2006.05.09

5/7 『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』

もうすぐ閉館してしまう新宿ピカデリー2で『なるにや国酔夢譚』…ぢゃなくって『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』を観る。

第二次大戦下のイギリスで、空襲を避けて田舎のカーク教授の元に疎開したペベンシー家の4人兄弟。教授の屋敷でかくれんぼをしている最中に、大きな衣装だんすに隠れたルーシーは、その奥が不思議な国ナルニアに繋がっているのを見つけた。ナルニアは、白い魔女によって100年もの間冬の世界に閉じ込められていたが、アダムの2人の息子とイブの2人の娘によって平和が訪れると予言されていた…。

『ナルニア国物語』の原作は読んでいないので、特に思い入れはない。
観てみようかな、でもまぁ見逃しても構わないか…ってくらいの気持ちだったのだが、ピカデリーが閉館なら行かねばなるまい!と思ったのだ。でも劇場交換してて、ピカ2だったのが残念。

さて、昨今のファンタジー映画流行の流れの中では、ピージャクの『指輪』より下、クリ・コロ版『ハリポ』より上、その他『ハリポ』より下ってのが率直な感想。
『シュレック』がウケてたのは、毒ありまくりのファンタジーで、ディズニーを茶化しまくったところなのに、その監督のアンドリュー・アダムソンが、よりにもよってディズニーでこんなに毒のないファンタジー作ってもダメだって。

でもそれ以上にキツイのが、キャラクター(=俳優)があんまり好きになれなず、感情移入が出来なかったこと。長男は頼りなくて成長のドラマがあまり見えず、次男はイヤなガキで、長女も感じが悪くって、末娘はスティーブ・ブシェミに似てる。(ブシェミは好きだが、ブシェミ似の女の子ってのはちょっと…)
これって原作でもこーゆーもんなの?
映画の出来はドッコイでも、俳優にまだしも魅力がある分、『ハリポ』の方がいいな。

VFXの出来は悪くはないが、WETA、ILM、リズム&ヒューズと、錚錚たるスタジオが参加してるにしては、それほどの驚きがない。
オープニングのフルCG第二次大戦シーンもいかにもCGでがっかりだ。驚いたのが、その後に続くピーターの寝顔の場面。まるっきりCGみたいで、生身の人間とは思えない。『ポーラー・エクスプレス』かと思ったよ。

まぁ、子供と一緒に観るファミリー・ピクチャーとしてはアリなんでしょう。
評判があまり宜しくないらしい白の魔女、ティルダ・ウィンストンは悪くないと思うけどな。デレク・ジャーマン映画じゃなくって、最近なんかで見たなぁと思ったら、『コンスタンティン』のガブリエル役だったのか。そうだ、この人だった。

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2006.04.18

4/17 『ナイト・ウォッチ/NOCHINOI DOZOR』

新宿アカデミーで『ナイト・ウォッチ/NOCHINOI DOZOR』を観る。

この世界には、人間と全く変わらない姿をした“異種”が存在している。異種は、光の勢力と闇の勢力に別れ闘いを繰り広げていたが、現在は休戦協定が結ばれていた。そして、それぞれの勢力には、相手を監視する「ナイト・ウォッチ」と「デイ・ウォッチ」が居り、危うい均衡が保たれていた。だが、その均衡を脅かすものが現れようとしていた……。

“ロシア版マトリックス”との触れ込みの一部で話題のロシア映画。
良くも悪くも「ロシアでこんな映画作るようになったんだ!」と驚かされる。ロシア映画ってぇとオレには、エイゼンシュテインでタルコフスキーで『戦争と平和』『妖婆 死棺の呪い』『雪の女王』…みたいな印象しかない。それが今どきのハリウッドSFアクション映画みたいなのを作るとは思いも寄らなかった。
まぁ、インド映画がサタジット・レイ監督作みたいなのしかないかと思ってたら、『踊るマハラジャ』みたいなのが主流だったり、韓国映画がイム・グォンテク監督作みたいなのばっかりかと思ってたら、エンタテインメントの方が主流だったりと、紹介される作品の偏りが有り過ぎて思い込んじゃってたってぇのが正直なところだ。

