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2005.08.04

8/4 『新座頭市物語 笠間の血祭り』

米版DVDで『新座頭市物語 笠間の血祭り』を観る。

生れ故郷の笠間宿へ帰って来た市。育ててくれた乳母のオシゲ婆さんは既になく、市を覚えているのは陶工の作兵衛(志村喬)のみ。そこへ江戸で成功した米問屋の常陸屋新兵衛(岡田英次)も帰って来た。2人は幼なじみで一緒に西瓜を盗んだ仲だったが、新兵衛は見向きもしない。新兵衛は、凶作で年貢を納められない村人の代わりに、金で不足分を払ってくれるというので、名主の庄兵衛(土屋嘉男)らは大歓迎する。だが、新兵衛の本当の目的は、村の石切り場の利権だったのだ…。

とりあえずのシリーズ終了になる第25作は、大映時代から通算6本を手掛けている安田公義監督作。

前提として最終作だったのかどうかは知らないが、エピソードとしてはいかにも最後を飾るのに相応しく、市が故郷に帰って来る。だが、誰も市のことなど覚えてはいない。そんな中で市が心を通わせるのは、作兵衛と作兵衛の家事を手伝っているおみよ(十朱幸代)だけである。このおみよが、市と同じおしげ婆さんのお乳を飲んで育った最後の子供なのだ。情感としては非常に巧い設定なんだけれど、おしげ婆さんは乳母として、一体何年間、何人にお乳をやっていたんだろう、と素朴に疑問に思ってしまった。

本作は、後期シリーズには珍しい重いトーンに支配されている。幼馴染みが悪人になっていたことに由来するこの重さは、実兄や師匠等、斬ってはいけない人を斬らなければならなくなってしまう、シリーズ初期の重さに似ている。コメディ・リリーフとして設定されていたであろう岸部シローらのフーテンも斬られ、最後の戦いはなんとも悲愴なものになる。だが、この悲壮感があるからこそ、最後が盛り上がる。これまで1作で数回の立ち回りがあるのがこのシリーズの常だが、今回は途中での立ち回りが殆どなく、最後の戦いにのみ集約されていく。抑圧され、耐えに耐えた市の冴え渡る仕込みの鋭さがカタルシスを生み出す。
派手に飛び散る血飛沫は、リアリティはないけれど恐ろしいほどの迫力を持っている。特にクライマックスで代官の佐藤慶の喉笛を掻っ切る場面は絶品!思わず巻き戻して見直してしまった。
やはり安田公義は巧い。抜きん出た作家性のある監督ではないけれど、確実に面白いものを作る職人監督である。

本作をもって一旦“座頭市映画”は終了し、勝新はTVで座頭市を展開していくことになる。そして86年に本当に最後となる映画版を製作することになる。

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