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2004.02.04

2/4 『かげろう侍』

レンタルビデオで『かげろう侍』を観る。

駆け出し同心の弥十郎(雷蔵)は、二枚目の女たらし。お珠(中村玉緒)という許婚がありながら、今日も他の女に現を抜かしている。ある日、沼津藩のお家騒動にからむ奉行所の重要書類が、虎鮫の寅吉という賊に盗まれた。奉行は、箱根を越えるまでに寅吉を捕まえろと弥十郎に命じる。
遊び人の振りをした弥十郎は、大雨による山崩れで通れなくなった街道の宿場にやって来た。人相風体、挙動の怪しい客たち。そこで起こる連続殺人。寅吉は一体どの男で、殺人犯は誰なのか?そこへ、お珠もが弥十郎を追って現れた。2人は協力して下手人を探すが…。

最近になって池広一夫を知るまでは、あまり雷蔵の映画を観ていなかった。オレは邦画に関して、どちらかと言えば東宝と東映、日活の人だったので、大映は『ガメラ』に代表される特撮モノ以外浅くて薄かったのだ。
どれだったのか覚えていないけれど、子供の頃に観た『眠狂四郎』数本と、20代で観た『ある殺し屋』シリーズ、それに本に載ってるスチール写真くらいしか記憶にない。どれも眉間にシワを寄せたような、重々しく苦みばしった雷蔵である。だからオレにはニヒルな俳優の印象しかなかった。だが、実はそれは一面でしかなかったことを今更知らされた。雷蔵は、いい加減な女たらしの役を実に軽やかに楽しそうに演じる。女に囲まれてデレデレの表情を見せる時、猛烈にチャーミングな役者なのだな。
この『かげろう侍』は、そんな雷蔵の魅力が一杯の映画である。

物語は、意外なほど本格推理ものの作りになっている。どの客も全て怪しく、犯人が誰なのかは全く分からない。そこへ起こる連続殺人事件…と書くと、重苦しい内容になりそうなものだが、雷蔵の軽いノリと若かりし中村玉緒のオキャン(死語)な魅力、マヌケな現地の同心・堺駿二などが絡み、展開はいたってコミカルである。必死に推理を巡らすお珠と、女に現を抜かしているだけのようにしか見えない弥十郎の迷探偵コンビが、実にいい雰囲気を醸し出す。

断崖絶壁でのクライマックスは、最近の2時間ドラマ風ではあるが、そこからエピローグにワンカットで繋ぐ手際は、お見事の一言。主人公とヒロインの、こんなに長いキスシーンで幕を閉じる時代劇も珍しい。
池広演出もスタイリッシュさは抑え気味だが、その分軽快で楽しい作品になっている。

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