物語的には、至極手垢の付いたプロット----遠い過去から未来まで、人類の知らないところで光と闇の軍勢が戦っている---である。こんなん、小説でも映画でもいっくらでもやっている。ただし、ちょっと新機軸なのが、そのどちら側に付くかを自分で選択出来るところ。こーゆーのは大抵の場合、運命で定まってたとか、生まれながらにどっちに付くかが決まってる場合が多い。この新機軸部分が、物語展開に大きく関わってくる。
『マトリックス』よろしく、最初から3部作の予定で製作されているそうで、決着もはっきりとは着いていないから、今はストーリー的な判断は出来かねるけれど、『マトリックス』1作目のような興奮はない。

映像的には、確かに“ロシア版『マトリックス』”と宣伝するのも頷ける。
冒頭のタイムスライス風戦闘シーンや、デジタル処理併用のカメラワークなど、トリッキーな映像が多い。でも、凄くオリジナリティ溢れる物になっているかと言うと、意外とどこかで観た映像の応用編だったりする。ウォシャウスキー兄弟の影響よりもデヴィッド・フィンチャーの影響の方が強いんじゃないかしらん?
闇のリーダー・ザヴロンがプレイしている、格闘ゲームの映像のなんとも言えないショボ&ウソ臭い感じは狙いなのか?

とりあえず、3部作を全部観てみようと言う気にはなったから、映画としてはそこそこ面白いんだろう。(…と、消極的な肯定)

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2005.03.26

3/26 『ナショナル・トレジャー』

新宿文化シネマで『ナショナル・トレジャー』を観る。

フリーメイソンの隠した秘宝を捜し求めるゲイツ家。ベン・ゲイツ(ニコラス・ケイジ)は先祖の遺志を継ぎ、代々伝わる“秘密はシャーロットと共に眠る”と言う、謎の言葉の意味を解き明かした。だが、それは更なる謎に繋がっていく入り口に過ぎなかった…。

2時間11分、テンポと力技でグイグイ引っ張っていくが、その実中身はカラッポでツッコミどころ満載な、いかにもブラッカイマー印の映画。
もうね、ベン・ゲイツがアタマ良過ぎなんだよ。どんな謎にぶち当たっても、ほとんど1分後には謎を解く。そして、追っ手から逃れるためのアクションがあって、またすぐに次の謎が提示される。この繰り返し。まるで攻略本を片手に解いていく、アクション・アドベンチャーゲームって感じの映画だ。
ハーベイ・カイテル、ショーン・ビーン、ジョン・ボイトと、クセのある役者で脇を固めてはいるけれど、まぁ別にいつもの通りな演技で、安心して観ていられる反面、特に驚きはない。
それにしても、ジョン・ボイトだ。『トゥーム・レイダー』と、この『ナショナル・トレジャー』の役柄ってほとんど同じじゃない?もうちょっと仕事を選んでもいいんじゃないのか?

とか言いつつも、このバカバカしさは意外と嫌いじゃなかったりするがね。

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2004.11.02

11/2 『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』

家に帰ると、カミさんが『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』を観てたので、一緒に観る。

何度も観ているが、映画の出来としてはもちろんのこと、モデル・アニメ、ディスプレイスメント・アニメとしても、ほぼ文句のない素晴らしい出来。なので、今さら内容がどうのこうの言っても仕様がないので、物語とかは割愛する。
今回プロジェクターで観るまで気にもしてなかったのだが、このDVD版って、スクイーズとかじゃなかったんだ。きっとデジタル・リマスター版のDVDを再発売して、また買うことになるんだろうなぁ。

