2006.04.03

3/26 『乾いた花』

米版DVDで『乾いた花』を観る。

ヤクザの抗争から人を殺し、三年ぶりに娑婆へ出た村木(池辺良)。世間はすっかり様変わりし、対立していたはずの組同士も手打ちが済んでいた。そんなある日、賭場で一人の少女・冴子(加賀まり子)に出会う。裏社会の人間には見えない冴子に何故か心惹かれる村木。彼女は、もっと大きな勝負のある賭場へ行きたいと言う。村木と冴子の奇妙な関係が始まるが…。

64年の篠田正浩監督作。
題名の“乾いた花”は、花札賭博の花と、人々の渇いた心情、渇いた生き方を現したものだろう。
その題名通り、それまでのヤクザ映画、任侠映画とは違って、非常にドライに淡々とヤクザの日常を描いている。ヤクザの抗争も手打ちも、村木にとってもはや大した意味はない。義理人情を破壊する訳ではないが、それすらも只の事実として存在するに過ぎない。そんな村木が冴子に惹かれていく。彼女もまた、世間とは無関係に飄々と生きている。

クライマックスで、村木は「面白いものを見せてやる」と言い、自分が人を殺す瞬間を冴子に見せる。非常に殺伐としたバイオレンス描写なんだが、それすらも何か淡々としている。

エピローグで、刑務所に入っていた村木は、「冴子が殺された。実はあの女は…」と、冴子の正体を教えられそうになるが、それを聞かない。村木にとっては、冴子が存在することのみに意味があり、その正体なんてどうでも良いのだ。そして、村木ほど超然と生きることが出来ない観客たちは、最も知りたかった冴子の正体を結局何も教えてもらえないまま幕が閉じる。

なんとも不思議な空気の映画である。

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2006.02.06

2/3 『アンチェイン UNCHAIN』

レンタルDVDで『アンチェイン UNCHAIN』を観る。

1度も勝ことなく引退した4回戦ボクサー、アンチェイン梶と彼の周囲に居た4人の男、ガルーダ・テツ、西林誠一郎、永石磨を追ったドキュメンタリー。

劇場公開時に、何故かテアトル新宿に行くことが多くて何度も予告を観ていた。その予告が頭にこびりついてて、観たいと思っていたんだがなかなか機会がなく、やっと今日観た。

なんとも言い難い映画である。
タイトルにもなっているアンチェイン梶は、7戦6敗1分けで引退したボクサーである。映画の中での彼の試合シーンは、全て過去に撮られたホームビデオ。そして映画の中の大半の時間、彼は精神病院の中で過ごすので、周囲の人間による証言構成になっている。つまり、アンチェイン梶は、主役であって主役ではない。実質的な主役は、彼の後輩であるガルーダ・テツであると言っても過言ではない。

格闘技は嫌いではないが詳しくはないので、ガルーダも、西林も永石も知らなかった。
彼らがことさら弱い選手だった訳ではない。西日本の1位だったりする選手もいる。だが、カメラが回っている間、彼らは皆負け続ける。全編を通して、彼ら4人の勝利する場面は驚くほど少ない。ドキュメンタリーだから、ドラマチックに盛り上がるようには展開しない。リングの上にうずくまって涙するガルーダ。それでも彼はリングを降りない。逆にタイトルマッチで負けてしまってから、二度とリングに上がらない西林。そして引退しているのに、何か去りがたくリングの上でシャドーするアンチェイン。
「リングの上では、合法的に人が殺せる。ルールはあっても、思う様人を殴れる」と言うアンチェイン。だが、合法的に殺すどころか、彼は一度も勝てずに引退してしまった。だから、その不完全燃焼ゆえに、彼は日常で壊れていったのだろうか?

単純に面白いとか面白くないとか言える映画ではない。格闘技のドキュメンタリーと言うと『ビヨンド・ザ・マット』を思い出すが、アレとは対極にある世界だ。

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2006.02.03

2/2 『悲愁物語』

香港版DVDで『悲愁物語』を観る。

服飾業界の広告合戦が激化する中、日栄レーヨンの広告を担当する田所(岡田真澄)は、美人プロゴルファー・桜庭れい子(白木葉子)に目を付けた。まずはれい子を女子プロゴルフ・チャンピオンにするために、ゴルフ雑誌編集長でれい子の恋人でもある三宅(原田芳雄)に特訓を頼んだ。日夜続く特訓の甲斐あって、れい子は全日本女子プロゴルフ選手権で優勝を勝ち取った。れい子は一躍売れっ子にになり、テレビの司会までもこなすようになった。だが、そんな彼女を快くは思っていない人々もいた…。

初めて観たけど、狂った映画だねぇ~!
前半はあんまり清順らしさもなく、ちょっと変わった“スポ根もの”程度に見えるんだけど、途中からどんどん話がヘンな方向に。コレってなんの映画なんだろう?清順らしからぬスポーツ映画の雇われ仕事かと思いきや、ゴルフしてる場面なんて中盤以降は全くない。きっと詳しく書かない方がいいんだろうな。ある種『幻の湖』的なトンデモ映画でもあるから、観るまで絶対に物語は知らない方が面白いだろう。

で、そのトンデモ方面に流れ始めた辺りから、話もスゴイが描写も凄いことになって行く。清順演出が徐々に、だが確実に炸裂し始める。クルマではねられる人間とクルマから飛び出そうとする女の有り得ない描写、ピントを合わせ切らないピン送り、TVサイズにトリミングされたら登場人物が全く映らない画角、変化するマニキュアの色、不思議な構造の家、奇妙なライティング、etc、etc…。

『殺しの烙印』で干されて、10年ぶりに撮った本篇でこんなのを作っちゃうんだから、清順さんは本当に驚くべき人だ。会社にも大衆にもまったくおもねる所がない。やりたいようにやってるだけ。マジで驚いた。

それにしても江波杏子の恐ろしいことと言ったら…。

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2005.11.04

8/15 『妖怪大戦争』

新宿ピカデリー3で『妖怪大戦争』を観る。

両親の離婚で田舎に引っ越したタダシは、クラスでいじめられていた。ある日、お祭りで“麒麟送子”に選ばれてしまったタダシは、大天狗の山の洞窟へ伝説の聖剣を取りに行かなければならなくなってしまった。一方その頃、日本各地で子供が消える事件が多発していた。そして妖怪たちも何者かによって次々と襲われていた…。

三池崇史監督による、ちょっとスゴイファミリー映画。
隣で観てたどっかのガキは、くだらないギャクでギャハギャハとウケてるし、おねぇさま方は「神木隆之介が可愛かった~」とか言ってるし、オヤヂは「なんてエロかったんだ…河童女…」と呟く。観に来たみんなが、ある意味満足すると言う、とてつもない映画である。

それにしても三池はスゴイよなぁ。“角川書店創立40周年記念大作”なんて大層な映画なのに、自分のペースが乱れることはない。あの肩スカシの喰らわせ方は、ちょっと他の監督じゃあ出来ないよ。なんてったって“あ…、豆”ですからね。

嶋田久作のイメージが強いから、豊川さんの魔人加藤は難しいんじゃないかと思っていたが、これはこれでアリ。それよりも、どんどん型にはまって行ってしまってる栗山千秋の行く末を不安に思う。今回も魅力はあるんだけど、本当にこんな役ばっかりになっちゃうよ、この娘。

加藤に変身させられた妖怪たちが、CGなのにストップモーションっぽい見せ方になっていたのが楽しい。『ファイナル・ファンタジー』みたいにリアル方面に突っ走るよりも、こんな描写にしたほうが、センスの良さが滲み出てくる。ゲーム業界は見習うべきだよな。どんなに金を掛けても、あえてB級っぽくしていくのも三池らしいところなんだろう。

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2005.08.13

8/13 『待ち伏せ』

石川ひとみの…じゃなくて、米版DVDで『待ち伏せ』を観る。

天保年間。三州峠で待てとだけ言われて雇われた用心棒の鎬刀三郎(三船敏郎)は、旅の途中で助けた女おくに(浅丘ルリ子)を連れて峠へと向かった。峠の茶屋には、徳兵衛(有島一郎)と娘お雪(北側美佳)、そして玄哲(勝新太郎)と名乗る医者くずれの居候が住んでいた。茶屋には渡世人の弥太郎(石原裕次郎)が立ち寄り、さらには盗人の辰とそれを追う役人の伊吹兵馬(中村錦之助)も転がり込んで来た。一体この峠で待つと何が起こるのだろうか…?!

信じられないほど豪華な配役による犯罪時代劇である。
ミフネ、裕次郎、勝新、浅丘ルリ子、錦之助と、東宝、日活、大映、東映の看板スタアが揃い踏みである。これも五社協定が消滅した70年の作品ならではである。

監督、俳優らの自由を束縛するものとして悪名高い“五社協定”ではあるが、一概に害悪ばかりとは言い切れない。それは各社が各社のスタアを育てたことである。現在のように、どこの会社の作品に誰でも参加出来るのは、確かに選択の自由があっていいことだが、逆に言えば、人気のある人ばかりが起用され、右を向いても左を向いても同じ人ばかり出ていることになってしまう。数多くのスタアが誕生しないのだ。五社協定の時代には、同じ位の格の人気役者さんが各社なりのカラーを持って存在していた。だからその規制がなくなった時に、百花繚乱、豪華絢爛な配役による本作のような映画が作れたのである。今の時代、これだけカラーの違うスタアの揃う映画なんて作れない。

さて、つい配役に目を奪われてしまうが、映画自体もなかなか面白い。
三郎同様、観客自身も三州峠で何が起こるのかが全く分からないまま、物語は進んで行く。果し合いか、合戦か、ご禁制の品の受け渡しか。一癖も二癖もある連中----いかにも胡散臭い玄哲が何かやらかすのか、それとも渡世人が鍵を握るのか、はたまた影のある女こそが黒幕なのか?ネタバレしちゃあいけないほどのサプライズではないが、観ている方もワクワクドキドキできる作品だ。

それにしても、刀を使わないミフネはサマにならない。劇中、裕次郎と殴り合いの喧嘩をする場面があるのだが、これがおよそ迫力がない。おまけに殴り合いの後は
「おぬし…、なかなかやるではないか」
「…そっちこそな!」
「アッハッハッハ~!」
と、あんまりにもベタな展開が待っている。いや、70年の映画だからいいっちゃあ、イイんスけどね。

“ソガくん”として有名な元多岐川由美のダンナ、阿知波信介と、ガス人間こと土屋嘉男が出ているのも、特撮くんとしては抑えておきたい映画である。

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2005.08.04

8/4 『新座頭市物語 笠間の血祭り』

米版DVDで『新座頭市物語 笠間の血祭り』を観る。

生れ故郷の笠間宿へ帰って来た市。育ててくれた乳母のオシゲ婆さんは既になく、市を覚えているのは陶工の作兵衛(志村喬)のみ。そこへ江戸で成功した米問屋の常陸屋新兵衛(岡田英次)も帰って来た。2人は幼なじみで一緒に西瓜を盗んだ仲だったが、新兵衛は見向きもしない。新兵衛は、凶作で年貢を納められない村人の代わりに、金で不足分を払ってくれるというので、名主の庄兵衛(土屋嘉男)らは大歓迎する。だが、新兵衛の本当の目的は、村の石切り場の利権だったのだ…。

とりあえずのシリーズ終了になる第25作は、大映時代から通算6本を手掛けている安田公義監督作。

前提として最終作だったのかどうかは知らないが、エピソードとしてはいかにも最後を飾るのに相応しく、市が故郷に帰って来る。だが、誰も市のことなど覚えてはいない。そんな中で市が心を通わせるのは、作兵衛と作兵衛の家事を手伝っているおみよ(十朱幸代)だけである。このおみよが、市と同じおしげ婆さんのお乳を飲んで育った最後の子供なのだ。情感としては非常に巧い設定なんだけれど、おしげ婆さんは乳母として、一体何年間、何人にお乳をやっていたんだろう、と素朴に疑問に思ってしまった。

本作は、後期シリーズには珍しい重いトーンに支配されている。幼馴染みが悪人になっていたことに由来するこの重さは、実兄や師匠等、斬ってはいけない人を斬らなければならなくなってしまう、シリーズ初期の重さに似ている。コメディ・リリーフとして設定されていたであろう岸部シローらのフーテンも斬られ、最後の戦いはなんとも悲愴なものになる。だが、この悲壮感があるからこそ、最後が盛り上がる。これまで1作で数回の立ち回りがあるのがこのシリーズの常だが、今回は途中での立ち回りが殆どなく、最後の戦いにのみ集約されていく。抑圧され、耐えに耐えた市の冴え渡る仕込みの鋭さがカタルシスを生み出す。
派手に飛び散る血飛沫は、リアリティはないけれど恐ろしいほどの迫力を持っている。特にクライマックスで代官の佐藤慶の喉笛を掻っ切る場面は絶品!思わず巻き戻して見直してしまった。
やはり安田公義は巧い。抜きん出た作家性のある監督ではないけれど、確実に面白いものを作る職人監督である。

本作をもって一旦“座頭市映画”は終了し、勝新はTVで座頭市を展開していくことになる。そして86年に本当に最後となる映画版を製作することになる。

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2005.07.24

7/24 『おたくのビデオ』

米版DVDで『おたくのビデオ 1982』『おたくのビデオ 1985』を観る。

1982年、大学1年のシティボーイ(死語)の久保は、テニスとデートに明け暮れる日々を送っていた。彼はある日、高校時代のクラスメートの田中に出会う。田中はコスプレ、自主アニメ制作、ガレージキット制作など、日々おたくな活動に没頭していた。そんなことに縁なく生きてきた久保は、次第にそのディープな世界に取り込まれていく…。

10年以上前に一度観たガイナックス作品。
オタキングこと岡田斗司夫とその周辺に居た大阪芸大、SF大会、ゼネプロ等のオタク仲間をモデルにした、「ああ、あったよね~。そ~ゆ~こと…」って痛懐かしい出来事を描いたアニメである。

今のように細分化されておらず、SF、SF映画、アニメ、マンガ、特撮、自主映画、必殺、プロレス、コスプレ、フィギュア、ミリタリー等々が、全く未分化のまま渾然一体となっていたオタク文化とファンダムの姿は、現在40歳以上の“ある種の人たち”に、共感と懐かしさと笑いと辛さを呼び起こす。この当時のそういった文化に触れていない、現在の若いオタクの人たちがこれを観た時にどう思うのだろう?
DVDはもちろんないし、ビデオソフトだってまだ多くはない。インターネットもなければ、携帯電話もない。通信手段は電話と手紙で、ファンサークルはアニメージュやスターログで仲間を集めている。同人誌はコピー誌がほとんどで、新宿やお茶の水の喫茶店で頭を寄せ合ってホチキス製本。コミケはもうやってたけど、ワンフェスはまだやってない。キャラや俳優のファンでもあるけれど、それ以上に作家やスタッフ、バックボーンにどんどん深く、ジワジワと広くなっていく興味。単純に文化の変化ではなく、気質自体もまったく違う気がする。
この作品の制作年が91年だそうなので、舞台になった時代から10年も経っていない。その時点で検証する意味があったのかどうかは分からないが、ヘンにリアルな描写の数々がもう可笑しくって痛くって…ねぇ。
これは“ある種”ではない人には、訳わかんないし、気持ち悪い青春像でもあるだろう。特に合間にインサートされるわざとらしくも自虐的なインタビュー映像の数々が、気持ちの悪さを倍化させる。

それにしても、こんなのまで米国でDVD化されるようになったんだね。良いんだか悪いんだか…。ちなみに発売は「Animeigo(アニメ英語)社」。米国で『座頭市』シリーズをリリースしているのと同じ会社だ。

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2005.07.23

7/23 『新座頭市物語 折れた杖』

米版DVDで『新座頭市物語 折れた杖』を観る。

事故で命を落とした老婆から形見の三味線を預かった市は、老婆の娘である錦木(太地喜和子)を訪ねて銚子の女郎屋“扇屋"へやって来た。市は錦木を身請けする金を稼ぐために賭場へ行くが、そこで貸元の鍵屋万五郎(小池朝雄)が漁師たちから金を巻き上げていることを知った…。

勝新太郎自らメガホンを取った1972年の第24作。
物語の印象はテンデンバラバラ。メインは市と錦木の話なんだが、要らぬ横道にばかり逸れていて、なんだか猛烈に散漫なのだ。吉沢京子と弟のエピソードとか、大滝秀治のエピソードなんて、別になくっても全然構わない展開なのに、不思議なほどウェイトが置かれている。だから本筋を見失いがちな映画なのに、なぜかつまらなくい映画ではない。

冒頭の婆さんが死ぬ場面の短いカットの積み重ねに、まるでホラー映画のショック・シーンのようなイヤなインパクトがある。勝新は意外と映像派の人だったのかな?
そして白眉はクライマックスの殺陣の緊張感である。流石に24本もやっているだけあって、勝新には自分の理想とする座頭市像があったのだろう。手を潰された市が雨の中で切り結ぶチャンバラの迫力は大したものだ。

太地喜和子の不思議な存在感と色気はいつもの如し。ところでこの人の死因って結局解明されたんだったっけ?

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2005.07.01

7/1 『東京の暴れん坊』

DVDで『東京の暴れん坊』を観る。

巴里帰りの清水二郎(小林旭)は、銀座の洋食の老舗「キッチン・ジロウ」の粋でいなせな若旦那。銀座を歩けば、全ての女性が振り返るほどの人気者(またかい…)である。大学の後輩で松の湯の娘・秀子(浅丘ルリ子)とはいい仲だが、二人とも照れ臭くってそれを認めない。ある日、お店に元総理大臣の一本槍鬼左衛門(小川虎之助)のクルマが突っ込んだことを発端に、花の銀座はテンヤワンヤの大騒ぎに…。

以前にイベント上映で観た『夢が一杯暴れん坊』と同じ、「銀座の二郎長シリーズ」(「暴れん坊シリーズ」とも言う)の第1作。
このシリーズは明朗快活なのが身上。言ってしまえば小林旭版『若大将』みたいなものだ。
いかにも都会のボンボンなアキラは元レスリング部って設定だし、そんなアキラとおキャンなルリ子ちゃん、三枚目の近藤宏、口角泡を飛ばす小川寅之助の掛け合いが楽しい。
近藤宏は「台風くらぶ」と呼ばれる銀座のヤクザ(チンピラ?)の一員なのだが、1960年当時はこんな間抜けな名前設定でもOKだったのかしらね。

ルリ子ちゃんの見合いの相手がロクでもないスケコマシで、あわや結婚ってところまで行ってアキラ、ルリ子、近藤の3人組がぶち壊す。その時のルリ子ちゃんの立ち姿が実に凛々しくも可憐である。『銀座旋風児』の助手の明子を髣髴とさせるボーイッシュな雰囲気が堪らない。どんどん浅丘ルリ子好きになって行くな、オレ(笑)。

監督はお馴染みの斎藤武市。

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2005.06.04

6/4 『座頭市御用旅』

米版DVDで『座頭市御用旅』を観る。

年の瀬も迫ったある日、臨月の女が追い剥ぎに金を奪われた。たまたま通りがかった市はその女の赤ん坊を取り上げる羽目に陥るが、女は子供の父親の名前を言って事切れてしまった。仕方なく子供を送り届けるために、島原の宿に赴いたが、そこに父親は居らず、その父親の妹(大谷直子)に子供を預ける。この宿場では老いた目明かし籐兵衛(森繁久彌)が睨みを効かせているため、地回りのやくざがいない平和な町だった。だが、そこへ鉄五郎(三國連太郎)が現れ、町を荒し始めた…。

座頭市シリーズ第23作は、3回目の登板になる森一生監督作。

いつものごとく巻き込まれ型の市だけれど、今回は何もそこまでってくらいの巻き込まれ振り。赤ん坊を取り上げてやったのに、その女を殺して金を奪ったと思われ、借金を肩代わりしてやって、さらには目明しを殺したとまで勘違いされる。有り得ないくらいの勘違い続きなんだけど、森一生の職人技は大した破綻もなく綺麗にまとめ上げる。

難を言えば、高橋悦史演じる用心棒が全く無用の長物になってしまっていることだ。このシリーズでは、毎回凄腕のライバルが座頭市の前に立ちはだかる。そのルーティンを崩したくなかったのだろう。だが全く活きていない。この浪人者は「俺は強い奴とやりたい」と言うばかりで、物語にはほとんど絡まないから、エピローグで市が斬った瞬間に「完」になることにも意味がない。『続・座頭市物語』の素晴らしいラストをもう一度やりたかったんであろうことは想像に難くないのだが、『続』の時は、斬る相手がきちんとストーリー上で意味がある役だったから、刹那な空気が出て良かったのだ。本作の高橋悦史もストーリー上でもっと市に絡んでいれば良かったのに。いらないよね、この焼き直しのエピローグ。

ちょっと驚いたのが森繁である。この映画が1972年の作品だから、森繁は当時59歳。ええ~、もっと爺に見えるよ。それは森繁の存在感の為せる技なのか、それとも単に年寄り臭いだけなのか。

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2005.05.27

5/27 『侍』

米版DVDで『侍』を観る。

万延元年の桜田門。水戸浪士星野監物(伊藤雄之助)ら同志たちは、登城する井伊大老(松本幸四郎)を狙っていたが、井伊は登城せず、暗殺計画は失敗してしまった。同志の中に密通者がいるらしい。調査の結果、尾州浪人新納鶴千代(三船敏郎)と上州浪人栗原栄之助(小林桂樹)が怪しいと睨んだ星野であったが…。

いわゆる「桜田門外の変」を題材にした1965年の岡本喜八監督作。
血筋は良いらしいのだが、妾腹の子供のために父親が誰かを知らずに、捻くれてしまっている豪胆な浪人、鶴千代。謹厳実直で勉強家の道場師範、栄之助。三船&小林は、ダブル主役として両極端の浪人を好演している。いかにも正反対そうなタイプキャストが、実に奏功している。
そしてこの主役だけでも凄いのだが、脇を固めるのが、伊藤雄之助、松本幸四郎(一代前の方ね)、新珠三千代、八千草薫、杉村春子、東野英治郎、平田昭彦、天本英世、藤田進、志村喬、黒沢年男、二瓶正也、沢村いき雄、etc、etc…と、今観るとある意味とてつもなく豪華なキャスティング(後半に挙げた人は特撮俳優が多いが(笑)。中でも伊藤雄之助の悪そうな星野監物が素晴らしい。こんなに胡散臭くて凄みのある存在感を出せる役者さんは、最近ではとんと見かけないんじゃなかろうか。

映画としては、ダラダラとカッタルイ部分も多いんだけれど、クライマックスでの集団殺陣がやたらとダイナミックでかっこいい。だが単にかっこいいだけではなく、本人が知らぬまま結局は父殺しをしてしまう重さがなんとも言えない。もちろん、史実に基づいている映画ではないので、こんなことは本当はなかったんだろうけれどね。

ちなみにこの映画は国内ではDVD化されていない。なんで日本のビデオ業界は、自分たちの昔の資産を大切にしないんだろう。アメリカじゃあ出てるのに、日本で出てない邦画DVDが多過ぎるよ。

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2005.05.20

5/16 『着信アリ2』

機内映画で『着信アリ2』を観る。

杏子(ミムラ)は友人と一緒に、恋人の尚人(吉沢悠)がバイトする中華料理店で食事をしていた。その時、携帯電話から気味の悪い着メロが流れた。それはかつて多くの人を死に追いやった、“死の予告電話”と同じ着信音だった。そして予想通り、友人は奇怪な死を遂げ、今度は杏子の携帯電話にも電話が掛かってきた。尚人は杏子を救おうと、この事件を追っていたルポライターの孝子(瀬戸朝香)と共に行動を開始するが…。

前作も最後にはメチャメチャになってしまったが、中盤までの恐怖演出は上手かったし、良くも悪くも三池崇史らしいメチャクチャ映画だった。でも、今回は物語がメチャクチャな上に、ただ単に凡庸。
アジア市場を視野に入れたためか台湾へ話が飛ぶのだが、これがまずムリがありまくりだよ。前作で電話をしていた怨念はミミコだったはずなのに、それ以前から台湾で同様な事件が起きていたとか言われても、じゃあミミコはなんだったんだ、としか思わない。壊れてた映画をさらに壊してど~すんのよ。孝子の恋人が台湾人だったってのも、あんまりにもトートツだしさ。元々続編なんて考えてなかった話なのは分かってるけど、もうちょっとどうにかまとめられなかったのかねぇ。
それでも恐怖演出が頭抜けてればそれでも良かったんだが、前作よりも50%くらいのパワーダウン。怖くもなんともない。
てんでダメですな。

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2005.05.11

5/11 『真夜中の弥次さん喜多さん』

ユナイテッドシネマとしまえん9で『真夜中の弥次さん喜多さん』を観る。

ヤク中の喜多さんにぞっこんの弥次さん。そんな彼らの元にお伊勢参りのDMが届いた。弥次さんは喜多さんのヤク中を治すために、2人でお伊勢へと旅立つが…。

観ながら『発狂する唇』を思い出した。
作風が似てるとかってことではない。人気脚本家が制約とか状況とかを一切考えずに、やりたい放題やった映画な雰囲気。メチャメチャ面白い場面もあるけれど、全体的には観客のことなんか眼中になく作ったメチャメチャな映画。そんな印象だ。

話にも繋がりにも整合性なんてないが、そんなことは一切気にしていない。プロローグから竹内力までは快調なんだが、そこから後は急に失速。ツボに入る人は大絶賛するのかもしれないが、どうしてもこのカタルシスのなさが好きになれない。後半の重さもね、なんだか前半とチグハグな印象だしねぇ。

キャスティングが『下妻物語』と被ってるところも、オレとしてはマイナスだ。あっちがメチャメチャなようでいて、きちんと映画的な盛り上がりを追求してたのに、本作にはそれがないのがイタイ。宮藤官九郎って天才なんでしょ?そんだったら折角の監督デビュー作なんだからちゃんとやろうよ。

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2005.04.30

4/30 『阿修羅城の瞳』

丸の内ピカデリー2で『阿修羅城の瞳』を観る。

江戸の町を跳梁跋扈するする鬼と、鬼を退治するために戦う「鬼御門」たち。かつて“鬼殺し”と呼ばれた病葉出門(市川染五郎)は、5年前のある日を境に鬼御門を辞め、舞台役者となっていた。彼はある日、「闇の椿」と呼ばれる盗賊団のつばき(宮沢りえ)と出会い、恋に落ちる。だが彼女には、彼女自身が思い出すことの出来ない過去があった…。

ここ数年、何故かよく分からないが、“ファンタジー時代劇”あるいは“特撮時代劇”が多く作られている。『さくや』『あずみ』『陰明師』『五条霊戦記』『牙吉』などなど。おまけにこれからも『忍』『オペレッタ狸御殿』など、次々と公開予定になっている。オレは『赤影』(もちろん『Red Shadow』ではない)や『大忍術映画ワタリ』が好きな人なので、最初はこの風潮を喜んでいたのだが、出てくる映画、出てくる映画、どれもこれもが面白くない。ハッキリとゴミとしか言えないようなものもある。

そんな中で、この映画は随分とマトモな部類。元々が舞台であるためにスケールが大きそうな割に狭い世界観、明らさまなデジタル合成、平板なCG等のテクニカルな(かつ予算的な)問題、欠点を幾つも抱えてはいるけれど、それでも割と楽しめる映画になっている。

劇団新☆幹線の同名舞台は観ていないので、原作と比べてどうなのかはなんとも言えないが、少なくとも舞台から映画への翻案がちゃんと為されているような気がする。先日観た『オペラ座の怪人』のような、「映画化した意味あるの?」ってなものではなく、「舞台ではどうやってたんだろう?」と思わせる描写が多い。

見栄を切る染五郎は流石の歌舞伎役者(それがあまりにも舞台的なのはマイナスだが)だし、つばきがかんざしを取りに出門の楽屋に忍んでいく場面の、小指と小指に赤い糸が結ばれる瞬間なんて、いいじゃないですか。宮沢りえは、もうちょっとふっくらした方が魅力的なんだけど、それでも女優としてきっちり仕事をしている。周囲のクドイ芝居の中で、逆に浮いてしまったのが可哀想ではあるけれど。

同じ滝田洋二郎監督の『陰明師』『壬生義士伝』が非常に退屈だっただけに、あんまり期待してなかったんだけど悪くはないんじゃないのかね。

それにしても、クライマックスのデジタル合成された巨大な宮沢りえの顔!イメージ的に手垢が付きまくりで古臭いだけでなく、単純に目線があってない芝居がイヤだ。もうこーゆー描写はやめようよ。

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2005.04.27

4/27 『ぼくんち』

レンタルDVDで『ぼくんち』を観る。

関西のどこかにある、うら寂れた水平島に住む一太と二太の兄弟。そこへ半年前から行方不明の母・今日子(鳳蘭)が、見たこともない姉・かの子(観月ありさ)を連れて帰って来た。今日子はまたすぐに行方をくらまし、元ピンサロ嬢のかの子と3人の生活が始まるが…。

西原理恵子の持つ“強烈な毒”と“ホノボノ感”の両方が、阪本順治テイストでほどよくまとめられた、なかなか良い映画である。ネットに上がってる感想文を幾つか読む限り、結構ボロカス言ってるものが多いが、この映画をコメディだと思うからダメなんじゃない?これ、コメディのつもりで作ってないと思うぞ。

阪本順治は『どついたるねん』とか『王手』とか『顔』とか、ローカル色の強い人々の描写が上手い監督だ。本人の志向なのかどうかは知らないが、『トカレフ』みたいなサスペンスだの、『新・仁義なき戦い』(これは未見)みたいなバイオレンスよりも、この『ぼくんち』みたいな“じんわり路線”の方がずっと合っているように思う。

意外だったのは観月ありさの好演。彼女(と真木蔵人ら)のウソ臭い関西弁は戴けないが、一見ミスキャストとも思えるかの子役を実にのびのびと演じている。「こんなもん、いくらでもウチのマンコで稼いで弁償したる!」って啖呵も清清しい。

撮影は、石井聰亙、松岡錠司、そして阪本順治の映画と言えばこの人、笠松則通。笠松さんらしく、時々ハッとするほど美しい情景カットがある。中でも海の絡んだショットはお見事と言うほかない。

かの子の孔雀のダンス、雨の海岸を歩く二太、ねこ婆の葬式など、いかにもアート系な描写が評価の分かれるところ(オレはあんまり好きじゃない)けれど、それでも十分に楽しめる映画である。

