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2004.04.12

4/12 『沓掛時次郎』

レンタルビデオで『沓掛時次郎』を観る。

渡世の義理から、六ツ田の三蔵に一太刀浴びせた信州沓掛生れの時次郎(雷蔵)。だがその義理は、三蔵の女房おきぬ(新珠三千代)へ溜田の助五郎の横恋慕だったと分かり、時次郎は逆に助五郎らに刃を向ける。今際の際の三蔵との約束を果たすため、おきぬと太郎吉を連れて熊谷宿まで逃げのびるが、おきぬはそこで病いに倒れた。堅気になって2人の世話をしようとする時次郎を、助五郎は執念深く追っていた…。

市川雷蔵主演、池廣一夫監督による61年製作の股旅物。
よく分かってなかったんだが、調べたらこれが7度目の映画化なんだそうだ。ふぅん。全然知らなかったけど、有名な原作(長谷川伸による新国劇なんだって)らしい。新橋演舞場とかで舟木一夫とかも演ってるらしい。
以下はその他の“沓掛時次郎映画”である。

29年 大河内伝次郎主演/辻吉郎監督作
32年 海江田譲二主演/辻吉朗監督作
34年 林長二郎主演/衣笠貞之助監督作
36年 浅香新八郎主演/西原孝監督作
53年 長谷川一夫主演/田坂勝彦監督作
54年 島田正吾主演/佐伯清監督作
66年 中村錦之助主演/加藤泰監督作

でも、こんなに作られた理由は分かる。池広監督作が原作に忠実なのかどうかは知らないけれど、自分が殺ってもいない相手の今際の際の願いを聞き届け、義理と人情を果たす渡世人なんて、いかにも日本人好みの物語だからね。

オレとしては池廣一夫(今回のクレジットはこの“廣”の字なんだな)監督作だってことで観たのだけれど、満足の行く作品でした。
タイトルバック、時次郎が夕陽を背負て佇むシルエットから、その後に続く土手を歩くロングショットがまずカッコイイ。流石は宮川一夫の撮影だ。フィルターなのか、自然の色合いなのか判断が付かないが、微妙な色合いの空がともかく美しい。そしてタイトルが終わった最初のカットが、走る男たちの足元を猛スピードでフォローした、池広得意の横アテのドリーショット。このスピード感は毎度ながら痺れる!その後も随所で挿入される、縦位置のロングショットの数々が、池広らしい静のダイナミズムを感じさせて、非常に気持ちが良い。
そして白眉はクライマックスから。
出入りに出立しようとする聖天の権一味の血気盛んな様子を、鏡開きとそれを我先に柄杓を突っ込んで飲む男たち、床に転がされる数多の刀、刀に酒を吹き掛ける男たちと様々なアングルから、まさに畳み掛けるように細かいカットを重ねていく。そしていざ出入りとなれば、ケレン味溢れるクレーンを使った俯瞰ショットの登場だ。
さらに出入りが終わった後も、時次郎VS助五郎一味との立ち回りが待っている。手前に屋根を引っ掛けた、奥行きのある静かに緊張感のある構図が、一転して身の回りにあるあらゆるものを駆使して戦う、時次郎の痛快な戦いぶりに変わる。

全体の物語は人情だし浪花節、おまけにハッピーとは言い難い展開なのに、雷蔵のキャラクターと池廣のシャープな映像演出で、全く重い映画にならないのがお見事!
あえて欲を言えば、ちゃらんぽらんな男を演じる雷蔵が好きなオレとしては、時次郎があんまりにも“良い男”過ぎるかな。東宝から客演している志村喬も良い親分過ぎるな。
それでも充分に楽しかったんだから文句はない。池広監督、どれ観ても面白いんだから、あんた凄いよ。

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