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2004.09.17

9/17 『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』

新宿コマ東宝で、『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』を観る。【ネタバレ】
面子は、いつも『ゴジラ』だの『キューティハニー」だのを一緒に観に行く座長、Xオヤヂ、クール。

伊賀の里で修行中の忍者・服部カンゾウ(香取慎吾)は、ある日、父ジンゾウ(伊東四郎)から、“主(あるじ)以外には決して姿を見られることなく、その主を守って江戸で暮らせ”と命令される。これが最後の修行だと言うのだ。東京にやって来たカンゾウは、偶然出会った小学三年生の三葉ケンイチ(知念侑李)を主にすることを決め、三葉家にこっそり居候することになるが…。

コメディと言うには笑えないし、ドラマと言うには物語もキャラクター描写も薄っぺらだし、アクションは…ほとんどない。今、なぜこの映画を作ったのかがよく分からない。たとえアイドル主演のファミリー・ムービーであっても、どこか一箇所ポイントを絞って、その部分だけでも少し丁寧に作れば、もうちょっとどうにかなったんじゃないのか?

例えばハットリくんとケンイチの出会い。東京タワーからムササビの術で飛んだ先が、たまたまケンイチの家。何の理由もない。原作漫画がどうやって始まったか記憶にないが、確かモノクロ実写版では、腹を空かせたハットリくんが、サンマ(だったかな?)の焼ける匂いに釣られて、フラフラとケンイチの家に行くんじゃなかったか?大した理由ではない----むしろいい加減な理由であるが、いかにも藤子不二雄らしいエピソードだ。
例えば、ケムマキたち甲賀忍者は、何故忍者であることを辞めたのか?一般論と言うか、子供の頃から刷り込みで、“抜け忍には死の制裁を加える”ってのは当たり前のことと認識している。だから黒影が甲賀抜忍を執拗に追い続けるのは分かるが、なぜそれでもケムマキたちが抜けたのかは分からない。
ハットリとケムマキの関係も、昔のエピソードがひとつ描かれるだけなので、さして意味を持っては来ない。
目の見えない少女(?)ミドリに、なぜケンイチは憧れたのか?それ以前に、ミドリとは一体どういう少女なのか?

本作では、ほぼ全てのエピソードが、その程度の意味のない描写で進んでいくため、感情移入もできないままクライマックスに向って進んでいく。そしてそれらの間を埋めるのは、クスリともさせてくれない笑えない“笑い場”の数々。だから、黒影にさらわれたケンイチを救出に向うハットリくんが、どんな思い出を回想してみても、そこに“忍者の掟”を破るほどの説得力はない。そして対決は、なぜか黒影に食ってかかるケンイチで終了。最後くらいはちょっとがんばったアクションで締めてくれるかと思ったのだが、それすらもない。ケンイチの助けでハットリくんが勝つのはいいが、ケンイチが対決を邪魔してはどうにもならない。
大体、役者的にも演出的にも、一番カッコイイのが主役のハットリくんじゃなく、ケムマキくん(ガレッジセールのゴリ)って段階で、この映画はアウトだろう。

敢えて言うなら、『CASSHERN』よりも『キューティー・ハニー』よりも、お客さんを向いて作っているとは思う。だけど、それは、ブラウン管の向こうに居る“金払ってないお客さん”レベルであって、“1300~1800円払って劇場に来たお客さん”のレベルには全くなっていない。

突然のマンガ/アニメの実写リメイク・ブームも、残すところ『デビルマン』『鉄人28号』の2本。どれか1本くらいマトモな映画であれば良いのだが…。

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2004.06.19

6/19 『中山七里』

ビデオで『中山七里』を観る。

木場の政吉(市川雷蔵)は、飲む打つ買うに目がないけれど、材木の目利きにかけては並ぶ者がない男だ。ある日、賭場で手入れに遭い、困ったところを女中のおしま(中村玉緒)に救われた。おしまに一目惚れした政吉は、やくざな生活から足を洗うことを条件に彼女と結婚の約束をした。だが、おしまに気のある木場の親方・安五郎が彼女を手込にしたため、政吉は彼を刺し殺し、一方、おしまもその事件を苦にして自害した。一年後、追っ手を逃れ旅鴉となった政吉は、道中でおなか(中村玉緒)という女を助けた。おしまと瓜二つの彼女に心ときめく政吉だったが、彼女には徳之助(大瀬康一)という許婚が居たのだった…。