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2005.04.20

4/20 『新座頭市 破れ!唐人剣』

米版DVDで『新座頭市 破れ!唐人剣』を観る。

南部藩の献上品行列の侍に無礼打ちにあった唐人が、市に小栄という子供を託した。子連れで旅する市は、小栄と顔見知りの唐人剣士、王(ジミー・ウォング)と出会い、彼が福龍寺の友人に会いに行くところであることを知る。案内役を買って出た市であったが、南部藩の息のかかった藤兵ヱ一家に追われる王を、与作の家に匿ってもらうことにするが…。

安田公義監督による第22作は、「片腕ドラゴン」ことジミー・ウォングが共演。
平手神酒、用心棒など、数々の剣客と闘って来たが、まさか片腕ドラゴンと闘うことになるとは、第1作の製作当時には誰も予想できなかっただろう。(1作目の頃には『片腕ドラゴン』なんて映画はまだ作られていないが)

この映画の面白さは、出会った時から最後まで、市と王は一度も意思の疎通が出来ないことにある。途中、小栄のカタコト日本語で通訳をしてもらう場面はあるけれど、2人は基本的に相手の言っている事がわからない。そのために、憎みあってもいないのに刀を交えることになってしまう。そしてクライマックスでは、2人ともが「言葉さえ通じていれば、悪いヤツではなかったのに…」と呟く。カンフー(と言うか中国剣技)と居合い抜きの戦いは、ともすればただのギャグになってしまいそうなシチュエーションだが、このコミュニケーション・ギャップが時にユーモラスに、そして最終的には切ない雰囲気になり、非常に面白い映画にしているのだ。

どうしても対ジミー・ウォング戦が目立ってしまうのだが、それ以外の立ち回りも面白い。中でも酒屋での市の立ち回りは、テーブルを使った殺陣が立体的でダイナミックな見せ場になっている。

また、市に惚れる夜鷹役の浜木綿子の色っぽさが絶品。別に好きな女優さんではないのだが、この映画の浜木綿子は本当にいい女だ。

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2005.04.19

4/19 『ローレライ』

日比谷スカラで『ローレライ』を観る。

1945年、米軍は広島に原子爆弾を投下し、更なる原子爆弾を準備していた。これを知った朝倉大佐(堤真一)は、独断で絹見少佐(役所広司)に南太平洋の原爆搭載機の基地を奇襲する命令を下す。そしてその作戦のために準備されたのは、特殊兵器ローレライを搭載したドイツの潜水艦「伊507」であった…。

「これは実写映画ではない。まるでアニメだ」
そんな意見を否定的な論調で語る人も多いけれど、いいんじゃないんですかね、別に。
原作の福井晴敏が、「『ガンダム』がどんなに素晴らしい食材であっても、それがお子様ランチの器に乗っていたら一般の人は食べてくれない。だから器を漆塗りのお椀に代える。お子様ランチで培ったスキルを、高級料理店でどう生かすかだ」みたいなことを語っている。
樋口真嗣と福井晴敏の狙いは、アニメの手法・技術と言った自分たちの最も得意とするものを、フジテレビ、役所広司、妻夫木聡、柳葉敏郎などの一般的にも受け入れられるオブラートに包んで出すことにあったのだろうし、それが成功しているのは興行成績を見れば明らかだ。丸っきりアニメキャラとしか言いようのないパウラとか、どこかで見た様な描写や展開とか、妙に熱く語るキャラとか、ツッコミを入れるのは自由だけど、ツッコんでも仕方がないんじゃない?それって狙ってやってる部分だと思うから。アニメや特撮に全く興味がなくて、ほとんど観たこともないような世代の人なら、狙いどころが分かんなくてツッコミ入れまくっても仕方がないかもしれないけど、少なくとも、包むべきオブラートの種類を間違えちゃったみたいな『キューティー・ハニー』とかよりも、全然上手くやっていると思う。

難点は、CGが非常にチャチなことだな。『サブマリン707』を思わせるような潜水艦戦の特撮演出自体は、樋口真嗣らしくカッコイイのだけれど、単純に出来がよろしくないのが残念。

賛否両論あるけれど、オレとしてはOKだな。

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2005.04.02

4/2 『鉄人28号』

シネマミラノの『鉄人28号』を観る。

ある日、東京でサイバーテロが発生し、さらに謎のロボット“ブラックオックス”が現れて東京の街を破壊し始める。一方その頃、いじめられっ子の金田正太郎は、綾部と名乗る老人に呼び出された。綾部は正太郎の祖父・正吾郎と、亡き父・正一郎の執事だったと語り、父が遺した“鉄人28号”を操縦して、世界を救えと言うが…。

弱ったなぁ。どうにもならないくらいダメ映画だし、応援なんて全っ然したくない。話の辻褄も、場面の繋がりの辻褄も全然合ってないし、演出はツボを外してるし、音楽の使い方は無残としか言い様がないし、低予算でマッチ・ムーブすら出来ないからカメラが一切移動しないCG合成だし、そのせいで、ロボ同士の闘いにはほとんどカット割がないし、芝居はヘタクソだし、正太郎はいつでも半ベソをかいているし…。隣に座ってるよそ様の子供はあまりの退屈さに騒ぎ立て、それを叱責する父親の声が空しく響く。どこを観たって誉めるとこなんかありゃしない。どこを観たって、「そりゃねぇだろ」とツッコメちゃう。
それなのに、なぜか擁護口調になっちゃったりもする。その理由が、『キャシャーン』や『デビルマン』、『ハットリ君』、『サンダーバード』なんかよりも、真面目に作ろうとしてる気持ちだけはわかるから。憤りを覚えなかったから。その代わりに、あまりにも低予算過ぎる舞台裏を想像して、悲しい気持ちになるから。そんだけなのだ。

じゃあ、大予算があったら面白い映画になったのかと言えば、決してそんな気はしない。ただ、大予算の大作がこの低度の出来だったら、心おきなく「ふざけんなっ!」と怒鳴ってただけだろう。なんか怒ることさえ空しくなるくらいに、悲しく悲惨な映画なのだなぁ。

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2005.03.30

3/30 『新星堂歌謡カーニバル』

銀座ヤマハホールで行われた小林旭50周年記念の一環のイベント、『新星堂歌謡カーニバル』に行く。これは新星堂で小林旭のDVDかCDを買うと抽選で行けるイベントで、映画上映と小林旭本人のトークショー&ミニ・ライブ付きの豪勢なイベントなのだ。

ホールに着くと、そこはもうジサマ&バサマの群れ。ざっと見た感じでは、皆青春時代にリアルタイムでアキラのファンだった年齢層のお客さんばかり。多分オレは、今日の観客の中で下から数えて10番目以内に入るくらい若い客だろう。こんだけ年配の客をイベントに集められる集客力は、流石“唄う大スタア”。でも、なんかオレは浮いちゃってて気恥ずかしくもある。


第一部 『夢が一杯暴れん坊』
清水次郎(小林旭)の「レストラン・ジロー」の向かいでは、小洒落たフランス料理レストラン「銀座貴族」の建設が急ピッチで進められていた。銀座若旦那会では、仁義を欠いた「銀座貴族」のやり方に猛反発。だが次郎は、「銀座に見合った店しか生き残れない」と、意にも介さない。そして次郎は、レストランを100円均一のカレーハウス・ジローにリニューアル。これが大当たりし、連日連夜の大盛況。オープンしたばかりの銀座貴族は、閑古鳥が鳴いている。出資者のアラフラ国のバンコ(井上昭文)も難波田支配人(高城淳一)の経営力の無さに激怒。難波田は銀座のヤクザ、突風クラブと手を組み、次郎の父と寿司屋の鉄夫の父(桂小金治)を罠に嵌めるが…。

62年製作の松尾昭典監督作品。
素直に面白いコメディ。他のアキラ映画よりもアクション色が薄い上に、同じ銀座を舞台にした『銀座旋風児』などと違って、近所の洋食屋の兄ちゃんみたいで、スカシっぷりも薄い。それにアキラは、何か過去がありつつも奇妙に明るい役どころが多いのに、今回は丸っきり陰が無い。ルリ子ちゃんもいつもの役柄よりもおキャンな感じだし、郷えい治もヤクザ役でアキラの敵役とは言っても、アメリカ帰りの2代目で、曲がったことが嫌いな性分に描かれているので、全体的にのほほんとした明るいトーンである。もしかしたらこの映画は、“日活版若大将”みたいなものを目指したのではないだろうか?そうは言っても美術や雰囲気は毎度の日活調。この微妙なアンバランスさ加減が、ある意味この映画の魅力なのかもしれない。

脇役で一番笑ったのは、「ワァタシィ、カレー、ダァイスキデェス!」な謎の外国人バンコを演じる井上昭文。そう、『レインボーマン』のダイバ・ダッタを演じた人である。藤村有弘の定番は中国人だが、井上昭文の定番はインド&パキスタン系ってことなんだろうか?

冒頭、「銀座貴族」が銀座上空からセスナで、宣伝ビラをばら撒く場面から始まるのだが、オレの年代だと、実際にビラを拾った記憶はない。だけれど、他のお客さんたちはちょっと違う。スクリーンに映った銀座の風景や風物、風俗に、いちいち「ああ…」とか「ほう…」とか、「懐かしいわねぇ」とざわめきが起こる。気恥ずかしいとは思いつつ、こんな年代のお客さんたちと古い映画を観るのも、たまには面白いかもしれない。


第二部 トークショー&歌謡ショー
休憩を挟んで、いよいよ“生アキラ”のトークショー。
進行は、「小林旭銀幕研究会」でも司会をしていた浦山珠夫こと佐藤利明氏。
話は当時の現場の話や共演者、そしていつの間にか戦時中の話へと流れていく。司会進行の佐藤氏の質問への答はサラリと話して、質問とはほとんど関係ない、自分が話したいことを話していく。進行は実にやり辛そうではあるけれど、観客へのサービス精神は非常に溢れていて、話自体は非常に面白い。日本人が戦争を語る時、殆どの場合はツラくオモい話になる。だが、こんなにもアッケラカンと楽しそうに、少年時代を過ごした戦時中を語る日本人は珍しい。アキラの演じた数々のキャラクターが、いつも奇妙な明るさを持っているのは、この本人の明るさ故なんだなぁとシミジミ思う。

トークが終わると、〆は歌謡ショー。
『自動車ショー歌』と50周年記念曲『翔歌』をカラオケで熱唱するアキラ。かーっ!いいねぇ。テレ東のナツメロ番組とかで唄っているのは見たことあるけれど、やっぱり生は違う。一度でいいから、アキラが生で唄う『赤いトラクター』を聴いてみてぇ!マジで、一度リサイタルだかディナーショーに行ってみようかと考えちゃうね。

結局、第二部は45分ほどで終了。
いやぁ、時間が無いところをムリして来て良かった。

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2005.03.27

3/27 『あずみ2 Death or Love』

新宿グランドオデオンで『あずみ2 Death or Love』を観る。

徳川の使命を帯びて、最後の標的である真田昌幸(平幹二郎)を追う刺客のあずみ(上戸彩)とナガラ(石垣佑磨)。だが真田は上野甲賀衆の手を借りて、豊臣の再興を目論んでいた。ある日、あずみは、夜盗の金角(遠藤憲一)と銀角(小栗旬)に出会う。銀角は、かつての仲間であり、あずみが斬ったナチと瓜二つだった…。

弱ったね、どうも。
全然気合も入ってないし、もちろん面白くもない。監督が金子修介に変わったから、龍平ちゃんの前作よりは上だろうと思ってたのに、アレよりもつまらないってのはどーゆーこと?映画としてのまとまり方はこっちの方がいいかもしれないが、どうにもテンションが低い。プロローグでのあからさまなハイビジョン合成から、笑顔のまんま崖を落ちていく上戸彩のカットの流れで、「なんかヤベェぞ、この映画」と思ったら、ほんとにヤバイ映画になっちゃってた。

唯一のポイントは、川尻義昭が脚本に入ってたこと。そのおかげで、刀をブーメランのように投げる六破と、ワイヤーを飛ばしまくる土蜘蛛が、丸っきり川尻アニメとしか思えないキャラになっている。こんな川尻キャラが出るんなら、戦闘シーンの演出も川尻本人にやってもらえば良かったんじゃない?折角のキャラが、全く活きてないアクションにガックリだな。

ついでに、高島礼子の乳首ピアス型甲冑と「極妻」な啖呵に引きまくり。高島礼子にアクションが出来るとは端から思っちゃいないけど、アクションに全てデジタルで残像を乗っけて逃げるってのも芸が無さ過ぎだぁね。

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2005.03.24

3/24 『風に逆らう流れ者』

DVDで『風に逆らう流れ者』を観る。

豊橋の塩沢火薬に勤める親友の瀬沼(木浦佑三)に会いにきた、流れ者の野村浩次(小林旭)。だが、瀬沼は昨夜工事現場を爆破して、行方をくらましたと言う。それ以来、造船所を営む瀬沼の父(信欣三)は酒びたりになり、妹の杏子(浅丘ルリ子)はヤクザの嫌がらせを受けていた。そして親切めかして瀬沼家に金を貸してくれていた塩沢(山内明)も、実は造船所の乗っ取りを目論んでいたのだ…。

61年製作の「流れ者」シリーズ第5作(最終作)。
アキラの「渡り鳥」、「風来坊」、「流れ者」などのシリーズものは、本数を多く観ていると、どれも同じようで微妙に違う----違うようでほとんど同じ(笑)なので、だんだんとどれがどれやら分からなくなってくる。
そんな中で、本作は火薬工場と火薬の密輸、爆発(日活映画には珍しく、なんとミニチュア特撮!)など、少しでも経路の違いを出そうとした作品だ。
浩次と争うライバルとして登場する神山繁も、実は警察の潜入捜査官だったと言うオチもあり、なかなか楽しい1本。ところで、この頃の神山繁を見て思うのだが、若い頃のこの人って、手塚治虫の描く悪役“ハムエッグ”に似てない?まるで漫画から抜け出てきたような印象さえ受けるのはオレだけかな。
毎度お馴染み、怪しい中国人はもちろん藤村有弘。テキトー極まりないない中国なまりがグーだ。

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2005.03.17

3/17 『銀座旋風児 嵐が俺を待っている』

DVDで『二階堂卓也 銀座無頼帳/銀座旋風児 嵐が俺を待っている』を観る。

東都タイムズの荒木(青山恭二)は、東京税関の木田(石丘伸吾)から、東京税関の柴田課長(浜村純)の令嬢が誘拐されていることを聞かされたが、分かれた直後に木田は何者かに殺されてしまった。二階堂卓也(小林旭)は、木田が死ぬ直前荒木に渡した小型カメラの謎を追い、情報屋の政吉(近藤宏)、助手の明子(浅丘ルリ子)と共に調査を開始する…。

61年製作の野口博志監督作品。
ギンザマイトガイ・シリーズもこれが第4作目。アキラのイカシっぷりにますます拍車が掛かり、もう大変なキザ野郎になっている。こんだけキザでイヤミにならないのがスゴイなぁ。この二階堂卓也、「渡り鳥」の滝伸次や「風来坊」の野村浩次と違って、ほとんど拳銃を撃たない。手にしたステッキで、悪者をバシバシ倒していく。これがまた、伊達男ぶりに磨きをかけている。

共演は、ルリ子ちゃんはもちろんのこと、南風夕子演じるおでん屋のお春さん、荒木記者の青山恭二と殆どがいつもの面子。でも、情報屋の政吉は、本作では3代目の近藤宏。近藤宏は、家を騙し取られそうになるダメな若旦那だったり、悪役だったりと、色んな役をこなすバイプレイヤーだが、今回は完全にコメディリリーフだ。こんな3枚目の役こそ、真価を発揮できる役者さんなのかもしれないなぁ。
旋風児を付け狙う隻眼・隻耳(とは言わんか…)のボクサーくずれに、毎度お馴染み高品格。ほとんど“イゴール”みたいになってるのが可笑しい。
若かりし頃の松尾嘉代が、柴田家の娘を演じているが、これが驚くほどイモっぽい。なんだか田舎の地味な中学生みたいで、今の派手な松尾嘉代からは想像もできないような雰囲気である。

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2005.03.12

3/12 『座頭市あばれ火祭り』

米版DVDで『座頭市あばれ火祭り』を観る。

妾市で売られていた元旗本の妻(吉行和子)を助け、納屋に匿った市。だが女は翌朝、浪人者(仲代達矢)に斬られてしまった。一方その頃、関八州を配下に治める“闇公方”が市を狙っていた。市は知らぬ間に闇公方の不興を買っていたのだ…。

70年の三隅研次監督作はシリーズ21本目。

妾を競りに掛ける“妾市”なんてのがあったのか、江戸時代は。どうも驚いたね。で、ここに掛けられているのが吉行和子なんだが、そんなに美人かね?なべおさみが台詞で「美人だ、美人だ」と言うのだが、どうもオレにはピンと来ない。
そんなことよりも大原麗子である!
歳とってからも美人だが、この若い頃の大原麗子は本当にカワイイ。ちょっとハスキーな声がまたググっとくる。
ググっとキタところでググったら、こんなに熱いファンサイトが!そりゃ、ファンサイトぐらいあるわな。
今回は、この大原麗子と吉行和子、そしてピーター(!)の3人がキレイどころ。
ヤクザにあこがれる三下のピーターはもちろん女役じゃないんだが、市の背中に擦り寄って「抱いて…」とか囁くシーンは、吉行和子よりも全然アヤシイ雰囲気である。

さて、本筋としての見所は、もちろん仲代達矢と市の一騎打ち。シャープでありながら、ガツンとしたぶつかり合いの迫力は流石の仲代。一瞬、どっちが勝ったのか分からない演出も上手い。

最後の最後に、馬引き役でちょろっと登場の田中邦衛。なんでこれっぱかりの役で出てきたの?

冒頭で、“闇公方”に関する説明テロップが出るのだが、このシリーズでこんな演出があるのは珍しいな。

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2005.02.26

2/26 『二階堂卓也・銀座無頼帖 銀座旋風児』

DVDで『二階堂卓也・銀座無頼帖 銀座旋風児(ギンザマイトガイ)』を観る。

“銀座旋風児”の異名をとる二階堂卓也(小林旭)。職業は装飾デザイナーだが、銀座では粋な伊達男として誰一人知らぬ者のない人気者だ。ある日、卓也は情報屋の政(宍戸錠)から、中国人の王徳宝(芦田伸介)がダイヤを売りさばき、キャバレー“モナコ"の建築資金にしていることを知らされた。王を追って香港に渡った卓也は、王を狙う明子(浅丘るり子)と知り合った。彼女の父は戦時中、王たちによって無実の罪を着せられ、殺されたのだと言う。日本に帰った2人は、王たちの悪事を暴こうと身辺を探り始めるが…。

人呼んで“銀座旋風児”、またの名を“ギンザマイトガイ”、そして“銀座退屈男”にして“装飾業界の麒麟児”(笑)!
二階堂卓也は、カッチョイイんだかワルイんだか、凄いキャッチフレーズが多すぎて困っちゃうヒーローだ。確かに、それも頷けるカッチョ良さではあるんだが、なんでそんなに人気者で有名でモテモテなのかは、映画を観ているだけでは全く分からないところが、この男の魅力でもあったりする。ついでに、物語自体はヘンに煩雑だし、なんで二階堂卓也がそんなに頑張っちゃってるのかもいまひとつ分かりにくい。だが、それでもカッチョ良さだけで押し通してしまう。流石は最盛期のアキラだぜ。
それに、ルリ子ちゃんがやたらと可愛くて参る。香港(実は横浜で撮影してるが)で少年っぽいチャイナ服姿で初めて登場した場面と、クライマックスでバンドマンに扮装している時の可憐な姿は、マジで痺れちゃう可愛さである。惚れるぜ、ルリ子ちゃん。
その他、卓也の手足となって働く政の軽妙さ、いつも呑んだくれてる西村晃も絶品だ。

さて、この映画を観ていると、気になるフレーズが何度も出てくる。「日本人なら~」とか「同じ日本人として~」とか、妙に“日本人”を強調した台詞が多いのだ。それもその筈、この映画の原案・脚本は、かの川内康範大先生。ある種、国粋主義的に日本と亜細亜を憂いている人だからなぁ。『怪傑ハリマオ』から『レインボーマン』、『コンドールマン』へと、脈々と息づいて行くいかにもな“康範節”である。

監督は、『流れ者』シリーズや赤木“トニー”圭一郎の『拳銃無頼帖』シリーズの野口博志。知らなかったんだが、この人は後年、野口晴康と改名している。そう、幼い頃から何度となく観ている『大巨獣ガッパ』の監督と同じ人だったのだ。今回DVDの特典を見て、初めて気がついた。

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2005.02.05

2/5 『さすらい』

DVDで『さすらい』を観る。【ネタバレ】

江崎サーカスの花形ブランコ乗りの佐竹正二(小林旭)は、体調が悪いと言う相棒の塚田信吾とむりやり本番に臨んだ。だが、満員の観客が固唾を飲んで見守る中、塚田は手を滑らせて落下。その亡骸に取りすがって泣く塚田の恋人、若原美也子(松原智恵子)が叫んだ「信吾さんを殺したのはアナタよ!」
数年後、コートの中のポケットモンキーを相棒に、とある波止場に降り立った正二。そんな彼を用心棒にと口説いたのは、キャバレー・パロマの笠松(二本柳寛)であった。しばらくの間、笠松に世話になることに決めた正二だったが、折りしも街に黒木サーカスがやって来ているのを知る。そのサーカスでは、あの美也子が働いていたのだ…。

随分久し振りに観たが、これはアキラ主演のスッ頓狂な怪作だ。この作品がDVDになったのは非常に嬉しいんだけれど、アキラファンの皆さんは、マジでこれを名作だと思ってるんでしょうか?
作り手も演じ手も、ついでに言えば当時の観客も、み~んな大真面目なのは疑わないけど、少なくとも今の感覚で観たらとてつもねぇ映画だよ。
モッコリしたアキラのタイツ姿に始まり、意味なく(一応、南の島で拾ったとか言うけど)ポケットモンキーを連れてる風来坊、ナイフを持ったままの空中ブランコ・アクション。子供の頃からヘリコプターでの空中ブランコが見たかったと抜かすイカレた外人プロモーター、それを真に受けて実際にやってしまう人々。そして、彼じゃなくっちゃ出来ない芸当なのに、海外公演が決まったらこっそりサーカスを抜けてしまうアキラ。
オレはこの映画大好きだけど、それはやっぱりとってもビミョーな意味で好きなんであって、普通に考えたらヘンだよ。
名曲「さすらい」が掛かるから、この映画は“名作”と呼ばれているのかしらん?
でもま、何度も観たくなるって意味では名作なのかも知れんがなぁ。

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2005.02.01

2/1 『座頭市と用心棒』

DVDで『座頭市と用心棒』を観る。

三年前ぶりに訪れた蓮華沢の里。だが、かつて市が来た頃とはすっかり様変わりし、小仏の政五郎(米倉斉加年)に牛耳られていた。政五郎は、用心棒の佐々大作(三船敏郎)に市殺しを依頼するが、大作は飲んで寝ているばかりでなかなか仕事をせず、美人女将梅乃(若尾文子)が営む居酒屋に入り浸るばかり。そんなある日、凶状持ちの市は牢に入れられてしまった。市を牢から救ったのは、生糸問屋の烏帽子屋弥助(滝沢修)だった。政五郎の実の父である屋弥助には、実は思惑があったのだ…。

この映画の三船敏郎は、果たして三十郎なのかと言うと相当に微妙である。風体はそっくりだし、演技も同じ(それは三船敏郎の演技の幅が…とか突っ込まないように)だけれど、どうもキャラクターが違いすぎる。なんか悪人っぽ過ぎるんだよな。これはこれでいいんだけど、『用心棒』『椿三十郎』の続きかと言うと、やっぱりそうは見えない。勝プロ制作ってこともあって、座頭市寄りの展開だしね。
でも、そんなキャラクターの違いよりも、全体の作りとして『座頭市』でも『用心棒』でもないものになっている気がする。監督が岡本喜八だってこともあって、この強烈なはずの2人の主人公は控えめで、映画自体は群像劇のような雰囲気さえ醸し出す。弥助と政五郎親子、弥助と三右エ門(細川俊之)親子の愛憎。政五郎と三右衛門兄弟の確執。左々と梅乃と市の三角関係。左々と九頭竜(岸田森)のライバル関係。これらを核にしつつ描かれる、市に絡むその他の登場人物(神山繁、嵐寛寿郎、寺田農、草野大悟、常田富士男、砂塚秀夫と、地味めにいい役者を揃えている)たちの生き様に焦点があてられている。
中でも岸田森演じる九頭竜が、震えるほどカッコイイ。左々も市もかすむほどシャープな九頭竜は、マンネリ気味なこのシリーズに渇を入れる存在感だ。日本映画界は惜しい役者を亡くしたものだ。
おっと、忘れるところだった。米倉斉加年のヌメっとしたいやらしさも、この映画の魅力のひとつ。その米倉が「せんせいっ!」と呼びかけると、必ず三船が「しぇんしぇ~い」と真似してバカにする場面の繰り返しが妙に可笑しい。
あんまり評判は良くないみたいだが、オレは結構好きだよ。この映画。

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2005.01.28

1/28 『海を渡る波止場の風』

DVDで『海を渡る波止場の風』を観る。

桜島に五千万円を積んだセナスが墜落した。しかし、残骸からは金も死体も見つからず、操縦士野村光彦(青山恭二)による狂言と思われた。光彦の婚約者である尚子(浅丘ルリ子)は彼を信じ、貿易会社の社長である父(山内明)と一緒に鹿児島へとやって来た。事故現場に佇む尚子は、やくざの奥山五郎(宍戸錠)に襲われるが、危ないところを流れ者の野村浩次(小林旭)に助けられる。2人の男は、どちらも事故について何かを知っているようだったが…。

意外と複雑(そうか?)に展開する“流れ者シリーズ”の第2弾。監督も前作に引き続き山崎徳次郎が続投。
前作と同じ60年の製作で、かつアキラ演じる浩次は名前もキャラクターも同じはずなんだが、元麻薬捜査官って設定はすっかりどこかに置き忘れてしまったかのような内容だ。青山恭二が実は生き別れた弟だったって設定も含めて、う~む…このアバウトさは、さすが日活!

今日行ってきた「小林旭銀幕研究会」によると、チンピラたちが銃を構えたりナイフを持ったまま、アキラが唄ってる間中ず~~~っと襲い掛かりもせずに待っているスタイルはこの映画から始まったんだそうな。言われてみればそんな気がする。実際この映画では、「アキラのズンドコ節」を延々唄っている間、延々と高品格が割ったガラス瓶を構えたまま手持ち無沙汰に待っている。「ズンドコ節」の歌詞ではないが、♪1年前には知らなんだ~ 半年前にも知らなんだ~♪って感じだ。

セスナの墜落シーンは、恐らくミニチュアだと思うのだが、一体誰がやっているのだろう?思いのほか良く出来ている。

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1/28 「小林旭銀幕研究会 Vol.1」

高田馬場のBSホールで、白夜書房主催(?)のイベント「小林旭銀幕研究会 Vol.1」。
30代くらいの人も結構来ているイベントかと思ったら、現役でアキラ・ファンだったような50~60代以上のおじちゃんばっか。この年代の人(おまけに男性メイン)を、わざわざイベントに足を運ばせるパワーにはビックリ。凄いぞアキラ!

さてイベント内容である。
司会は『マイトガイ・スーパーグラフィティ』(白夜書房刊)のエディターである佐藤利明氏で、まずは35分の“ザッツ・アキラーテイメント”って感じの名場面ダイジェスト。
日活映画からアクション、歌謡と2パートに分けて抜き出し、編集したものだ。驚いたのはヤンマー・トラクターのCMが入ってたことだ。なつかし~っ!そして更に驚いたのが、アキラ本人によるこのイベント向けのビデオ・メッセージ。そんなものまであるとは思わなかった。

その後、神田の中古レコード屋「ミュージック・ガーデン」の店長もステージに上がってのアキラ節談義。
続いて、神奈川の山奥でブルーベリー園をやりながらアキラ節を唄うと言う謎の30歳、小西氏によるアカペラ・アキラ節歌謡コーナー。
更にコロンビアのディレクターが倉庫から持ってきた未レコード化・未CD化音源、『アキラの三度笠』『空が恋人』を聴くコーナー。
最後はお客さんのリクエストで、日活映画の歌謡場面の上映。

なんだかよくわからんが、熱気はないが妙に濃ゆいイベントであった。
来ていたオジサンたちもみな幸せそうだったから、満員とは行かなかったけれど、このイベントは成功なんだろう。

さらに驚いたのは、先日の紀伊国屋ホールでの写真展で会った、小林旭事務所の人らしき女性に顔を覚えられてて挨拶されてしまっていたことだ…。いや、別に困ることは何もないんだが、きっとモーレツなアキラマニアだと思われてるんだろうな…。

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2005.01.22

1/22 『ハウルの動く城』

日比谷スカラ1でDLP上映の『ハウルの動く城』を観る。

父親の残した帽子屋を営むソフィーは、ある日街で兵士にからまれる。それを救ったのは、追っ手から逃げている美青年であった。彼は悪名高い魔法使いハウル。だが、ハウルと関わったことで、荒地の魔女の不興を買い、ソフィーは90歳の老婆にされてしまった。呪いを掛けられたことを言うことも出来ずソフィーは家を出、ハウルが暮らしている大きな動く城で掃除婦として働き始める。一方ハウルは戦争に巻き込まれ、日々戦いに行かなければならなくなるが…。

『もののけ姫』よりはマシだけど、『千と千尋の神隠し』よりはずっと下。
…っつーか、話が見えないっつーか、登場人物が何をしようとしてるのか分からないっつーか…。これ、みんな分かったの?あまりにも説明不足だし、破綻してない?人物設定も世界観設定も、人間関係も行動原理も、あまつさえストーリー展開さえも分かんないことが多い。
一体どことどこが何のために戦っているのか、それを結局サリマンの一存だけで終結できてしまうのも謎だ。そしてオレにとっての最大の謎は、ソフィがなんであの場面で、カルシファーをカマドから抜いたのかってことだな。彼女、何しようとしてたの?誰か教えちゃくれまいか。
ついでに言えば、ソフィーの年齢が状況によってめまぐるしく変化する。ただ単に作画が乱れているのか、実際に若返っているのか、なんだかよく分からなかったりするのも戴けない。
結局のところ、宮崎駿はこの映画で何がやりたいのかな。宣伝では「ばあさんが元気」だの「ばあさんと美男子の年齢を超えた愛」だの言ってるけど、ばあさんの中身は18歳の女の子な訳だし、あの宣伝はあざと過ぎるんじゃないか。
もしかしたら、ロリコン趣味を隠すためだけに、ばあさんを主役にして、ついでにギガントを飛ばせたかっただけなんじゃないのか?なんてうがった見方さえしてしまう。

これが今年の興収No.1になるのは確実だろうけれど、オレにはそんなにいいものには思えないなぁ。

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2005.01.02

1/2 『ガンマー第3号 宇宙大作戦』

DVDで『ガンマー第3号 宇宙大作戦』を観る。

22世紀、10時間後に地球へ衝突することが判明した遊星フローラの爆破のため、ランキン中佐(ロバート・ホートン)が地球を飛び立った。隊員たちと共に決死の任務を成功させ、宇宙ステーション・ガンマー3号に戻ったが、宇宙服に付着した謎の緑色の物質から、怪物が生まれてしまう。エネルギーを吸収し、増殖を始める怪物。果たして彼らは怪物を撃退することができるのだろうか……。

映画が始まって25分も過ぎると、もう遊星フローラの爆破に成功している。地球的危機を『妖星ゴラス』よりも『アルマゲドン』よりもスピーディに処理してしまう、東映特撮チーム(実際には日本特撮株式会社ってとこがやってるけど)の素晴らしさよ。
もちろん、遊星フローラがぶつかることなんて、この映画にとってはきっかけでしかない。肝心なのは、その後の宇宙怪物との戦いだからだ。スライム状物質の付着から、ステーション内での増殖、次々と襲われる隊員たち。そして怪物を倒すために次々と作戦を立て、柔軟に変更していく姿がカッコイイ。とても35年も前の映画とは思えない速度で、畳み掛けるように展開していくのが気持ちいい。深作欣二を起用した最大のメリットはこのテンポだな。
俳優が全て外国人なことと相まって、米国製50~60年代SFを観ているかのような錯覚すら覚える。と言うか、同監督の『宇宙からのメッセージ』や、日本SF界が総力を結集した『さよならジュピター』よりもよっぽどSFマインドに溢れる映画になってるのは何故なんだろう?
記憶していた以上に面白い快作だ。観直して良かった!

