« 10/20 『こねこ』 | トップページ | 10/21 『座頭市果し状』 »

2004.10.21

10/21 『ブレイブ・ストーリー』読了

『ブレイブ・ストーリー』(宮部みゆき著/角川書店刊)を読み終える。

ワタルは、優しい母親、理屈っぽい父親と暮らす、ゲーム好きのどこにでも居るような小学5年生。だがある日、父は外に女を作って家を出ていった。崩壊する家庭を前に呆然となるワタル。「こんな運命は間違っている!」 そして彼の前に幻界(ヴィジョン)と呼ばれる異世界への扉が開かれる。この世界を旅して、運命の塔に辿り付いた現世の人間は、願いを叶えてもらえると言う。そして、ワタルは自分と家族の運命を変えるため、異世界へと旅立った…。

“母を救うために現実世界と幻想世界を行き来しながら、運命の場所を目指す”これって、パクリとは言わないまでも、キング&ストラウブの『タリスマン』と同じじゃん。
『タリスマン』と決定的に違うのは、緊張感である。異世界で冒険せざるを得なくなった主人公が絶対悪に追われるから、『タリスマン』には緊張感が持続していた。だが、この物語にはそれに当たるものがない。魔族の出現と世界を救う人柱って要素が、それに代わるものだとは思うけれど、ワタルの苦悩や努力がそれほど濃く描かれないため、緊張感になっていかない。主人公ワタルの日常描写----両親との関係、伯父さんや友達との交流、幽霊マンション等々----の方が、異世界に行くまでよりよっぽど面白いってのは、ファンタジーとしてはダメなんじゃないの?
おまけに異世界で起こる全てが、どれもこれもどこかのRPGで見たことのあるようなものばかり。ゲーマーとして知られる作者自身が、そのあたりを意識しているのは分かる。だけど、あんまりにも既存のRPG風過ぎやしないか?

とは言え、国産小説としてはかなり分厚い2分冊(と言っても、キングに比べたら大した量ではないが)を淀みなく読ませる筆力は大したものだ。宮部みゆきを読むのは初めてだが、ファンが多いのもうなずける。でも、だからこそ宮部ファンの人には『タリスマン』を是非読んで欲しいとも思う。上巻のツラサを乗り越えることさえ出来れば、『ブレイブ・ストーリー』よりも全然面白いから。

|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11883/1771567

この記事へのトラックバック一覧です: 10/21 『ブレイブ・ストーリー』読了:

コメント

コメントを書く