雷蔵&玉緒&池広一夫の『かげろう侍』トリオによる62年製作の股旅物。
前半20分過ぎくらいで、ヒロインのおしまが死んで驚かされるが、なぁんだ、瓜二つの女が登場するんだね。物語的には、ヒロインがいきなり自害するのがサプライズなだけで、後は非常にステレオ・タイプに進んでいくのであまり見所はない。
演出的にも特に変わったことはしていない。だが、この映画では靄やスモークの使い方が非常に印象的だ。例えば、山を歩く政吉たちのロングショットがある。実際の靄なのか、それとも石灰か何かを使っているのかは分からないが、二重三重に霞がかかり、モノクロ画面と相まって水墨画を思わせるような非常に美しい映像になっている。また、山奥の廃村に政吉たちが隠れており、そこにやってくる捕り方たちの場面。靄の中に響く、徳之助の父、吉五郎の絶叫。そしてその靄の中から、男たちの姿ががすぅっと現われる場面なども非常に巧い。
そして、廃村での大立ち回りとなるクライマックスは、そこらに転がっていた道具類や、壊れかけた納屋自体を駆使してのゲリラ戦となる。これは後年の雷蔵&池広による『若親分』シリーズのクライマックスに、そのまま受け継がれていくシチュエーション。いわゆる時代劇の殺陣ではなく、周りにあるあらゆるものを使って戦うのは、多勢に無勢の状況と、殺陣が意外と上手くない(とオレは思うんだが…)雷蔵のアクションを、ダイナミックに見せる演出として正しいやり方だ。もちろん、この場面でも靄が有効に使われ、視界の利かない中、雷蔵がいきなり敵に襲い掛かる。

主題歌は橋幸夫。
おしまによく似たおなかを助けた際、「♪助けた女が、おしまに似ていて驚いた~♪」みたいな、状況を説明する唄がかかるのが可笑しい。

傑作とは言わないが、そこそこ面白い映画であった。

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2004.05.19

4/19 『眠り狂四郎 卍斬り』

レンタルビデオで『眠り狂四郎 卍斬り』を観る。

眠狂四郎(松方弘樹)は、岸和田藩家老内藤主水(永田靖)から主君が寵愛する女、理江(南美川洋子)を犯すよう頼まれる。実は理恵は薩摩藩の間者だったのだ。岸和田・薩摩の老中家老争いに巻き込まれた狂四郎は、薩摩の暗殺団隠密党に追われることになった。その中の一人、梅津一郎太(田村正和)が伴天連との混血であることに気付き…。

松方狂四郎の第二弾で、眠狂四郎シリーズ最終作。まだまだ続く“池広一夫まつり”。
シリーズ物の常ではあるが、主人公(狂四郎)が強くなり過ぎて、緊張感が薄くなってしまっている。それをカバーするために、続々と出てくるのが特殊なシチュエーションだ。
色香で誘って抱こうとしたところで、下から脚と腕を絡めて狂四郎を身動き出来ないようにする生娘。狐憑きを装って「含み針」を吹き付ける生娘。縦一直線に10人くらい並んだ敵と、次々と戦う連続バトル。石段を降りながら、後ろから次々襲い掛かる敵を振り返らずに斬るなど、難儀なシチュエーションが連続で登場する。それをまた、時にはかっこよく、でも時には大莫迦な方法(演出)で切り抜ける狂四郎。
話としては、同じ伴天連の血を引く一郎太との関わり方とか、重い部分があるのだけれど、映画としては、ある意味ちょっとしたバカ映画になっている。