東映がこの映画のDVDを発売するんだから、『緯度0大作戦』もなんとか権利をクリアして発売してよ、東宝さん。あれ、『ガンマー第3号』は昔ビデオ出てたんだっけか?

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2004.12.30

12/30 『黒い傷あとのブルース』

DVDで『黒い傷あとのブルース』を観る。

堤組の若頭渡三郎(小林旭)は、傾いた組を立て直す資金繰りのために、小牧(大坂志郎)の持ってきた拳銃密輸取引の罠にハメられてしまう。そして刑務所に入っている間に、組長は亡くなり組も解散。5年後、小牧への復讐だけを胸に出所した渡は、小牧が横浜に居ることを聞きつけた。弟分の丈二(郷えい治)と共に、小牧の行方を追う渡。今は小牧がスーパーマーケット経営で成功している突き止めるが、同時に偶然知り合ったバレリーナの洋子(吉永小百合)が小牧の娘がであることも知る…。

珍しくアキラと吉永小百合が共演した61年の野村孝監督作。
復讐譚としてはいまひとつパンチには欠けるけれど、無難な佳作である。

本作では神山繁演じる茂原が一番の悪役であり、妙にテラテラしたトッチャン坊やっぽさが、いかにも悪そうである。だが、より注目すべきは小牧を演じる大坂志郎だろう。大坂志郎と言えば、善良そうな小市民役が多いが、その気の弱そうな表情の奥に潜む“小者な邪悪感”がよく出ている映画だ。本作でも本人が悪な訳ではなく、巻き込まれて悪事に手を染めてしまう役柄ではあるが、オドオドと銃を構える姿や、自分たちの幸せのためには平気で人を踏み台にするイヤな雰囲気が絶妙だ。

アキラはいつものごとくだが、今回はちょいと陰りの強い役柄で、郷えい治は一本気な弟分を好演。
久々に見る若い頃の小百合ちゃんは凄く可愛い。だけど、やっぱりアキラにはルリ子ちゃんの方が似合うよな。
そう言えば、吉永小百合は上品に老けたけれど、浅丘ルリ子はいくつになっても強烈な付けまつげと化粧で、なんか下品に老けちゃったのが悲しい。笹森礼子は、今どうなってんだろ?美しく老けてて欲しいなぁ。

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2004.12.25

12/25 『完全な遊戯』

DVDで『完全な遊戯』を観る。

壮二(小林旭)は、仲間の戸田(梅野泰靖)、秋谷(柳瀬志郎)、沖津(武藤章生)と暇を持て余して麻雀をしながら、どうにかして遊ぶ金が手に入らないかと相談をしていた。そんなある日、戸田が競輪のノミ屋から金をふんだくる計画を思い立つ。川崎の競輪場から吉祥寺のノミ屋に結果が伝わるまでの数分間に、先に情報を入手して儲けようって魂胆である。色男の富田(岡田真澄)も仲間に引き入れて、周到な準備をして計画は成功したかに見えた。だが、ノミ屋の鉄太郎(葉山良二)に、その掛金を支払う金がなかったことから、計画は意外な方向に進み始める…。

石原慎太郎原作、舛田利雄監督による58年のモノクロ映画。
公衆電話の台数も限られていた時代だからこそ成立する犯罪計画で、今ではどうやったって出来ない犯罪。数少ない電話をいかに上手く活用して、相手より先に情報を入手できるか。最近だと、時間内ハッキングとかになるんだろうけれど、電子犯罪よりも物理的な犯罪の方が全然スリリングだよな。もちろん、それを描く演出力があってこそなんだけど、舛田利雄はその辺りをシャープに演出している。冒頭、皆が麻雀をしながらムダ話をしている場面で、カメラが彼らの周りをゆっくりと回り込む。その描写が、あまりにもタランティーノっぽくて驚いちゃったよ。
で、犯罪計画を描いた前半部分が非常に面白かったのが、後半クズ人間たちのクズっぷりに変わってきて、かなり暗い気持ちになる。とは言え、これでも相当ヌルいらしく、原作の嫌っぽさはこの映画の比ではないと言う。
原作は、たまたま知的障害のある女を拾った学生たちが、みんなで彼女を輪姦しまくり、最後は殺してしまうだけなのだそうで、ノミ屋詐欺とかはないんだそうな。全く違う話じゃねぇか!青少年非行防止のためにエロ本を規制しようなんて言い出す都知事が、昔はそんな鬼畜小説を書いてたんだね。…って言うか、そんなの書いてた人間が、エラそうに規制なんかすんなよ。

特典映像の舛田利雄インタビューも面白かった。
元々はみんなで輪姦謀議をする場面があり、賛成するもの、反対するもの、それぞれの思惑や苦悩があり、そここそがこの映画のテーマだったのだが、映倫が丸ごとカットしてしまったんだそうだ。輪姦場面がカットになったんなら話も分かるが、その謀議の場面がだ。それはあった方が良かったんじゃないのかな。どっちにしろ直接的な描写はないけど、完成した映画の内容だと、単に岡田真澄が劣情を催して、芦川いずみを犯しただけにしか見えないもんな。

昭和30年代半ばの吉祥寺の風景が、今とあまりにも違うのも興味深い。親戚が住んでいたので、40年代半ばには幼いオレも吉祥寺に行くこともあったけど、その時とも既に風景が違うような気がする。なんだか凄く田舎で、今の吉祥寺からは想像もできないような場所である。

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12/25 『小林旭マイトガイギャラリー』

新宿紀伊国屋の画廊で23日から今日まで開催の『小林旭マイトガイギャラリー』を観にいく。

展示としてはポスターがメインで、スチル、台本なども展示されている。でも、思ったほどの展示ではなくちょっとガッカリ。客もオレ含めて3~4人くらい。折角の50年に一度の祭りなんだから、みんな行こうよ(笑)。

DVDを購入するとアキラ直筆サイン入りスチルがもらえるそうで、以前に発売されてた『完全な遊戯』のDVDを購入。二階堂卓也のサイン入りスチルをもらう。小林旭事務所の人ではないかと思われる女性と、「『マイトガイ・キャンペーン』のタイトルも、50周年記念写真集も、もう全部買っちゃってるんですよ」などと話すと、後は何がDVDで出て欲しいかと訊かれたので、『無頼無法の徒 さぶ』が欲しいとリクエストする。すると今度は日活の担当者らしき人が出て来たので、「いつも『渡り鳥』ばかりだから、これまでソフト化されてないやつを出して欲しい」とお願いしたら、今回の『マイトガイ・キャンペーン』以降のリリース計画の話をしてくれる。
計画通りに進むかどうか分かりませんが、ぜひ100本くらいリリースして下さい(笑)。

そんな話もしてしまったので、さらに直筆サイン入り2005年カレンダーも購入。バカだな、オレ。

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2004.12.15

12/15 『高原児』

DVDで『高原児』を観る。

山の工事現場で働く、現場監督の健次(小林旭)。医務室の看護婦伸子(浅丘ルリ子)は彼に恋していたが、姉が経営する別府の牧場のピンチを知り、急遽国に帰ってしまった。丁度そんな時、一人の男(近藤宏)が工事現場の医務室に運びこまれて来た。男は伸子の実家スズラン牧場を知っているらしい。健次は伸子を窮地から救うため、一路別府へと向かった。そして健次は、スズラン牧場が高山(二本柳寛)と花田(金子信雄)に狙われていることを知り、伸子の兄・五郎のフリをはじめるが…。

今回は別府ウェスタンである。ピンチのルリ子ちゃんを救うため、会社をほったらかしてまで、別府に向かうアキラが男らしい。だけどそのやり方がね。敵を欺くにはまず味方から。それはそうなんだろうが、ルリ子ちゃんにも何も教えないまま、兄のフリをして義理の姉の夫になりすますってのは、かなりムリがある。ムリを承知でゴリ押しするのが日活アクションでもあるが…。

本作で美味しいのは、宍戸錠の実弟でもある郷えい治演じる“クレイジーのゲン”。カウボーイハットで凄腕の拳銃使い。一体どこの世界からやってきたんだオマイは!と突っ込まずには居られないが、それでも独特の存在感が素晴らしい。早死にしちゃったのが惜しい役者だ。

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2004.12.05

12/5 『座頭市喧嘩太鼓』

米版DVDで『座頭市喧嘩太鼓』を観る。

座頭市は、わらじを脱いだ熊吉親分(清水彰)への一宿一飯の義理から、宇之吉と言う男を斬る。だが熊吉の本当の狙いは、宇之吉の姉お袖(三田佳子)を豪商猿屋宗助(西村晃)に引渡し、仕事の口利きをしてもらうことだったそれを知った市は、お袖を救い、陰に日向に彼女の道中を警護する。諦めずにお袖の後を追う熊吉たちは、道中知り合った旅の浪人柏崎(佐藤充)に市を斬ってくれと頼むが…。

シリーズ第19作は、三隅研次監督による1968年の作品。
真昼間の陽光の中、真っ暗な家の中に入っての一瞬の斬り合い、アっという間に指2本を斬り落とす市の早業、暗闇でカンテラに照らされながらの戦い、そしてクライマックスの緊張感溢れる死合と、凄味とキレのある数々の殺陣が見所なのは言うまでもない。どれも勝新の泥臭さと、速さ・シャープさのどちらをも最大限活かした見せ場になっている。特に、佐藤充との戦いで祭りの太鼓が鳴り始めると同時に、耳が利かなくなった市が窮地に陥る展開は、『座頭市の歌が聞こえる』と似たような趣向だとは言え、戦いの中の緩急としてお見事だ。
この映画では、こうした戦いの場面以外にも、もうひとつ見所がある。それは普段以上に“笑い”に振っているところである。
藤岡琢也の渡世人とメザシを取り合う場面、玉川良一&曽我町子がやっている祭りの「だるま落とし屋」で、盲でありながら百発百中でダルマを落とす市、イカサマ賭博がバレて簀巻きにされた市がヒョヒョコ歩く場面など、非常にユーモラスになっている。
これらの場面も、大半が凄味のある場面と表裏一体----ダルマ屋ではその市の百発百中ぶりを見て、三田佳子が自分の弟を斬った市の姿がダブったり、簀巻き状態から佐藤充との戦いに一瞬にしてスイッチしたり-----緩急自在に仕上がっている。流石は三隅演出だな。巧い!

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2004.12.04

12/4 『下妻物語』DVD特典映像

『下妻物語』のDVD特典映像を観る。

撮り下ろしサイドストーリー『一角獣の初恋』に猛烈に期待してたのだが、コレはイマイチ。阿部サダヲは絶叫しっぱなしだし、なんか小劇団の人たちが作った自主映画みたい。残念。

その他は、メイキング、スタッフ&キャスト・インタビュー、NG集、デリート・シーン、記者会見風景、宣材ギャラリーと、ごく一般的な特典映像。中ではメイキングが楽しい。非常に明るく楽しそうな現場で、この雰囲気の中からよくあんなに面白い映画が出来たなぁと感心しきり。面白い映画ほど、現場がキツそうなもんなのにね。

インタビューで可笑しかったのは4℃のアニメーター。インタビュー自体はそれほど面白くないんだが、最後に「中島監督とはまた仕事をしたいですか?」と問われて、「いやぁ…、ほかにもっと画のかける人がいくらでも居るから、なにもぼくじゃなくっても…」と言外に否定。アハハハ!キツかったんだぁ、アニメの現場は。

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2004.11.28

11/28 『下妻物語』再び

DVDで『下妻物語』を観る。

劇場公開時に観て惚れ込んで、まだ4ヶ月しか経ってないってのに、もうDVDが出た。もちろん2枚組スペシャル・エディションをゲットだゼ!
今日はとりあえず特典映像ではなく、本編のみ再見。

やっぱイイっすヨ、この映画。タマランです。
その上、DVDアタマの警告文から、メニューから、dts音声から、何から何まで気合が入っており、相変わらずビシっとキメてギャフンと言わせる映画だ。
特典映像は次回のお楽しみに取っておこう。

劇場で観れなかった人は、絶対のオススメだから観れ!惚れるぞ。

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2004.11.19

11/19 『海から来た流れ者』

DVDで『海から来た流れ者』を観る。

大島に向かう船の中で、野村浩次(小林旭)は島で温泉を掘っている土建屋・藤徳組の社長の甥、修(川地民夫)と知り合う。修は、東京に新しい機械を買い付けに行った帰りだったのだ。藤徳組の藤田徳太郎(深見泰三)は、温泉掘りの資金を神戸(宍戸錠)から借りていたのだが、キャバレー「RedFire」を経営する神戸一味は、実は借金の返済よりも土地を取り上げることが目的だったのだ。そして、用心棒の前岡(葉山良二)を使って嫌がらせを繰り広げ、さらには藤徳の娘・礼子(浅丘ルリ子)を強姦しようとまでしていた。礼子は借金を返済するため、東京の実業家津久田(二本柳寛)に相談するが、津久田の秘書のルミ(筑波久子)は神戸の情婦だった…。

山崎徳次郎監督による60年製作の『流れ者』シリーズ第一弾。
この作品の肝は、日活無国籍アクションならではの“大島ウェスタン”とでも呼ぶべき異様な世界にある。馬に乗って現れるカウボーイハットのならず者たち、サルーン代わりに舞台となるキャバレー、そのキャバレーでのビール瓶を割っての乱闘、石油掘りそっくりな風景を醸し出す温泉掘りと、いつも以上にウェスタンっぽさが全開。
本作は、日活オールスターなキャスティングもゴージャスで魅力的。当面の仇役が葉山良二で、その後が待ってましたの錠で、でも一番の悪は二本柳って三段構えの構成。そこにいつもながらキュートだけど化粧の濃い(失礼!)ルリ子ちゃんと、山瀬まみみたいな筑波久子----『ピラニア』のプロデューサー「チャコ・ヴァン・リーヴェン」ですよ----の情婦が絡む。
人間関係が妙に複雑なんだが、そこはそれ日活無国籍アクションなので、筋を見失ったりすることは一切ない。
ちなみに、元麻薬捜査官って設定があろうがなんだろが、ともかくアキラはいつもと同じだ。今回の主題歌「ダンチョネ節」の素っ頓狂な歌声が、なんとも言えない雰囲気を醸し出す。

クライマックスの火山での対決もちょっとマヌケだが悪くはない。もしやここからルーカスはパクったのでは?(ないない、そんなこと)

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2004.11.11

11/11 『女を忘れろ』

DVDで『女を忘れろ』を観る。

田所修(小林旭)は元プロボクサー。学生ボクサーからプロに転向したが、対戦相手の関口(牧真介)を失明させてしまった。そのため早々に引退してキャバレーのドラマーになり、彼の入院・手術費用を稼いでいた。そんな修に惚れ抜いて同棲している女が居た。キャバレーで働く年上の雪枝(南田洋子)である。ある日、修は店で女子大生尚子(浅丘ルリ子)と知り合った。彼女は士建屋の大沢(安部徹)にアパート建築を頼んでいたが、資金が不足して工事が中断されていると言うのだ。その苦境を救おうと思い立つ修だったが…。

遂に「マイトガイ・アキラ・コレクション」が始まってしまった。
マイトガイと言えば、もちろん小林旭である。日活がアキラの芸能生活50周年に満を持して放つ(…っつーか、今まで出すタイミングがなかったんじゃ…)、DVD連続リリースである。第一弾は『女を忘れろ』『海から来た流れ者』『赤い夕陽の渡り鳥』『南海の狼火』の4本。おまけに“マイトガイ・プライス”(笑)で1本税込2940円だ。『渡り鳥』シリーズはLD-BOXを持ってるから悩んだんだが、リマスターだってことで、ええいっ!買っちまえ!ってなもんだ。

で、今日は59年の舛田利雄監督による『女を忘れろ』だ。
「アキラのブレイクのきっかけになった作品」とか書いてあるのを読んでいながら、実は今回が初見なんだな。
アキラもまだ若く、初々しさが残る青年顔の好青年。いつものごとく素のままと言うか、演技してないと言うか、“そのまんまアキラ”としか言いようのないスタアな芝居。だけど、演じるのは結構複雑なキャラクターだ。ボクシングの対戦相手の手術費用まで出してやってるのに、同棲相手の女の金品をちょろまかしたりもする。その上、その女には靴下まで履かせてもらう甘えっぷりなのに、別な女によろめいて、半殺しの目にあったりする。一種の性格破綻者?

結局、アキラが頼ることになるヤクザの吉野を演じるのは金子信夫。ヤクザと言っても今回はアキラのために一肌脱ぐ良い人で、阿部徹に向かって「黙ってろ小僧!」なんて言ってサマになる人はなかなか居ないよね。でもこの吉野が実はトンでもない役で、なんと裏で海外の諜報機関と繋がっていたってぇんだから驚く。どこの国の諜報機関なのか、オレは知りたいゼ。

ムチャクチャな話ではあるが、これはこれでなかなか面白い。この頃の日活アクションはやっぱいいなぁ。

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2004.11.06

11/6 『デビルマン』

丸の内TOEI1で『デビルマン』(もしかしたら横文字表記で『Devilman』なの?)を観る。

幼馴染みの不動明と飛鳥了。不動明はやがて両親を亡くし、牧村美樹の家族に引き取られていた。ある日、明は了の家に遊びに行き、了の父・飛鳥教授の最後を記録したビデオを見せられる。だが、ビデオだけでなく、実は飛鳥博士はデーモンに乗っ取られ、了の家で生きていたのだ。何故か驚きもしない明に、デーモンの勇者アモンが乗り移り、明はデーモンでも人間でもないデビルマンになってしまう。時を同じくして、デーモンたちが次々と人間に取り憑き始めた。人々は“悪魔狩り”と称し、次々と疑わしい人間の殺害を始める…。

♪だぁれも知らない 知られちゃいけ~ない~!デビルマン~が ダァメェなのを~っ!♪

…ってことで、ええ、ウワサ通りのダメ映画でした…っつーか、コレ、映画?
FLAMEってぇの?主演の井崎兄弟(双子?)。イヤハヤ南友、なんでこんなの主役にしたの?演技出来ないにも程があるって。演技できないって言えば、阿木燿子も?いやいや旦那の竜童だって演技してないし、富永愛だって…ねぇ。カメオでボブ・サップにKONISHIKIに船木誠勝だってさ。なんで格等家集めたのかね?で小林幸子?すいませんが、誰か一人でもいいから普通の役者をキャスティングしてくれぇ~!多分一番演技力があったのは“きたろう”だったんじゃないのか(ヲイヲイ)。

飛鳥了のアタマはなぜ白く染めてあるのか。子供時代の飛鳥了の髪の毛はなぜ白い粉がまぶしてあるのか。この世界でのニュース・ソースは、ボブ・サップ演じるアナウンサーだけなのか?人を探している明が、なぜ海の中に顔を突っ込むのか。本多博太郎はどうやってあの部屋に入ったのか。シレーヌの最期はなぜウヤムヤなのか。デビルマンが、いつも忍者みたいに右腕を前に構えるポーズをしているのはカッコイイのか。デビルマンもその他のデーモンも、二言めには「滅びろっ!」と叫ぶけど、それはデーモンの流行言葉なのか、それとも脚本が間違ってるのか。デーモンに合体された女の子が、原作のように乳から毒液を出すんじゃなくって、腕からビームを出すのがいやだ。シレーヌのアタマから黒髪がチョロチョロ出てるのがイヤだ。CGの質感がテカテカしててイヤだ。クライマックスで飛鳥了がジャケットを着ているのがイヤだし、そもそもサタンじゃなくって飛鳥了の姿なのがイヤだ。そしてなによりも…

世界の崩壊が

「亀戸」だけで展開するのがイヤだあぁぁぁっ!


細かいこと(だが決定的なこと)を色々あげつらったが、こんなもんだけでない。物語的には、原作の表面をサラっと撫でただけなので、難しかったり分からなかったりすることはない。だが、もちろん話が分かればいいってもんではない。根本的に何かがおかしい。致命的なまでに、ディテール描写や状況描写が欠けている。だから物語が分かったって、そこにリアリティもなければ、理解できる登場人物の心理も、映画的興奮もなにもかもがない。
こんな映画を夫婦二人で作ったら、家庭が崩壊してしまうのでは?と観客に余計な心配までさせてしまうような映画はヤバ過ぎるよ、那須監督。

『CASSHERN』『CUTIE HONEY』『NIN×NIN忍者ハットリくん』と、今年もダメ映画を観てきたが、コイツぁアタマふたつばっかり突き抜けてますゼ!
『8マン~すべての寂しい夜のために』と戦えるだけのイヤな戦闘力を持った、唯一の映画が誕生したとも言えるかもしれない。

…とか言いながらも、『鉄人28号』にもワクワクですよ、オレ。さぁ、次はどんなダメなのを観せてくれるのか。

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2004.10.21

10/21 『座頭市果し状』

米版DVDで『座頭市果し状』を観る。

旅の途中で市は、浪人者に斬られた百姓を医者に連れて行った。市は、酒好きの医師の順庵(志村喬)と親しくなり、家に世話になることになった。同じ頃、松五郎親分(土方弘)の家に、役人に追われている勘造(小松方正)、用心棒の弦八郎(待田京介)、その女・お秋(野川由美子)ら6人のならず者が転がり込んでいた…。

安田公義監督による第18作。
シリーズが進むほどに、どんどん強くなっていく市が、あんまりにも強くなり過ぎて、面白味が欠けていくって意見も分からんではないが、「少年ジャンプ」の“戦いのインフレ”と同じで、強くなっちゃったものはなかなか後戻りは出来ない。しょうがないから、その圧倒的なまでの無敵っぷりを楽しむべきだろう。

今回は6人(正確には冒頭に2人斬ってるので8人だが)のゴロツキどもとの戦いが見せ場。手裏剣(投げナイフみたいだが)使いと短銃使いと、2人の飛び道具系が居るのが新機軸。でも、市は撃たれて川に落ちた後、銃弾を自分の刀(仕込杖)で摘出した上で、大量出血しながらも、さらにバッタバッタと敵を斬り倒す。やり過ぎではあるのだが、勝新と待田京介の殺陣の見事さの前には、そんな言葉は飲み込んでおくしかない。
市に冒頭で斬られた男の弟が、恨みを晴らそうと執拗に市を狙う。この手裏剣使いに扮するのは、かの井上昭文である。誰、それ?って感じかもしれないが、『愛の戦士 レインボーマン』でインドの聖者ダイバ・ダッタを演じてた人である。正直なところ、ゴロツキが6人も居ても、きっちり存在感をアピール出来ているのは、この井上昭文と野川由美子、待田京介の3人だけで、あの小松方正すらも今ひとつ目立てていない。なんて勿体無いんだろう。
その分、ゲストの志村喬は、いつもながらの存在感を見せる。でも、元々演技の幅が広い人ではないので、“酒好きの医者”ってだけで、もうすでに『酔いどれ天使』と区別がつかない。それでこそ志村喬、それだから志村喬としか言いようがないんだけどね。

三隅、森、池広と凄ぇ監督ばかりの中では、どうしても地味になりがちな職人監督安田公義だが、それだけに観客楽しませようって意気込みが感じられるせいかもしれない。出来がいいとは言えないが、割と嫌いになれない作品である。

なお、毎度のことだが、劇中に「果し状」なんてものは登場しない。このシリーズ、なんでこんな適当なタイトルのものばかりなんだろう?

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2004.10.03

10/3 『座頭市血煙り街道』

米版DVDで『座頭市血煙り街道』を観る。

とある旅籠の相部屋で、市は今際の際のおみねから、息子の良太を父親である庄吉の居る前原まで連れて行ってやってくれと託される。旅の途中、旅芸人一座ともえ太夫(朝丘雪路)を助けたり、凄腕の素浪人・多十郎(近衛十四郎)知り合ったりしながら、やっとこさっとこ前原に到着した2人。庄吉が働いていたと言う窯焼きの太兵衛(松村達雄)を訪ねるが、そこには庄吉の姿はなかった。そして、庄吉は前原の権造親分(小池朝雄)の土取り場に居るとの噂を耳にするが…。

1976年製作の三隅研次監督によるシリーズ第17作。
色んなところで“傑作だ!”だと聞いていたし、ルトガー・ハウアーの『ブラインド・フューリー』の元ネタだってこともあって、相当な期待感で観始めた。だが、そんなに傑作とは感じず、「まぁ普通に“良く出来た座頭市シリーズの一本”って感じじゃないかな」と思いながら観ていた。ところが!クライマックスの多十郎と市の戦いが、信じられないほどカッコイイ。
このシリーズでは、勝新の“見せる居合い”の速さ、上手さもあって、大抵は一度に多くの相手を倒す見せ場が用意され、最後に残された大物と戦う。通常は一瞬で勝負が決してしまう場合が多い。だが今回は、近衛十四郎との対決が長く、かつ息詰まる緊張感に溢れたものになっている。流石は三隅演出。この場面があるから、みんなが“傑作!”と呼ぶのだと理解ができた。

ゲストは、一曲唄う中尾ミエ、メクラネタで市に絡む大工になべおさみ、そして脇を固めていい味を出しているのが、窯焼き太兵衛の松村達雄と、市に肩を揉まれる悪代官の小沢栄太郎である。
ところで、いつも思ってるんだけど、市の按摩ってすっごく気持ち良くなさそうだよね。揉むってよりもさすってるみたいだし、手を動かすのが速過ぎで、“気持ちいい”よりも“痛そう”に見える。

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2004.09.17

9/17 『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』

新宿コマ東宝で、『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』を観る。【ネタバレ】
面子は、いつも『ゴジラ』だの『キューティハニー」だのを一緒に観に行く座長、Xオヤヂ、クール。

伊賀の里で修行中の忍者・服部カンゾウ(香取慎吾)は、ある日、父ジンゾウ(伊東四郎)から、“主(あるじ)以外には決して姿を見られることなく、その主を守って江戸で暮らせ”と命令される。これが最後の修行だと言うのだ。東京にやって来たカンゾウは、偶然出会った小学三年生の三葉ケンイチ(知念侑李)を主にすることを決め、三葉家にこっそり居候することになるが…。

コメディと言うには笑えないし、ドラマと言うには物語もキャラクター描写も薄っぺらだし、アクションは…ほとんどない。今、なぜこの映画を作ったのかがよく分からない。たとえアイドル主演のファミリー・ムービーであっても、どこか一箇所ポイントを絞って、その部分だけでも少し丁寧に作れば、もうちょっとどうにかなったんじゃないのか?

例えばハットリくんとケンイチの出会い。東京タワーからムササビの術で飛んだ先が、たまたまケンイチの家。何の理由もない。原作漫画がどうやって始まったか記憶にないが、確かモノクロ実写版では、腹を空かせたハットリくんが、サンマ(だったかな?)の焼ける匂いに釣られて、フラフラとケンイチの家に行くんじゃなかったか?大した理由ではない----むしろいい加減な理由であるが、いかにも藤子不二雄らしいエピソードだ。
例えば、ケムマキたち甲賀忍者は、何故忍者であることを辞めたのか?一般論と言うか、子供の頃から刷り込みで、“抜け忍には死の制裁を加える”ってのは当たり前のことと認識している。だから黒影が甲賀抜忍を執拗に追い続けるのは分かるが、なぜそれでもケムマキたちが抜けたのかは分からない。
ハットリとケムマキの関係も、昔のエピソードがひとつ描かれるだけなので、さして意味を持っては来ない。
目の見えない少女(?)ミドリに、なぜケンイチは憧れたのか?それ以前に、ミドリとは一体どういう少女なのか?

