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2005.08.15

8/15 『サイレント・アイズ』読了

『サイレント・アイズ』(ディーン・クーンツ著/講談社文庫刊)読了。【ネタバレあり】

人もうらやむような幸せな夫婦。その夫ケインが衝動的に愛妻を殺害した。同じ頃、アグネスは、交通事故で夫を失うと同時に、聡明な子バーソロミューを出産した。そしてサンフランシスコでは、レイプされた十代の少女が、1人の女の子エンジェルと引き換えに命を落とした。一見何の繋がりもない3人の運命が、池に投げた小石の波紋のように広がり、互いに影響を与えていく…。

クーンツ版『ペイ・フォワード』とでも言いましょうか。
1人の人間が為したことが、静かに確実に他のものへ影響を与えていく。第六勘小僧が提唱した「毎日誰かに1つ善い事をすれば、やがて僕らはみんな幸せ」の“幸せネジュミ講”の法則を活かした物語である。ただし、これはクーンツ作品なので、悪いことをしたら悪い影響も広がって行く。考えてみれば、『ペイ・フォワード』で第六勘小僧があっけなく死んでしまうのは、この“邪のペイ・フォワード”に呑みこまれたのかもしれない。そう考えたら、最終的に“正”が勝つ『サイレント・アイズ』よりも、はっきりと描いていないだけである意味では“邪”が勝ってしまう『ペイ・フォワード』の方がよりダークなのかもしれない。(あんなツマンナイ映画のことはどうでもいいんだが…)

ひとつの出来事がより大きなものに静かに波紋を広げていく。その考え方自体は分からんではない。だけどこの物語では、それがあまりにもご都合主義的に繋がって行くのが残念だ。クライマックスのあたりなんて、あんまりにもムリヤリ過ぎだよな。ここを巧く処理できれば(そりゃ神業だろうけど…)、すごい傑作だったのかもしれない。

ところで、久々に読んだク-ンツは、以前とは随分と違う印象である。アップテンポにページを繰らせるテクニックこそ変わらないものの、最大の違いはエピローグがあること。これまでは物語が終る=犯人(ないし悪)が倒される------でチャンチャン!と終わるのがク-ンツ流だった。初めてクーンツを読んだ時は、余韻もへったくれもない、あまりにも拍子抜けするアッサリしたラストに戸惑ったものだ。だが本作では、バーソロミューやエンジェルたちの後日談がたっぷり描かれる。一体どんな心境の変化があったのだろう。歳を取って、余韻が欲しくなったのだろうか?

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