それに、松方狂四郎が、どーにもこーにも女好き過ぎるよね。雷蔵は口では色々言うけれど、そんなにがっついた印象はなかったのに、松方弘樹はともかく据膳を喰いまくる。マイケル・ダグラスと同じ病気なんじゃないかってくらいの勢いだ。これはこれでアリかも知れんが、敵役の田村正和の方が、まだしも狂四郎向きだったんじゃないのかな?

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2004.05.06

5/6 『眠狂四郎 悪女狩り』

レンタルビデオで『眠狂四郎 悪女狩り』を観る。

江戸市中で連続して起こる辻斬り、そして強姦事件。その現場には「断 狂四郎」、「狂四郎 此れを犯す」などと書き残されていた。一方その頃、江戸城大奥では、将軍の子を身篭った側室の環(行友圭子)とお千加(松尾嘉代)の方をめぐって、激しい権力争いが繰り広げられていた。そして、大奥総取締の錦小路(久保菜穂子)と彼女と陰謀を企てる板倉将監(小池朝雄)の元には、なにやら怪しい隠れキリシタン川口周馬(江原真二郎)が出入りしていた。そんな怪しい雲行きの中、狂四郎(市川雷蔵)は、いつもと変わらず茶屋の女将お菊(朝丘雪路)と情事を楽しんでいたが…。

市川雷蔵の「眠狂四郎シリーズ」第十二作目にして最終作。ついでに多分遺作(調べると『博徒一代 血祭り不動』が遺作って書いてあったりするのでどっちがホントかよくわからん)。
恐らく本作は、病に罹った雷蔵の身体を労わる意味もあって、“ニセ狂四郎”のエピソードにしたんだろう。本人ではなく、ニセ狂四郎の悪行三昧が、本狂四郎並のスタイリッシュな映像で描かれる。それで狂四郎本人の見せ場が沢山あったように見せかけるって手法…と言うか、本人じゃない負い目と言うか、ムキになって雷蔵をフォローしてるのか、いつも以上に狂四郎(とニセ狂四郎)をカッコ良く撮る池広一夫演出。

最初の決闘では、横位置のロングショット、黒バックのままのスローモーションで、狂四郎が斬る瞬間だけ常速に戻して、抜き身の速さを強調。様々な得物を手に持つ伊賀忍者軍団に包囲された狂四郎の殺陣。流れ弾ならぬ流れ分銅で打ち抜かれて、鮮血を飛び散らす女。籠を襲う場面では、雨の中を走りながら一気に2人斬捨て、ワイヤーでジャンプして飛び蹴りを喰らわして、標的を斬る。このアクションに続いての、本物とニセの狂四郎が真俯瞰ですれ違う傘の場面が、動と静のコントラストになっていて巧い。この他にもスタイリッシュな見せ場が目白押し。なんてったって、円月殺法が3回ですよ!3回!円月殺法はオプチカル処理が必要だから、予算もかかる(普通は1回しかない)だろうに、凄い大盤振る舞いだ。

当時としてはバイオレンス&エロも濃厚だ。鮮血がドヴァッと散るのは当たり前で、手首が斬りおとされたり、眉間にブッスリとクナイが刺さったりするし、エロ方面も、半裸に剥いた側室を逆さ吊りにしての拷問、ニセ狂四郎の強姦、大奥内での“百合”描写に、久保奈保子による狂四郎逆強姦未遂、能面をつけて迫る女(能面で迫られてもグッとクル男は少なかろう…)などなど、実に見せ場が多い。
重く暗い物語を、スタイリッシュとエロとバイオレンスで押し切った佳作だ。