本作では、ほぼ全てのエピソードが、その程度の意味のない描写で進んでいくため、感情移入もできないままクライマックスに向って進んでいく。そしてそれらの間を埋めるのは、クスリともさせてくれない笑えない“笑い場”の数々。だから、黒影にさらわれたケンイチを救出に向うハットリくんが、どんな思い出を回想してみても、そこに“忍者の掟”を破るほどの説得力はない。そして対決は、なぜか黒影に食ってかかるケンイチで終了。最後くらいはちょっとがんばったアクションで締めてくれるかと思ったのだが、それすらもない。ケンイチの助けでハットリくんが勝つのはいいが、ケンイチが対決を邪魔してはどうにもならない。
大体、役者的にも演出的にも、一番カッコイイのが主役のハットリくんじゃなく、ケムマキくん(ガレッジセールのゴリ)って段階で、この映画はアウトだろう。

敢えて言うなら、『CASSHERN』よりも『キューティー・ハニー』よりも、お客さんを向いて作っているとは思う。だけど、それは、ブラウン管の向こうに居る“金払ってないお客さん”レベルであって、“1300~1800円払って劇場に来たお客さん”のレベルには全くなっていない。

突然のマンガ/アニメの実写リメイク・ブームも、残すところ『デビルマン』『鉄人28号』の2本。どれか1本くらいマトモな映画であれば良いのだが…。

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2004.09.15

9/15 『修羅雪姫 怨み恋歌』

米版DVDで『修羅雪姫 怨み恋歌』を観る。

警察と刺客に追われる雪(梶芽衣子)は、兇悪殺人犯として遂に逮捕され、死刑判決を受ける。だが刑場に護送される途中で、謎の男たち(南原宏治)の襲撃を受け、特警の長官である菊井(岸田森)の元へ連れて行かれる。菊井は、雪の命と引き替えに、アナーキストの徳永乱水(伊丹十三)が持つ極秘文書と、彼の命を狙うことを命じるが…。

前作で恨みを晴らし、死んでいった(ように見えた)修羅雪。原作の内容、前作のクライマックスの展開、どこから見ても、とても続編の作られる物語ではない。だけど、恐らく前作がヒットしたから作られちゃったんだろうなぁ。
私利私欲のために“主義者”を一網打尽に惨殺した特警と黒幕、その彼らに復讐を誓う生き残った“主義者”との対立に雪が巻き込まれていく。主義主張は全面的に押し出されているけれど、前作のような、ひたすら怨みを晴らす殺戮マシーンとしての修羅雪の魅力はないし、第一、修羅雪の物語でなければならない必然性もない。
必然性のない物語が、映画を面白くすることはない。だから前作と比べてしまうと、ハッキリと見劣りしてしまう。しかし、役者が曲者揃いなので、その辺りは見応え十分だったりするのだな。
悪の権化とも言うべき岸田森は、和製ドラキュラ役者の面目躍如で、ゲッソリとした青白い顔も怪しくて存在感抜群。と、その下僕の南原宏治は口の訊けないスパイにして殺し屋。金魚にエサをやる場面がサイコーだ。南原宏治が、『ダイヤモンドアイ』の後半で一時的に出演しなかったのは、この映画とスケジュールが被ってたんじゃないのか?
思想家で運動家の伊丹十三と、野性味溢れる荒くれ医者の原田芳雄の兄弟も、タイプが全く違うにも関わらず、なにか違和感なく兄弟に見える。伊丹の妻役の吉行和子は鬼気迫る表情が恐ろしく、恐ろしいついでに裸身もさらす。
う~む、このクドい配役がたまりません。

雪に脅された菊井(岸田森)が、黒幕の大審院検事総長(安部徹)に言う。
「国家が、脅しや脅迫に屈服してはならない」
あれれ?この台詞って誰か偉い人が言ってなかった?
そうか、これは私利私欲に走った悪人の台詞だったのだな。

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2004.09.11

9/11 『修羅雪姫』

米版DVDで『修羅雪姫』を観る。

明治時代、塚本儀四郎(岡田英次)、北浜おこの(中原早苗)、竹村伴蔵(仲谷昇)、正景徳市(地井武男)の4人に、夫(大門正明)と息子を惨殺され、自らも三日三晩に渡って陵辱された鹿島小夜(赤座美代子)。彼女は正景徳市を殺害し、刑務所に入れられた。残る3人に復讐するために、獄中で看守に身を委ね、雪(梶芽衣子)を出産する。母の恨みを晴らすため、雪は修羅となる…。

最近では『キル・ビルVol.1』に、多大なる影響を与えた映画として有名な『修羅雪姫』。リメイク版(内容は全く異なるが)では釈由美子が頑張っていたが、映画としてはもちろん、女優的にもこちらのオリジナルの方が全然上だ。

本作は、実に悲惨な物語である。
主人公の雪は、復讐のためだけに産み落とされ、復讐のためだけに育てられた「殺戮マシーン」である。幼い頃から木刀で殴られ、樽に入れて転がされ、真剣で斬り付けられながら育てられる。雪にとって、人並みの幸せとか、普通の生活なんてどこにも存在しない。このストーリーラインは、基本的に上村一夫&小池一夫の“ダブル一夫”による原作のメイン・ストーリーに忠実である。4章に章立てされた構成のサブタイトルの付け方まで、ほとんど原作のトーンと変わらない。だが、過剰なまでの流血描写の数々が、この映画の特徴のひとつになっている。雪の戦った相手は、ともかく“ぴうぴう”と血を噴出す。首を斬りつけられ、腕が飛び、果ては胴体が真っ二つに斬られ、みなが盛大に真紅の血を流す。海はその血で真っ赤に染まり、雪も返り血を浴びて真っ赤に染まる。ここまでやると、ある種の様式美になると同時に、笑いすら洩れて来る。これが適度な----リアルな描写であったら、物語の悲惨さはとことん増していただろう。だが過剰な演出が、劇画的な効果を生み出し、悲惨さを逆に抑制している。
また、音の使い方が非常に巧い。4人組に輪姦される小夜のシーンをはじめ、まったくの無音になったり、音楽をカットして効果音のみで見せる場面がいくつかある。それが非常に効果的で、流石は敏八っつぁんだと唸らされる。

主演の梶芽衣子の妖艶なカッコよさはもちろんだが、意外と脇が豪華なのもこの映画の見所。仇の4人組はもちろんだが、一瞬で死んでしまう大門正明、雪を鬼のような教育で育てる和尚に西村晃、雪が心を寄せる新聞屋に黒沢年男、その他高木均や中田喜子、 ほんのチョイ役で売れてない頃の小野武彦(当時は堀田センパイ役の頃なので、まだ黒木進名義だ)、阿藤海などの出演している。

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2004.09.05

9/5 『GAMERA 1999』

ビデオで『GAMERA 1999』を観る。

先日、座長が遊びに来た時に途中まで観て、そのままだったので続きを最後まで。
以前にも1度観ているが、この『ガメラ3 邪神降臨』のメイキングは、抜群に臨場感があって面白い。最近のハリウッドVFX大作のメイキングは、コンピュータ上の画面ばっかりであんまり面白くない。中子真治のSFX解説を貪るように読んだ世代にはなんとも味気ないものばかり。でもこの映画では、まだまだアナログ手法が主流を占めている。作りこんだミニチュアや、スタッフが手でブン投げるバービー人形など、舞台裏の大変さと意外性の面白さがギュギュっと詰め込まれている。

ま、最初と最後にテロップが出るように、メイキングとしては20%くらいのフィクションや捏造があるんだろうが、面白いんだからいいよね。

それに、こんなイタいメイキングは他にはそうはないだろうし。

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2004.09.04

9/4 『IZO』

『マーダー・ライド・ショー』からハシゴして、シアター・イメージフォーラム(B1)で『IZO』を観る。【一応ネタバレかなぁ】

1865年、“人斬り以蔵”と呼ばれた岡田以蔵(中山一也)が磔刑にされた。生前、土佐勤皇党首領・武市半平太(美木良介)に「斬って斬って斬りまくれ」と言われた、その怨念の存在となって、時間と空間を超越する。そして彼の前に立ちはだかる者は、老若男女、貴賎を問わずに斬りまくる。全ての権力に天誅を加えるために…。

サム・ライミの『クイック&デッド』を観た時に「ず~っと決闘してんなぁ」と思ったが、あの比ではない。ともかくIZOはありとあらゆるところに現われて、ありとあらゆる人を斬り続ける。本当に、時間も空間もここでは意味を成さない。ダンプカーの行き交う橋の上で新撰組と刀を交え、江戸時代の街並みでマシンガンで武装した特殊部隊と戦い、歌舞伎町で御用提灯を持った捕方たちを斬り捨てる。
128分間、ともかく斬りっぱなしに斬りまくる映画なのだ。

チーム・オクヤマと三池崇史の人脈を総動員した、信じられないほど豪華で綺羅星のごとき出演者たちが、バッサバッサと斬られていく。
主な出演者は…
中山一也、桃井かおり、松田龍平、美木良介、高野八誠、原田龍二、石橋蓮司、山本太郎、秋野太作、原田大二郎、ミッキー・カーチス、遠藤憲一、寺島進、高瀬春奈、中山麻理、菅田俊、松田優、石山雄大、TEAH、夏山千景、シーザー武志、山口祥行、ERIKU、塩田時敏、魔裟斗、片岡鶴太郎、ビートたけし、ボブ・サップ、緒形拳、内田裕也、原田芳雄、樹木希林、大滝秀治、松方弘樹、及川光博、岡田眞澄、勝野洋、篠田三郎、ジョー山中、曽根晴美、長門裕之、夏樹陽子、力也、そして友川かずき。もちろんこれで全部ではない。まだまだ続くのだ。

何をどうすればこんなにも物凄いキャスティングになるのか?
そして、何をどうすればこんな映画になってしまうのか?

一応、三池の劇場公開作品は必死にビデオでフォローしてかなり観ているつもりだし、オレは三池ファンと言っても過言ではないと思う。だが、これはダメだ。もはやこの映画は商業映画ではない。自主映画、いや実験映画だか前衛映画の世界に入ってしまっている。
今日観た場所がシアター・イメージフォーラムと言う劇場ではあっても、昔の四谷にあった頃のイメージフォーラムでよく上映していた、実験自主映画を観に行った訳ではない。

「よくぞこんな危険なテーマを扱った」と褒める人も居るだろう。突拍子もなくぶっ飛んだ展開に、喝采を贈る人も居るだろう。そのどちらの気持ちも分からないではない。もしかしたら海外の映画祭で大評判にんるのかもしれない。でも面白くない。ホントーに面白くないんだよ。
武知鎮典の脚本のせいなの?それとも三池崇史のせいなの?
確かに、こんなとんでもない映画を撮れる監督はザラには居ないだろう。

三池の映画が客を選ぶってことは充分に分かっている。これまでも、イマイチ俺はノレない作品もあったけれど、でも概ね好意的に観てきたし、ぶっ飛び系もシンミリ系も等しく嫌いではなかった。だがこれは…。
これからコッチの作風に行ってしまうのだとしたら、オレは三池作品とはお別れしなければならないだろう。
既知外と天才、実験とエンターテインメントのギリギリの境界を今回は越えてしまった。
境界線のギリギリ上に居るのならば、オレはまだまだ観続けるのだが…。

ところで、本日観た『マーダー・ライド・ショー』『IZO』の2本の映画で、一体何人の人が死んだのだろう。死ぬシーンがあったのが250人くらい?死ぬシーンのない死体も混ぜれば400人くらい?それとも500人分くらいか?

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2004.09.03

9/3 『座頭市牢破り』

米版DVDで『座頭市牢破り』を観る。【ネタバレ】

八州役人とつるむ腹黒い親分富蔵(またか!遠藤辰夫)の元で世話になった座頭市。富蔵は、朝五郎(三國連太郎)の縄張りを虎視眈々と狙っていた。朝五郎は、任侠道を大切にし、堅気の百姓を大事にする男だった。一方その頃、百姓に農耕技術や人としての生き方を説く男が居た、武士にもかかわらず刀を置いた大原秋穂(鈴木瑞穂)である。市は2人に惚れ込んだ。そして、富蔵の策略で百姓が殺され、市は怒りに燃えるが…。

座頭市シリーズ第16作は、勝新太郎の「勝プロダクション」第一回作品。おまけに、このシリーズ初参加となる山本薩夫が監督ってこともあって、これまでの作品とはかなり趣が違う。労働者階級と搾取する権力者の部分にウェイトがあるあたりは、流石は社会派の山本薩夫!…と言いたいところだが、これなら座頭市じゃなくっても良いんじゃないの?最終的に座頭市の居合いで決着が付くのはもちろんだけれども、裏の主役とでも言うべきは、刀を置いた武士の秋穂と、金と権力を手に入れたことによって搾取する側になってしまう朝五郎。この2人の対比をこそ描きたかったのだろう。その証拠に、すでにこれが6作目の登場となるお馴染みの悪役、遠藤辰夫がなんと中盤で市に斬られてしまう。

異色作と言えば聞こえはいいが、ルーチンであってもオレはいつもの座頭市の方が好きだなぁ。

ゲストは唄子&啓介と玉川良一。
若かりし頃の細川俊之がカッコイイ。今よりもずっと声が高いけど、相変わらず震えるような上ずったような発声で特徴的。

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2004.08.28

8/28 『子連れ狼 死に風に向う乳母車』

米版DVDで『子連れ狼 死に風に向う乳母車』を観る。

大五郎(富川晶宏)を乳母車に乗せ、旅をする元公儀介錯人拝一刀(若山富三郎)。彼らは、街道脇で、三人の“渡り徒士"が旅の母と娘を犯し凌辱する現場に出くわす。だが“渡り徒士"の一人、孫村官兵衛(加藤剛)は、犯された母娘と “渡り徒士"の1人を斬り捨て、この一件を無きものとする。現場を目撃した一刀に官兵衛は立合を所望するが、それを断って去っていく。そんな一刀が宿泊した宿屋に、自分を買った女衒の舌を噛み切って殺してしまった女、お松が飛び込んでくる…。

若山・拝一刀による『子連れ狼』シリーズ第三作で、監督は三隅研次。
オレにとって『子連れ狼』と言えば、萬屋錦之助のTVシリーズである。だからこの映画版シリーズは、昔TV放送でチョロっと観ただけ。ちゃんと観るのは今回が初めてなのだ。

それにしても実に殺伐とした映画だ。いや、TVでさえもあんだけやるんだから、映画版がもっと凄いってのは分かっちゃいたことなんだが、犯すは、舌を噛み切るは、折檻するは、大五郎を囮にする(これはいつものことか)は、お殿様は既知外だは…と、昔の時代劇はホントに大らかですなぁ。

映画自体の面白さはさておき、今回の収穫はなんと言っても浜木綿子である。この人って、こんなにイイ女だったんだ!「忘八者(仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の8つを忘れてしまったようなならず者ってことなんだそうだ)」の頭領として登場するのだが、キリっとした表情で「忘八者には忘八者の掟がござんす」と、淡々と語る木綿子姐さんがおっそろしくカッコイイ。ホームドラマでの印象ばかり強いので、なんかとっても新鮮。

この忘八者たちによる折檻が「ブリブリ(どんな字なのかは知らん)」と呼ばれている。どんな罰かと思ったら、荒縄で縛って逆さ吊りにした人間の周りを皆で囲み、竹刀だが木刀だかで叩き続ける。なんで“ブリブリ”って言うのかと思ったら、周りで叩く人たちが
「ぶ~りぶり!ぶ~りぶり!ぶ~りぶり~の~ぶ~りぶりっ!」
って掛け声を掛けるのだ。なんだソレ?
攻めを受けてる人はズタボロの酷い状態なのに、なにかマヌケ感が漂う折檻である。「カバディ」みたいなもんか?

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2004.08.23

8/23 『座頭市鉄火旅』

米版DVDで『座頭市鉄火旅』を観る。

旅の途中、何者かに斬られた足利の親分庄太郎の最期を看取った座頭市。これも何かの縁と、足利にやってきた。足利宿は、庄太郎に代って岩五郎が幅を利かせ、町の人々を苦しめていた。そんな中、市は鍛冶屋の仙造(東野英治郎)と知り合う。仙造は市の刀が師匠の作であり、そして刀の寿命が尽きていることを告げた。市は仙造に刀を預け、堅気になる決意をするが…。

畦道の遠くから聴こえて来る歌声。
「♪ボロんはぁ~着ててんも~、こころんはぁにしきぃ~っ!」
もちろん水前寺清子の『いっぽんどっこの唄』である。無伴奏で唄っても、きっちりしているところは流石にチータ。今回のスペシャル・ゲストは、旅芸人一座の歌手役のチータと、馬かき役の藤田まことなのだ。あくまでゲスト扱いで本筋には絡まないが、それなりのゴージャス感がある。
今回はそんなゲストよりも、座頭市が愛用の仕込み杖を置くってことが最大のポイント。
「あと1人斬ったところで折れてしまう」と言われて市がどうするのか?そして仕込みはどうなってしまうのか?予想のつく展開ではあるが、ルーチンになっているシリーズなので、かなり目先の変わった印象を受ける。
また仙吉役の東野英治郎が、素晴らしくいい味を醸し出している。東野英治郎と言えば『水戸黄門』の印象が強いけれど、そんなのよりも頑固親父なこの役の方が全然イカしている。
悪役はお馴染みの遠藤辰雄。これまで観たこの座頭市シリーズだけでも、既に5度目の悪役だ。出てきた瞬間に、「またコイツか!」てなもんだ。

今回は、物語的な趣向の違いで、かなり面白く観ることが出来た。

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2004.08.19

8/19 『広域暴力 流血の縄張(しま)』

米版DVDで『広域暴力 流血の縄張(しま)』を観る。

警察の組織暴力団壊滅作戦のせいで、関東桜田会は解散することになったが、新宿を縄張りとする大野木一家だけは解散に首を縦に振らなかった。やがて、新宿ではチンピラによるシマ荒しが頻繁に起こる様になった。幹部の勇治(小林旭)が調べると、それは関西連合会会長の弟、陣野(名和宏)の仕業であった。関西連合会は、新宿を足掛かりに関東進出を企んでいたのだった…。

長谷部安春監督による69年の仁侠映画。
なんと言っても、加藤嘉が演じる大野木一家の親分にシビレル。今にもこめかみの血管が破裂して死にそうな雰囲気なのに、昔気質の親分肌で侠を通す姿に惚れ惚れする。その前にあっちゃあ、小林旭も名和宏も葉山良二も霞んでしまう。そんな中、いつも黒い子猫を抱いている大野木一家の客分役の藤竜也が美味しいところを持っていく。葉山良二の弟が殺されたにもかかわらず、手打ちになって腹の虫が収まらない組員の代わりに、警察の前で仇を刺し殺す。当然のようにすぐに警官に取り押さえられるのだけれど、すんなりドスを渡して手錠を掛けられる。このシーンが雨の効果もあって非常にかっこいい。
真っ赤な背景とか、長谷部安春らしいこだわりはあるけれど、映画としてはそれほど特筆すべき面白さはない。それを役者でフォローした佳作かな。

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2004.08.15

8/15 『スチームボーイ STEAM BOY』

日比谷映画で『スチームボーイ STEAM BOY』を観る。【ネタバレあり】

ロンドン万国博覧会を目前に控えた19世紀のイギリス。アメリカのオハラ財団で研究を続けている父エディと祖父ロイドの帰りを待つレイに、ある日荷物が届いた。その中身は金属製のボール状の物体であった。時を同じくして、レイの前に現れるオハラ財団の使者と祖父ロイド。財団はボールを渡せと迫り、祖父はボールを渡すなと言う。そしてレイは、ボールを奪われ、自身も捕らわれてしまうのだが…。

スゴイ!スゴイよ、作画は…。
なんてぇんでしょうねぇ、なんとも言えない脱力感と言うか、無念と言うか。制作期間9年、製作費25億ですか…。お金はともかくとして、この期間こそが最大の敗因なんぢゃないのかな。

思い返せば9年前、パイロット版を観させて貰う機会があった。
「うぉっ!スゲッッ!コレ、マジで作るんスかっ!!」
あの時の興奮は忘れない。それが9年も掛かってこんなのになった。

この映画、対象とするターゲットは不明瞭で、大人の観客に向けたものなのか、ファミリーに向けたものなのかよく分からない。演出にもメリハリがなく、なんだか淡々と進んでいく物語は、正直退屈だ。別に明快に善悪に分かれる必要はないけれど、結局のところ考え方の違う2人の親子の喧嘩でしかない物語なんて、カタルシスを生まない。
これを観に行った親子連れの親はきっと困るんだろうな。子供に「なんでお祖父ちゃんとお父さんが戦ったの?悪いのは誰なの?」とか訊かれても、説明が出来ないだろうし。

大友克洋はこの映画で何をやりたかったんだろう。
声高に何度も叫ばれる「科学は誰のために、何のためにあるのか?」ってことなの?
まさか、そんな手垢にまみれたようなテーマがやりたかったんじゃないよねぇ?

作画の緻密さ、丁寧さは素晴らしいけど、それはこんだけの時間とお金掛けてるんだもの、当たり前なんじゃないの。『MEMORIES』が面白い映画だとは思わないけれど、「大砲の町」の映像表現には本気で驚いた。それに引き換え、本作には驚きがない。もっと言ってしまえば、何かどこかで観たような場面が多い。もうすぐ公開の『某動く城』を思わせるスチーム城をはじめ、宮崎駿的な描写は多いし、クライマックスの展開は『APPLESEED』にも近い。そして、ラストは『ゴジラ×メカゴジラ』の“アブソリュート・ゼロ”にも良く似ている。別にこれらが真似であるなんて言う気はない。
技術も表現も、恐ろしい勢いで陳腐化が進んでいくこの時代にあって、もしも本作が5年前に完成していたら、もっと驚けただろうし、楽しめたんじゃないだろうか?

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2004.08.10

8/10 『女囚701号 さそり』

座長が家に遊びに来たので、マグロを焼いて喰って、ベロベロ飲む。
彼の新しい芝居のシナリオ話や、この前見に行った双数姉妹の芝居の話とかしているうちに、いつの間にやら梶芽衣子の話になる(なんでだ?)。
で、米版DVDで『女囚701号 さそり』を観る。

松島ナミ(梶芽衣子)と木田由紀子(渡辺やよい)の2人の女囚が、Y県女子刑務所から脱走を企てた。しかし、所長郷田(渡辺文雄)らによって捕われ、懲罰房へ入れられてしまう。ナミの恋人の杉見(夏八木勲)が、ナミを麻薬捜査の囮として使い、さらにその麻薬組織に寝返った悪徳刑事であった。ナミは、愛していた杉見に捨てられ、麻薬組織に輪されてしまったのだ。そして彼女は“復讐"だけに燃えて生きているのであった…。

「久し振りに観たけど、こんなにエグかったっけ?」「凄いなぁ、今、こんな刑務所の描写は出来ないでしょ!」「いやいや、これは日本の刑務所じゃなくって、“東映刑務所”って特殊空間だから」「あ、渡辺文雄!」「亡くなったの何日前だっけ?」「目玉にガラスの破片ブッスリとイってますよ。渡辺文雄これでも死なないのに…」「それにつけても梶芽衣子はイイ女だねぇ。こんな眼で睨まれてみたい」「警視庁の前で裸で出刃包丁ってのは、どうもスゴイね」「次の芝居は女囚モノにしたら?」「劇団員に殺されちゃいますよ」など、どうでもいい話を延々。
分かっちゃいるけど、梶芽衣子の美しさ、色っぽさ、凄味、輝く肢体に、もうメロメロ(笑)。

本作が第一回監督作品になる伊藤俊也って、『さそり』以外何撮ってた人だったけと調べたら、『犬神の悪霊(たたり)』の人だったのね。そのほか、『白蛇抄』『誘拐報道』『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』なんてのもこの人だったのか。


『ほしのこえ』とか『The Bullet Fist』とか『GAMERA 1999』とか『アイアンキング/9話』(座長が岡崎由紀を見たがった)とか、『クロック・タワー3』のムービー(深作の遺作…)とか、なんだかダラダラダララと飲みながら時が過ぎていくのであった。

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2004.08.07

8/7 『恐喝こそわが人生』

米版DVDで『恐喝こそわが人生』を観る。

チンピラの村木(松方弘樹)は、自分の勤めるバーが、酒屋から密造酒を入れていることを立ち聞きし、そのせいでヤクザに袋叩きにされる。アタマに来た村木と、彼の仲間のお時(佐藤友美)、野口(城アキラ)、関(室田日出男)は酒屋をゆすり、十万円をせしめた。これに味をしめた彼らは恐喝屋になり、次々とターゲットを狙っていくが…

松方弘樹がアブラギッシュになり切っちゃう前の、まだそこそこスッキリ顔をした68年の映画。深作欣二監督作品だけあって、松竹なのに東映漢臭がプンプン匂うピカレスク・ロマンである。犯罪ものではあるけれど、派手なアクションとかは一切なく、その代わりと言ってはなんだが、回想シーンの粒子の荒れたモノクロ画面がいかにも深作っぽくてカッコイイ。
大体、殺し屋とか銀行強盗団とかってのではなく、“恐喝屋”の主人公たちってのが、実にアウトサイダー・テイスト溢れる設定でイカス。その仲間たちが皆そろってクセもんばかり。中でも、元ボクサーの野口がお気に入り。何かって言うとファイティング・ポーズを取るのが、ステレオタイプなようで、割と珍しいキャラだ。
クライマックスのアンハッピーエンドの刹那なトーンも渋くてイイ。ただ噴出す血があんまりにも朱色っぽすぎるのが難点ではあるけれど。

米国製DVDなのに、特典映像には深作欣二のインタビュー入り。インタビュー内容からすると、『BR I』『BR II』の間の時期に収録している。こんなこともやってたりするから、意外と米国版の日本映画DVDは侮れない。

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2004.08.05

8/5 『暗黒街の美女』

米版DVDで『暗黒街の美女』を観る。

刑期を終え出所した宮本(水島道太郎) は、下水道に隠しておいたダイヤと拳銃を手にして組に戻る。彼は、ダイヤ密輸事件で逮捕されたが、同じ事件で片輪になってしまった弟分の三原(安部徹)に、その宝石を渡そうとした。だが、ボスの大矢根(芦田伸介)はダイヤを狙っていた。一方その頃、三原の妹・亜紀子(白木マリ)は、大矢根の手下の情婦をやりながら、毎日気ままに生きていたが…。

鈴木清順の58年の監督作でモノクロ。映画全体はあまり清順らしくなく、そーゆー意味での面白さはあまりない。
その代わりといってはなんだが、この映画の見所はなんと言っても高品格。もちろん主役なんかではない。日活アクションでは毎度お馴染みの手下役だが、本作では最初から最後まで出ずっぱり。最近、『ロボット刑事』をずっと観てたから、特に高品格に目が行くってのもあるんだろうが、それにしても珍しいほど大きい役だ。
サウナに監禁していてのぼせ上がった白木マリの前で、「ここが500万、あそこが500万、それでここが500万…ちょこちょこっとで1500万だぁ~!」って1人芝居の場面が妙に可笑しい。ちなみにこの場面は、壁を挟んでの俯瞰ショットになっていて、ちょっと変わったアングル。数少ない清純らしさのひとつにもなっている。

いつもながら白木マリはあまり芝居が上手くない…っつーか、はっきりと“ヘタ”なんだが、それでも今回は実に魅力的なハマリ役である。「どーせあたしはズベ公ですよ!(本人台詞ママ)」な訳だが、勝気で奔放でちょっと胡散臭いんだけど、実は意外と純真って役柄は、まさに彼女にうってつけ。好みの女優じゃないけれど、この映画の彼女はとってもイイ。

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2004.07.18

7/18 『ラブドガン』

テアトル新宿で『ラブドガン』を観る。

1人の男が行くあてもなく彷徨っている。その男、葉山田(永瀬正敏)は、組織のボスを殺して逃げている殺し屋だった。葉山田は、とある川辺で1人の少女と出会う。彼女は御幸(宮崎あおい)。父の浮気がもとで両親が無理心中して一人残されてしまったのだ。2人はやがて奇妙なシンパシーを感じるようになっていく。そんな時、組織から差し向けられた2人の殺し屋----キレやすいチンピラ・種田(新井浩文)と、葉山田の育ての親である丸山(岸部一徳)----が葉山田を追い始める。

宣伝文句によると“鈴木清順の愛弟子・渡辺謙作監督作”ってことになってるんだけど、ホント?パンフのプロフィールを見ると、71年生まれで、「『夢二』に演出助手として参加」しか書いてない。JMDBを見ても、「『ピストルオペラ』出演」しか出ていない。清順組に参加したことは否定しないけど、年齢的にも参加経験から言っても“愛弟子”ってのは言い過ぎなのでは?あくまで宣伝部が言っているだけで、本人が言っているのではないと思いたいが。

映画自体は、本人が意識しているのか、いないのか、非常に清順的なシュールなものになっている。時間軸をいじくってフラッシュされる過去と現在、原色の使い方、音声と唇がシンクロしない会話、不思議な画角と人物配置等々。極めつけは、この映画のメインのモチーフである“弾丸の色”の話。曰く、銃弾は無感情に撃てばただの鉄の色だが、憎んで撃てば黒く、悲しんで撃てば青く、怯えて撃てば黄色になる。では赤い弾丸はどんな気持ちで撃つと出るのか?大和屋竺・・・・と言うか、具流八郎が書きそうな話である。
映像演出的には、(ハナに付く人も居るだろうが)かなり面白いことをやっている。軸と目線の咬み合わない種田と丸山の対決シーンなんて、一瞬「え?どうなってんの?」と思わせて非常に斬新だ。それなのに、なにもここまで狙って清順ぽくする必要ないのにねぇ。

役者は、岸部一徳が抜群にイイ。それだけに、キャンキャン噛み付くばっかりの新井浩文は損な役回りだ。チョイ役ではあるが、御幸の先生役の伊佐山ひろ子と、父の愛人役の土屋久美子がいい味を出している。土屋さん、こんな子持ちの愛人なんて役を演る人になったんだねぇ、と感慨深い。

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2004.07.09

7/9 『座頭市の歌が聞こえる』

DVDで『座頭市の歌が聞こえる』を観る。

浪人黒部玄八郎(天地茂)とすれ違った座頭市は、やくざに襲われた為吉を救う。だが為吉は市に財布を託すと言切れてしまった。
旅の途中で知り合った盲目の琵琶法師(浜村純…と言っても、すぐネタバラシするあの人ではない)から、一の宮で近々祭が行われると聞いた市は、一稼ぎしようと足を伸ばす。たまたま入った茶店が、あの為吉の母おかん(吉川満子)の家だと知り、為吉の息子太一に財布を渡した。そして、やくざ者の居ない平穏な町と聞いていた一の宮は、板鼻権造(佐藤慶)一家に牛耳られており、住人はみないやがらせを受けていた…。

田中徳三監督による座頭市第13作。
流石は宮川一夫撮影!と唸らせるような、おっそろしくカッコイイ画面があちらこちらに散りばめられているが、どちらかと言うと人情派(?)の田中演出とそぐわないところもある。座頭市シリーズでは、三隅研二か池広一夫の方が、宮川一夫とは相性が良い様に思うのだが、どうだろう?

