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2004.05.04

5/4 『六月の蛇』

レンタルDVDで『六月の蛇』を観る。【ネタバレあり】

潔癖症の夫(神足裕司)とセックスレスの生活を送っているりん子(黒沢あすか)。彼女は「心の健康センター」電話相談室に勤めている。ある日、彼女は勤務先で自殺予告の電話を受けるが、電話の相手(塚本晋也)を説得し、自殺を踏みとどまらせた。数日後、彼女のもとへ1通の封書が届いた。中には彼女の自慰行為を盗撮した写真と携帯電話が入っていた。そして、その携帯電話に謎の男から電話が入る。男は彼女が自殺を止まらせた男だった。そして男は写真をネタに彼女を脅迫し、恥辱的な行為を要求するが…。

いかにも塚本晋也監督らしい変態アート映画だ。
繰り広げられるのは、盗撮、覗き、自慰、ノーパン、ストーカー、バイブと、言葉が並ぶだけでも変態チック。だがそんな変態な要素が、ブルーのトーンのスタンダード・サイズのモノクロ映像で塚本晋也がまとめあげると、なんだか限りなく美しい。ほぼ全篇に渡って降りしきる雨が、またその美しさを強調する。
いつもならガンガンと鳴り響くBGMも抑え目で、肉体の変容も最低限(乳癌という要素のみ)で、いびつにねじくれる身体も登場しない。アプローチはいつもの塚本作品とは全く違うようでいて、それでいてキッチと塚本ワールドになっている。
『鉄男』みたいなパワフルな作品も好きだが、この静かなトーンも悪くない。

役者は、黒沢あすかと神足裕司、塚本晋也の3人以外はほとんど印象に残らない。黒沢あすかの凛とした雰囲気は、いかにも塚本作品のヒロインである。そしてコータリ。恐ろしくヘタクソな芝居だが、不思議なことになぜかこの映画ではこれでいいように思えてしまう。

すれ違う夫婦と、その生活に割り込んでくるストーカー。そしてそのストーカーが、皮肉にも夫婦のあり様を救うことになる。実際にこんなことが起きるかどうかと言えば、恐らく起きないだろう。電話と郵便を通じてコミュニケーションをしてくるストーカーに、最近身近に居るメールでしかコミュニケーションできない人々を思い出し、ちょっと寒い気持ちにもなった。彼らも、この映画のストーカーみたいに、だれかのコミュニケーションの役に立つことがあればいいのだが、まぁそんなこと起きないだろうな。

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