新宿ピカデリー1で『Mr.インクレディブル』先行オールナイトを観る。【ちょっとだけネタバレ】
人々の幸せと世界平和のために戦うスーパーヒーローたち。だが、彼らの行動が裏目に出て、その活動を禁止されてしまう。そして15年が経った。昔は大活躍していたMr.インクレディブル(クレイグ・T・ネルソン)と、その妻イラスティガール(ホリー・ハンター)も、今では素顔のボブとヘレンとして、保険会社のサラリーマンと普通の主婦になって、3人の子供と地味な生活を送っていた。だが、ボブは友人のフロゾン(サミュエル・ジャクソン)と一緒に、かつての栄光を懐かしみながら、いつかスーパーヒーローに戻れる日を夢見て、悶々とストレスを溜めていた。そんなボブの元に、ある日ヒーローとしての仕事が舞い込むが…。
うええええええええぇぇぇぇっっ……。
も~やんなっちゃうよなぁ、こんなの作られちゃうと。土俵が違うとは言え、デジタル系でなんか作ってる人間としては、ホントーにウンザリですよ。なんでこんなに素晴らし過ぎるもの作っちゃうのかね、まったく!ピクサー×ブラッド・バードで面白くならん筈がないとは思っていたが、期待を全く裏切らない驚くべき完成度。
『アイアン・ジャイアント』みたいな“男泣き映画”なのかと思ってたら、大活劇もあり、ヒーローの悲哀、そしてサラリーマン父ちゃんの悲哀もあれば、家族の絆もあり、もちろんお笑いもテンコ盛りで、予想外にストレートな映画なのだ。
(ついでに、最初にストーリーを知った時にフィリップ・モラの『キャプテン・ザ・ヒーロー/悪人は許さない』みたいな映画かとも思ったが、似てるところはあるけれど、これも違った。唄って踊るクリストファー・リーのシーンは好きなんだけどね)
キャラクターはドイツもコイツも魅力的で、中でも予告の時からグッっとキてたMrs.インクレディブルことイラスティ・ガールが大活躍。お母ちゃんサイコーだよ。“母は強し”みたいなことじゃなくって、女性キャラとしてもサイコーに魅力的で、もう惚れちゃうね。勢いで、帰りにぬいぐるみ買おうかと思ったら、何故か女性キャラはなし。残念…。娘のヴァイオレットも、観る前は「なんかイマイチ…」とか思っていたが、あのネクラと言うか引っ込み思案なのが実にイイ感じ。そして弟のダッシュ。別に感動させるような場面でもないのに、水の上を走るシーンに何故か目頭が熱くなる。各キャラが、全て能力と性格付けがリンクしているのも巧い。
そんでもってこの映画、色んな映画へのオマージュになってたりするのだが、中でも最大級のオマージュが捧げられているのが『007』シリーズ。ジョン・バリーのメイン・テーマそっくりの音楽がかかるのも笑ったけれど、それ以上にのけぞったのが、悪の秘密基地。これのデザインやディテールが、『ムーンレイカー』と『私を愛したスパイ』を足したような秘密基地-----もっと言ってしまえばデレク・メディングスのSFXに出てきそうなデザインとかギミックばかりなのだ。いやあ、まいったよ、ホント。
映画として面白いのはもちろん、毎度のことながら技術的にも唸らされる。
街並みの作り、空気や水の存在感など、リアルとアンリアルのビミョウな境界線で作られていて、この見事なセンスには脱帽するほかない。そして今回のポイントは髪の毛の表現。フワフワだったり艶々だったりするのも凄いが、水に濡れた髪の毛の表現は、『モンスターズ・インク』からさらに一歩進んで、これまで見たことのない新たな領域まで行ってしまっている。この髪の毛表現のために、またもや新しいソフト「FIZT(フィズティー)」ってのも作っってるらしい。恐ろしい会社だ…。
スペシャルサンクスに『ドラゴンスレイヤー』のマシュー・ロビンスの名前が!何でだろうと思ったら、ブラッド・バードって同監督の『ニューヨーク東八番街の奇跡』の脚本書いてたのか。
映画自体じゃなく劇場で驚いたのが、この先行がガラスキだったってこと。『トイ・ストーリー2』以降のピクサー作品は、どれも日本でも当たってたのに、今回はヤバイのか?オヤジが主人公のヒーローものってことで、若い娘さんが敬遠してるのかもしれないが、これは劇場に行かなきゃダメでしょ!…っつーか、行け!