で、田中徳三は、人間関係を丁寧に描いていく。父の居所を知っていると思い込んだ太一は、最初は市を慕い、それが居合いを見て尊敬と憧れに変わっていく。おかんは黒部玄八郎は金の為に人を斬るが、それは自分のせいで女郎になった妻、お蝶(小川真由美が、また色っぽいいい女なんだ)を身受けするためだし、お蝶は店の娘を無理やり手篭めにしようとするヒヒ爺から娘を救うため、ポンと有り金全部を払ってしまう。琵琶法師は市と触れ合い、市を「目明きにも盲にも仲間にされない化け物だ」と看破する。市が強くなり過ぎ、一見マンネリになり始めたこのシリーズを、こうした人間関係の描き方で佳作に仕上げている。

見せ場は、天知茂との対決と、太鼓を乱れ打ちされ、耳が利かない状態に追い込まれての殺陣である。どちらも緊迫感のある面白い戦いになっている。

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2004.07.04

7/4 『下妻物語』

テアトルダイヤで『下妻物語』を観る。【ネタバレあり】

茨城県下妻市に住む高校2年の桃子(深田恭子)。見渡す限り田んぼだらけで、住民は日用品からファッションまで、全ての買い物をジャスコで済ますこの町で、桃子は全身フリフリのロリータ・ファッションに身を包み、友達も作らず我が道を歩んでいた。ある日、彼女は服代を稼ぐため、ヤンキーな父親(宮迫博之)がかつて商売にしていた、ベル○ーチのバッタモンの個人販売を始める。するとその服を買いに、特攻服でロケットカウル原チャリをかっ飛ばすヤンキー娘・イチコ(土屋アンナ)がやってきた…。

やっぱ時代はジャスコですよ、ジャスコ!

オレも「ジャスコ 安いもの市」に行かねば!

ゲラゲラ笑って、熱く燃えて、じんわりと目頭を熱くする…なんか評判が良いらしいってのは聞いていたが、まさかこんなにも良いとはぁぁっ!
ある意味映画文法を破壊しまくってるし、いかにも最近のノリの演出の数々が受け付けない人も居るだろう。けれど、オレ的には絶賛の嵐ですよ。石井克人に似てるって意見もあるようだが、そんなの全然わかってないヤツの意見だ。全篇“ウンコネタ”で笑いを取ろうとする石井克人も同じような文法破壊をするけれど、決定的な違いはちゃんと面白いってことだ。(この映画でも1個だけ“ウンコネタ”はあるが)
ともかくハイテンポ、ハイテンションの演出が圧巻である。また、デジタルでいじくってるんだと思うけれど、独特の人工的な色調も、この映画の魅力のひとつだ。あのウソ臭い青空が気持ちいい~!

役者もみな美味し過ぎ。
まずは深田恭子がサイコーにハマリ役。演技力のあるなしなんてこの際関係ない。流石はマリー・アントワネットの生まれ変わり(自称)だけあるぜ。そして、ド鋭ぇガン飛ばしにメロメロになっちまった土屋アンナが猛烈にキュート!『セブンティーン』とか『装苑』なんてもちろん読んでないので、オレはこの子全然知らなかったんだけど、ヘンに存在感があって、魅力全開バリバリ仏血義理だぜ。いやぁ、もう“できちゃった婚”しちゃったんだって?惜しい、惜しいよ!もっと映画に出てくれよ。
脇役は、荒川良々、阿部サダヲ、生瀬勝久をはじめとして、数々のクセモノが笑いをさらっていくが、中でも一番パンチの効いているのが篠原涼子。登場シーンのジェット・ゲロ(『イーストウィックの魔女たち』か?)から始まり、その登場シーンの全てが美味しい。う~ん…、なんだかヘンな役者として活路を見出しちゃったのね。

いやはや、兎にも角にも大したもんだ。
中島哲也に、ビっとキメられてギャフンと言っちまったよ!


御意見無様だ、ともかく見れ!

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2004.06.27

6/27 『時をかける少女』

借り物DVDで『時をかける少女』を観る。

土曜日の実験室でラベンダーの香りを嗅いで気を失った芳山クン(原田智世)。それ以来、彼女の周りでは不思議なことが起こり始める。彼女は幼馴染みの深町クン(高柳良一)に、相談をするが…。

先日『アイドル映画30年史』(洋泉社刊)を読んだら、この映画がとりわけ別格扱いされていた。時を同じくして、古本屋にて『くるくる くりん』(秋田書店刊)の2~5巻を購入。
「これは『時かけ』を観ろ!というお告げなのでは?!」(ウソウソ)

一体何年ぶりだろうか?
ファンが聞いたら怒りそうだが、実はオレの“大林映画ランク”では、『さびしんぼう』『転校性』が圧倒的で、その後に『青春デンデケデケデケ』が来て、『時かけ』はその次あたりに位置するのだ。だから、『さびしんぼう』はLDもDVDも買ったけど、『時かけ』はソフトを買ったこともないし、ちゃんと観たのはたぶん今回で3回目くらいだ。

それにしても懐かしい。
こんなに青臭くって、乳臭い感じの映画だったっけ?別にバカにしている訳ではなく、それが久し振りの感想だ。
ストーリーや展開も、記憶していたものと違いはない。「♪ももくり3年~」の唄や、「土曜日の実験室!」とか、印象的な台詞もほとんど間違ってはいない。なのにとてつもなくこっ恥ずかしい。『さびしんぼう』だとここまで恥ずかしくない。いや、映画のレベルで言ったらどっちも同じくらいのもんなのは分かっているが、オレはあっちには猛烈に思い入れてたから、こっ恥ずかしいんだかなんだか冷静な判断が出来ないだろう。このDVDを貸してくれたクールは、「(『時かけを観ていると)甘酸っぱいものがこみ上げる」と言ったが、オレにはこっ恥ずかしいが勝ってしまった。
きっと彼はオレとは逆に、『さびしんぼう』が猛烈にこっ恥ずかしいのではないかと思う。

だが、いっくら恥ずかしくても、別にこの映画を嫌いにはなれない。原田智世は恐ろしい程素人臭い芝居を見せるけれど、バツグンに輝いている。やっぱり捨てることの出来ない1本であることは間違いない。

ところで、根岸季衣のなんだかムッチリした太股なんて、昔はぐっと来なかったよなぁ(笑)。

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2004.06.25

6/25 『泥棒番付』

ビデオで『泥棒番付』を観る。

幕末の動乱期に大阪界隈を荒らし回る大泥棒の佐渡八(勝新太郎)は、ひょんなことから新選組の池田屋騒動の検問に引っかかり、鬼与力の田中松次郎(内田朝雄)に捕えられてしまう。だが田中は、こそ泥の清七(青山良彦
の身請け人になることを条件に佐渡八を釈放した。京都でうどん屋を開いた2人は、ある晩近藤勇に出会い、壬生屯所前で屋台を出すことを許された。そこへ今度は田中の使いで、浮浪児同然の女泥棒お慶(小林哲子)がやってくる。3人でうどん屋を切り盛りするある日、佐渡八は新撰組隊士の一人から清七あての封じ文をことづかった…。

司馬遼太郎原作、池広一夫監督による66年の作品。
タイトルから、勝手に喜劇を想像していたが、喜劇的要素は存外薄く、妙に入り組んだストーリーの作品だ。
佐渡八に清七たちを預けた田中の思惑、佐渡八の欠けた左手人差し指の謎、清七とお慶と佐渡八の微妙な三角関係、新撰組、お慶の仇、清七と田中の関係…と、要素が複雑に絡み合っており、気を抜いて観てると「アレレ?」と話が見えなくなる。90分もない作品に、よくもここまで詰め込んだもんだ…って言うか、ちょっと詰め込みすぎじゃない?

アクション的な見せ場はあまり多くないが、佐渡八が「含み針」を巧みに使って敵を翻弄する場面は、座頭市のシャープな殺陣とは違って、勝新のコミカルでドタバタした味が出ていて面白い。また、若い清七とお慶のために、自分は身を引こうとしながらも、ついお慶を押し倒しそうになるくだりは、妙にしんみりとと佐渡八の心情が伝わる名場面である。
なかなか良い場面も多く、傑作になりそうなのに、前述したような妙な話の分かりにくさと、クライマックスでの勝新のモノローグがあまりにも長くって、気持ちよく突き抜けないのが難点だ。

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2004.06.24

6/24 『座頭市地獄旅』

DVDで『座頭市地獄旅』を観る。

旅の途中で、市(勝新太郎)は5人のやくざ者に襲われが、返り討ちにした。5人組は傷が癒えると、執念深く市の後を追った。一方その頃、市は江の島まで船旅と洒落こみ、そこで無頼の将棋好きの浪人十文字糺(成田三樹夫)と知り合った。江の島に着いた市は、船中で金を巻き上げたイカサマ博徒の親分に呼びつけられ、るが、これもあっという間に撃退。だが、この騒動で通りがかりの門付け芸人お種の連れていた娘ミキが負傷してしまった…。

座頭市シリーズ第12作。
三隅研次監督作ではあるが、凄味のある作風ではない。市に次第に心惹かれていくお種、市に懐いていくミキ坊との触れ合い、そして浪人十文字との張詰めた緊張感のある友情。どちらかといえば情緒的な部分にウェイトのある作品なのだ。
また、前作『座頭市逆手斬り』が散漫だったこともあり、今作はまとまった印象を受ける。

見所はなんと言っても成田三樹夫!
「オレは斬りたいものを斬る。強いヤツを斬る。例え将棋が強いヤツでも斬る!」
と言う、刹那な生き方の持ち主が、市と共闘していく姿が凛々しく、ともかく飄々としていてカッコイイ!

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2004.06.19

6/19 『中山七里』

ビデオで『中山七里』を観る。

木場の政吉(市川雷蔵)は、飲む打つ買うに目がないけれど、材木の目利きにかけては並ぶ者がない男だ。ある日、賭場で手入れに遭い、困ったところを女中のおしま(中村玉緒)に救われた。おしまに一目惚れした政吉は、やくざな生活から足を洗うことを条件に彼女と結婚の約束をした。だが、おしまに気のある木場の親方・安五郎が彼女を手込にしたため、政吉は彼を刺し殺し、一方、おしまもその事件を苦にして自害した。一年後、追っ手を逃れ旅鴉となった政吉は、道中でおなか(中村玉緒)という女を助けた。おしまと瓜二つの彼女に心ときめく政吉だったが、彼女には徳之助(大瀬康一)という許婚が居たのだった…。

雷蔵&玉緒&池広一夫の『かげろう侍』トリオによる62年製作の股旅物。
前半20分過ぎくらいで、ヒロインのおしまが死んで驚かされるが、なぁんだ、瓜二つの女が登場するんだね。物語的には、ヒロインがいきなり自害するのがサプライズなだけで、後は非常にステレオ・タイプに進んでいくのであまり見所はない。
演出的にも特に変わったことはしていない。だが、この映画では靄やスモークの使い方が非常に印象的だ。例えば、山を歩く政吉たちのロングショットがある。実際の靄なのか、それとも石灰か何かを使っているのかは分からないが、二重三重に霞がかかり、モノクロ画面と相まって水墨画を思わせるような非常に美しい映像になっている。また、山奥の廃村に政吉たちが隠れており、そこにやってくる捕り方たちの場面。靄の中に響く、徳之助の父、吉五郎の絶叫。そしてその靄の中から、男たちの姿ががすぅっと現われる場面なども非常に巧い。
そして、廃村での大立ち回りとなるクライマックスは、そこらに転がっていた道具類や、壊れかけた納屋自体を駆使してのゲリラ戦となる。これは後年の雷蔵&池広による『若親分』シリーズのクライマックスに、そのまま受け継がれていくシチュエーション。いわゆる時代劇の殺陣ではなく、周りにあるあらゆるものを使って戦うのは、多勢に無勢の状況と、殺陣が意外と上手くない(とオレは思うんだが…)雷蔵のアクションを、ダイナミックに見せる演出として正しいやり方だ。もちろん、この場面でも靄が有効に使われ、視界の利かない中、雷蔵がいきなり敵に襲い掛かる。

主題歌は橋幸夫。
おしまによく似たおなかを助けた際、「♪助けた女が、おしまに似ていて驚いた~♪」みたいな、状況を説明する唄がかかるのが可笑しい。

傑作とは言わないが、そこそこ面白い映画であった。

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2004.06.12

6/12 『喧嘩屋一代 どでかい奴』

ビデオで『喧嘩屋一代 どでかい奴』を観る。

スラム街を仕切る喧嘩好きの男、青木吾郎(勝新太郎)は、ゴキブリと呼ばれながら、スラムの住人には慕われ、ヤクザからも一目置かれる存在だ。都市計画のためにスラムの取り壊しが決まったが、彼は身体を張って街を守ろうとする。だが、開発の陣頭指揮を執っていたのは、浮浪児時代の無二の親友、関口(山内明)だった…。


勝新主演、池広一夫監督作品。
この映画で勝新演じる吾郎は、現代の感覚で見るとちょっと不思議な役どころだ。
住所不定無職だが、羽振りはいいし気前もいい。スラム街を仕切るアニキ分で、喧嘩が強い荒くれ者だけど、ヤクザな訳ではなく、非合法なことも平気でやる。きっと昔はこんな男が本当に居たんだろうけれど、今じゃあんまり想像できないキャラクターだ。
で、そんな不器用な男を演じる、勝新の存在感が抜群である。クライマックス、自分の信じる通りに生き、それが人生の最大の失敗であることに気付く吾郎の姿。そして、そこにかぶる圭子(若かりし藤田弓子)の悲痛な叫びは、あまりにも哀しい。
これは無軌道で無鉄砲な男の生涯が、時代に飲み込まれていく様を描いた淋しい映画なのである。


オープニングの走るクルマを、ロングショットから真俯瞰まで捉えた1ショットに、池広一夫らしさがあるものの、それ以外は特に奇をてらわず、実に堅実な演習。にわかファンのオレとしてはちょっと物足りない感じもするが、やはりこの監督は現代劇よりも時代劇の方が似合うのだろう。

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2004.05.29

5/29 『CUTIE HONEY キューティーハニー』

新宿東急で『キューティーハニー』を観る。

ある日、科学者の宇津木博士が何者かに誘拐されてしまう。犯人は、博士の研究する“Iシステム”を狙う秘密結社パンサークローであった。海ほたるに籠城した犯人に、秋夏子警部(市川実日子)たち警察は、逆に手玉に取られてしまう。しかし、そこに謎の女戦士が現われた。キューティーハニー(佐藤江梨子)と名乗った彼女は、「ハニー・フラッシュ!」の掛け声とともに、次々と姿を変え、宇津木博士奪還するのだった。だが…。

観始めて、最初にアタマに浮かんだのは、手塚真の『星くず兄弟の伝説』だった。なんだかモーレツに自主映画臭いのだよ。それも、自主映画で評判の良かった監督が、初めて撮った商業映画っぽい匂い。色々凝ってやってみたことが、ほとんど裏目に出ちゃったみたいな、素人っぽい映画。
しばらく観ていると、今度は別なものがアタマに浮かんでくる。桂木文の『翔んだカップル』に代表される、大昔の『月曜ドラマランド』だ。演技の出来ない可愛いアイドルを主演に据え、演技が出来ない分をオチャラケたギャグで誤魔化した子供だましドラマ。当時、あのノリは嫌いじゃなかったけれど、今回の『キューティーハニー』が、あのドラマと同じでもいいのか?!そりゃダメだろう。あっちはTVでこっちは入場料を取る映画なんだぜ。

サトエリは元々顔がでかくて、アニメキャラ向きではないし、演技力だって全然ない。『修羅雪姫』の釈由美子ばりに頑張ってくれたらもっと良かったとは思うけれど、それでも一生懸命頑張った方だとは思う。篠井英介と片桐はいりは…はっきりとミスキャストだったけれど、及川ミッチーと手塚とおるは、いつものようにヘンに良い味を見せてくれた。
でも、それが映画としてまとまった時、猛烈に恥ずかしいものになってしまった。これがアニメだったら、こんなに恥ずかしくなかったんだと思う。生身の人間が演じる、アニメ的なストーリーとアニメ的な演出は、もう信じられないくらいこっ恥ずかしい。

ちなみに今回の“ハニメーション”って手法は、80年代の自主映画----特に河崎実の8mm映画等でよく使っていた手法で、全く目新しいものではない。(もちろんデジタルではないけれど)

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2004.05.20

5/20 『バトル・ロワイアルII 【鎮魂歌】』

レンタルビデオで『バトル・ロワイアルII 【鎮魂歌】』を観る。

不良と問題児ばかりを集めた鹿之砦中学。この学校に通うキタノシオリ(前田愛)は、前回のバトル・ロワイアルで殺された教師キタノの娘だった。彼女は、父が最後に描いた絵の少女が自分でないことを知り、ショックを受けてBRの登録を決意する。そしてある日、彼女のクラスが次のBRに選ばれた。だが、BR法は改正になり、新しいルールは、反BR法のテロ集団“ワイルド・セブン”を組織して首都を爆破したテロリスト、七原秋也(藤原竜也)を抹殺することであった…。

ダメだ、ダメだと聞いていたので、観始めたときは「思ったよりはマシか?」とも思ったのだが、中盤からは目も充てられない映画になっていく。
この映画って誰が主役なの?七原、シオリ?観終えて印象に残ってるキャラは、竹内力(まさかこの映画でも“カオルちゃん芝居”が観られるとは、予想だにしてなかったけれど)だけだったりするところが、もうアカンな。
9.11とイラク戦争を経て、色々言いたくなっちゃったんだろう。“反米”とか言いたいんなら、それは自由だし、タイムリーなテーマではあろうけれど、アメリカと言えずに“あの国”なんて呼ぶ及び腰なら、そんなことテーマにするだけカッチョワリイ。それに、竹内力が板書までしてする説明が、どうしてBRIIに繋がっているのか意味が分からない。

でも、一番意味が分からないのは、七原秋也だ。彼は、なんで新宿副都心を破壊するテロリストになったのだろう。BR法の犠牲者として、ただ単に死んだ仲間の報復をする復讐譚ならまだわかる。それを大層なことを言いだしちゃうから、話が支離滅裂になっていく。おまけに七原は、新しいBR法で彼を殺しにやって来た子供たちに、なんのためらいもなく攻撃を仕掛けていく。なんで?同じシステムの犠牲者なんじゃないの?とりあえず説得を試みて、無理だったから殺すってぇんなら話も分かるが、そんなムチャしておいて、七原の側につく生徒が居る訳がない…と思ってたら、それが居ちゃう辺りがまた不思議。

前作は色々と難もあったけれど嫌いじゃない。でもこれは…ダメでしょう。
本当に深作オヤヂは、この脚本でOKだったのかねぇ。

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2004.05.19

4/19 『眠り狂四郎 卍斬り』

レンタルビデオで『眠り狂四郎 卍斬り』を観る。

眠狂四郎(松方弘樹)は、岸和田藩家老内藤主水(永田靖)から主君が寵愛する女、理江(南美川洋子)を犯すよう頼まれる。実は理恵は薩摩藩の間者だったのだ。岸和田・薩摩の老中家老争いに巻き込まれた狂四郎は、薩摩の暗殺団隠密党に追われることになった。その中の一人、梅津一郎太(田村正和)が伴天連との混血であることに気付き…。

松方狂四郎の第二弾で、眠狂四郎シリーズ最終作。まだまだ続く“池広一夫まつり”。
シリーズ物の常ではあるが、主人公(狂四郎)が強くなり過ぎて、緊張感が薄くなってしまっている。それをカバーするために、続々と出てくるのが特殊なシチュエーションだ。
色香で誘って抱こうとしたところで、下から脚と腕を絡めて狂四郎を身動き出来ないようにする生娘。狐憑きを装って「含み針」を吹き付ける生娘。縦一直線に10人くらい並んだ敵と、次々と戦う連続バトル。石段を降りながら、後ろから次々襲い掛かる敵を振り返らずに斬るなど、難儀なシチュエーションが連続で登場する。それをまた、時にはかっこよく、でも時には大莫迦な方法(演出)で切り抜ける狂四郎。
話としては、同じ伴天連の血を引く一郎太との関わり方とか、重い部分があるのだけれど、映画としては、ある意味ちょっとしたバカ映画になっている。

それに、松方狂四郎が、どーにもこーにも女好き過ぎるよね。雷蔵は口では色々言うけれど、そんなにがっついた印象はなかったのに、松方弘樹はともかく据膳を喰いまくる。マイケル・ダグラスと同じ病気なんじゃないかってくらいの勢いだ。これはこれでアリかも知れんが、敵役の田村正和の方が、まだしも狂四郎向きだったんじゃないのかな?

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2004.05.15

5/15 『八つ墓村』(古谷一行TV版)

レンタルビデオで『八つ墓村』(古谷一行版)を観る。

物語は知ってる人も多いと思うので割愛するが、これまたマイブーム進行中の池広一夫監督作で、78年に放送されたTBSのドラマ(全5話)。多分中学生の時に観てるはずなんだけど、記憶が薄れてるなぁ。
主役の寺田辰弥に荻島真一、美也子に鰐淵晴子、春代に松尾佳代、警部に長門勇、アタマに電灯を縛りつけて銃と軍刀で村人を惨殺しまくる狂人・多治見要蔵と久弥の2役は中村敦夫てな配役。当時、劇場版の渥美清=金田一にモーレツな違和感を覚えたので、古谷一行や石坂浩二の金田一は実に安心して観られる。狂人・要蔵役は、逆に劇場版の山崎努のインパクトが夢に見るほど強すぎて、中村敦夫じゃあちょっと迫力に欠ける。鰐淵晴子は山村には似つかわしくない感じの美人だが、それゆえに村で浮いている感じが強く出ていて良いのかも知れない。

今回は、池広テクを見直したくて借りてきたのだけれど、そーゆー意味での見せ場は正直あまり多くない。
家の因習について語る春代と辰弥の場面で、手前にアゴと額が切れるほどのドアップの松尾佳代、奥にフルサイズの荻島真一が映っている、全部にピントが合った1ショットが地味にトリッキー。松尾佳代の顔の横に微妙に歪みがあるので合成か、あるいは特殊なレンズを使っているんだと思うが、一体どうやっているんだろう。昔、アレハンドロ・アグレスティの『ルーバ』で同様のカットがあったけれど、アレは真っ二つにぶった切ったレンズを使ったと言っていた。ホントかなぁ?
あとは回想で、郵便局から出てくる鶴子を真俯瞰の引きの画で捉えたショットや、真っ青や真っ赤に染まる障子に浮かぶシルエットなどが、いかにもな場面だろう。

飽きずに観れるし、堅実な作りではあるのだけれど、第4話と最終話の間で、時間と場所の扱いが非常にずさんになってるのは、ちょいとズルイよね。見直すと発見があるかと期待してただけに、ちょっとガッカリだなぁ。

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2004.05.13

5/13 『秘剣破り』

中古ビデオで『秘剣破り』を観る。

元禄時代。高田馬場の決闘で中山安兵衛(本郷功次郎) の人気はうなぎ上り。いくつもの武家から仕官や婿入りの話が引きも切らない。一方、決闘の場に居合せながら助勢しなかった知心流の使い手、丹下典膳(松方弘樹)は同門から非難を浴びる。安兵衛は仕官を推めに来た上杉家家臣長尾龍之進の妹千春(岩井友見)に心惹かれたが、彼女は典膳の許嫁だと知り浅野家へ仕官することになった…。

69年の池広一夫監督作で、実は59年の雷蔵&森一生の『薄桜記』のリメイク。この当時って、どうして10年くらいしか経ってないのにリメイクするんだろう?オリジナルを観てないので、比較は出来ないが、ちょっと不思議な構成の映画になっている。
開巻、江戸の街を砂塵を巻き上げ猛烈な勢いで走る男のドリーショット。カットは突然変わって、雪の中を吉良邸に向かう赤穂浪士たち。その中の1人にカメラが寄ると、それが江戸の街を走っていた男である。「丹下殿に初めて会ったのは、あの時だった…」
ここでまた走る男に場面が戻る。
実はこの映画、タイトルにもパッケージ裏にも全く触れられていないが、忠臣蔵の裏エピソード的な物語であり、堀部安兵衛が討入りに行く道すがら思いだす回想なのである。

2人の男が吉良と浅野側に付き、一本気でまっすぐな人間ゆえに、それぞれが辿る数奇な運命。見せ場はなんと言ってもクライマックス10分にも及ぶ、丹下天膳の死闘である。右腕がなく、左脚を種子島で撃ち抜かれて立つこともままならない天膳が、戸板に乗せられたまま表に運び出され、その状態のまま戦いに挑む。寝転んだまま片手で戦う姿は、決してカッコよくはない。だが、妻を陵辱した仇を討たんと、必死の形相でバッタバッタと斬る様は、鬼気迫る名シーン。オリジナルの雷蔵版ではどうなっていたのかが気になるところだ。

主演は、前半部および狂言回し的に本郷功次郎。男が惚れる男と言う役柄にふさわしい、非常に気持ちの良い芝居をしているのだが、ダブル主役な作りで、実質的な主役は東映から招かれた松方弘樹である。最近の、涙を流しながらヒーヒー笑ってる松方しか知らない人は、驚くほどスッキリとした面立ちで濃い目の二枚目ぶりに驚くだろう。
でも一番印象に残るのは、脇役の加藤嘉だったりする(笑)。

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2004.05.06

5/6 『眠狂四郎 悪女狩り』

レンタルビデオで『眠狂四郎 悪女狩り』を観る。

江戸市中で連続して起こる辻斬り、そして強姦事件。その現場には「断 狂四郎」、「狂四郎 此れを犯す」などと書き残されていた。一方その頃、江戸城大奥では、将軍の子を身篭った側室の環(行友圭子)とお千加(松尾嘉代)の方をめぐって、激しい権力争いが繰り広げられていた。そして、大奥総取締の錦小路(久保菜穂子)と彼女と陰謀を企てる板倉将監(小池朝雄)の元には、なにやら怪しい隠れキリシタン川口周馬(江原真二郎)が出入りしていた。そんな怪しい雲行きの中、狂四郎(市川雷蔵)は、いつもと変わらず茶屋の女将お菊(朝丘雪路)と情事を楽しんでいたが…。

市川雷蔵の「眠狂四郎シリーズ」第十二作目にして最終作。ついでに多分遺作(調べると『博徒一代 血祭り不動』が遺作って書いてあったりするのでどっちがホントかよくわからん)。
恐らく本作は、病に罹った雷蔵の身体を労わる意味もあって、“ニセ狂四郎”のエピソードにしたんだろう。本人ではなく、ニセ狂四郎の悪行三昧が、本狂四郎並のスタイリッシュな映像で描かれる。それで狂四郎本人の見せ場が沢山あったように見せかけるって手法…と言うか、本人じゃない負い目と言うか、ムキになって雷蔵をフォローしてるのか、いつも以上に狂四郎(とニセ狂四郎)をカッコ良く撮る池広一夫演出。

最初の決闘では、横位置のロングショット、黒バックのままのスローモーションで、狂四郎が斬る瞬間だけ常速に戻して、抜き身の速さを強調。様々な得物を手に持つ伊賀忍者軍団に包囲された狂四郎の殺陣。流れ弾ならぬ流れ分銅で打ち抜かれて、鮮血を飛び散らす女。籠を襲う場面では、雨の中を走りながら一気に2人斬捨て、ワイヤーでジャンプして飛び蹴りを喰らわして、標的を斬る。このアクションに続いての、本物とニセの狂四郎が真俯瞰ですれ違う傘の場面が、動と静のコントラストになっていて巧い。この他にもスタイリッシュな見せ場が目白押し。なんてったって、円月殺法が3回ですよ!3回!円月殺法はオプチカル処理が必要だから、予算もかかる(普通は1回しかない)だろうに、凄い大盤振る舞いだ。

当時としてはバイオレンス&エロも濃厚だ。鮮血がドヴァッと散るのは当たり前で、手首が斬りおとされたり、眉間にブッスリとクナイが刺さったりするし、エロ方面も、半裸に剥いた側室を逆さ吊りにしての拷問、ニセ狂四郎の強姦、大奥内での“百合”描写に、久保奈保子による狂四郎逆強姦未遂、能面をつけて迫る女(能面で迫られてもグッとクル男は少なかろう…)などなど、実に見せ場が多い。
重く暗い物語を、スタイリッシュとエロとバイオレンスで押し切った佳作だ。

37歳の若さで、直腸癌で逝ってしまった雷蔵の、これが最後かと思うと感慨深い。35年も前のことを悼んでも仕方がないが、惜しい役者を亡くしてしまったもんだ。

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2004.05.04

5/4 『棒たおし!』

レンタルDVDで『棒たおし!』を観る。

DVDの特典映像には、昔と変わらない笑顔で、ちょっとだけ老けた哲さんがいた。でもきっと今でも、現場ではモーレツな怒気を吹き上げたりもしてるんだろうな。

今日は映画自体の感想じゃなくって、この映画の前田哲監督の思い出話。

昔、映画会社で働いていた頃、松岡組で助監をしていた前田哲さんにお会いしている。最初に現場でお会いした時は、怒気を発していてちょっと近寄りがたい人だった。いや、“ちょっと”なんてものではない。若いスタッフなのに、松岡監督よりも、チーフ助監の大原さんよりも、あまつさえ照明部の水野さんよりも近寄り難かった。その後、最初にお会いした際に怒気オーラが出ていたのは、オレみたいな配給会社の担当が現場に居るのが気に食わなかったのだろうと気付いた。いわゆる現場スタッフ以外の人が現場にいる場合、その人たちの業務上仕方がないことなのだが、スケジュールや段取りに影響が出ることがままある。だから歓迎される訳はないのだが、それにしたってここまで気持ちが猛然と伝わってくるのも珍しい。
しかし、オレがやたらと足茂く現場に通っていたので、アップが近付く頃には冗談の一つも言って貰えるようになった。それでもオレには最初の印象があったので、話をする時はちょっと緊張していた。
その映画の公開から数ヵ月後、今はなき新宿の「いずみ屋」で哲さんとバッタリと出会った。元々松岡監督に教えてもらったお店だから、バッタリではなく当り前の事だ。哲さんは、ぶっきらぼうに、でも満面の笑みを浮かべて、オレに声を掛けた。もちろん怒りのオーラなんて出ていない。ちょっと人見知りするだけで、現場を大切にする助監督さんなのだとつくづく思った。

そして時が流れ、哲さんが監督になったと知った。
すでに『sWinGmaN 』『GLOW 僕らはここに…。』『パコダテ人』『ガキンチョ★ROCK』『棒たおし!』と劇場長編を5本も撮っていると言うのに、いつも知るのが公開終了後だったり、忙しい時期で時間が取れなかったりで、一度も劇場に行くことが出来ていない。哲さんがオレのことを覚えているとも思わないけれど、なんだかとても申し訳ない。
6月公開予定の『パローレ』は必ず劇場に行こうと思った。

