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2006.04.03

3/26 『乾いた花』

米版DVDで『乾いた花』を観る。

ヤクザの抗争から人を殺し、三年ぶりに娑婆へ出た村木(池辺良)。世間はすっかり様変わりし、対立していたはずの組同士も手打ちが済んでいた。そんなある日、賭場で一人の少女・冴子(加賀まり子)に出会う。裏社会の人間には見えない冴子に何故か心惹かれる村木。彼女は、もっと大きな勝負のある賭場へ行きたいと言う。村木と冴子の奇妙な関係が始まるが…。

64年の篠田正浩監督作。
題名の“乾いた花”は、花札賭博の花と、人々の渇いた心情、渇いた生き方を現したものだろう。
その題名通り、それまでのヤクザ映画、任侠映画とは違って、非常にドライに淡々とヤクザの日常を描いている。ヤクザの抗争も手打ちも、村木にとってもはや大した意味はない。義理人情を破壊する訳ではないが、それすらも只の事実として存在するに過ぎない。そんな村木が冴子に惹かれていく。彼女もまた、世間とは無関係に飄々と生きている。

クライマックスで、村木は「面白いものを見せてやる」と言い、自分が人を殺す瞬間を冴子に見せる。非常に殺伐としたバイオレンス描写なんだが、それすらも何か淡々としている。

エピローグで、刑務所に入っていた村木は、「冴子が殺された。実はあの女は…」と、冴子の正体を教えられそうになるが、それを聞かない。村木にとっては、冴子が存在することのみに意味があり、その正体なんてどうでも良いのだ。そして、村木ほど超然と生きることが出来ない観客たちは、最も知りたかった冴子の正体を結局何も教えてもらえないまま幕が閉じる。

なんとも不思議な空気の映画である。

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