37歳の若さで、直腸癌で逝ってしまった雷蔵の、これが最後かと思うと感慨深い。35年も前のことを悼んでも仕方がないが、惜しい役者を亡くしてしまったもんだ。

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2004.05.03

5/3 『眠狂四郎無頼控 魔性の肌』

レンタルビデオで『眠狂四郎無頼控 魔性の肌』を観る。

眠狂四郎(市川雷蔵)は、闕所物奉行朝比奈修理亮(金子信雄)から京都御所への献上品搬送を懇願された。それは、島原の乱の際にポルトガルから天草四郎に送られた黄金のマリア像であり、キリシタンが転じて邪教徒になった黒指党の首領・三枝右近(成田三樹夫 )がその像を狙っていた。狂四郎は最初は依頼を断ったものの、朝比奈の娘ちさ(鰐淵晴子)の操を要求し、依頼を承諾する。そして京都を目指す狂四郎たちの前に、次々と刺客が現われる…。

まだまだ続く“池広一夫まつり”(笑)で、眠狂四郎シリーズ第9作目。
相変わらず、眠の旦那は女好きでゲスな。仕事の代償に「そちの娘の“操”を頂こう」なんて台詞、普通のヒーローなら口にしないよ。

見所は、中盤の旅に出てから。
次々と襲い掛かる刺客の嵐。斬り掛かる黒指党の侍はもちろん、茶屋で毒茶を飲ませようとするジジイ、体と引き換えに仇討ちをしてくれとだますオバハン、色仕掛けで迫って毒風呂に落とそうとする女、竹を転がして足をすくうトラップなどなど、本当に矢継ぎ早に次から次へと手を変え品を変え狂四郎に襲い掛かってくるのが面白い。
そしてクライマックスの死闘がまたお見事。友禅染のたなびく河原で、敵をバッタッバッタと斬り倒す殺陣は、ケレン味たっぷりで、いかにも池広演出。
もちろん、得意の真俯瞰ショットや走る主観など、随所に池広節が散りばめられて、オレとしては大満足。

女優は、久保菜穂子、長谷川待子、渚まゆみと、美人どころをぞろりと揃えているのだが、中でも鰐淵晴子の可憐さには驚かされる。昔はこんなに可愛かったっんだなぁ。

音楽は、後年『キューティー・ハニー』『ガンダム』を手掛ける渡辺岳夫。当時の時代劇の劇伴としてはちょっと斬新でカッコイイ。

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2004.01.20

1/20 『眠狂四郎 女妖剣』出生の秘密に驚愕!

レンタルDVDで『眠狂四郎 女妖剣』を観る。

将軍の娘・菊姫のご乱心で、夜毎次々に殺される大奥の女たち。備前屋はアヘンを大奥に流し、キリシタンの情報を老中に与えることで、明国人陳孫(城健三郎)との密輸を黙認させていた。隠れキリシタンの鳥蔵から、浜松に居る狂四郎の血縁、びるぜん志摩(久保菜穂子)を守ってくれと依頼されるが…。

昨日に引き続き、池広一夫監督作品。
クライマックスで明かされる狂四郎の出生の秘密-----“転び伴天連”が黒ミサで武家の女を犯して産ませたのが狂四郎-----ってのは驚いたが、正直なところ物語構成的には散漫な印象である。
しかし、映像的には魅せる魅せる!
ダイナミックに遠近感を強調した構図(この人の映画は、奥行き感とか上下の立体感の出し方が実に巧い)、得意の俯瞰ショット、走る役者を相当なスピードでフォローするロング・トラックショット、被写体を左右に振り分けながらのジャンプカット等々、池広テクが炸裂!
中でも白眉と言えるのは、お馴染みの残像を残した円月殺法(この映画で初めて考案されたらしい)と、女祈祷師と忍者を一瞬で斬捨てる殺陣。どちらかと言えばモッサリとした(失礼)雷蔵の殺陣が、猛烈にシャープ。
池広作品は本当に映像のセンスがイカしている。参った。

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