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5/4 『六月の蛇』

レンタルDVDで『六月の蛇』を観る。【ネタバレあり】

潔癖症の夫(神足裕司)とセックスレスの生活を送っているりん子(黒沢あすか)。彼女は「心の健康センター」電話相談室に勤めている。ある日、彼女は勤務先で自殺予告の電話を受けるが、電話の相手(塚本晋也)を説得し、自殺を踏みとどまらせた。数日後、彼女のもとへ1通の封書が届いた。中には彼女の自慰行為を盗撮した写真と携帯電話が入っていた。そして、その携帯電話に謎の男から電話が入る。男は彼女が自殺を止まらせた男だった。そして男は写真をネタに彼女を脅迫し、恥辱的な行為を要求するが…。

いかにも塚本晋也監督らしい変態アート映画だ。
繰り広げられるのは、盗撮、覗き、自慰、ノーパン、ストーカー、バイブと、言葉が並ぶだけでも変態チック。だがそんな変態な要素が、ブルーのトーンのスタンダード・サイズのモノクロ映像で塚本晋也がまとめあげると、なんだか限りなく美しい。ほぼ全篇に渡って降りしきる雨が、またその美しさを強調する。
いつもならガンガンと鳴り響くBGMも抑え目で、肉体の変容も最低限(乳癌という要素のみ)で、いびつにねじくれる身体も登場しない。アプローチはいつもの塚本作品とは全く違うようでいて、それでいてキッチと塚本ワールドになっている。
『鉄男』みたいなパワフルな作品も好きだが、この静かなトーンも悪くない。

役者は、黒沢あすかと神足裕司、塚本晋也の3人以外はほとんど印象に残らない。黒沢あすかの凛とした雰囲気は、いかにも塚本作品のヒロインである。そしてコータリ。恐ろしくヘタクソな芝居だが、不思議なことになぜかこの映画ではこれでいいように思えてしまう。

すれ違う夫婦と、その生活に割り込んでくるストーカー。そしてそのストーカーが、皮肉にも夫婦のあり様を救うことになる。実際にこんなことが起きるかどうかと言えば、恐らく起きないだろう。電話と郵便を通じてコミュニケーションをしてくるストーカーに、最近身近に居るメールでしかコミュニケーションできない人々を思い出し、ちょっと寒い気持ちにもなった。彼らも、この映画のストーカーみたいに、だれかのコミュニケーションの役に立つことがあればいいのだが、まぁそんなこと起きないだろうな。

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2004.05.03

5/3 『眠狂四郎無頼控 魔性の肌』

レンタルビデオで『眠狂四郎無頼控 魔性の肌』を観る。

眠狂四郎(市川雷蔵)は、闕所物奉行朝比奈修理亮(金子信雄)から京都御所への献上品搬送を懇願された。それは、島原の乱の際にポルトガルから天草四郎に送られた黄金のマリア像であり、キリシタンが転じて邪教徒になった黒指党の首領・三枝右近(成田三樹夫 )がその像を狙っていた。狂四郎は最初は依頼を断ったものの、朝比奈の娘ちさ(鰐淵晴子)の操を要求し、依頼を承諾する。そして京都を目指す狂四郎たちの前に、次々と刺客が現われる…。

まだまだ続く“池広一夫まつり”(笑)で、眠狂四郎シリーズ第9作目。
相変わらず、眠の旦那は女好きでゲスな。仕事の代償に「そちの娘の“操”を頂こう」なんて台詞、普通のヒーローなら口にしないよ。

見所は、中盤の旅に出てから。
次々と襲い掛かる刺客の嵐。斬り掛かる黒指党の侍はもちろん、茶屋で毒茶を飲ませようとするジジイ、体と引き換えに仇討ちをしてくれとだますオバハン、色仕掛けで迫って毒風呂に落とそうとする女、竹を転がして足をすくうトラップなどなど、本当に矢継ぎ早に次から次へと手を変え品を変え狂四郎に襲い掛かってくるのが面白い。
そしてクライマックスの死闘がまたお見事。友禅染のたなびく河原で、敵をバッタッバッタと斬り倒す殺陣は、ケレン味たっぷりで、いかにも池広演出。
もちろん、得意の真俯瞰ショットや走る主観など、随所に池広節が散りばめられて、オレとしては大満足。

女優は、久保菜穂子、長谷川待子、渚まゆみと、美人どころをぞろりと揃えているのだが、中でも鰐淵晴子の可憐さには驚かされる。昔はこんなに可愛かったっんだなぁ。

音楽は、後年『キューティー・ハニー』『ガンダム』を手掛ける渡辺岳夫。当時の時代劇の劇伴としてはちょっと斬新でカッコイイ。

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2004.04.30

4/30 『CASSHERN』

クール泉と一緒に、丸の内ピカデリー2で最終回の『CASSHERN』を観る。

大亜細亜連邦共和国とヨーロッパ連合による50年続いた世界大戦。この戦いで世界は荒廃し、人々は疲弊しきっていた。東博士(寺尾聰)は病気の妻(樋口可南子)を助けるため、必要に応じて人体のパーツを自在に造り出す“新造細胞”理論を発表する。その研究を援助したのは、延命を望む軍幹部たちであった。そんなある日、研究所で事故が起こり、偶然にも“新造人間”が生み出された。折りしもその時、東博士の一人息子、鉄也(伊勢谷友介)が戦死し、遺体が戦場から帰ってきていた…。

兎にも角にも過剰な映画。
ほぼ全編に渡って、デジタル加工処理がされた画面。鳴りっぱなしのBGM。役者たちの大仰な芝居。声高に連呼されるテーマ。おまけに上映時間もたっぷり2時間22分(!)。何もかもが“too much”だ。なんでこんなにまでしなきゃならんかね?

例えば画面。手間も掛かってるし、スタッフの苦労は並大抵じゃないだろうけど、何の因果で、“モアレ”が出るほど加工せにゃあかんの?
輝度の高い部分が上下に縦伸びする、ハレーションみたいなフォギー・フィルターみたいな効果も、画面が見辛いだけで意味ないし、粒子を荒らしたモノクロ画面も統一感がなくって効果を上げていない。と言うか、ほぼ全てのカットに施された加工の嵐は、見てくれをいじっただけであって、物語を語る上での効果がないばかりか、機能すら持たされていない。

重要そうな場面で♪あーあーあーあーっ♪言ってる音楽も、うるさ過ぎでアタマ痛くなってくる。音楽もまた、大ボリューム一辺倒で垂れ流されるばかりで、徐々に場面を盛り上げるような効果をさせてもらえない。

唐沢寿明と及川ミッチーに代表される大層大仰な芝居は、新劇か?とか思うほどだ。

でも一番の問題は、テーマをなんであんなに連呼しなきゃならんのかだな。
「どうして私たちは戦わなきゃいけないの!」とかさぁ、そんな“マンマ”の台詞をキャラに喋らせるなよ。役者じゃなくって映画自体で語れよ。

一言で言えば
やり過ぎ

それでいて、重要な説明が抜け落ちているので、「?????」となる場面もまた大量にある。
オレのアタマが悪くて理解できないのかもしれんが、あの稲妻型のオブジェはなんだったの?
鉄也の遺体は、なんで研究所に運ばれて来たの?新造人間誕生の場面に居た鉄也は、多分霊魂だか魂で他の人からは見えてないんだろうに、なんかビミョウに他の役者の芝居と絡んぢゃってるけどOKなの?

キャシャーンの最初の戦闘、アンドロ軍団(って言うのか?)とのバトルシーンは、アニメ版の戦闘シーンを今の技術で作り直した感があって悪くない。(樋口真嗣コンテの場面だからなんだろうな)
CGで作られた街も、『修羅雪姫』の世界観の延長にしか見えないが、ビジュアル的には悪くない。(ただし、街には漢字とロシア語が溢れているのに、台詞にはそういった要素が殆どなく、カタカナ英語が混じるので世界観としては統一感がないこと夥しい)

映像的には見所もチビットはあるけれど、でもやっぱりコレは、ダメ映画だぜ!

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2004.04.27

4/27 『黄泉がえり』

借り物DVDで『黄泉がえり』を観る。【思いっきりネタバレしています】

阿蘇のとある田舎町で、死んだはずの者が次々と帰ってくる。人々はその再会をに戸惑いながらも喜んでいた。厚生労働省の職員、川田平太(草薙剛)は、故郷で起った謎の現象を解明するため現地に赴き、そこで死んだ親友のフィアンセだった橘葵(竹内結子)と再会する。葵は川田の調査に協力しながら、フィアンセの“黄泉がえり”を待ち望み始めるが…。

なんだか無性に悔しい気持ちになった。
黄泉がえった人々が帰ってきても、ほとんどの人は驚きも恐怖もせずに受け入れてしまう。葬式に現れた故人には流石に人々も驚くが、病院での検査はあっても、棺桶は誰も開けてみないらしい。黄泉がえる理由は、“強い想い”と言う漠然としたものでしかなく、森に開いた穴が何なのかも、そこから送られる信号の意味も説明がない。黄泉がえりの人々が、なぜエリアから出ると消えるのかも分からない。思わせぶりなRUIと男が、一体なんだったのかも分からない。これだけの大規模な死者蘇生(?)があっても、街はいたって平穏なままなのも不思議だ。
黄泉がえりの人々のそれぞれのエピソードは散漫で、もっと深く突っ込めそうなのに、あまり深く描かれない。その割には2時間を越える長尺だし…。竹内結子が、実は自分で気付いていない黄泉がえりだったって、どこかで観たようなネタが最大のサプライズなんだが、バラすタイミングがちょっと早過ぎる。
ハッキリ言って、脚本も演出も穴だらけで突っ込みどころ満載だ。
こんなにダメダメな映画なのに、なんだかグッと来ちゃったことが悔しくて仕方がない。割と好みのタイプの竹内結子が、非常に好演してたからってことが大きいとは思うけれど、まさか目頭が熱くなってしまうなんて。チクショウ!
竹内結子以外では、意外な頑張りを見せたのが極楽トンボの山本。上手くはないが、好感が持てる芝居だ。気になったのは石田ゆりこ。芝居自体は無難なんだけど、髪型が竹内結子と被っててなんか印象が弱いなぁ。

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2004.04.21

4/19 『若親分喧嘩状』

レンタルビデオで『若親分喧嘩状』を観る。

大正初期。上海の裏町で、謎の男たちから蒙古のトクーズ姫(江波杏子)を奪還し、日本へ連れ去った南条武(市川雷蔵)。トクーズ姫は帝国陸軍過激派が利用しようとしていたが、武はアジア平和が乱されることを恐れ、彼女を木島剛(三島雅夫)の許に預けた。久しぶりに日本に帰った武は、父辰五郎の兄弟分であった横浜の高遠弥之助(北龍二)の客分として、世話になることになった。
しかし、新興やくざ猪之原(内藤武敏)は、高遠と武のことが気に入らず、様々な嫌がらせをする。そしてまた猪之原は、総会荒しと株の買占めで物産会社や海運会社を次々と乗取り、阿片密輸で横浜を牛耳ろうとしていた…。

雷蔵&池広一夫の『若親分』シリーズ第3弾。
なんだか今回の物語は、日活アクション風。だけど、そこはそれ大映だから、“憂国の士”だとか、軍部の陰謀だとかが絡んでみたり、なにか全体的に重く真面目なトーンになっている。どうせ日活調なら、雷蔵も旭や錠みたいな軽いノリの芝居をすれば良いのに。内藤武敏の悪役っぷりだけは、そのまま日活に移籍しても違和感なさそうではあるが。

さて見所は、シリーズ3作目にして既にパターンが確立されている感のある、“雷蔵VS多人数”の圧倒的ハンディキャップ・バトル。今回は倉庫を舞台にしており、粉袋を斬って煙幕代わりに使ったり(これは前作ではダイナマイトの爆煙、1作目での蒸気機関車の煙を踏襲している)、倉庫に置かれた荷物の影からやぶから棒に襲い掛かったりと、まるっきりゲリラ戦状態。卑怯な悪に1人で立ち向かうには、これくらいしなけりゃならんってことだろうが、なんだかあんまりにも破れかぶれで、任侠の決闘シーンらしくはない。とは言え、倉庫のキャットウォーク(?)に上がって闘う雷蔵を下からあおって撮った立体的なショットなどは、このゲリラ戦ゆえに出来る名場面である。
また、毎度のことながら縦位置の構図が鋭く、狭い水路で高遠が猪之原組の刺客に殺られるシーンの緊迫感は、あまり他で観たことがない。

映画的には今ひとつだけれども、池広節健在なのでまあいいか。

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2004.04.17

4/17 『若親分出獄』

レンタルビデオで『若親分出獄』を観る。

親の仇、太田黒を殺して下獄した大濱の若親分・南条武(雷蔵)は、大正天皇御大典の恩赦で六年振りに出獄した。だが武のいない間に、大濱は中新門組が仕切る土地へと様変わりしていた。そして、将来を誓った京子(浅丘雪路)も、中新門組の後ろ盾となっている政界の実力者、堀越伝三郎に囲われていた。武はヤクザ稼業の虚しさから、堅気の口入れ屋を始めようとするが、中新門の横車を押すやり方に耐えかねて…。

市川雷蔵主演、池広一夫監督による『若親分』シリーズ第2弾。
このシリーズ、つまらない訳ではないのだが、どうにも真面目過ぎていまひとつ面白みに欠ける。雷蔵はずっと苦い顔をしたままで、軽妙だったり、お茶目だったりする場面がほとんどない。演出的にも、池広らしい意外な映像やテクの見せ場はなく、手堅く作られている。芝居にも演出にも遊びが少ないのだな。
雷蔵&池広の『かげろう侍』『影を斬る』のような、軽妙なノリの映画を何本も観た後だと、どうにも物足りない。
ただ、最近そういう作品を多く観たからそんな風に思うだけで、元々オレが持っていた雷蔵に対するイメージは本シリーズの方が近い。『ある殺し屋』シリーズとかの雷蔵もこの作品のイメージに近く、笑わない役柄だしな。でも、オレはもっとチャーミングな雷蔵が観たいなあ。

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2004.04.13

4/13 『若親分』

レンタルビデオで『若親分』を観る。

明治末期。日露戦争後の戦勝気分に人々が酔っているある日、南条組の親分辰五郎が何者かに殺された。その様子を目撃した車曳きの三吉は、犯人は滝沢組の者だったと証言をした。全国の名だたる親分が集った葬儀に、1人の男がやって来た。それは辰五郎の一人息子で、海軍少尉となった武であった。武は現在の地位を捨て、南条組二代目を襲名した。
武は、滝沢組に対してたった一人で果たし合いに望み、滝沢巳之助の右手を斬りおとして父の恨みを晴らす。気風のよさと漢気で名を上げた武だが、彼を取り巻く陰謀が渦巻いていた…。

池広一夫監督、市川雷蔵主演による『若親分』シリーズ第一弾。
ひどく真面目で正攻法の任侠物である。曲がったことを一切しない、真面目で漢気の塊みたいな若親分を、雷蔵は非常に好演しているが、真面目すぎてちょっとつまらない。もうちょっと軽妙さがあってもいいのにね。
その真面目な物語を後押しするかのように、本作の池広監督はスクエアなカメラワークで押して行く。やたらにシンメトリーにこだわったアングルが多いのだ。トンネルを中心に据えて、その靄に包まれた奥から現われる人力車、葬式での雷蔵の登場シーン、襲名披露の雷蔵を中心とした大広間など、ポイントポイントでガチガチのシンメトリー構図を使っている。だが、そんな堅い構図であっても、非常に奥行きを強調した画作りになっているところがいかにも池広流。最大の見所はクライマックスの大田黒組との出入りシーン。昨晩観た『沓掛時次郎』同様、圧倒的に不利な1対多人数での戦いを強いられる雷蔵。だが、この戦いの場所が駅の裏手になっているところがミソなのだ。手前に列車の車輪や車両連結部などを引っ掛けたアングル(後年の実相寺昭雄的な画作り)や、蒸気機関車の煙に乗じて襲い掛かるやくざたちを、バッタバッタと斬り倒す雷蔵など、すこぶるカッコイイ。特に後者は、画面が時に煙で見えなくなり、その煙が晴れた一瞬に雷蔵たちの姿が見えるなど、実にダイナミックである。

雷蔵のことを慕う朝丘雪路、三波春夫の浪曲師、三条組の若頭に成田三樹夫、敵対する大田黒組組長に佐藤慶 、車曳きに山田吾一、滝沢組組長に石黒達也と、出演俳優もなかなか豪華。佐藤慶はその爬虫類っぽい芝居で実に適役だ。

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2004.04.12

4/12 『沓掛時次郎』

レンタルビデオで『沓掛時次郎』を観る。

渡世の義理から、六ツ田の三蔵に一太刀浴びせた信州沓掛生れの時次郎(雷蔵)。だがその義理は、三蔵の女房おきぬ(新珠三千代)へ溜田の助五郎の横恋慕だったと分かり、時次郎は逆に助五郎らに刃を向ける。今際の際の三蔵との約束を果たすため、おきぬと太郎吉を連れて熊谷宿まで逃げのびるが、おきぬはそこで病いに倒れた。堅気になって2人の世話をしようとする時次郎を、助五郎は執念深く追っていた…。

市川雷蔵主演、池廣一夫監督による61年製作の股旅物。
よく分かってなかったんだが、調べたらこれが7度目の映画化なんだそうだ。ふぅん。全然知らなかったけど、有名な原作(長谷川伸による新国劇なんだって)らしい。新橋演舞場とかで舟木一夫とかも演ってるらしい。
以下はその他の“沓掛時次郎映画”である。

29年 大河内伝次郎主演/辻吉郎監督作
32年 海江田譲二主演/辻吉朗監督作
34年 林長二郎主演/衣笠貞之助監督作
36年 浅香新八郎主演/西原孝監督作
53年 長谷川一夫主演/田坂勝彦監督作
54年 島田正吾主演/佐伯清監督作
66年 中村錦之助主演/加藤泰監督作

でも、こんなに作られた理由は分かる。池広監督作が原作に忠実なのかどうかは知らないけれど、自分が殺ってもいない相手の今際の際の願いを聞き届け、義理と人情を果たす渡世人なんて、いかにも日本人好みの物語だからね。

オレとしては池廣一夫(今回のクレジットはこの“廣”の字なんだな)監督作だってことで観たのだけれど、満足の行く作品でした。
タイトルバック、時次郎が夕陽を背負て佇むシルエットから、その後に続く土手を歩くロングショットがまずカッコイイ。流石は宮川一夫の撮影だ。フィルターなのか、自然の色合いなのか判断が付かないが、微妙な色合いの空がともかく美しい。そしてタイトルが終わった最初のカットが、走る男たちの足元を猛スピードでフォローした、池広得意の横アテのドリーショット。このスピード感は毎度ながら痺れる!その後も随所で挿入される、縦位置のロングショットの数々が、池広らしい静のダイナミズムを感じさせて、非常に気持ちが良い。
そして白眉はクライマックスから。
出入りに出立しようとする聖天の権一味の血気盛んな様子を、鏡開きとそれを我先に柄杓を突っ込んで飲む男たち、床に転がされる数多の刀、刀に酒を吹き掛ける男たちと様々なアングルから、まさに畳み掛けるように細かいカットを重ねていく。そしていざ出入りとなれば、ケレン味溢れるクレーンを使った俯瞰ショットの登場だ。
さらに出入りが終わった後も、時次郎VS助五郎一味との立ち回りが待っている。手前に屋根を引っ掛けた、奥行きのある静かに緊張感のある構図が、一転して身の回りにあるあらゆるものを駆使して戦う、時次郎の痛快な戦いぶりに変わる。

全体の物語は人情だし浪花節、おまけにハッピーとは言い難い展開なのに、雷蔵のキャラクターと池廣のシャープな映像演出で、全く重い映画にならないのがお見事!
あえて欲を言えば、ちゃらんぽらんな男を演じる雷蔵が好きなオレとしては、時次郎があんまりにも“良い男”過ぎるかな。東宝から客演している志村喬も良い親分過ぎるな。
それでも充分に楽しかったんだから文句はない。池広監督、どれ観ても面白いんだから、あんた凄いよ。

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2004.03.24

3/24 『APPLESEED アップルシード』

東宝試写室で『APPLESEED アップルシード』を観させて頂く。

西暦2131年、大戦終結後の未来。破壊しつくされた世界に、唯一の文明都市として残されたのは“オリュンポス”のみであった。だが、この理想郷の人口の半分は“バイオロイド”と呼ばれるクローンであった。大戦終結も知らぬまま、荒廃した都市で戦いを続けていたデュナン・ナッツ(小林愛)は、ある日捕獲され、“オリュンポス”に連行される。そこで彼女が目にしたのは、昔の恋人ブリアレオス(小杉十郎太)の姿であった。彼は大戦で身体を失い、機械化され治安警察E.S.W.A.T.の隊員となっていた。一方その頃、オリュンポス軍のクーデター計画が着々と進んでいた…。

正直、観始めた時には猛烈な違和感を感じた。もちろん、トゥーン・シェーダーがどんなものかなんて分かっているし、仕事でも趣味でも山ほど見ている。なのに、なぜか感じる違和感。しばらく観ていて、その原因の1つに気がついた。眼球である。ポスターや予告などでも、よくデュナンのアップが使われているから、見た事のある人も多いだろう。全体のヴィジュアルは一見2Dのセルアニメ調にも関わらず、眼だけが少女マンガチックな描き方を少しリアルにしたような、独特の描写がされている。多分、それだけならさして違和感を感じなかったのだろうが、その眼が実に良く動く。もちろん、2Dアニメであんなに眼が動くことはありえない。逆に、俳優を撮った実写であれば動くのは当然だが、その分もっと眼が小さいから目立たない。そのアンリアルとリアルの微妙な境界線に、ヘンな違和感を感じていたのだ。

だが、そんな違和感を乗り越えて、この映画は素直に面白い映画になっている。
ある意味うざったいほどにネームとト書きの多い原作を、非常に分かりやすく整理し、ストレートなアクション・ラブストーリーに仕上げた構成が巧い。観客を楽しませようとしている作り手側のセンスと努力が、きちんと作品に現れている。また、フルCGでありながら、技術的には驚くほど既存の技術のみで作られている映画である。使っている3DCGソフトもXSI、MAX、Lightwaveと、ごく普通に市販されているものばかりで、特殊なソフトを開発した訳でもない。製作期間もたかだか10ヶ月、スタッフ数もハリウッドCG映画の1/3とか1/4くらいしか居ない(スタッフロールの短いこと短いこと!)らしい。それでもこれだけのものが作れるのである。同じフルCG映画でも、ブランドとしてのタイトルと技術力に自沈していった『ファイナルなんとやら』などとは比べるべくもなく、正しく映画プロフェッショナルの技を見せつけてくれる作品である。
デュナンとブリアレオスの物語が、ラブストーリーと呼ぶには若干弱いが、アクションは小気味良く、浪花節はちゃんと浪花節になってて、クライマックスは怪獣映画ばりのスペクタクルを見せてくれる。
これがすばる座だけでの公開なんて勿体無い。せめてニュー東宝シネマ系列あたりで公開してあげればいいのに。

同じ士郎正宗原作で、同時期公開の『イノセンス』と比較されることも多いだろう。恐らく、熱狂的に支持され、10年後でも名前が残っているのは『イノセンス』だろう。確かに、物語も世界観も、映像の深さでも『イノセンス』の方が上だと評価されるだろう。だが、作家性ではなく、素直にエンターテインメントに徹し、かつきちんとカタルシスを感じさせる盛り上がりを作った『アップルシード』を、オレは評価したい。

あえて難を言えば、デュナン役の小林愛の声が少年ぽく、幼過ぎる気がする。もう少し年齢が上の方が良かったんぢゃないの?また、これは素朴な疑問だが、なんでデュナンのモーションを三輪明日美がやってるの?

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2004.03.22

3/22 『怪談』

米国版DVDで『怪談』を観る。

仕官した男が、本当に愛していたのは、京に捨ててきた妻であることに気付き、妻の元に帰る「黒髪」。
山で雪女に遭うが、命だけは助けてもらった男の「雪女」。
平家の亡霊に取り憑かれ、夜な夜な琵琶を聞かせる「耳なし芳一」。
茶碗に映る不思議な人影。それを飲み干した男が遭遇する奇妙な出来事を描く「茶碗の中」。
小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの手になる怪奇譚を、小林正樹が監督した4話のオムニバス。

物語は、基本的には誰もが知っているようなものばかりなのだが、小泉八雲の原典を読んでいる訳ではないので、初めて知ることもあった。例えば、耳を取られた芳一が、その後大金持ちになったなんて全然知らなかった。

この映画、4話目以外はほぼスタジオセット(?)で撮影し、非常に様式的な美しさを追求した作品である。特に1~3話目までは、映画というよりもまるで舞台の如く展開していく。極彩色の書き割りや、シンメトリーな構図などが鮮烈である。恐らくその辺りが評価されて、65年のカンヌ審査員特別賞を受賞したのだろう。だが、それゆえに臨場感は乏しい。“怪談”と言っても、怖がらせることが目的ではなく、人間の情念を描くことがテーマだから、臨場感は不要なんだろうけれど。
逆に、他の3本とテイストが違うのでちょっと浮いた感じのする「茶碗の中」だけは、役者の演技と相まってなんだか迫力がある。特に鬼気迫る中村翫右衛門の高笑いの場面は印象的。また、佐藤慶、天本英世ら3人組の殺陣は、カメラ、照明、オプチカルのトリッキーな使い方が特徴的で、様式的ではない面白さがある。3人が並んだ画ヅラが、『ゴーストハンターズ』の“嵐3人組”みたいで、カッコよくもちょっと可笑しい。

最大の見所となるのはその美術であるが、今観ると猛烈に豪華な俳優陣にも驚嘆する。
三國連太郎、新珠三千代、渡辺美佐子、岸恵子、仲代達矢、菅井きん、千石規子、浜村純、中村賀津雄、志村喬、丹波哲郎、岸田今日子、林与一、田中邦衛、中村翫右衛門、杉村春子、中村鴈治郎、仲谷昇、佐藤慶、天本英世、田崎潤、奈良岡朋子、田崎潤、神山繁…ふぅ…疲れた。もちろん、多くの役者が今ほどのビッグネームではなかった時代ではあるけれど、ここまで豪華なキャスティングは珍しい。今こんだけの俳優を集めたら(故人も多いので集めようがないが)一体幾らかかるんだい?流石は制作費3億5千万円の超大作だねぇ。

なお、今回観たのは米国クライテリオン版の160分バージョン。国内DVDは、初公開時の原版が見つかったとかで、完全版の180分バージョンで20分も長いらしい。あと20分も何があるんだろ?

