・ケイジが、ひょんなことから知り合った勝気で下品な美女アンバー・ハードと共に教祖を追う。さらにそのニコラスを、FBIだと名乗るウィリアム・フィクナーが追うが、この二人には何か秘密があるようだ…。
しまった!劇場で3Dで観れば良かった!(笑)
思い起こせば40年近く前、『13日の金曜日Part3』、『ジョーズ3D』の2本のシリーズ第三弾映画と共に、赤青メガネじゃなく偏光フィルターメガネ3Dがやって来た。
それまでの立体画像、立体映画と言えば、赤と青でダブった映像を、やはり左右に赤と青のセロハンのはめられたメガネで観る方式。飛び出し効果もイマイチだし、何よりも色が分からなくなってしまうのが、最大の欠点。それを偏光フィルターで立体視出来るようにしたのが、この1980年代の第二次3D映画ブーム。赤青時代から比べると、画期的な、飛躍的な進化と立体ぶりで、自分を含めた映画館の観客は立体メガネをかけた自分の目の前の空間に手を指し伸ばして「おお~、スゲー!飛び出してるぜ~」と、何もない空間をまさぐったりした。『13金3』、『ジョーズ』の2本以外、全くと言ってもいいほど3D映画はやって来なかったんだけれども、実にバカバカしくも素晴らしい立体効果演出は一部の人を虜にした。そう、ムダに3D感を強調しているのである。タイトル文字がいちいち飛び出してくる。ヨーヨーを真下から撮る。物干し竿を持ってカメラに向かって歩いてくる。ポップコーンを作るフライパンを真上から撮る。もちろん、弓矢や斧を観客に向かって投げられるし、殺された男の目玉もスクリーンからポーンと飛び出してくる。全てが3Dのためだけの演出でバカバカしいことこの上ない。
そして『アバター』(2009)から始まる第三次3Dブームでも3Dを意識した演出は行われていたが、『13金3』のようなあからさまかつ無意味な3D強調はそれほど多くなく、どちらかと言えば奥行き感演出にシフトしていた。
ところが、本作は最近見ない清々しいほどのバカっぷりで3D演出がされている。
飛び出すタイトル。本編中何度か繰り返される、真上から撮影されたコイントス。飛んでくる弾丸。飛び散る破片。バイオレンスでスプラッターな描写も、「折角だから飛び出さなきゃね!」と、とんでもやり過ぎ感も溢れ出る煮汁の如し。登場する度に、ズビシィィィっ!とFBIのIDを3Dで観客に見せつけてキメポーズを取るウィリアム・フィクナーのトンチキなカッコ良さももう大爆笑しながら観てしまいました。ああ、これは劇場で3Dで堪能すれば良かった。こんなに臆面のない立体演出、今ではもう絶滅しちゃってますよ。失敗したなぁ…。
物語は、ニコケイ定番の家族をどうかされちゃった男の復讐物。カルトに攫われたってあたりは後の『マンディ』を彷彿とさせる。クライマックスの展開は新機軸とも言えるけれど、途中で予想は付いちゃう展開。
映画中盤でニコラスを止めようとするマッチョタイプの警部役がなんとトム・アトキンス 。80年代にジョン・カーペンター映画でよく見かけたあの人だが、「“よく狙え”ってのは、“アタマをブッ飛ばせ”って意味だぞ。よ~し、じゃあよく狙っていけ!」とかイカス台詞が散りばめられててサイコー。
TOHOシネマズ新宿にて。
今泉力哉監督、松坂桃李主演。
ドルヲタ…と言うか、ハロプロヲタの青春。
アイドルのヲタクだったことはないけれど、映画とか諸々のヲタクではあるので、この映画に登場するキャラクターたちの気持ちや心情は、相当に分かる。時にドン引く描写や、アイタタタなところも散りばめられてはいるが、きっと人から引かれるほど何かに夢中になって惹かれたことのある人------それが映画でもアニメでも鉄道でもウイスキーでも-----なら、多分理解できる映画だろう。
主演の松坂桃李はイケメン俳優ではあるが、『遊☆戯☆王』のカードゲームのマニアで、マンガ好きとしても知られているので、「ケッ!イケメンがヲタク役なんて演りやがって」などと言う誹謗中傷を受けないナイスなキャスティング。