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2004.03.20

3/20 『イノセンス』

日比谷映画で『イノセンス』を観る。

2032年の日本。各地で愛玩用少女型アンドロイドが突如暴走し、所有者を殺害して自壊する事件が頻発していた。その捜査を担当することになった公安九課の刑事バトーとトグサ。その頃、アンドロイドを製造したロクス・ソルス社の出荷検査官が、紅塵会なる暴力団によって殺害された。この事件の裏には何があるのか…。

圧倒的な映像力で迫ってくる押井ワールド。こりゃ、好きな人には堪えられん映画だろうね。
3DCGIを駆使した美術は、まさに驚嘆に値する。「世界観が『ブレードランナー』っぽ過ぎて観る気がしない!」と、ある人が語っていた。確かに『ブレードランナー』の呪縛から逃れることは出来ていないけれど、これだけ徹底的にやればOKでしょ。ある種、日本人的ではない、欧州系濃厚映画(グリーナウェイとかピトフとか)に近いような肉食っぽい濃さが世界を支配する。これは美術だけではなく、独特の空気感------空気の密度の濃さによっても醸し出されている。だがその世界観に対して、バトーをはじめとしたキャラクターは濃厚ではない。それらが遊離せずに、絶妙なバランスで溶け合っているところが、この映画の面白いところである。

…と、まるで大絶賛しているようだが、実はそうでもなかったりするのだ。映像や音響等の質の高さには、素直にアタマが下がるのだが、どうも物語が…ね。多分監督自身も、本作で物語を語ることにあまり興味がないんじゃないだろうか。膨大に詰め込まれた映像と台詞の情報量をスッキリサッパリ整理して考えたら、物語自体は実にシンプルなのである。逆に言ってしまえば、膨大な情報量ゆえに、本筋の物語が見えにくい映画なのだ。
後ろの席の客が、映画を観終わった瞬間に「なんだこりゃっ!さっぱりわかんねぇ~!!」と言っていたが、まるで“めくらまし”のごとく散りばめられた台詞に気を取られてしまうと、さっぱり分からないのである。だが、そのめくらましのような台詞と、映像の中に語りたいことが秘められているように思う。
アイデンティティとは一体何か?
そのテーマを語るために用意された世界と台詞。監督はそこを見て欲しいのであって、物語は二の次なのである。しかし、その膨大な台詞には、やたらと引用、ことわざ、格言の類が散りばめられている。これに辟易する人も多いだろう。

映画の面白さは物語に拠るところが大きい。だから、「面白いか」と問われればハッキリと「NO」である。
しかし「凄いか」と問われれば「YES」である。これはそんな映画なのだ。

別な見方をすれば、物語にもテーマにも手法にもノレなくても、この映像力の凄さを観るべき価値はあるとも言える。
少なくとも、同監督が手掛けた数本の実写映画よりは100倍も1000倍も。

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2004.03.14

3/14 『座頭市逆手斬り』

DVDで『座頭市逆手斬り』を観る。

もぐりの博打で捕らえられ、百叩き(?)の刑にあっている市(勝新太郎)。彼は牢で無実の罪であげられたという片瀬の島蔵という男に、自分の無実を晴らすため2人の親分を尋ねるように頼まれる。市は、無用な面倒に巻き込まれるのを嫌い、言われた宿場を避けて通るが、ある宿場で出会った百太郎(藤山寛美)という流れ者のせいで、いつの間にやら騒動に巻き込まれる羽目に…。

森一生監督による第11弾。
あんなに刹那的で殺伐とした凄味に溢れる第2作『続・座頭市物語』を撮った森一生とも思えないほど、散漫と言うか、焦点の定まらぬと言うか、集約し過ぎ(矛盾してるって?仕方がねぇぢゃねぇか)って言うかな座頭市。全体としてはどこに話を持って行きたいのかよく分からない位、個々のキャラクター描写が薄くって、その割に、次から次へと出てくる登場人物が、全て知り合いだったり血縁だったりと、異様なまでに狭い世界で展開する物語。でも、なんでかそれなりに面白い。
一つには、勝新の殺陣の凄味と速さに、一層の磨きが掛かってきたってことにあるだろう。今回は二刀流逆手斬りもイカすし、シルエット気味の屋内での殺陣が猛烈にシャープ。
松竹新喜劇から藤山寛美が客演し、ニセ座頭市に化ける展開も、寛美が達者だからこそ面白い。ここまで観てきたシリーズの中では低調な部類だが、それなりに楽しめました。

それにしても、このシリーズは予告編が面白い。毎度のことながら、予告編にあって本編にないカットなんてごくごく当たり前だし、本編中にあるカットでも、アングル違いや台詞違い、テイク違いなんて当たり前。最近のDVDの特典映像にある「未公開シーン」や「別テイク」に当たる映像が、予告編で観られるってのは凄いねぇ。

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2004.03.13

3/13 『さよならジュピター』

甘栗男が来ていたので、DVDで久し振りに『さよならジュピター』を観る。

西暦2125年、太陽系惑星開発のため、木星を第二の太陽とするJS計画は、謎のバカ集団・ジュピター教団らの妨害を受けつつもなんとか進行していた。しかし、その計画とは全く関係なく、太陽系にブラックホールが接近しつつあることが突如判明する。そこでJS計画を変更し、木星を爆破しブラックホールの軌道を変えることになるが…。

いやぁ、今改めて観ても、やっぱりどーしよーもない映画ですなぁ(笑)。
この「ツッコんでくれ!」と言わんばかりのスキだらけ加減はなんなんでしょうか?いや、分かりきったことなので、今更言っても詮無いことですが…。
無重力SEXや、タメゴローこと謎の教祖ピーター、発泡スチロール然としたサメとイルカのジュピター、「ジュピターゴーストが鳴いている!」とか、本当に人間を凍らせるコールド・スリープとか、観た人ならば誰でも脳裏に焼きつくシーンの数々は、「ああ、そう!コレコレっ!」みたいなもんだが、意外と忘れてるシーン(でも観ると思い出すんだよな…)が多かった。

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2004.03.04

3/4 『助太刀屋助六』

レンタルDVDで『助太刀屋助六』を観る。

旅の途中で巻き込まれた仇討ち騒動で助太刀をした助六は、お礼として報酬を受けたことから助太刀家業に生きるようになる。他人の仇討ちに首を突っ込むこと38回、やがて7年の歳月が流れ、故郷に戻った助六だったが、その小さな宿場町では今まさに仇討ちが行われようとしていた…。

『EAST MEETS WEST』(未見)以来6年ぶりの岡本喜八作品。
喜八っつぁんらしい軽妙な時代劇である。
ともかく助太刀しなければ気が済まない男(まぁ、それを生業にしてる訳ですからね)の、スーダラな生き様。いや、本人はいたって真面目だから、“すーだら”なんて言ってはいけないが。この設定は非常に面白い。重くなりそうな仇討ち話が助太刀にシフトしたことで、飄々とした雰囲気になっている。それを演じている真田広之は、性格にもうちょっとフマジメさがあった方がもっと良かったような気もするけれど、軽いノリをJAC育ちの身の軽さでもって体現している。
俳優陣はいい感じで、中でも仲代達也の枯れた侍が好印象。これまた飄々としているのに、刀を抜くと凄みが溢れ、“流石は仲代!”と思わせる。『白い犬とワルツを』のボケ老人なんてやってる場合じゃないぞ。やっぱり、時代劇をやらにゃあ!
そのほか、番太の村田雄浩とか、やり手ババァの岸田今日子、役人の岸辺一徳らが、いい味を出している。

ただ、ちょっと気になったのが、テンポと言うか構成の時間配分だ。助六が故郷に帰って、仲代が仇討ちされるまでは、恐ろしいほどテンポよく進む。もう、それこそ時計を見て、「え?!まだこれしか経ってないのに、こんなに話が進んじゃうの?じゃあ、あと何があるんだろ?」と思うほど。…で、思った通り、そこから先が急にスピードダウンするのだ。“緩急”なんて言葉では表せないほどの、ゆっくりした展開に、なんだか観ているこっちが戸惑ってしまう。
ここにどんな意図があるのか、なんとも分からない。

最近の老獪なジィサマ監督の映画の中では、無難な出来かなぁ。喜八っつぁんだってことで過剰な期待しなけりゃ、OKなんじゃないの~って感じの映画だ。


それにしても、最近ホントに時代劇ばっかり見てるな。別に邦画マニアでも時代劇マニアでもないんだけどな(苦笑)。

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2004.03.03

3/3 『ゴジラ』完結?!

遂にと言うか、やっとと言うか、50周年記念作品『ゴジラ FINAL WARS』『ゴジラ』が終ることになった。オレは子供の頃は主にTVで、84年の復活以降は必ず劇場で観ているので、感慨深いものがある。
平成シリーズは(『GODZILLA』と中休みの『モスラ』3本も併せて)どーにもこーにも困った映画が多く、『GMK大怪獣総攻撃』『×メカゴジラ』『東京SOS』と、やっと睡魔に襲われない映画になってきただけに、ここで終るのはちょっと残念。でも、印象が良い時にやめた方がいいんだろうな。前回、US版『GODZILLA』の直前に東宝が「ゴジラ作らない宣言」をした時は、『VSデストロイア』なんてヒドイので終ったからなぁ。
でも、『ゴジラ』シリーズが休止(たぶん、数年後に復活じゃないかとは思っている)しても、『モスラ』の時みたいに、きっとまたなんか作るんでしょ、東宝さん!『ヤマトタケル』とか『ガンヘッド』とか(笑)。それとも『グランセイザー』の劇場版か?

ところで、監督に北村龍平ってのもあまりにも意外な人選で驚いた。『ゴジラ』はここんところの2作が評判悪くなかったから、てっきり手塚昌明続投かと思ったんだが。でも、龍平ちゃん、今年はハリウッドぢゃなかったっけか?画作りはカッコイイのに脚本がタコな場合が多いので、今回は脚本をしっかり作ってね…。

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2004.02.29

2/29 『座頭市二段斬り』

DVDで『座頭市二段斬り』を観る。

旅の途中、市はその昔按摩の手ほどきをうけた師匠・彦の市(嵐三右衛門)と、その娘お小夜(坪内ミキ子)を麻生の宿に訪ねる。だが、彦の市は殺され、お小夜は宿場の親分・辰五郎に借金のかたに、女郎をさせられていた。市はなんとかお小夜を救い出そうとするが…。

かなり情に流れた座頭市の10作目。
冒頭で、市の師匠が殺されたって話を聞いた時、「前に市が師匠を斬った話があったのに何故?」と思ったら、前の師匠は居合の師匠で、今回は按摩の方の師匠の話だった。当道の師匠が、“検校”の位を買いに京都に行く途中で殺されたのである。アレ?これってこの前観た『必殺仕置人』と同じ話じゃん。

見どころは、師匠が殺される前後の回想。ちょっと粒子を荒したモノクロの場面は、カメラを手持ちにしていることもあって、非常にドキュメンタリー・タッチの乾いた映像になっている。映画全体がウェットなトーンに流れがちな物語なので、これがメリハリになっている。
役者としては、三木ノリ平演じる流れ者のツボ振り、井戸尻軍十郎の喜劇芝居が程よくアクセントになっている。何だかんだ言って、この人は上手いや。また、幼き日の小林幸子が、子役(三木のり平の娘役)で出演。丸っきり今と変わらない面立ちなのに驚かされた。

ところで、“二段斬り”ってどの技のこと?

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2004.02.21

2/21 熱いぜ!『ゼブラーマン』

新宿グランドオデオンにて『ゼブラーマン』を観る。【ネタバレてるよ】

妻は不倫、娘は援交、息子はイジメに遭っているのに、何も出来ない新市(哀川翔)は、勤務先の小学校でも生徒たちからバカにされる始末。彼の唯一の楽しみは、34年前に7話で打ち切りとなった特撮ヒーロー番組「ゼブラーマン」の手作りコスチュームを着て、夜な夜な悦に入ることだった。
一方その頃、新市の住む横浜八千代区では、様々な異変が起こり、犯罪件数はうなぎのぼりで急上昇していた。防衛庁は事態を調査すべく、及川(渡部篤郎)らを八千代区に派遣するが…。

いやぁ~マイッタ!期待を超える面白さだ。
前半は、ダメ教師でダメ親父の新市を、クドカンらしい細かいセリフのやり取りと、三池らしい“間”で見せて笑いを取る。で、ゲラゲラ、クスクス笑いながら、このまま特撮ヒーローを茶化したコメディとして終わるんだろうなぁと思ったら、いつの間にやら本気のヒーローものになっているので驚いた。オレ、目頭が熱くなっちゃったよ。
笑いのツボも燃えるツボも、どちらも“ヒーローもの”であるところ。
コスチュームの“恥ずかっこ良さ”や、謎の力を手に入れても、やっぱりアパートの2階からは歩いて下りちゃう小心さとか、謎のヒロイン“ゼブラーナース”で笑う。そして、迎えるクライマックス。あまりにもベタでお約束な展開が、モーレツに熱いぜ。バイクに乗って現われるゼブラーマンと、彼のために封鎖されたゲートを開く及川。そこからはもう畳み掛けるように、戦闘、敗北、変身、そして遂に飛行!と、分かっちゃいるけど燃えまくり!エピローグの大団円まで一気に持って行く。

CGが(低予算だから)しょぼかったり、新市の家庭は結局救われてなかったりと色々アラはあるけれど、ツボ入りまくりでした。万人向けの映画じゃないけれど、オレの中では“シロクロついたぜ!”


ちなみに、一昨日から3日連続の『○×マン』特集(『ケイブマン』『カンパニーマン』『ゼブラーマン』)は、これにて終了(笑)。

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2004.02.17

2/17 『嗤う伊右衛門 ETERNAL LOVE』

ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ4で『嗤う伊右衛門』を観る。【ネタバレアリ】

父の形見の業物をも売り払うほどの貧乏浪人、伊右衛門(唐沢寿明)。彼は仕官することなど考えず、無欲に日々を送っていた。そんな彼が、御行の又市(香川照之)と乞食按摩(六平直政)から民谷家への婿入り話を勧められる。民谷家にはお岩(小雪)と呼ばれる、病に冒されて顔の右側が醜くただれた一人娘がいたのだ。お岩はその醜い姿を人々が疎んじているのは知りながらも、毅然と生きていた。そして2人は祝言をあげるが…。

四谷怪談を京極夏彦が新解釈で描いた原作(読んでいないのでよく分からんが)を、蜷川幸雄が監督した作品。
いかにも演劇畑の監督作らしく、俳優の演技は舞台調。中でも唐沢寿明と六平直政、池内博之にその傾向が強く、ちょっと鼻に付く。まぁこれは仕方がないにしても、映画的なカット割やアングルで創られているのに、演出もこれまた舞台調になっている。例えば物語序盤で、画面をオレンジ色に染まった景色の中を歩く場面がある。恐らくフィルター処理だと思われるのだが、何故かオレンジの照明をあてたかのような印象を受ける。なぜそう感じるのだろう?多少は先入観もあるとは思うが、それだけではない。実に不思議である。

小雪はここのところ、『ALIVE』『ラストサムライ』、本作と立て続けに観ているが、なんだか不思議な役者である。まぁ『ALIVE』は映画の出来がナニなこともあって良いとこなしだったけれど、時々凄く魅力的だったり、逆になんだか凄く素人臭い芝居を見せたりする。顔立ちは好みではないのだけれど、今後がちょっと注目の女優さんだ。

さて、本作でとても驚いたのは、全く予想しなかったほどのスプラッター描写があることだ。
鮮血が飛び散るのはもちろんのこと、顔に短刀を突き立て皮をむしる描写や、腸が出ちゃうような場面まである。また、伏線が張ってあったとは言え、クライマックスの悪趣味さに、そばの席に座っていた中年女性は飛び上がっていた。もちろん、ホラー映画も好きな人なので、飛び上がったりはしないけれど、まさかこんなに血の出る映画とは思っても見なかった。

睡眠不足気味だったので、途中睡魔に襲われることを予想していたけれど、全くそんなことはなかったのは、それなりに面白かったと言うことなのだろう。
ただ、ラストカットの意味は、どう取ればよいのかちょっと判断がし難い。
「…そして2人の愛は永遠でした」
と言うことなのだろうか?そんな単純なことではなく、もっと何か意味があるのか?う~む。

ところで、ヴァージンシネマズ六本木ヒルズで映画を観たのはこれが初めて。THXシステムのせいなのか、映画館の設計のせいなのか、それとも映画の音響設計のせいなのか判断が付きにくいのだが、やたらに音が回りまくる映画だった。

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2004.02.14

2/14 『壬生義士伝』

レンタルDVDで『壬生義士伝』を観る。

幕末の京都。ある日、新撰組に南部出身の一人の下級武士、吉村貫一郎(中井貴一)が入隊した。彼はみすぼらしい身なりにも関わらず、凄腕の剣士であった。また、何かにつけてお金に執着する男でもあった。斎藤一(佐藤浩市)は、この田舎侍の生き方に嫌悪を催すが…。

冒頭、屋根上から中庭、そして佐藤浩一のアップへと繋がるクレーンショットは、けれん味たっぷりでこれから始まる物語の期待感を煽る。だが見終えてみると、正直かなり物足りない。役者、撮影、編集(これは名編集マン冨田功氏の遺作である)、美術等、特に粗い部分はなく、きちんと丁寧な仕事なのだが、物語の構成がちと辛い。
物語は、斉藤一と大野千秋(村田雄浩)の両方の視点から、交互に語られるのだが、まとまりを欠いている。これは同時代の吉村貫一郎を異なる角度から重層的に見ているのではなく、別な時代の吉村貫一郎を見ているからかも知れない。一人の人物を、様々な人間の視点から描く手法は、成功したときには非常に厚みが出るが、失敗すると散漫な印象になってしまう。残念だが、この作品は後者である。
また、クライマックスの吉村の独白がちょっと長過ぎで、感動的になるはずのシーンが冗漫になってしまっている。その後のエピローグ前半(普通はエピローグに前半も後半もないが)は、流石は泣かせの滝田洋二郎、畳み掛けるような泣かせ演出が続くのだが、これまた必要以上に畳み掛けすぎで、熱くなりかけた目頭が冷めてしまう。

主演の中井貴一は熱演しているのだが、熱演が過ぎて、役を作り過ぎに見えてしまっている。むしろ脇役の三宅裕司や、普段は絶叫調の芝居が多い山田辰夫の渋く抑えた演技が素晴らしい。

佐藤浩一ほか数名のの老けメイクは、ハッキリと失敗。
バラエティの志村けんの老けメイクを、ちょっと作り込んだくらいにしか見えないのでは、役者が熱演しても空しくなってしまう。ディック・スミスやリック・ベイカーの手になる超絶老けメイクを散々見た後で、これでは悲しい。照明&撮影のサポートが足りない気もするが、メイキャッパー原口智生自体の腕がキビシイのではなかろうか?

水準作ではあるがいまひとつ突き抜けないのが、冨田さんの遺作なだけに残念。

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2004.02.12

2/12 『熊本物語』で熊本の歴史を勉強(笑)

レンタルビデオで『熊本物語』を観る。

熊本県の自治体が出資して、何を考えたのか三池崇史に撮らせた、知る人ぞ知る教育(?)オムニバス映画。

基本的には博物館とか公民館で上映するような前提で作ってるマジメ~な映画……のはずなんだが、ちょびっとばっかし妙だし、なんだか異様に豪華キャストである。何しろ三池だからな。ネットで検索したら、「三池崇史監督(熊本県玉名市出身)」なんて書いてあったけど、ホントか?!いつも大阪生まれって書いてなかったっけか?

「隧穴幻想 トンカラリン夢伝説」(33分)
製作:熊本県玉名郡菊水町=財団法人日本宝くじ協会助成事業
出演:平幹二朗、はた三惠、寺田農、新井康弘(ナレーション)

見所は、なんと言っても悪鬼のごとき形相で、安っちいセット(石段なんて灰色の布張りなんだぜ)狭しと大暴れの平幹二朗。
火矢が白い仔犬にプッスリ刺さってるシーンなんてのも、ある意味三池らしいかも。

「鞠智城物語 防人たちの唄」(29分)
製作:熊本県立装飾古墳館
根津甚八、翁華栄、石橋蓮司、江守徹、大杉漣、はた三惠、江守徹、竹中直人(ナレーション)

大杉漣の中大兄皇子と石橋蓮司の中臣鎌足が、あからさまな合成背景の前で語り合う!至って真面目なつもりだろうが、この画は狂ってるよ。
ほぼ全篇を通して、背景がCG(または書割)を合成ってのも凄いが、そのショボイ画作りに反して豪華なキャストがスゲェ。
前半のみ3Dだったんだそうで、劇中3Dメガネを掛けた防人の一人が、「こっから先は、もうメガネはいらない。みんな一緒にメガネを外そう。せーのっ!」…三池、ビデオ化に当たって、ネラって残したらしけど、それはどーよ?
3Dで“飛び出す石橋蓮司”が観たい人は、熊本へGOだ(笑)!

●「おんな国衆一揆」(60分)
製作:熊本県玉名郡三加和町=財団法人日本宝くじ協会助成事業>
出演:原田芳雄、はた三惠、石橋蓮司、布施博、遠藤憲一、北村一輝、あべ静江、青田典子、竹中直人、竹下景子(ナレーション)

前2作とは違って、いきなりの合戦シーン、いきなりのちゃんとしたセット!と思いきや、合戦シーンはNHK大河ドラマのライブラリーで、セットは『千年の恋 ひかる源氏物語』のものを借りたとのウワサ。
この無意味にゴージャスなキャスティングこそが最大の見所…とか言っちゃうと実も蓋もない。遠藤憲一のぞんざいな立ち回りと、クライマックスの原田芳雄の長回しは一見の価値があるが、全体としてはお勉強パートが長いのがツライ。まぁ、歴史勉強映画で、こんだけ大量の“屍累々”描写を見せるってのも、他にはあまり類を見ないとは思うけどな。

よっぽどの三池好きとかじゃなけりゃ、観なくても全く困らない映画ではあるな。
ところで、3本通して出演してる「はた三惠」って人はダレ?

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2004.02.10

2/10 『皆月』

レンタルビデオで『皆月』を観る。

「みんな月でした。がまんの限界です。さようなら」
突然意味不明の書置きを残して妻(荻野目慶子)に出て行かれた夫(奥田瑛二)。おまけに勤める会社は倒産して、茫然自失の日々。妻の弟(北村一輝)は、自分の居るヤクザの組の、コンピュータ操作の仕事を振ったり、ソープに連れて行ったりと世話を焼く。そしてソープで出会った女(吉本多香美)と同棲することになるが…。

評価されているのは知っていたが、これまで全く観たことがなかった望月六朗監督作。
吉本多香美は、JRのCM(古いね)と『ウルトラマンティガ』の彼女くらいしか知らなかったので、こんな役もやる女優さんだとは知らなかった。驚くほどの脱ぎまくりでヤリまくりのソープ嬢役である。これはなかなかの好演。贔屓筋の北村一輝も毎度のことながら、サイテーなのにヘンに情のあるチンピラ役が絶妙である。奥田瑛二は、…まぁいいや。
物語のテイストは三池崇史とも通じるところのある、アウトローだったり落伍者だったりの切ない生き様のドラマである。だが、なんだかシックリこない。話が分からない訳でも、心情が見えない訳でもない。役者も好演しているし、不満も特にはない。
どうやら作品のリズムやテンポが、オレの生理に合わないらしい。きっと同じホンを三池が撮ってたら、もっとノレたんじゃないかと思う。

とりあえず『鬼火』も観てみるつもりだが、望月六朗はオレには向かない監督なのかもしれないなぁ。

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2/10 『この世の外へ クラブ進駐軍』

新宿ピカデリー3で『この世の外へ クラブ進駐軍』を観る。

敗戦から数年後の東京。
米軍基地のクラブで演奏するため、サックスの広岡(萩原聖人)、ベースの平山(松岡俊介)、ピアノの大野(村上淳)は、居なくなったドラムの代わりを探していた。そこへドラムのスティックを持った池島(オダギリジョー)が現れ、彼らは米軍の慰安施設“EMクラブ”で演奏するようになる。しかし彼らの演奏はひどいもので、米軍人のメガネには適わない。さらにトランペットの浅川(MITCH)を加え、“ラッキーストライカーズ”というバンドを結成するが…。

123分、飽きずに観たし、それなりに面白かった。
だけど、テーマ的にはどうなんだろう?いや別に、オレは映画は面白ければ良い人なので、テーマが云々でダメとか言う気は毛頭ないのだが、阪本順治監督は、“9.11”への回答としてこの映画を撮ったと、何かで読んだ。
確かに、根底に流れているのは「反戦」なのだろうとは思うけれど、「“9.11”への回答」とはあまり思えない。それを声高に主張しなかったのがいいところなのかも知れないが、あんまり感じさせな過ぎなのはどうだろうか。それでいて、最後にテロップで戦死者数を出したりするところはちょいとあざとい。前面に出さないんなら、最後のテロップだって要らなかったと思う。

役者はオダギリジョーは良かったけれど、後は無難にこなしている感じ。萩原聖人は、キャリアから言ってももう少し頑張っても良いのではなかろうか?
でもそれよりも、外国人俳優たちがパッとしないのが気になる。
軍曹役のピーター・ミュランは、スコットランドの俳優らしいが、なんだか芝居がわざとらしい。『宇宙からのメッセージ』のビック・モローみたいな芝居、と言えば、分かる人は分かるだろう。
もう一人のメインの外人俳優、シェー・ウィガムも華がないだけでなく冴えない。日本人に弟を殺された怒りもあまり伝わって来ないし、萩原聖人との友情も何故育まれたのかが分からない。
戦後のヤミ市を駆け抜ける子供たちは、非常にエネルギッシュで好感が持てるのだが、それでいて街自体に悲惨さが感じられないので、そのエネルギーが際立ってこない。

笠松さんの撮影も、なんだか精彩を欠いている。もっと繊細で微妙な画を撮れる人なのになぁ。

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2004.02.05

2/5 『花の兄弟』若き日の橋幸夫は意外とカッコイイ

レンタルビデオで『花の兄弟』を観る。

10年もの間、父の仇討ちのため諸国放浪する市之進(雷蔵)は、探し求める仇の相坂伊織が、近くで賭場を開くヤクザの用心棒をやっているのではないかと聞かされる。尋ねたヤクザ・勘右衛門の身内に、10年前に離れ離れになった弟の新次郎(橋幸夫)が居ることを知った。しかし弟は、ヤクザ渡世の義理を重んじ、仇を探す兄に協力しようとはしなかった。そして市之進は情報を探るため、名前を偽り勘右衛門一家に入ったが、実の弟の弟分にさせられてしまう…。

池広一夫監督の仇討ち物…とは言っても、これまた軽妙なタッチの時代喜劇である。
『影を斬る』『かげろう侍』同様、雷蔵の軽妙な演技が楽しい映画になっている。

観る前は、雷蔵と橋幸夫が兄弟役ってのはどうかとも思ったが、実際には2人とも細面なので違和感がなく、いい感じである。方や堅物の武家で、方やいなせなヤクザってコントラストも面白い。
それにしても橋幸夫である。当時まだ18~19才の橋幸夫が、その年齢の役のまま出演しているのだが、これがなかなかにスッキリした面立ちの二枚目なのだ。ハッキリ言って橋幸夫がカッコイイなんて思ったことはないし、なんで人気があったのかも分かってなかったが、これを観てやっと分かった。確かに今見ると古いタイプの二枚目ではあるが、大変な“アイドル面”をしているのだな。さして演技力が有る訳でもない若造だが、何か“スタア”の華やかさを持っている。だからと言って、ファンになったりするほどではないが、ちょいと見直しちまったな。

見所は、時代劇らしからぬ演出の数々。
雷蔵が、実の弟の弟分になり、三下ヤクザの若い衆とマジメにヤクザ修行----仁義の切り方(いわゆる「おひけぇなすって!」ってヤツだ)を号令に合わせて体操のように練習したり、早回しで廊下を拭き掃除したり、出入りのための扮装をいち早くする競争だったり-----をする場面。そして、市之進とお玉の偽装祝言でウェディング・マーチがかかるのも、莫迦莫迦しくも楽しい演出である。
また、抜けるような青空をバックに、田舎道で新次が兄貴の凄さを認めてそぞろ歩くシーンは、無骨な兄貴の思いやりと、世慣れた弟の気持ちが交差し、可笑しくも気持ちのいい名場面になっている。
映像的には、シネスコ画面をフルに活かした構図や、エピローグで踊る兄弟を真俯瞰で捉えたショットなどに池広らしさが溢れているが、それ以外にはさほど変わった事はせず、そつなくまとめている。

なお、これは61年の作品だが、65年にも雷蔵主演、三隅研次監督の『花の兄弟』って、全く別内容の映画があるらしい。紛らわしいことこの上ないよな。

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2004.02.04

2/4 『かげろう侍』

レンタルビデオで『かげろう侍』を観る。

駆け出し同心の弥十郎(雷蔵)は、二枚目の女たらし。お珠(中村玉緒)という許婚がありながら、今日も他の女に現を抜かしている。ある日、沼津藩のお家騒動にからむ奉行所の重要書類が、虎鮫の寅吉という賊に盗まれた。奉行は、箱根を越えるまでに寅吉を捕まえろと弥十郎に命じる。
遊び人の振りをした弥十郎は、大雨による山崩れで通れなくなった街道の宿場にやって来た。人相風体、挙動の怪しい客たち。そこで起こる連続殺人。寅吉は一体どの男で、殺人犯は誰なのか?そこへ、お珠もが弥十郎を追って現れた。2人は協力して下手人を探すが…。

最近になって池広一夫を知るまでは、あまり雷蔵の映画を観ていなかった。オレは邦画に関して、どちらかと言えば東宝と東映、日活の人だったので、大映は『ガメラ』に代表される特撮モノ以外浅くて薄かったのだ。
どれだったのか覚えていないけれど、子供の頃に観た『眠狂四郎』数本と、20代で観た『ある殺し屋』シリーズ、それに本に載ってるスチール写真くらいしか記憶にない。どれも眉間にシワを寄せたような、重々しく苦みばしった雷蔵である。だからオレにはニヒルな俳優の印象しかなかった。だが、実はそれは一面でしかなかったことを今更知らされた。雷蔵は、いい加減な女たらしの役を実に軽やかに楽しそうに演じる。女に囲まれてデレデレの表情を見せる時、猛烈にチャーミングな役者なのだな。
この『かげろう侍』は、そんな雷蔵の魅力が一杯の映画である。

物語は、意外なほど本格推理ものの作りになっている。どの客も全て怪しく、犯人が誰なのかは全く分からない。そこへ起こる連続殺人事件…と書くと、重苦しい内容になりそうなものだが、雷蔵の軽いノリと若かりし中村玉緒のオキャン(死語)な魅力、マヌケな現地の同心・堺駿二などが絡み、展開はいたってコミカルである。必死に推理を巡らすお珠と、女に現を抜かしているだけのようにしか見えない弥十郎の迷探偵コンビが、実にいい雰囲気を醸し出す。

断崖絶壁でのクライマックスは、最近の2時間ドラマ風ではあるが、そこからエピローグにワンカットで繋ぐ手際は、お見事の一言。主人公とヒロインの、こんなに長いキスシーンで幕を閉じる時代劇も珍しい。
池広演出もスタイリッシュさは抑え気味だが、その分軽快で楽しい作品になっている。

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2004.02.03

2/3 『大怪獣東京に現る』の怪獣魂

レンタルDVDで『大怪獣東京に現わる』を観る。

ある日、謎の怪獣が東京湾から上陸した。怪獣は炎を吐き、東京を焼き尽くした。一方その頃、福井県三国町ではそのニュースを見たごく普通の人々が、地味にパニックを起こしていた…。

怪獣が一切出ない怪獣映画として、ごく一部で話題になった98年の映画。
NAKA雅MURA脚本だけあって、全体の構成はイマひとつだけれども、台詞が抜群にイイ!オレはクドカンよりも彼の台詞の方が、全然可笑しかったり、哀しかったりでツボに入る。
「なんでカメが飛ぶのよ!クルクルクルクル回って!」って叫びにはマジで爆笑!

ところで、98年と言えば、『ゴジラVSデストロイア』で一旦「平成ゴジラシリーズ」が終了して、US『GODZILLA/ゴジラ』が公開された年。金子修介の『GMK』とその後の手塚昌明の『機龍』2作が出る前(『2000ミレニアム』はとりあえず気にしない)。平成『ガメラ』は頑張ってたが、『ゴジラ』が箸にも棒にも引っかからない時期だ。
この時期に、怪獣が一瞬たりとも画面に映らないのに、「平成ゴジラ」なんぞよりもよっぽど“怪獣魂”が込められた映画を作っていることに感動すら覚える。

クライマックスで原発前に集まった人々の前に姿を現す、火を吐く謎の巨大生物。画面には映らないのに、見事なまでにその姿が目の前に見える気になる。あぁ、(オレには直接見る事が出来ないが)そこに怪獣が居るのだ、と。
そしてエピローグの精霊流し風の風景が滲みる。途中問題がないわけではない。ヘンなカットバックで見せるシーンとか、あまり戴けない場面もある。だが、怪獣者にはこの魂の入り方はグッと来るしかないでしょう。

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2004.02.01

2/1 『薔薇大名』は斎藤寅次郎調だな

レンタルビデオで『薔薇大名』を観る。

棚倉藩では、跡目を狙う家老大倉伝左衛門のために城主が毒薬を盛られ、瀕死の状態になっていた。そんなある日、浅草の奇術一座の月太郎(小林勝彦)は数名の武士に捕われた。月太郎は棚倉藩の行方不明の若君、左馬之介に瓜二つだったのだ。伝左衛門の陰謀を暴くため、国家老石田帯刀の子、小十郎は、月太郎を左馬之介だと偽り、棚倉藩に戻る。一方、当の左馬之介本人は月太郎と間違われ、奇術一座と共に棚倉へ興行に向かうが…。

池広一夫のデビュー作は、斎藤寅次郎調の喜劇。
物語は一見して分かるように、『王子と乞食』風な入れ替わり物である。だがそれだけの単純な話にはしなかったところがミソ。月太郎の許婚のお小夜と、月太郎に窮地を救われたことから彼に惚れてしまう女スリのお京の女同士の争い。そして月太郎とお小夜が奇術師であると言う設定を加えたことで、物語展開が面白くなっている。
また、小林勝彦が演じる2役をはじめとして、ステロタイプでありながらもキャラクターが面白く、月太郎に化けている左馬之介とお小夜の掛け合い、左馬之介に化けている月太郎と小十郎のやり取りなど非常に楽しい。

喜劇でありながら、池広演出はデビュー作からスタイリッシュである。街を走るお小夜を追う長いトラックショットは、この後の池広作品でよく使われるトラックショットの原型であり、俯瞰ショットこそないけれど、シネスコ画面をフルに使いきったパノラミックな殺陣のシーンなどに、後年完成されていく画面使いの萌芽を見ることができる。また、女同士の視線のぶつかり合いに火花を合成してみたり、怒鳴る男の顔を一瞬だけ横長に変形してみたりと言った、遊び心溢れる数々のシーンも楽しい。
なおタイトルは、左馬之介の左腕にある薔薇の形のアザを指している。(最初タイトルを見た時は「なんだ?」と思ったが、“薔薇族な大名”だったりする訳ではない)

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2004.01.31

1/31 『着信アリ』

新宿コマ東宝にて『着信アリ』を観る。

由美(柴崎コウ)の友人・陽子の携帯電話が聞き覚えのない着信音で鳴った。その電話には、3日後の時刻に陽子自身の番号で発信された彼女の悲鳴が、着信メッセージとして残されていた。そして3日後のその時刻、陽子は電話に残されたメッセージと同じ悲鳴を上げて転落死した。数日後、同じ合コンの席にいたケンジも自分の声の着信メッセージを受け、同様の不可解な死を遂げた。死の電話を受けた者に何が起こっているのか…。

脚本が弱くって、辻褄や繋がりが微妙な場面も多々ある。
賛否の分かれるラストも、色んな取りようがある。よく言えば観客に判断を委ねた、悪く言えばブン投げちゃったとも言えるラストだ。“三池慣れ”してる人なら、取り立てて面食らうこともないだろうが、単にホラー映画として観に来た高校生には、何がなにやらサッパリ分からんってことになるだろう。映画を観終わった10代後半と思しきカップルの女の子が彼氏に言っていた。
「スッゴイ怖かったけど、面白くなかった!」
ある意味、非常に正しい意見であり、この映画のスタンスを言い当てているのかも知れない。
ともかく、脅かしと生理的なイヤっぽい描写がつるべ打ち。ビクッとさせる音響による脅かし、ジワ~っと忍び寄ってくる異形の何か、エグ過ぎる死に方……と、直接、間接、心理と次から次へと怖がらせる。ひとつひとつを見れば中田秀夫や、高橋洋等、最近の日本製ホラーで見たようなものが多いのだが、これだけ矢継ぎ早に多量に繰り出されると、それはそれで新しいスタイルになっている。廃棄された夜の病院に代表されるベタ過ぎなシチュエーションも、多分狙いでしょう。
中でも個人的にイヤだったのは、クライマックスの「ふふ~ん…、ふふ~ん…」って鼻唄である。『オーディション』の「キリキリキリキリィ…」には及ばないものの、鳥肌の立つイヤさ加減である。

三池は多分、この映画を面白い映画にしようなんて思ってなくって、ひたすら怖いおばけ屋敷にしたいんだろう。
だから、リアリティに欠けるシーンや、訳の分からないようなラストが来ても全然OKなのである。

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2004.01.29

1/29 『座頭市関所破り』

DVDで『座頭市関所破り』を観る。

年の暮れ。妙義山のご来光を拝もうとやって来た観光客と、その客を当て込んだ商売人や芸人でごった返す笠間の宿。市は旅の途中で、この宿の女中・お仙に手紙を渡してくれと頼まれて(なんだか毎度よく頼まれるね、この人は)やって来たが、悪徳代官加島と貸元の島村が宿場を牛耳り、暴利を貪っていた。市は相部屋になったお咲と、女中のお仙、2人の窮状を見て、放っておくことが出来ず…。

第9作は安田公義監督作。
三隅のようなダイナミックさや、池広のようなスタイリッシュさはなく、殺陣をドン引きのままカットを割らずに見せる安田演出は、正直なところ迫力に欠ける。だがその分、勝新自身の殺陣の凄さをまざまざと見せつける。屋内で斬りかかる浪人(若き平幹二郎!)の刀を居合い一閃スラリとかわす勝新、階段でごろつきどもを追い返す勝新等、本当にいつ抜いたのか目で追えないほどの速さである。信じられない!子供が放り投げたコマを空中で斬り、しばらくコマが回った後に真っ二つ(真ん中の心棒まで!)なんて描写も楽しいシーンだ。
物語的には一部放りっ放しのエピソードがあるのが残念ではあるが、お仙の物語とお咲の物語、バラバラだった2つの物語が後半で交差してきて俄然面白くなってくる。また、酔いどれ老人・喜十を生き別れた父なのではと思う市(でも、ここでの市の回想は兄・与四郎の話と辻褄が全然合ってないけどね)、小生意気な角兵衛獅子兄弟との触れ合いなど、細かいエピソードも気が利いている。
傑作とは言わないけれど、地味に良く出来た佳作である。

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2004.01.23

1/23 雷蔵&池広『影を斬る』

レンタルビデオで『影を斬る』を観る。

青葉城の天守奉行で剣術指南役の井伊直人(雷蔵)は、優男で女遊びばかりしているぐうたら奉行。ひょんなことから、“仙台小町”と呼ばれる城代家老の娘定(瑳峨三智子)と祝言を挙げることになった。だが、定は初夜の晩に直人を巴投げで投げ飛ばす。そして、自分を負かさねば、夫婦の契りは結ばないと言う。直人は使用人の左内(藤原鎌足)と一緒に、イヤイヤ武者修行の旅に出るが…。

ここしばらく続いている池広一夫シリーズ。
硬派な時代劇みたいなタイトルからは想像も付かない時代喜劇。
時代劇の体裁を取っているが、その実これはサラリーマン物だったり、かかぁ天下のウーマンリブ(ダブル死語)ものだったりする。『必殺』の中村主水が、優男のプレイボーイになったようなもんだ。もちろん、63年の映画なので、『必殺』よりもこっちが先だ。
雷蔵をはじめ、脇を固める男優たちが、揃いも揃って情けない役を軽いノリで演じていて小気味良い。東宝から出張してきている藤原鎌足が、ま~たいい味出してんだ。定と芸者の君竜を演じる瑳峨三智子は、登場したときは人工的な顔立ちが怖いのだが、物語が進むうちにどんどんイイ女に見えてくるから不思議。

見せ場は、なんと言っても木場(?)での立ち回りの前後。
ある男が直人を襲わせるために十数人の浪人者たちを雇う。この場面では、モノクロ映画かと思うような色を抑えたライティングがシャープで凄味がある。この浪人者たちが直人を襲う場面では、池広得意の真俯瞰撮影で、直人がひょいひょい逃げながらかわし、また浪人の親玉との掛け合いの間が絶妙で大笑い。そしてその一瞬後、今度は意表を突いた雷蔵の殺陣がやってくる。この緩急は絶妙だよね。
あまり期待していなかったけれど、この映画はなかなか良く出来た艶笑話。拾い物だったな。

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2004.01.21

1/21 ブラックコメディ『OUT』

レンタルDVDで『OUT』を観る。

弁当工場で働く深夜パートの4人の主婦は、それぞれ問題を抱えていた。ある日、その1人で妊娠中のヤマちゃん(西村尚美)がDVの夫を殺してしまう。彼女に泣きつかれた雅子(原田美恵子)は、成り行きで仕方なく死体を預かることになってしまうが…。

桐野夏生の原作を読んでいるか読んでいないかで、激しく評価が分かれている作品らしい。原作は猛烈にダークでヘヴィらしいから、こんな軽い映画になってたら納得行かないんだろう。でも俺は、原作読んでない派なので、ヘヴィな話を軽いノリで仕上げたブラック・コメディとしてそれなりに面白かった。
注目の(笑)死体の解体描写は思ったほど画面に映らない。でも、はっきり見せ過ぎても『トランス/愛の晩餐』みたいに失笑を買う映画になっちまいそうだし、三池の『オーディション』みたいにやったら夢に出てきそうだし、普通の映画としてはアレくらいが丁度よい塩梅なんだろう。
他の主婦から頼りにされ“師匠”と呼ばれている倍賞美津子は、出てきた瞬間に「うわぁ、ババ臭い!」(昔はあんなにゴージャスな美人だったのに…)と思わせる役ではあるが、非常に好演。クライマックスで一張羅をビッと決めた姿は、老けてもやっぱりカッコイイ姐さんだったことを思い起こさせる。室井滋の芝居は、イライラさせながらも笑わせる部分でギリギリ許容範囲内、西田尚美はイライラさせるだけで完全にOUT。
意外な好演を見せるのが間寛平。口数少なく笑わない役だと、ここまで不気味な怖さが出せる人だということを再認識。
…と、全体としては結構良かったのだが、ラストのツメは甘過ぎる。シロクロ付けなくってもいいけれど、ちょっとファンタジーに逃げ過ぎなんじゃないかなぁ。


晩飯を食ってたら、隣の客が室内用ラジコン飛行船の話で盛り上がっている。
「そんなのどこで売ってるの?」
「JALの機内誌で買えるから、今度飛行機に乗った時に買えばいい」
…あのぉ、それはTAKARAが販売している「DREAM FORCE」なのでは?

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2004.01.20

1/20 『眠狂四郎 女妖剣』出生の秘密に驚愕!

レンタルDVDで『眠狂四郎 女妖剣』を観る。

将軍の娘・菊姫のご乱心で、夜毎次々に殺される大奥の女たち。備前屋はアヘンを大奥に流し、キリシタンの情報を老中に与えることで、明国人陳孫(城健三郎)との密輸を黙認させていた。隠れキリシタンの鳥蔵から、浜松に居る狂四郎の血縁、びるぜん志摩(久保菜穂子)を守ってくれと依頼されるが…。

昨日に引き続き、池広一夫監督作品。
クライマックスで明かされる狂四郎の出生の秘密-----“転び伴天連”が黒ミサで武家の女を犯して産ませたのが狂四郎-----ってのは驚いたが、正直なところ物語構成的には散漫な印象である。
しかし、映像的には魅せる魅せる!
ダイナミックに遠近感を強調した構図(この人の映画は、奥行き感とか上下の立体感の出し方が実に巧い)、得意の俯瞰ショット、走る役者を相当なスピードでフォローするロング・トラックショット、被写体を左右に振り分けながらのジャンプカット等々、池広テクが炸裂!
中でも白眉と言えるのは、お馴染みの残像を残した円月殺法(この映画で初めて考案されたらしい)と、女祈祷師と忍者を一瞬で斬捨てる殺陣。どちらかと言えばモッサリとした(失礼)雷蔵の殺陣が、猛烈にシャープ。
池広作品は本当に映像のセンスがイカしている。参った。

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2004.01.19

1/19 『忍びの者 続・霧隠才蔵』雷蔵ファンぢゃないけど…

レンタルビデオで『忍びの者 続・霧隠才蔵』を観る。

霧隠才蔵(市川雷蔵)は豊臣方が負けた後、真田幸村(城健三朗)を助けて島津家(沢村宗之助、五味龍太郎)へ落ちのびる。家康(小澤栄太郎)に一矢報いるため、種子島の新型鉄砲の秘密を探るべく才蔵は種子島に潜入するが、そこには既に服部半蔵(伊達三郎)の罠が待ち構えていた…。

雷蔵ファンでもなければ、このシリーズも観たことがない。しかし、最近“オレ的ブーム”の池広一夫作品なので借りてみた。
シリーズ5作目をいきなり借りたせいもあり、前半はかったるい映画である。オープニングでこれまでの粗筋を見せるのも、よく言えばテンポがいいが、前作までを観ていない者には何が起こっているのかよく分からない。正直、途中で止めようかと思うほどである。だが、才蔵が種子島に潜入した辺りから、物語は急展開してくる。
半蔵の包囲網、才蔵とは知らず、才蔵と親しくなってしまう半蔵配下のくの一の苦悩と葛藤(これはいかにも大映らしい暗さ)。島津藩と徳川の駆け引き等、一気に面白くなってくる。また才蔵の空蝉の術や忍術の数々が、非現実的にはなってないところがミソで、あくまで人間の能力になっているのでウソ臭くない。
中盤以降、池広一夫的な場面も色々とあり、特に半蔵ナメの屋根裏からの俯瞰ショットなど、俯瞰を多用した画面構成はいかにも池広らしくてイカス。前半は前話までの話を費引っ張ってるせいもあって、どうも乗れなかったが、後半が面白くなって来るのは、池広一夫の本領発揮なんだと思いたい。
ラスト、家康を殺害した才蔵が満面の笑みを浮かべながら江戸を走る。そこに非情に被るスーパー。
「家康は死んだが政局は微動だにしなかった」と言う文字はあまりにも哀しい。

DVDで『ダイヤモンド・アイ』を観る。
第22話「ヒメコブラ大死闘」
雷甲の前に現れた蘭花そっくりの女、麗華。
子供にそこはかない愛情を見せる彼女に、雷甲はすっかり心を開くが…。
これまでの中でのベスト・エピソード。
ショートカット、ミニスカ姿の麗華(蘭花様)が可憐で良いってこともあるが(笑)、蘭華の葛藤に笑いながらもマジでグッとくる。ダメだぁぁ、こんな番組にグっと来てちゃ。

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2004.01.15

1/15 『荒野のダッチワイフ』

レンタルDVDで『荒野のダッチワイフ』を観る。

最初にこの映画を「凄いから観ないとダメだ」と、当時明大映研の金ちゃんに言われたのが20年も前。“カルトな名作”、“傑作”などと言われているのも知っていた。それを今更観た。もちろん、大和屋竺の脚本作品は、具流八郎名義のものや『ルパン』や『ガンバ』他のアニメ作品などで観ているが、監督作は観ていなかった。これは失敗。20年前に観とけば良かった…と言っても、当時はなかなか観る機会などなかったのだが。

殺し屋ショウは、不動産関係で財を成したナカから、仕事を頼まれる。奇しくもその殺しの相手とは、以前に自分の女を殺し、ずっと付け狙っていた男コウだった。いよいよ果し合いの時間、女が殺された時間である3時が迫ってくる…。

ともかく台詞に痺れる。
「オレの銃に38口径のダムダム弾をガンガン吼えさせる」とか「オレの身体中のゼンマイが巻き上がってギシギシわめくんだ」とか、普通こんな台詞出てこないよ。
正直なところ中盤過ぎまで、「台詞はメチャクチャかっこいいし、独特のハードな雰囲気は良いけれど、そんなに傑作とか言うほどの映画かなぁ」とか思っていたが、クライマックスを経て最後まで観終えて、賞賛される理由が分かった。これは凄い映画だ。
これ以上は書かない。これは話を人から聞いたり、文章で読む映画ではない。実際に観ないと分からない。
本当に今更観たのが悔やまれる。学生時代に観とけば良かったなぁ…。

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2004.01.13

1/13 三池らしからぬ『SABU』

レンタルビデオで『SABU』を観る。

経師職人の栄二(藤原竜也)とさぶ(妻夫木聡)は幼馴染。栄二はある日、仕事で出入り先の金襴の布を盗んだと濡れ衣を着せられ、石川島の寄場へと送られてしまう。人足寄場でやり場のない怒りを噴出させつつ、自分に罪を着せたものに復讐を誓う栄二。栄二を兄のように慕うさぶや、許婚のおすえ(吹石一恵)が島を訪れるが、栄二の心はほぐれない。そして月日が経った…。

観たい観たいと思いながら、なかなか観る機会がない山本周五郎原作/小林旭主演の『無法無頼の徒 さぶ』(1964)のリメイク。
制作費も掛かっているし、山本英夫の撮影はTVとは思えぬほど頑張っているが、演出的にはそれほど特筆すべき場面はない。なんか三池らしからぬ映画だと思ったら、名古屋テレビ開局40周年のTVムービーに、追加シーンを加えた特別版らしい。なんだ、どうりで大人しいと思った。
あまり演技力のない藤原竜也(髷を乗せると、風見シンゴに似ている)は、それなりに頑張っているが、栄二の葛藤や、心の移り変わりが分かるほどではないのが残念。妻夫木聡はいつもと変わり映えせしない芝居で、正直面白味がない。それに比べれば、田畑智子が雨の中で吹石一恵に、あまりにも重要なことをさらっと言ってのける場面の方がよほど印象的である。
キャスティング的には、脇を固めるのがお馴染みの三池組なのが逆に新鮮である。沢田研二、遠藤憲一、大杉漣等々、時代劇な役者がほとんど出演せず、あまり髷姿を見たことのない役者が演じているのが面白い。
また、考証にうるさい人が見たら怒り出しそうだが、言葉遣いもあまり時代劇っぽくなく、平易で現代的な会話になっているから、時代劇が苦手な人も苦労しないだろう。

原作・旧作・本作ともそうだが、なぜこの物語の題名は“さぶ”なのだろう?主役はどう考えても栄二なのだが…。原作はきっと読まないだろうと思うけれど、旧作は機会があれば観るつもりなので、もしかしたらそっちを観ればその謎が分かるのだろうか?
あぁ、小林旭版が観てみたい。

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2004.01.11

1/11 わが青春の『1980』

年末、ケラさんから「ポケットマネーから切手代を出した必死のお願い」(笑)ってDMが着てた事もあって、テアトル新宿で『1980』を観る。まぁ、そんなDMもらわなくても行くつもりではあったんだけどね。

そういえば、NYLON100℃の芝居も随分行ってないなぁ。劇団健康の時は『カラフルメリィ』だとか『ウチハソバヤジャナイ」とか色々観に行ってたんだけど…。
やっぱり80年代をテーマにした『1984』ってのが凄く面白かったんだが、あんまり聞かないのはケラさんが気に入ってないのかな?

ジョン・レノンが死んだ翌日、教育実習生としてやって来た元B級アイドルのレイコ。その学校で教師をしている姉カナエ。そして同じ学校の映研の自主映画で主演している妹のリカ。1980年のテクノポリス(笑)東京を舞台に、異母姉妹三者三様の恋と人生を描く。

徹底してこだわり抜かれて散りばめられた“80年代ガジェット”と“80年代的エピソード”の数々が、いちいち可笑しくも懐かしい。
これは反則技…と言うか、ケラさんの必殺技(笑)。
良いとか悪いとかじゃなくって、30代後半から40代前半の1980年に文化系の青春を送った人は、無条件でグっと来ちゃうとみた。
ケラさんとは1コ違いで、オレは80年には16歳。ましてや自主映画でPFFを目指す映研(男子校だったから、淡い恋なんてなかったけど)なんて話やられちゃあ、もうどーにもならんでしょ。この時代、映画好きの高校・大学生は、ほとんどみんな自主映画に関わってたんじゃないのってくらいの“自主映画ムーブメント”があった。PFFだの、ビクターのヤツだの、恵比寿のスペース50だの、みんな目指してたからなぁ。オレも出したよ、PFF。もちろん落ちたけど(苦笑)。
この映画のパンフにも誰かが書いていたが、「80年代はスカであった」って論調が世間にはある。でも、スカだったとか言われても、その時代がオレたちの時代なのだ。SFX、自主映画、テクノに漫才、大友に江口etc…、燃えたもの、熱中したものが色々ある。ハイそうですか、と簡単に引っ込む訳には行かない。
そしてケラさんは、黙って引っ込んでる訳にはいかない人の最前線に居るのだろう。
時代の空気、時代の気持ちを鮮やかに切り取たのが、この『1980』である。

劇中、レイコ=キリナが叫ぶ
「人間は、大人になったからって、簡単に大人になれる訳じゃないのよ!」
そしてボクらは、大人にはなったけれど、きっとまだ大人になれた訳ではないのだ。ボクらはそれを肯定しているのでも、否定しているのでもない。ただ単に事実として大人になれていないのだ。そう思った。
さぁて、YMOでも聞こうかな。

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1/11 『ALIVE』

昨晩、途中で睡魔に負けた『ALIVE』のレンタルDVDを最後まで観る。

電気椅子で死ななかった死刑囚・八代天周(榊英雄)は、生きる代わりに謎の実験に参加することになる。そして、やはり死ななかったもう一人の死刑囚・権藤(杉本哲太)とともに、閉鎖空間に閉じ込められた。その実験は一体何を目的としているのか?

…全然イケてない。
原作は読んでないので知らないが、本当にこんな話なの?もしもこの通りの話なら、別に映画化する必要がないんじゃない?もしも原作と全く違うんなら、この映画化はやっぱり失敗だろう。
閉鎖空間に閉じ込められて謎の実験ってのは、『CUBE』みたいな線を狙ったのかもしれないが、閉塞感やサスペンスが生まれずに、ただ単に退屈な画とダラダラした展開になっている。唯一期待のアクションシーンは、アングル凝り過ぎかつカット割りが短過ぎで、何が映っているのかもよく分からない。で、クライマックスは榊英雄VS坂口拓って、そりゃあんた『VERSUS』の続編でもやってるつもりなの?
また、坂口拓のマッチョメイクの出来もいささかシンドく、なんか肉襦袢着てるみてぇ。
小雪やりょうの芝居はあまり期待してないけれど、ほかの映画じゃいい味を出してる國村隼や菅田俊も活かされてない。
『あずみ』はそんなに嫌いじゃなかったけど、こりゃダメだわ。

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2004.01.10

1/10 『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』

新宿コマ東宝で、毎年恒例のゴジラ・ツアー(笑)。
今回は、邦画王とXオヤヂ、オレの3人だけという寂しいグループ。昔は10人近かったこともあったのにね。
劇場内も、楽日が近い最終回だけあって例年のようにガラガラ。

まずは『劇場版とっとこハム太郎 ハムハムグランプリン オーロラ谷の奇跡 リボンちゃん危機一髪!』(長げぇよ!)。
このシリーズを観るのも3回目。ますます展開の脈絡はなくなり、スピードアップ。安陪なつみ演じるプリンちゃんが、唐突に人間型になるのが一番意味不明だな。
好きな映画の訳ではないが、毎回、前作より面白いと思いながら観ている。今回は、60過ぎの出崎統が前作までとは比べ物にならないほど、出崎演出-----止め画とオレンジ影----を大量に導入して、かつあそこまでハイテンポ&ハイテンションの子供映画を作ってるってことが見ものなのだな。デ・パルマもひっくり返るほどの画面分割の多用も驚き。
これまたトートツなミニハムズの登場シーンは、いつものように3DCGによるトゥーン・シェイダー。何故ゆえにこのシーンだけCGなのか?ま、いいんですけどね。

さて、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』である。
前作が悪くなかったのでそこそこ期待してたら、予想外に面白い。
これがあの悲しいほどイケてない『ゴジラVSメガギラス G消滅作戦』(この映画マニア受けは良いらしいけれど、なんでだろ?)の監督か?と思うほど、前作・本作の手塚昌明は頑張っている。シナリオが結構まともだし、特撮も以前よりも全然練れてきている。また、前作で水野久美と『サンダVSガイラ』を、本作で小泉博と『モスラ』『決戦!南海の大怪獣』を引っ張り出してきた辺りのヲタク性が、上手く作品に活かされている。
前作の家城茜(釈由美子)がただ単に退場したのかと思ったら、きちんと交代シーンが入ってるのも、いつも観ている大きなお友達に対する目配せとして上手い。おまけに、観る前は恐怖していた吉岡美穂も、出番を極力抑えることで恐ろしい芝居を晒すことなく済んでいる。その分、女っ気の薄い映画になってるけど、まぁそれは良いでしょう。
主役をパイロットではなく整備士にしたのも正解。この手の映画はどうしても戦いを展開するキャラが主人公になってしまうものだが、それを整備士にしたことで、物語が上手く回っている気がする。
なんて語ってしまうと、手放しで喜んでるみたいだが、大傑作だとか言ってるのではない。大体さぁ、怪獣同士が戦い始めると眠くなるような怪獣映画ってのが間違ってた訳で、平成『ゴジラ』以降そんなことをズ~っと味わってきた人間にとっては、ここ3本の『ゴジラ』の出来が嬉しくなっちゃうんだよね。
次回はゴジラ誕生50周年だそうで、もっとパワーアップ(断じてゴジラ自身をパワーアップして欲しいのではない)して、凄いのを見せつけて欲しいぞ。


映画の後は、久し振りに「青葉」で台湾料理喰って、それから邦画王行きつけの区役所通りの郷ちゃんの店へ。
そっちの気のマスターと下品な話題で楽しく過ごす。

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2004.01.09

1/9 『荒ぶる魂たち』

レンタルビデオで『荒ぶる魂たち』を観る。

血気盛んで、昔ながらの任侠道を信じるヤクザ、剣崎(加藤雅也)と樋口(竹中直人)。彼らを取り巻くヤクザたちの謀略と抗争を描いた群像劇。

劇場公開時も150分の大作だったが、ビデオ化に際して再編集し、【抗争勃発篇】(103分)と【決戦篇】(97分)の2本に分けた、なんと200分の超大作。劇場公開版は観れなかったので、何が増えているのかはオレには分からないが、50分の追加って、まるで『ロード・オブ・ザ・リング』みてぇ。

全体の物語と印象は、ストレートなヤクザ物だが、随所に三池らしさが散りばめられている。それはバイオレンス的だったり疾走感の方ではなく、叙情的な方の三池である。
物語進行の合間に挟まれる8mmフィルムで撮ったかのような、荒れた画面のフラッシュバック。誰とも知れぬ女のモノローグで語られる剣崎は、正直何をやりたいのか分からないところであるが、子供時代の樋口と剣崎の関係はいい感じのアクセントになっている。この部分があるから、他の多くのキャラクターが金と権力を目指していく中、剣崎がおやっさんである樋口にひたむきに尽す姿を、違和感なく受け取ることが出来る。
また、若いヤクザたちのごく普通の日常-----怒鳴ったり、ドスを効かせるばかりではない、普通の描写が妙にリアルで、それゆえに可笑しい。

役者は前述の加藤、竹中に加え、松方弘樹、美木良介、ミッキー・カーチス、秋野太作、伊武雅刀、白竜、石橋蓮司、曽根晴美、遠藤憲一、隆大介、山口祥行……と、ヤクザ物&Vシネ的に妙に豪華。
三池モバの下品かつ、えげつない芝居も見所。

それにしても、三池はいっくら観ても追いつかないなぁ。
数えてみたら25本も観てるのに、全監督作の半分にも行ってない。
せめて劇場公開作だけでも全部観ようと思っているのだが…。

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2004.01.06

1/6 名古屋ホラー『極道恐怖大劇場 牛頭』

♪牛頭~牛頭~牛頭~~!♪って唄が耳について離れないっ!
…ってことで、三池のイカレポンチ映画(褒め言葉だよ)『極道恐怖大劇場 牛頭』を観る。
凄いです。このイカレっぷり。今、三池は本当にどこまでも暴走が許される監督なんだな。
冒頭の「アレはやくざを殺すように仕込まれた“ヤクザ犬”です」から大爆笑!

名古屋にある“ヤクザの処理場(!)”に、既知外となった兄貴(哀川翔)を連れて行くことになったミナミ(曽根英樹)。ところが、兄貴は途中でよく分からないまま死んでしまい、さらにその死体も消えてしまう。
随所に引き攣るような笑いと大爆笑を散りばめつつ、全く訳が分からないまま、ストーリーはどことも分からぬ着地点に向けて突き進んでいく。この映画のポイントは名古屋と言う土地にあると見た。
名古屋出身のマトモな方には申し訳ないが、名古屋(及び愛知)にオレはあまり良い印象がない。俺が出会った名古屋人の多く(全てとは言わないが)に、何か相容れない微妙な違和感を感じた。東京モンが大阪まで行ってしまえば、そこはもうある種外国みたいなもんで、異文化の土地として理解も出来る。だが、名古屋である。大阪とも東京とも、何かが微妙に違う。
喫茶店でコーヒーを頼んだら、○○○○がサービスとして付いてくる。映画の中では爆笑のシーンである。だが、冷静に考えたら、なぜそんなものをコーヒーに付けるのか?それが名古屋のサービス精神だというが、理解が出来ない。

昔、タモリが名古屋人を笑った頃、オレはまだそれを実感してなかった。やがて大人になり、仕事で何度も名古屋に行く機会があったが、その度になにか理解しがたい、言い知れぬ違和感と、感じの悪さを体感した。
映画の中で何度か繰り返される「アンタ、ナゴヤのヒトじゃないね」という台詞は、可笑しさを誘うと同時に、非常に排他的な居心地の悪さを覚えさせる。
この牛頭の凄さは、そんな“名古屋な感じ”を、笑いと恐怖の中に内包していることだ。
もちろん、それを三池流にカリカチュアし、ハイパー・テンションの三池ワールドに仕立て上げている。喫茶店、米屋、酒屋、旅館…そしてまたもや母乳。非常に日常的な空間が、三池のナゴヤ・テーマパークとして突きつけられる。

ストーリーもネタもこれ以上は書くべきではないだろう。観なければこの凄さは分からない。観たって、やっぱり分からない(笑)。なんだかホントにもー訳分かんないんだけど、ともかく凄いんだよ。


K村さんから北海道土産に頂いたイクラを1瓶、丸ごとご飯に載せてイクラ丼にして喰う。
ウマイッ!

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2004.01.03

1/3 『座頭市血笑旅』なぞを

仕事と家族の入り混じった、ひどくイヤな夢を見て朝4時に目が覚める。
初夢とは言わないが、今年最初のマトモに見た夢がコレかよ…。で、出社して仕事だもんなぁ。

DVDで『座頭市血笑旅』を観る。
ひょんなことから、母親を殺された赤ん坊を親元まで届けることになる市。その間も刺客が迫る。市と子供とのやり取りや、道中の連れになる女などとのやり取りで笑わせつつも、基本は三隅座頭市。赤ん坊が市のカセにはなっているものの、『千両箱』の時のような、子供を抱えたままの立ち回りはほとんどなく、オシメを替えている最中に襲われるなどのシーンが多く、殺伐とした空気と妙にのほほんとした雰囲気の切り替えが絶妙。
8作目なんて言うと、かなりダレダレになってきそうなものだが、きちんと面白いですな。

DVDで『ダイヤモンドアイ』を観る。
第19話「キングコブラの大復活」。
最終話までの残りも少なくなって、アイにやられて寝たきりだったキングコブラが復帰(きっと南原宏治のスケジュールが空いたんだな)。やっぱり人間の姿の出番がないとね。
これからキルト、マリン、ランカと一緒に戦うかと思うとワクワク(ホントか?)。

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