また、ここでも仲野太賀がいかにも居そうな自己中でウザいヲタクを熱演。いやぁ、ホントに最近良いね、太賀。
こちらは西新宿にある、国産ウイスキー専門バーであり、映画酒場でもある「shot bar ゾートロープ」のブログです。
こちらのブログは、2021年より映画の話題のみに特化しております。営業情報やお酒の新入荷情報等は、以下のFacebookの方にあります。
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何卒宜しくお願いいたしまする。
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CS放送の録画で。
マキノ雅弘監督、片岡千恵蔵主演。
「児雷也」だと思っていたら、ここでは「自来也」。いやまぁ良いですけど、蝦蟇(ガマ)使いの忍者ですね。
単純明快に復讐物語。
当たり前だが、千恵蔵に思い入れのある世代ではないのだが、なんだかやっぱりカッコイイ。
「恐ろしくば泣け!叫べ!吼えろ!フハハハハハハっ!」
とかミエ切られるとたまらんですな。
ところで、1937年の映画でも志村喬はすでに貫録の有るオッサンなのが凄いです。
ガマ可愛い。
黒澤明DVDコレクションで。
森一生監督、黒澤明脚本、三船敏郎主演。
冒頭、鍵屋の辻での決闘が今始まる!そんなクライマックスの場面から始まり、ここから回想に入る構成なのかと思いきや、「又右衛門は36人斬ったなどと言われているが、それは講談や歌舞伎で演出されたもので、実際は2人しか斬っていない。藁人形みたいな人間を36人斬るよりも、まともな人間を2人斬る方がよほど立派だ」とナレーションが入る。そして1952年当時の鍵屋の辻でロケーションした実景を使って、ここの通りを又右衛門や一馬がやって来た、とか、ここに鍵屋があった、と、現代の風景を使って鍵屋と通りの位置関係を解説した上で、物語が再度始まる。
非常に斬新な手法であり、また、これから始まるのは荒唐無稽に脚色されたフィクションではなく、リヤリズム映画であると宣言している。
実際、講談や歌舞伎のような様式美を排して、登場人物たちの息飲む音、流れる汗が感じられるがごとく、クライマックスの決闘に向かって進んで行く。
監督こそ黒澤ではないが、そこはそれ森一生なのでキチンと面白い。
原題:Une sirene a Paris
新宿ピカデリーにて。
マチアス・マルジウ監督、ニコラ・デュヴォシェル、マリリン・リマ主演。
ダリル・ハンナの『スプラッシュ』(1984)のフランス版翻案のようにも見える人魚映画。
ただ、あちらの人魚はマーメイドだったが、こちらの人魚はサイレン(セイレーン、シレーヌ)なので歌を唄って、聞いた男は恋に落ちて死んでしまう。
主人公のガスパールは、人魚ルラの唄を聴いたが、すぐには死なない。ここがこの映画のミソ。
近年では、アカデミー賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)、ポーランドのロマンチック人食い人魚映画『ゆれる人魚』(2015)のどちらもが非常に素晴らしかったが、この『マーメイド・イン・パリ』も出来は悪くないし、ジュネの『アメリ』っぽい演出も嫌いではない。
ただ、なんだか投げっぱなしのディテールとか、説明の言葉足らずな場面の多さが気になってしまう。
トゥクトゥクを盗まれたおじさんはどうなったのか?ガスパールの働いてる店が一体どんな店なのか?とか、なんだか観ながら引っかかったままのディテールがあっちこっちに散らばっている。謎として散りばめたんならいいんだけど、「え?それ説明しないんだ」とモヤモヤが残るんだなぁ。
好きなテイストなだけに「惜しい!」って作品だ。
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